いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

成長戦略異論。 growth strategy has not strategic theory

2013-06-17 19:41:28 | 日記
 (1)安倍政権の経済3政策、①金融緩和(2年間で物価目標2%上昇)、②財政主導(公共事業復活による10兆円規模の大型補正予算)で先行き期待感による円安株高の経済効果を生んで順調な滑り出しを見せて、3番目の③成長戦略(growth strategy)の素案が発表された。

 iPS細胞に代表される先端的医療研究の推進、一般用医薬品のネット販売、国家戦略特区による技術、人材、資金を集中した経済成長推進モデル都市などで、経済成長の目安を従来の国内総生産(GDP)から国民総所得(GNI)の成長率に移行して目先を変えて年3%を上回る伸びを目指し、10年後には現在の水準から150万円を増やすとした。

 (2)個人所得ではなく実感としてはあまりよくわからないが、GNIは企業の国内総生産(GDP)に海外での生産利益も含めた経済指数で、生産拠点の海外化の時代の流れの中でより実体に近いデータ経済指数を目指すということだ。

 成長戦略は、①女性の活用、②大胆な規制緩和、③農業の自立、④TPP交渉参加による自由競争成長、⑤エネルギー転換など積極的な構造改革、規制改革の展開に期待したが、今回の政府の成長戦略構想はエンジン推進力のないその期待にこたえるものではなかった。

 (3)長引くデフレ不況解消に向けて今の経済状況の回復、景気回復が市場、国民の最大の関心事であり、円安株高志向は続いているが肝心の賃上げによる国民生活回復の実感による実体経済の回復につながっていないことから、構造改革、規制改革による経済活動の活性化を期待した市場、国民からの失望感が広がって、日経平均株価はこの時大幅安となった。

 成長戦略政策と言いながら、金融緩和、財政主導のように大胆で具体性のある政策目標設定に欠けて、期待感を煽(あお)る効果とはなっていない。
 国民総所得(GNI)の成長率重視による10年後の目標などと悠長なことではなく、円安株高の企業利益反映効果による現在の賃上げ実現による生活、実体経済の回復が一番の関心事だ。

 (4)国民生活は円安による輸入材料高騰の食料品一斉値上げの季節を迎えて、市場動向とは相反する回復感はまるで実感できていない。そこへ消費税還元セール禁止法の制定だ。

 安倍政権の経済3政策の概要はそろったので、これからは先行する期待感に具体的効果として政策反映されるのか、追いつくことができるのかが重要な政治課題となっている。

 (5)今夏の参院選を控えて自民党一強時代の政治状況の中では、国民の安倍政権の経済政策への「疑心暗鬼(suspicion begets fears)」は選挙結果には直接影響を及ぼさないだろうが、一斉値上げが続き来年4月の消費税引き上げを控えて国民生活の窮迫感が現実のものとなれば、成長戦略もない。

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