坂東玉三郎特別公演@南座

2022-08-05 22:16:00 | 古典芸能
急遽京都に行くことにしたので、こちらも観てきました!

去年、歌舞伎座で仁左衛門さんの伊右衛門と玉三郎さんのお岩を観させて貰って、めちゃめちゃリアルなガラかめWORLDを拝見されてもらい、

今回は、伊右衛門をラブリー愛之助さん、そして、「ふるあめりかに〜」に続き、緑郎さんと雪之丞さんがご出演されるということで、後半に観る予定でしたが、急遽京都に行くことにしたので、こちらがついでに観ることになってしまいました。

それにしても、久々の歌舞伎俳優として拝見するラブリーさんが、声も動きもめちゃくちゃ仁左衛門さんが演じた伊右衛門にそっくりでビックリしました。

そもそも、最近では、マンモス視聴率の半沢直樹にでるラブリーさんしか見てないので、歌舞伎役者さんとして拝見するのはめちゃくちゃ久しぶりになります。

三階席から拝見させてもらいましたが、三階席だから余計、声も動きも仁左衛門さんの伊右衛門を観ているくらい似ていたので、めちゃめちゃ悪人非道なのに、めちゃめちゃカッコ良かった!

ただ、こんなこと書いたら失礼千万なのは百も承知ですが、仁左衛門さんの方がスタイルが良い!

ラブリーさん、ごめんなさいm(_ _;)m

っていうか、仁左衛門さんがあの御歳で年齢を感じさせないイケメンぶりが尋常じゃない!

仁左衛門さん、先月の松竹座、後半復帰されて良かったですね!

御歳に関しては、玉三郎さんも同じことが言えますけどね。

いくら、お二人ともガラかめWORLDの住人とは言え、年齢不詳のお芝居が出来るのは、もはや努力ではなく才能のひとつと言えるでしょう。

やはり、玉三郎さんのお岩は、お化粧の匙加減だけでもう完全なお岩だった。「ふるあめりかに〜」のお園さんと同じ人物だとは思えないのくらい薄幸で病弱なお岩さんでした。

「信濃路紅葉鬼揃」の鬼の形相もそうですが、完全に美しい顔を醜くしてしまう徹底ぶりがめちゃめちゃ素晴らしい!

他の役者さんが鬼を演じるときは、形式張った隈取りをされるのでそれが普通だと思っていましたが、

玉三郎さんの鬼もお岩も完全に玉三郎さんの美しさを消し去った全く別人のお化粧をされるので、その化粧だけでも見応えがあります!

茶碗に白湯を注ぐ、薬を飲む、お歯黒を塗る、髪をとく、あらゆる所作がまるで茶道の所作のように美しい。

四谷怪談って、お岩さんの幽霊話であったり、ちょっとしたコメディのイメージが強かったのですが、去年に引き続き玉三郎さんのお岩さんを観させて貰って、人間の業と欲にまみれた情念の物語だということに気付かさせられます。

今日観る限りでは、歌舞伎座公演より少しコメディ要素が足されているように感じました。クスッと笑えるシーンが2箇所ほどあったように思います。

三階席と言えども、広い歌舞伎座の三階席と違って南座はこじんまりしているしとても近く感じられるので、三階席でもお得感があります。

そして、緑郎さんと雪之丞さんは、出番が多い役ではありませんでしたが、なんで新派に行ったの!?と言いたくなるくらい歌舞伎の世界が似合う!もちろん、新派の公演も良かったよ。でも、雪之丞さんは女形でも全く新派の女優さんと対等に存在してますが、緑郎さんは型がある歌舞伎じゃないから役不足感が否めない。

玉三郎さんのお声掛けで歌舞伎の舞台にも立つ機会を貰えたこと、その姿を拝見できることは、ファンじゃなくても嬉しいものがあります。プライベートでは色々あったけど、緑郎さんにとっては舞台が生きる場所です。緑郎さんはもっと輝ける方なので、舞台では遠慮を捨てて役に邁進してもらいたいと思います。

舞台に立つだけで、お客さんの前に登場するだけで十分禊ぎができていると思いますよ。

緑郎さんはもっと色気がある方なので、舞台上ではもっとカッコイイ緑郎さんを観させてもらいたいです。今日は遠慮の塊のように見えて仕方なかった。

雪之丞さんも、憑依型の役者さんなので、「ふるあめりかに〜」の病弱な亀遊さんとは全く別人の、年増の女性を貫禄たっぷりに演じられていました。声音、所作、目線、どれも役柄が滲み出てました。

緑郎さんも雪之丞さんも登場場面が少ないですが、存在感やインパクトは大だったと思います。

お梅を演じた上村吉太朗君がめちゃめちゃ良かった!

歌舞伎座では、千之助君が演じ、それはそれは綺麗なお梅でしたが、

吉太郎君のお梅は、それはそれは所作がしなやかで、伊右衛門に寄り添う姿勢が美術の彫刻のような綺麗な曲線を描いていて乙女度が高かった!

どなたかのご子息なのかと思って検索したら、故我當さんの部屋子さんであることに驚きました。

今日、ご出演の方々は、どなたかの部屋子さん、または養子の方ばかりなので、

いやいやいやいやいやいや、

めちゃめちゃレベル高すぎでしょ!

と唸ってます。

歌舞伎に限らず、世襲制度はいい事ばかりではないので、違う血を入れることで活性化されることをこの座組が証明してくれてますね。本当に素晴らしいことだと思います。

演目に関係ないことばかり書いて申し訳ないですが、感じたこと書くのがワタクシの主義なのでお許し下さい。

ま、宝塚ネタ以外は読まれていないので書きたい放題なだけですが…(笑)

8月の暑い日にもってこいの「東海道四谷怪談」の後は、めちゃめちゃ華やかな舞踊「元禄花見踊」。

四谷怪談が、照明も含め暗い物語だったので、180度違う「元禄花見踊は化粧、着物、舞姿どれも目の保養になりました。 

本来の美しい玉三郎さんに戻り、美しい雪之丞さんとの競演。

さっきまで極悪人だったラブリーさんとひ弱な小平を演じた緑郎さんが、若衆に姿を変えて登場。ラブリーさんはスッポンから登場。

まるで宝塚のお芝居とショーを観ているくらいギャップがありすぎて、舞踊ではあるけども逆に贅沢な時間でもありました。

新派で舞踊の演目があるのかは知りませんが、やっぱり歌舞伎の世界も似合ってる!と言いたい。

こんなに活躍の場を与えてくださっている玉三郎さんの粋な振る舞いがカッコ良すぎるわ!

玉三郎さんのお岩はマジ必見!

四谷怪談のあとの舞踊はめちゃ華やかなのでそのギャップを愛でてもらいたいです。

舞踊での玉三郎さんと雪之丞さんの並びを観て、

「天守物語」が観たくなりました。

いつか演って下さい!m(__)m



そうそう、書こう書こうと思って忘れてましたが、

歌舞伎の脚本は、基本説明台詞ばかりです。これは、江戸時代からの伝承だから説明することが文化なんですよ。お囃子なんて、まさにリーマンと同じで、物語を語ってます。

だからといって、この現代で歌舞伎スタイルの脚本ってどうなの?って感じ。

でも、Twitterで評価見たら賛ばかり。単純に価値観の違いだから仕方ない。

今期のドラマでは、太賀君と林遣都君主演の「初恋の悪魔」を観てます。4月期は一切観てなかった。

たまたま携帯で第一話を観たら、遣都君の演技がめちゃめちゃ良くて最後まで観てしまった。

太賀君は地味な役なのに、やはり、泣きの演技がうま過ぎ!

柄本佑君もいいキャラしてる!

そして、松岡茉優ちゃんが回を増す毎に、存在に目が離せなくなる!


このドラマ、めちゃめちゃ面白いやん!と思って毎週観てるのに、視聴率がすこぶる悪い。

面白い!と私が思ってるドラマは、何故か視聴率が悪いことが多い。私の価値観は世間とは違うをまざまざと突き付けられてます。リーマンでも同じことを思ってます。

価値観の違いだけは、どうすることも出来ない。かといって、合わせる必要もない。

と思う今日この頃です。















Plan75

2022-08-05 18:47:00 | 映画
何度も同じことを書いて申し訳ないですが、

「リーマン・トリロジー」を観るのは必然だったかのように、

めちゃくちゃむちゃくちゃ良かった!!

ここでも「リーマン〜」が引き立て役になったよ。

それくらい、脚本も見せ方も、私が理想とする描き方だった。

説明台詞がほぼなし!最低限のPlan75のプランの説明くらい。むしろ説明が少な過ぎると言っていいくらい、それ以外は日常会話。めちゃくちゃ自然な会話。

会話や言葉ない、台詞がないときの表現が、どの役者さんもお見事!心の声が全て表情や肉体を通して表現されているところがめちゃくちゃ素晴らしい!

「リーマン〜」が良いと思った方は、これも観て!と言いたい。が、終了間近。

ま、舞台と映画では、そもそもの表現方法が異なるが、脚本としては、映画も舞台もさほど変わらない。

ということで、カンヌでカメラドールを獲った時からめちゃくちゃ観たかったが、6月7月は忙しかったので存在すら忘れてました。

本当はね、ギャツビーを観る予定だったのが中止になったので映画検索をしたときに、昨日の木曜日で終了する映画館がほとんどだった中、唯一安く観れる(ポイントが使える)映画館が京都だけだったので、本日で終了となるので、急遽京都に行って観てきました。 

あさイチ1回キリだったのですが、観て正解でした!

普段はパンフレット買わないけど、残念ながら完売だった。帰り、大阪の映画館にも行ったけど売り切れだった…(涙)今作に関しては、めちゃくちゃ欲しかったのに!!

それくらい、カンヌの審査員のお目の高さに唸りまくりでした!

万国共通のメッセージ性と問題提起がなされていて尚素晴らしい!

これ、来年のアカデミー賞日本代表に選出してもらいたいくらい良かった!

日本には、安楽死の制度もましてや映画のようにPlan75のような制度はないが、

超高齢化社会のど真ん中にいる日本。これから第二次ベビーブームで誕生した者が65歳になると、しばらく超過激高齢化社会(ワタクシが勝手に命名)を迎えることになる。

高齢者と同等に子供達が増えるならいいが、現実は少子化が加速している。

私みたいな結婚しない子供持たない人間が、少子化の手伝いをしてしまっているので、申し訳なさはあるが、今更結婚も子供も、ましてや恋愛なんて全く興味ない。妄想恋愛はしてますが…(笑)⬅めちゃヤバイ奴!

孤独死覚悟で生きているので、このPlan75の仮説はめちゃくちゃ興味があった。

確かに高齢者増加で、未来の子供たち、これから成人を迎える者たち、現在の労働者に経済的負担を背負わせることは申し訳ない限り。

だからといって結婚も子供もいらない。孤独死覚悟で生きている、ということは以前にも書きましたが、

その気持ちは今も変わらない。

だから、生きている限りは、何歳になっても死ぬまで働きたい。

ただ、本当に孤独死になった時、その後始末のことを考えると、Plan75は有り難い。

それを前提に観たので尚更興味深く拝見させてもらいました。

Plan75が法案成立し、契約を結べば、火葬場その後の始末もタダ。民間の制度もあり、お金を払えば豪華に最期を迎えることも出来る。

ぶっちゃけのぶっちゃけ、今の私なら、Plan65があっても契約する。

不謹慎発言しますが、親も子もいない、守るべき相手もいない、孤独死覚悟している身としては、少なくとも私にとっては有り難い制度です。

自殺はアカンと言っていますが、安楽死も自殺と変わらないのは認めます。いくら法的に認められているからと言っても、他人の力を借りて自殺するわけだから、ぶっちゃけ、そっちの方が責任逃れしているに過ぎないから、質が悪いのは認めます。

ですが、もし制度化されたなら、今の私なら契約します。将来は分からないけどね。

ま、私のことはさておき、

映画の中で描かれているのは、私みたいな孤独な高齢者。倍賞千恵子さん演じる は、働く意欲はあるが年齢制限で働く場所がない。世間の風潮が75歳になったら死を選べと言っているみたいなものだ。

磯村勇斗君は、市役所でPlan75を受付斡旋する職員。

もうひとり、フィリピン人の介護士。娘が心臓の病気を患っており、介護士の収入だけでは娘を助けられない。フィリピン人が集う集会のオーナーの図らいで高額な賃金が貰える職場を斡旋してもらう。

間接的には関わるが、直接関わり合わないこの3人の目線を通して、この3人が伏線となって物語がすすむ。

描き方としてめちゃくちゃ秀逸!

映画ではよくあるパターンの見せ方ですが、基本的に説明が少ないから常に頭がフル回転。イマジネーションが働き常に考えさせられる。

Plan75は存在しないけど、実際に法案で通ったこと前提にしているので、綿密にプランの仕組みも練られていた。現実的にコロナ対策で示されているように、行政の取り組みの杜撰さも描かれていて描写的にもとてもリアリティがありました。

倍賞千恵子さん、磯村勇斗君、フィリピン女性の周囲しか見えてこないから、実際にPlan75が動き始めて、

世間(映画の中)ではどう評価されているのか?

身寄りがいない目線ではなく、家族がいる目線ではどう受け入れているのか?

初めは、世間の評価が描かれていなかったら、そういう意味でも説明不足だとは思ったけども、倍償さんと電話オペレーターとのやりとり、ボーリングシーンでの若者たちの態度、磯村君とおじさんのやりとり、看板にトマトのようなものが投げつけられるシーン、ニュースで年齢制限を65歳に引き下げる意見があること、などから、

少しは、高齢者に対する世間の意識やPlan75に対する考え方が見えてくる演出になっていたので、説明が足りない所は、上手く補填されていたと思います。

ただ、世間は、圧倒的に親、子、配偶者がいる世帯が多い。私みたいな孤独謳歌人間は少ない。そんな家族のいる人達が観ても強く響いてくるものがあるのかいささか疑問が残る見せ方であったのも確か。

磯村君とおじさんの関係は、20年間音信不通という設定なので、身内感は薄い。もはや他人に近いおじさん。偶然にも二人はおじさんのPlan75を契約を機に再開する。他人に近い関係だったのが、一気に近づく。

磯村君は、プランを斡旋する側、おじさんは最期を迎える側。すでにお大きな距離があった2人だが、身内がプランに関わることで磯村君自身がプランの本質(死)と向き合うことになる。

倍賞さんは、働ける元気があるなら、生活保護に頼らず働きたい人。同じ高齢者の同僚が仕事で倒れたことで職を失うことになる。仕事を探せども見つからない。社会からの疎外感を感じ、plan75に契約する。

表向きは、相談する話し相手だが、実は契約を不履行させないために導く電話オペレーターの女性とプライベートで会う。本来は情が移るからしてはいけないことである。

オペレーターの若い女性も、最後の電話の時、感情が揺れながら倍賞さんに必要事項を説明する。若い女性もまたプランの本質と向き合うことになる。

フィリピンの女性がお金のために働き出した場所が、倍賞さんとも磯村君とも関わる場所。

このフィリピン人の女性も、国は違えども、遺品を整理することでプランの本質と向き合うことになる。

ラスト、倍賞さん、磯村君、フィリピン人女性はそれぞれの決断をする。

何を決断したかは、台詞にはない。ただ映像で3人を映し出すだけ。

本当に、三者三様の台詞ない表現が秀逸でした!

特に磯村君の仕事の顔とプライベートの顔が微妙に異なっていたので、磯村君の表現力というかカメレオンぶりに、磯村君天才!と心の中で何度も叫んでました。藁

倍賞さんの、本当にまだまだ働けるのに現実社会に贖えない様や、ラストの夕陽のシーン。本当に台詞のない表現や立ち姿や振る舞いがお見事でした。

その他、登場人物皆さんの表現が本当に素晴らしかった。あえて演技とは書きません。リアルだったから。

高齢者がプランと向き合う姿は、役者さんも映像も本当にリアルに表現されていました。

最初に登場する、暗くて誰だか分からない青年もリアルに役の感情を伝えていた。

あと数年で団塊世代の方が後期高齢者(75歳)になる。彼らが65歳になった時には既に超高齢化社会に突入している。そして、第二次ベビーブーム世代もあと15年ほどで65歳に突入していく。

正直、Plan75がリアルに必要な時代が来ると思う。安楽死制度が必要になる日が来ると思う。

だが、今の日本にはそんな制度はない。

超過激高齢化社会は黙っていても訪れる。

今現在もっとも大事なのは、高齢者でも働ける雇用形態の改善だと思う。

将来、一部の金持ち以外、高齢者が年金生活ができるとは限らない。

その時のために、介護を必要としない介護予防の取り組みも今以上に強化しなくてはならない。認知症になんてなってられない。ま、認知症になった方が幸せなときもあるのも事実だが…。

これからは、高齢者でも働ける雇用の場を設ける必要もある。新しい雇用形態を見出さなくてならない。

YouTubeだっていつまで続くかわからないしね。あのガーシーだってBANされ続けてるんだから。裏で操作されているわけやん。自由であって自由じゃないことが証明された。

生きていくことは大変だけど、自殺が駄目なら頑張って生きるしかないやん!?
と思える作品でした。

パンフレットがないので、完全に私が感じたことしか書いてません。

ですが、たくさんの方に観てもらいたい作品でした!