速やかな核心のある情報開示

　パニックとは、正確な情報が提供されずにやたら不安をあおると
起きる。豚インフルエンザ。新型インフルエンザとしてメキシコ中
心に欧米にひろがる勢いだ。
　ＷＨＯでは、世界の専門家と電話回線を繋いで、安全対策につい
て緊急対応をすすめている。

　メキシコでは疑いのある者２０００名に迫り、すでに１５０名近
くが死亡している。米国では疑いのある者５０名近くで、治療のう
え、回復して帰宅している者が続いているという。
　この両国の違いについて、起きている現状把握の精度の違いによ
る防疫体制システムによる事前防疫にあると一部報道されている。

　知りたいのは、なぜメキシコでは突出して死亡者が出て（現在で
は、すべてが豚インフルエンザの感染によるものか確定的ではない）
ほかではそうでないのか。感染したウィルスが人体にどのように浸
透し、なにを破壊して死におとしめているのか。

　ＷＨＯは今懸命に解析に努めているのだろうけれど、死亡例の多
いメキシコでは、症状例がはっきりしているのだから、すみやかな
情報開示が望まれる。
　ひとつひとつ事実が開示されることによってのみ、不安は、適切
な防疫へのエネルギーに転嫁されていくのだ。

　死亡者が増えた。世界に拡大規模だ。マスクを着用し、消毒を徹
底して水際防疫作戦だ。だけでは、不安をあおるだけだ。この程度
の報道の繰り返しで、社会不安は増すばかり。パニックに進んでい
く。

　「なに」が原因でそうなって、「どうして」そこまでいって（ひ
ろがって）、いったい「どのように」人体を破壊しているのか、そ
のメカニズムの解明のための、ひとつひとでいいから、早く正確で
丁寧な情報開示が必要だ。

　今は、情報化社会のなかで、繰り返す症状だけの開示が不安を迅
速に、一斉に、大量に、オンタイムで世界を駆け巡り、あたら焦点
の定まらぬ予測を生んでいく。

　核心のある情報開示を。速やかに。被害はいつも弱者にしわ寄せ
するから。