(1)肺がん治療薬イレッサ使用の患者の副作用(secondary reaction of medicine)死亡責任賠償裁判で、最高裁は薬を承認した国と薬品(輸入)販売会社の責任を否定した2審判決を支持して、上告を棄却し8年に及ぶ判決は確定した。
800人に及ぶ同一医薬品の副作用死という「異常性」の中で、まず最高裁は「医薬品は人体にとって異物であり、何らかの副作用が生じることは避け難い。」として薬の効用力の絶対的優位性を認めた。
(2)薬の効用は、よく「毒」をもって「毒」を制すという言葉があるとおり、治癒効果とは別の身体的負担(damage)をも前提条件とした。この治癒効果と身体的ダメージとの比較調合するのが医師の専門的能力、識見ということになる。
今回の訴訟ケースでも医薬品の医師向け説明文書の記載内容で、副作用効果について十分知りうるべき状況にあったとして、承認した国と販売会社の責任を認めなかった。
(3)重大病気ともなると、使用する医薬品は医師の処方せんなしには手に入らないし服用できないので、医師の専門的識見、判断の比重は大きい。しかし、薬の副作用効果について医師だけにその責任を押し付けた最高裁の判決では、医療、治療の安全性向上には不十分な姿勢といえる。
「副作用が生じることは避け難い」とするならば、なおさらに副作用効果についてその医薬品の製造販売の承認権を持つ国の共同責任も大きいのではないのか。
(4)医薬品の安全性(副作用を含む)について、説明文書に記載があるかどうかの「形式論(formal logic)」だけでなく、副作用効果の「影響力」について医師、患者、医療機関に十分に周知、通知するシステム、制度の環境整備、「実効性能論(efficiency)」が国の承認権責任には必要だ。
「副作用が生じることは避け難い」、「毒をもって毒を制す」医薬品の特性ならば、二重、三重の安全基準によって守られるべき医療、治療行為、副作用効果の安全確率でなければ安心してまかせられない。
(5)800人にも及ぶ同一医薬品の副作用死という異常性が医師の注意力、判断能力だけに社会的責任を押し付けるというのは医療安全にはあまりに不十分で、問題性の検証の精度、問題意識の形式的に偏向した希薄さを感じる。
(6)国の医薬品の製造販売承認権限は、様式、体裁が整っているという形式論ではなくて、効用、副作用のそれがどのように医師、患者に届くのかの実効性能責任論でなければ、医師もとりわけ患者には安心、安全医療、治療にはならない。
国が責任を持ってやらなければ(行政指導)、誰が医薬品効能周知ミスの責任をとれるのかだ。
800人に及ぶ同一医薬品の副作用死という「異常性」の中で、まず最高裁は「医薬品は人体にとって異物であり、何らかの副作用が生じることは避け難い。」として薬の効用力の絶対的優位性を認めた。
(2)薬の効用は、よく「毒」をもって「毒」を制すという言葉があるとおり、治癒効果とは別の身体的負担(damage)をも前提条件とした。この治癒効果と身体的ダメージとの比較調合するのが医師の専門的能力、識見ということになる。
今回の訴訟ケースでも医薬品の医師向け説明文書の記載内容で、副作用効果について十分知りうるべき状況にあったとして、承認した国と販売会社の責任を認めなかった。
(3)重大病気ともなると、使用する医薬品は医師の処方せんなしには手に入らないし服用できないので、医師の専門的識見、判断の比重は大きい。しかし、薬の副作用効果について医師だけにその責任を押し付けた最高裁の判決では、医療、治療の安全性向上には不十分な姿勢といえる。
「副作用が生じることは避け難い」とするならば、なおさらに副作用効果についてその医薬品の製造販売の承認権を持つ国の共同責任も大きいのではないのか。
(4)医薬品の安全性(副作用を含む)について、説明文書に記載があるかどうかの「形式論(formal logic)」だけでなく、副作用効果の「影響力」について医師、患者、医療機関に十分に周知、通知するシステム、制度の環境整備、「実効性能論(efficiency)」が国の承認権責任には必要だ。
「副作用が生じることは避け難い」、「毒をもって毒を制す」医薬品の特性ならば、二重、三重の安全基準によって守られるべき医療、治療行為、副作用効果の安全確率でなければ安心してまかせられない。
(5)800人にも及ぶ同一医薬品の副作用死という異常性が医師の注意力、判断能力だけに社会的責任を押し付けるというのは医療安全にはあまりに不十分で、問題性の検証の精度、問題意識の形式的に偏向した希薄さを感じる。
(6)国の医薬品の製造販売承認権限は、様式、体裁が整っているという形式論ではなくて、効用、副作用のそれがどのように医師、患者に届くのかの実効性能責任論でなければ、医師もとりわけ患者には安心、安全医療、治療にはならない。
国が責任を持ってやらなければ(行政指導)、誰が医薬品効能周知ミスの責任をとれるのかだ。