狭山丘陵の4つの都立公園をNPOと企業の共同体が東京都の指定管理者として管理しています。
素晴らしい天候に恵まれた12月1日、紅葉の美しい「都立野山北・六道山公園」に行き、大勢のボランティアとともに里山を守る「西武・狭山丘陵パートナーズ」のNPOのひとつ「NPO birth(バース)」の事務局長佐藤留美さんからお話をうかがいました。
立川からバスに30分ほど乗った埼玉県との境に「都立野山北・六道山公園」は位置しています。
不法投棄のごみでいっぱいだったこの地域を東京都が整備し都立公園として管理することになりました。
ダンプ9000台のごみがでたといいますが、谷戸は水田に整備され、小川の沿いには、様々な地域にあった植物が植えられています。133.9haという広さを体感するために、どんぐりを踏みしめながら、美しい紅葉の中を二時間程度歩きました。
「西武・狭山パートナーズ」は、この「野山北・六道山公園」に加え、「狭山公園」「東大和公園」「八国山緑地」の4つの講演を指定管理者として管理・運営しています。
「西武・狭山パートナーズ」は、
・西武造園株式会社
・西武緑化管理株式会社
・特定非営利活動法人 NPO birth
・株式会社タム地域環境研究所(タム研)
・特定非営利活動法人地域自然情報ネットワーク
の5つの団体で構成されています。
東京都が公園の管理をする指定管理者を募集するにあたり、それまでの活動において接点のあった団体が声を掛け合い管理についての方向性が一致したことから「西武・狭山パートナーズ」として応募をすることになったそうです。
現在、造園業・NPO・コンサルタントなど、それぞれの団体が、得意分野を担当しながら共同で管理・運営を行っています。
里山の管理は、特に、人手を必要としますが、管理のなかでも都民協働やイベントを担当するNPO birthは、多くのボランティアを育成し公園管理につなげています。
ボランティアを単なる行動する人としてとらえず、まず、イベントやガイドツアー・体験ボランティアなどを通じ公園を知ってもらうことからスタートするのが、NPO birthの都民協働の優れているところです。
知ってもらった次の段階で、里山学校など各種の講座を受講してもらい、そこから公園ボランティア・市民活動に参加してもらう人たちを着実に増やしています。
NPOと言えば、ミッションが先行しがちですが、NPO birthの佐藤留美さんは、アメリカの自然活動NPOでの体験から、食べていけて(収入の確保)コーディネート能力(経営・運営能力)のあるNPOがいなければ、ボランティアは動かないことを学んできています。
経済的な基盤を持ち、継続的にNPOの活動を推進しているスタッフだからこそ、「ボランティアが何をしたいのか受け止め」「不満を聞く」とともに、「ボランティアに対して愛情を注ぐ」ことができる。
そうした、NPO birthの佐藤さんの姿勢が、多くのボランティアに「ここで環境や自然に対する思いを実現したい!」と思わせるのでしょう。
現在、年間、延べ3000人のボランティアが活動し、イベントには4000人が参加するほどに、にぎわっています。
一方で、現在の課題のひとつは、里山での収穫物をどうするかということ。
当日は、収穫祭だったため、収穫した米ついたお餅や豚汁、みかんなどを実費¥300をお支払いして食べましたが、収穫物はたくさん残ってしまうそうです。
これらを販売し更に活動を広げて行きたいと考えていますが、現在の指定管理のしくみのなかで販売は許されていないそうです。
里山は、人間のくらしを支える山。そこからの産物である、間伐材・木の実・竹・竹の子・・・・を私たちは利用してきました。現在の里山が荒れてしまった理由のひとつは、私たちが里山の産物を利用しなくなってしまったところにあります。
里山からの産物を利用できるしくみも作っていただきたいと思いながら帰りの道につきました。