桜と知覧

　桜の季節がやってきた。５月上旬の北海道まで時と場所を変えて続きます。気温が２０度に近付くとあっという間に開花して、程なくして（２週間ぐらいですか）散り急ぐ。花のいのちは短いね。
　桜は特にそうですが、花は間近に見るよりは、距離を置いて群像として見るほうがいいよね。遠近法のようにとんがって続く桜並木を高台から眺めるときれいだなと思う。女性の特性（よくわかりませんが、その実。）ってこんなものかとも思う。花弁はそうですが、根っこ、幹はすごいよ。張り出してアスファルトをめくりあげる生命力もある。これも女性の特性かな。
　もう随分昔になるけど、九州のど真ん中にある知覧を訪ねたことがあります。緑豊かな高地で、古風な家々には手入れの行き届いた緑いっぱいの垣根が整然と連なり、よく時代劇とかの撮影に使われるところだと聞きました。
　もうひとつの顔、あの時代に特攻隊の前線基地だったところです。若者が、何を思って、あの青空に散り急いでいったのか。今は静かで自然と一体になったさわやかな町並みを歩くと、どこからともなくそよ吹く風がこころに沁みます。
　物事は、一呼吸おいてから、主体的に考え、けっして何か見えないものに不自然に流されてはいけないという決意を、知覧という印象的な町の名前とともに記憶に残っている。