(1)世界の政治地図が大きく変わりそうだ。マクロン大統領与党が欧州議会選挙での敗北を受けて解散総選挙に打って出た仏国民議会選挙(下院)では仏極右政党「国民連合」が過半数に迫る(報道)勢いで(マクロン与党は3位)、初の仏極右政権の誕生が現実味を帯びている。
(2)英国では総選挙を前にして保守党スナク政権が劣勢で、野党労働党の躍進、有利が伝えられて、英国有力紙はこぞって労働党支持を打ち出して(報道)保守党離れを鮮明にしている。
(3)米国大統領選は27日に指名確実な民主党バイデン大統領と共和党トランプ前大統領の直接対決のテレビ討論会が開催され、バイデン大統領が事前の入念な準備が伝えられる中で精彩を欠き、これまで大統領選で民主党支持を鮮明にしてきた米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「バイデン氏は国のために大統領選から徹底すべきだ」とする社説を載せた。
テレビ討論会を見た民主党支持者からも失望の声が多く聞かれて(報道)、バイデン大統領は苦境に立たされている。
(4)ついでに言うなら、イラン大統領選はいづれの候補者も過半数を得票できずに1位の改革派と2位の保守強硬派の候補者による決選投票に持ち越され、改革と保守の対立が続く。
こうして世界の主な国での選挙情勢では現政権、現職が劣勢に立たされており、このまま情勢分析どおりになれば(その可能性が高い)世界地図は大きく「一変」することになる。
(5)特に注目されるのは仏情勢で、仏極右政党「国民連合」が政権を取るということになればEU、米国との関係がどうなるのか、NATO、ウクライナ戦争への影響も考えられて、国際情勢、協力、構成、構造がどうなるのか予断を許さない。革命的変化も考えられる。
これに伝えられているように米国トランプ前大統領がテレビ討論会の「勝利」の余勢をかって大統領選を勝利するということになれば、仮に仏極右政権とトランプ米国第一、保護主義がどう連携し、あるいは連携しないのか、どちらにしても西側諸国にとっては重大な局面を迎えることになる。
(6)そこに日本は9月の自民党総裁選に向けて支持率低迷が続く岸田首相がどうでるのか、でないのか、こちらの方も次回衆院選での与党自民党への国民の強い批判の「風」はあり、政権交代の可能性もないわけではない。
そうなれば「G7」のメンバー国の首脳、構成が大きく変わることになり、国際秩序、基準、法則の統制が効かなくなりまさしく世界政治は「秩序なき対立の時代」(an era of disorderly opposition)を迎えることも考えられる。
(7)今世界政治はそうした現実的な波乱を抱えて進行している。