議会を休んだら、議員報酬を減額する条例を大田区議会が可決してしまいました。奈須りえ以外、全ての議員が賛成したのです。
あれ?奈須は賛成?働かない議員が、議会を休むなど、もってのほか。どこが問題かわからない
、と思われるでしょうか。
私は
議員は、選挙で有権者から選ばれ
有権者からその「身分を与えられている」のに
「議員が多数決で」「議会に出たかどうかで」
報酬を減額するのは、おかしいと思いました
議員は
そもそも、雇われて働く人のように
時間を拘束され、
その時間でのパフォーマンスを求められる、
労働者ではないからです
その証拠に
議員には有給休暇も、労災もありません
議会は
基本、年4回の定例会と、1回の臨時会
毎月、常任・特別委員会が各1日ありますが
そこに出れば、議員の役割を果たせているわけでは
ありません。
議員は、議会に出ていなくても、調査したり相談を受けたり、各機関に働きかけたりします。
病に伏している時も、寝ている間も区民や議事について考えますし、病に伏すなどの経験や困難が、その後の見識に深みを増すこともあります。
そうした
経験や知識などを発揮して
議案や予算の審査をしたり、問題点を検証したりします。
細かいことを言えば
議会を休んだ日から
次の議会を休んだ日が180日空いていたら、
その間の、議会の無い日も含め、活動していないことにするのは、おかしいと思います。
条例ができる前、議員報酬の支給を変更できるのは、
・任期満了、
・辞職、
・失職、
・除名、
・死亡、
・議会の解散
によりその職を離れた場合だけで、減額の規定がありませんでした。
減額は、想定していない、ということです。
有権者の皆さまから
信託を受けて、議員の身分を保証されているから
その議員の身分は
基本、選挙以外、侵すことができない
という事だと思います。
減額規定が無いのに、特例条例で、多数決で変えることを許せば、歴史も、過去の経緯も、すっかりないことに出来てしまいます。
多数決が万能になれば
独裁さえ可能になってしまいます。
以下、討論です。よろしければお読みください。
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フェアな民主主義 奈須りえです。
委員会提出議案「大田区議会議員の議員報酬等の特例に関する条例」について反対の立場から討論いたします。
まず最初に申し上げますが、昨年9月26日の本会議の陳情の討論で「選挙で選ばれた議員の身分を多数決で決めることには慎重になるべき」と私の意見は公式に表明させていただいています。
議運は傍聴だけ、委員外委員の発言も認めず、非公式に意見を言い質問しても公式な回答は得られません。本会議場での意見表明が私の意見です。
(ちなみに上記意見は、事前に議論してきたのだから言いたいことがあるなら、その時に言えばよかった、という主旨のことを言われたので、私の意見を述べました。事前に、どのような議論があったとしても、私の反対の意見は変わらないのです。)
この条例は、区議会などの会議等を長期欠席した場合における議員の報酬及び期末手当を減額するために必要な規定を定めるための条例案ですが、
大田区議会議員の議員報酬、費用弁償および期末手当に関する条例の特例条例という位置づけで、条例改正ではありません。
なぜなら、もとの条例の第3条で、報酬の支給を変更できるのは、任期満了、辞職、失職、除名、死亡または議会の解散によりその職を離れた場合だけで、減額の規定がありません。
議員の身分は、公職選挙に基づき付与され、その身分を失うのは、任期満了、辞職、失職、除名、死亡または議会の解散だけで、公職選挙により保証された議員の身分に対し、報酬が支払われ、減額を想定していません。
雇用主に雇われるサラリーマンは、拘束時間があり、労働に時間を提供できない期間が労働契約などを超えて続けば、それに対する何らかの措置が講じられますし、それにより被る不利益から労働者を守るために労働関係法令が定められています。
ところが、議員は労働者ではありませんから、労働関係法令で守られる身分ではありません。
失業保険や各種の休暇制度が無いことがそれを表しています。
議員は、議長にも議会にも区長にも雇われているわけではありません。
有権者の公職選挙によりその身分、役割を付与されているのであって、その身分は、主権者以外のものが侵せない、侵してはならないのです。
それを、議員の身分はあるのに、最初に議会を欠席した日から、区議会に出席した日の前日までの期間が180日を超えると減額の対象にするという規定を、主権者ではない議会が多数決で決めて、報酬を減額するのは議員の身分の侵害であり、主権者の主権を脅かすものです。
しかも、この180日の規定は、1日議会や委員会を欠席すれば、それ以降の、もともと議会が開催されていなくて、出席しなくて良い日数も、欠席期間として計算されています。議員は、議会に出ていなくても、調査したり相談を受けたり、各機関に働きかけたりします。
病に伏している時も、寝ている間も区民や議事について考えますし、病に伏すなどの経験や困難が、その後の見識に深みを増すこともあります。
(この寝ている間、というはつげんで、失笑が起きましたが、私は、寝ている間も考えていて、起きて、考えが整理されることもあります。)
これら含めた議員の存在そのものに信託している有権者もいると思います。
議会等への出欠だけで職責を果たしているか否かを判断し、身分の対価である報酬を減額することで身分を侵してはなりません。
議員は、株主利益の最大化のために労働を提供する労働者ではないのです。
出席していれば職責を果たしていることになるこの条例案の考えの前提にある議員像は、
議会や委員会以外の場での議員の活動や存在を極めて狭くとらえているだけでなく、
議員という主権者に信託された二元代表制の1機関である議会や議員を、矮小化しています。
この国の、議会制民主主義の根幹となるべき憲法が保障する議員の身分を、
出欠だけで議員の職責を果たしたことにする身分に変えることは、
本来、条例改正ではできないことで、
それを、特例条例で無理やり変えることは許されません。
自治法改正による、地方自治法第252条の17の2の条例による事務処理の特例は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理することができるのであり、条例の例外規定を許すものではありません。
これを許せば、過去の経緯も、法の持つ本質的な意義も失われ、革命のように、この国の制度をひっくり返すことも可能になってしまいます。
総務省は、
2015年にIT革命
2017年には第四次産業革命
という言葉を使っています。
革命というのは権力体制や組織構造の抜本的な社会変革です。
革命のたび産業構造が変わり、権力支配構造が変わってきました。
岸田首相はダボス会議で、民主主義の価値観を守ると言いました。
価値観だけの民主主義に変えられつつあるのです。
フェアな民主主義のため、過去の経緯をすっかり変えてしまうことを許す特例条例による主権者と議員の身分の無力化は許されません。
反対です。