テレワーク推進の時代に、大田区がコワーキングスペースを運営する事は、本来企業が負担すべき事務所費を、税金と公有財産(大田区民の土地と建物)で負担してあげることになり、結果、その分、投資利益が増えることになります。
大田区が民営化するコワーキングスペースは、大企業と中小企業の差もありませんし、会社からテレワークになることで従業員が負担すべき費用を十分に補助する企業とそうでない企業との利用負担の差もありません。
そもそも、本来企業が負担すべき働く場の提供を、テレワークの名のもとにすすめながら、何ら法的整備をしてこなかったことに問題があり、国会や厚生労働省内で十分な議論をすべきだと思います。
しかし、国の法整備が不十分だからと言って、大田区が、区民や区内の中小企業などの事業者への配慮をしなくていいことにはなりません。
テレワークの問題について発言したので、ご報告します。
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平成27年に、地方創生本部補正予算を使い、大田区産業プラザ2階スペースの一部187㎡を使って、仮称イノベーション創造サロンと呼んでいたコワーキングスペースが開設しました。
この時、大田区は、
「いわゆる事務所や会議室の機能を複数の独立した企業が共有しながら利用するオフィス環境。起業家、あるいはその予備軍、フリーランスの方々が利用者の中心となる場所。
彼らにとっては利便性、コスト面でメリットがある一方、違う立場の人々が同じ場所で一緒に仕事をするという中で、互いに刺激し合える環境下で仕事に向き合うことで、さまざまな相乗効果が生まれることが期待できる、そういった空間。
こうした活動を通じて大田区の産業ににぎわいと活力をもたらすだけではなく、将来の大田区の産業を担う人材の発掘と育成、また人と人とのつながりを創出していきたい」
このように説明しています。
このスペースを今回、大田区が今回、産業プラザ条例を改正して指定管理者制度により管理運営している産業プラザの施設として位置づけ、利用料金制を採用しようとしています。
安定的、継続的に運営するためだそうです。
(土地と建物を無償で大田区が提供することで、事業者のコストが低減されるうえ、利用料は事業者の収入になりますから、委託料が一定だったこれまでの運営に比べ、収益性が高まるということだと思います。)
委託から指定管理者制度に変えることで、従来の管理委託の範囲に加えて、事業者は利用許可権限も与えられます。
公共の施設を民営化して、産業振興協会、あるいは民間事業者が、コワーキングスペースを運営することになります。
私は、これまで大田区が位置づけてきた
起業家、あるいはその予備軍、フリーランスの方々が利用者の中心となる場所。彼らにとっては利便性、コスト面でメリットがある一方、違う立場の人々が同じ場所で一緒に仕事をするという中で、互いに刺激し合える環境下で仕事に向き合うことで、さまざまな相乗効果が生まれることが期待できる
場所から、
国も大田区もテレワークを大きく推進するようになっていますから、
このスペースにおける大田区の役割が大きく変わったと考えています。
テレワークにより、オフィスで仕事をする人を減らすことになったので、オフィスを縮小しつつある企業も増えています。
それによる経費削減も言われるようになっています。
テレワーク推進は、コスト面でも、労働者の権利確保の視点からも、課題が多く、安易な推進は問題で反対ですが、
社会全体がテレワークを進めていく中、資本力や事業規模や資産や借入金など様々な理由で、テレワークによる経費削減の恩恵を受けられる事業者とそうでない事業者とに分かれてくると思います。
ところが、今回、議案質疑のなかで、
大田区が、中小企業のまちでありながら、産業支援の視点でコワーキングスペースの運営について、考えていないことがわかりました。
中小企業政策に於いて、全国有数の知見を有しながら、今回のコワーキングスペースの運営に於いて、大田区という産業構造や立地に配慮し、区内企業にどのように活用してもらうことが、産業支援につながるか、考えていないのは問題だと思います。
料金体系や使用方法などについて、区内・区外、個人・法人、大規模資本・小規模事業者などを考慮せず、一律にすれば、
企業規模からみれば大資本に有利になると思いますし、
利用者からみれば、企業からテレワーク経費を十分に支給される企業で働く人とそうでない人とで負担感も異なってきます。
区民の土地や建物を使いながら、
規模の小さな事業者や、企業から十分なテレワークの費用補助を受けられない区民が、相対的に不利になる運営は問題だと思います。