(1)米国大統領選共和党トランプ候補の狙撃事件、訴訟問題に民主党候補バイデン大統領の高令、言い間違い続き、健康問題で副大統領への関心も高まりをみせている。民主党候補バイデン大統領は現職のハリス副大統領起用が有力で、共和党トランプ候補は中西部ラストベルト(残されたさびついた工業地帯)の白人貧困家庭出身のバンス候補を副大統領に選出した。
(2)米国副大統領は大統領に職務執行が出来ない状況の時に大統領に代わって職務を執行することになっており、バイデン、トランプ両氏の高令同士の大統領選では副大統領にも注目が集まっていた。
今回の民主党ハリス副大統領は4年前には初めての黒人系女性副大統領で注目、期待が高かったが、その後は政策的な偏向発言に目立った活動もなく、バイデン大統領の影に隠れて副大統領としての当初の期待は薄れていた。
(3)バイデン大統領が民主党支持層の高い黒人社会の票を意識しての起用とみられる。トランプ候補も大統領選で重要となる接戦州のラストベルト票を意識しての起用とみられる。つまりは大統領に何かあった時の代行能力というよりは、大統領選での支持層、重要選挙区を意識した選挙対策ということができる。
(4)しかし両大統領候補の思惑とは違って、現実はトランプ候補狙撃事件にバイデン候補の高令健康上の問題が浮上しての副大統領候補の職務能力、資質に注目が集めることに向かっている。副大統領候補同士の討論会も予定されている。
(5)大統領制の米国政治と違って議院内閣制の日本政治では、副首相は置かずに与党自民党では副総裁職がある。国民が直接投票で大統領を選ぶ米国と違って日本は国会で首相を選ぶので、首相に何かあってもそれほど間を置かずに国会(議員)で首相を選ぶことができる。
(6)岸田首相は10%台、20%そこそこの低支持率が続いて国民の信頼、支持、期待は極めて低いとみられるが、党内でそれに次ぐのが麻生副総裁とあっては09年に自民党長期政権を終わらせて革新民主党政権誕生につながった時の首相で力、役職不足だ。
(7)首相選びには国民は直接には参加できないが、来年中には衆院選もあり、与党自民党の政治とカネ問題再燃での国民不信の中で国政の行方、方向性、選択に注目が集まる。