平成27年8月28日
農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(閣法第71号)可決成立
賛成・反対の一覧(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/189/189-0828-v005.htm)
改正農協法が成立=60年ぶりの抜本改革(時事通信)
全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限縮小など、農協組織を約60年ぶりに抜本改革する改正農協法が28日、参院本会議で与党などの賛成多数で成立した。
農協改革は安倍政権が「岩盤規制」打破の一環として実現を目指してきた取り組みで、国内農業の成長力強化につなげるのが狙い。
改正法は、地域農協の自由な経済活動を促すため、経営指導などの役割を担ってきたJA全中を一般社団法人に移行させ、監査機能を分離。地域農協には、2019年9月末までにJA全中ではなく、公認会計士による監査の実施を義務付ける。
また、市町村の農地利用の認可事務などを行う農業委員会制度の見直しも盛り込み、委員の選出方法を従来の選挙と団体推薦から市町村長の任命制に変える。
約1000万人の農協組合員のうち、農業者以外の「准組合員」は、既に農業者の正組合員数を上回っている。
改正法は、法人税などの優遇措置を受けている農協による金融事業などを准組合員が利用する適否について、16年4月以降、検討していくと定めた。
大規模改革、負担増に懸念=改正農協法成立
農協組織を約60年ぶりに抜本改革する改正農協法の成立を受け、全国農業協同組合中央会(JA全中)や各地域農協は、監査業務や理事の構成などの具体的な見直しに着手する。
大規模な組織変更に伴う経費負担や人材確保など、今後は多くの課題への対処を迫られる。
法改正により「中央会制度」は廃止され、2019年9月末までにJA全中は一般社団法人に組織形態を変更する。これに伴い、JAグループの各団体から集めていた監査費用を含む「賦課金」は徴収できなくなる。会費などの形で新たに費用を集める場合、活動意義をより明確に説明するなど運営の透明性向上が求められる。
また、税制上も法人税の優遇措置はなくなり、税負担の増加が懸念される。運営面では理事の過半数を認定農業者などいわゆる「農業のプロ」とするよう求められるが、「都市部など地域によっては難しい」(農協関係者)といい、人材確保は一部で難題になりそうだ。
農業監査を担ってきた「JA全国監査機構」はJA全中から分離され、各農協は公認会計士による監査を導入する。ただ、その際の事務作業やコスト増に現場の警戒感は根強い。
一方、農家以外の「准組合員」が金融やガソリンスタンドなどの農協事業を利用する際に規制を導入するかどうかの議論は先送りされた。各農協が農林水産業の生産・販売力を本当に高めることができるのか、農協改革の目的達成は簡単ではない。
Q、農業改革の関係で、きょうの参院本会議で関連法が成立する見通しだが所見を。
A、5月14日の衆院本会議で趣旨説明、質疑から始まり、衆院の(農林水産)委員会では7回24時間、参院では6回24時間の審議をしていただいた。そして、本日の参院本会議で採決をされるということになった。今回の農協改革は、委員会でも議論になったが、農協が農業者の共同組織であるという原点に立ち返って、地域農協が正組合員である農業者、特にその中でも担い手の農業者と手を携えて、農業所得の向上に全力を挙げてもらうという目的の改革だ。自己改革が中心にならないといけないので、農業者と農協の役職員が話し合いを徹底して行ってもらって、役員体制をどうするか、どうやって農産物を有利に売っていくか、こういうことをしっかりと地域、地域でベストな方法を模索していただいて、これを実践していただくことが大事だろうと思っている。われわれとしても、JAグループ、担い手農業者の皆さん等々、連携を取りながら、農業所得の向上に向けた農協改革を着実に推進していきたい。
林芳正農水相の大臣会見(8月28日 11:43
Q、農協法の施行は4月1日を予定しているが、今後、農水省は政省令や周知徹底、啓蒙(けいもう)などいろいろあると思うが、成立後、どのような取り組みをしていくのか。いまだ現場では不安の声もあると思うが、これに対してどのように考えるか。
A、今後は、委員会の付帯決議でもいろいろと委員会の意思ということでいただいているので、そういうものもしっかりと踏まえながら、政省令等の策定をやっていく。運用ということになっていくので、しっかりと委員会で承った意見や付帯決議等々、参考人等からもいろんな意見も出ているので、しっかりと運用していかなければならないと思っている。それから、成立する前にもかなり説明会をしてきたが、今回、成立したということで、ある程度、政省令も視野に入れて、また、政省令ができあがってからいろんな説明する場を設けていかなければならない。現場の理解がないと、先ほど申し上げた改革の推進につながっていかないと思っているので、やはり、成立した暁にはしっかりと説明して理解を深めていただくようにしていかなければならない。
Q、当初、JA全中を社団法人化するとか、会計監査法人を外に出すという話に対して、何のためにやるのか分からないという声が多く、長い審議を通してもなかなか解消されていない声もある。
改めて、何のためにするのかを教えてほしい。
A、これは委員会でかなり議論になった。私をはじめ政府側からは一貫して、まずは背景が変わってきたということを申し上げてきた。農協制度がスタートした昭和29(1954)年と比べて、1万を超えていた農協の数は各県1農協も含めて、700程度になっている。それぞれ合併等、全中を中心として、しっかりと行政代行的な仕事をやっていただいたということだと思うが、そういう状況になってきたということ、JAバンク法ができて、金融の面から、しっかりと健全性を担保する仕組みができてきた。こういう状況を踏まえて、今の状況に合わせてやっていくというのが1点。それからもう一つは、新しい農政を足かけ3年進めてきたが、需要供給バリューチェーン、地域政策ということで、それぞれの施策をまとめてきた。このプレーヤーである農協、農業委員会や生産法人もそうだが、これも対応して、より地域の独自性を発揮していただきやすい仕組みにしていくということ。
こういうことを受けて、今回、仕組みを変えていくということを提案させていただいて、きょう、可決の運びになったということだ。従って、環境を整備して仕組みを変えるということなので、大事なことはこの新しい環境の中で、それぞれの地域の農協が地域の特性を最大限に発揮して、新しい仕組みを農業者の所得向上に結び付けて、そこが一番大事なことだが、そのためには農協法の改正ももちろんだが、これまで累次やってきた需要供給バリューチェーンの政策をそれぞれ駆使してもらうということが大変に大事だと思っている。その旨は委員会でもお答えしてきた。先ほど話があったように、こうして成立するということなれば、今度はそのことを現場にもさらに説明を徹底していきたいと思っている。
農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(閣法第71号)可決成立
賛成・反対の一覧(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/189/189-0828-v005.htm)
改正農協法が成立=60年ぶりの抜本改革(時事通信)
全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限縮小など、農協組織を約60年ぶりに抜本改革する改正農協法が28日、参院本会議で与党などの賛成多数で成立した。
農協改革は安倍政権が「岩盤規制」打破の一環として実現を目指してきた取り組みで、国内農業の成長力強化につなげるのが狙い。
改正法は、地域農協の自由な経済活動を促すため、経営指導などの役割を担ってきたJA全中を一般社団法人に移行させ、監査機能を分離。地域農協には、2019年9月末までにJA全中ではなく、公認会計士による監査の実施を義務付ける。
また、市町村の農地利用の認可事務などを行う農業委員会制度の見直しも盛り込み、委員の選出方法を従来の選挙と団体推薦から市町村長の任命制に変える。
約1000万人の農協組合員のうち、農業者以外の「准組合員」は、既に農業者の正組合員数を上回っている。
改正法は、法人税などの優遇措置を受けている農協による金融事業などを准組合員が利用する適否について、16年4月以降、検討していくと定めた。
大規模改革、負担増に懸念=改正農協法成立
農協組織を約60年ぶりに抜本改革する改正農協法の成立を受け、全国農業協同組合中央会(JA全中)や各地域農協は、監査業務や理事の構成などの具体的な見直しに着手する。
大規模な組織変更に伴う経費負担や人材確保など、今後は多くの課題への対処を迫られる。
法改正により「中央会制度」は廃止され、2019年9月末までにJA全中は一般社団法人に組織形態を変更する。これに伴い、JAグループの各団体から集めていた監査費用を含む「賦課金」は徴収できなくなる。会費などの形で新たに費用を集める場合、活動意義をより明確に説明するなど運営の透明性向上が求められる。
また、税制上も法人税の優遇措置はなくなり、税負担の増加が懸念される。運営面では理事の過半数を認定農業者などいわゆる「農業のプロ」とするよう求められるが、「都市部など地域によっては難しい」(農協関係者)といい、人材確保は一部で難題になりそうだ。
農業監査を担ってきた「JA全国監査機構」はJA全中から分離され、各農協は公認会計士による監査を導入する。ただ、その際の事務作業やコスト増に現場の警戒感は根強い。
一方、農家以外の「准組合員」が金融やガソリンスタンドなどの農協事業を利用する際に規制を導入するかどうかの議論は先送りされた。各農協が農林水産業の生産・販売力を本当に高めることができるのか、農協改革の目的達成は簡単ではない。
Q、農業改革の関係で、きょうの参院本会議で関連法が成立する見通しだが所見を。
A、5月14日の衆院本会議で趣旨説明、質疑から始まり、衆院の(農林水産)委員会では7回24時間、参院では6回24時間の審議をしていただいた。そして、本日の参院本会議で採決をされるということになった。今回の農協改革は、委員会でも議論になったが、農協が農業者の共同組織であるという原点に立ち返って、地域農協が正組合員である農業者、特にその中でも担い手の農業者と手を携えて、農業所得の向上に全力を挙げてもらうという目的の改革だ。自己改革が中心にならないといけないので、農業者と農協の役職員が話し合いを徹底して行ってもらって、役員体制をどうするか、どうやって農産物を有利に売っていくか、こういうことをしっかりと地域、地域でベストな方法を模索していただいて、これを実践していただくことが大事だろうと思っている。われわれとしても、JAグループ、担い手農業者の皆さん等々、連携を取りながら、農業所得の向上に向けた農協改革を着実に推進していきたい。
林芳正農水相の大臣会見(8月28日 11:43
Q、農協法の施行は4月1日を予定しているが、今後、農水省は政省令や周知徹底、啓蒙(けいもう)などいろいろあると思うが、成立後、どのような取り組みをしていくのか。いまだ現場では不安の声もあると思うが、これに対してどのように考えるか。
A、今後は、委員会の付帯決議でもいろいろと委員会の意思ということでいただいているので、そういうものもしっかりと踏まえながら、政省令等の策定をやっていく。運用ということになっていくので、しっかりと委員会で承った意見や付帯決議等々、参考人等からもいろんな意見も出ているので、しっかりと運用していかなければならないと思っている。それから、成立する前にもかなり説明会をしてきたが、今回、成立したということで、ある程度、政省令も視野に入れて、また、政省令ができあがってからいろんな説明する場を設けていかなければならない。現場の理解がないと、先ほど申し上げた改革の推進につながっていかないと思っているので、やはり、成立した暁にはしっかりと説明して理解を深めていただくようにしていかなければならない。
Q、当初、JA全中を社団法人化するとか、会計監査法人を外に出すという話に対して、何のためにやるのか分からないという声が多く、長い審議を通してもなかなか解消されていない声もある。
改めて、何のためにするのかを教えてほしい。
A、これは委員会でかなり議論になった。私をはじめ政府側からは一貫して、まずは背景が変わってきたということを申し上げてきた。農協制度がスタートした昭和29(1954)年と比べて、1万を超えていた農協の数は各県1農協も含めて、700程度になっている。それぞれ合併等、全中を中心として、しっかりと行政代行的な仕事をやっていただいたということだと思うが、そういう状況になってきたということ、JAバンク法ができて、金融の面から、しっかりと健全性を担保する仕組みができてきた。こういう状況を踏まえて、今の状況に合わせてやっていくというのが1点。それからもう一つは、新しい農政を足かけ3年進めてきたが、需要供給バリューチェーン、地域政策ということで、それぞれの施策をまとめてきた。このプレーヤーである農協、農業委員会や生産法人もそうだが、これも対応して、より地域の独自性を発揮していただきやすい仕組みにしていくということ。
こういうことを受けて、今回、仕組みを変えていくということを提案させていただいて、きょう、可決の運びになったということだ。従って、環境を整備して仕組みを変えるということなので、大事なことはこの新しい環境の中で、それぞれの地域の農協が地域の特性を最大限に発揮して、新しい仕組みを農業者の所得向上に結び付けて、そこが一番大事なことだが、そのためには農協法の改正ももちろんだが、これまで累次やってきた需要供給バリューチェーンの政策をそれぞれ駆使してもらうということが大変に大事だと思っている。その旨は委員会でもお答えしてきた。先ほど話があったように、こうして成立するということなれば、今度はそのことを現場にもさらに説明を徹底していきたいと思っている。