令和元年5月23日 iJUMP
【クローズアップ】に掲載
稲葉洋貴・福島県大玉村政策推進課主査
総務省出身、子育て機に移住「地方創生の波に」
稲葉洋貴・福島県大玉村政策推進課主査
人口約9000人ながら、40年にわたり人口が増加している福島県大玉村。
充実した福祉政策がその背景にある。
総務省出身の稲葉洋貴・政策推進課主査(いなば・ひろたか=34)は、第1子誕生を機にここに移住した。
「地方創生の波に乗りたい」と一念発起し、公共交通や定住促進といった地域課題に取り組みながら、仕事と家庭とを両立させつつ充実した日々を過ごしている。
総務省では自治財政局などに所属し、水道事業の民営化や海外展開に携わった。
福島県との関わりは、2009年から11年3月まで県の市町村財政課に出向したことがきっかけ。
在任中は豊かな自然、穏やかな県民性に魅力を感じたという。
しかし、東日本大震災の直後に異動となり、「後ろ髪引かれる思い」で総務省に戻った。
福島県で出会った女性と13年に結婚し、2年後に第1子が誕生。
当時は埼玉県内で暮らしていたが、国会対応に追われ、終電後まで残業することもあった。
「息子は待機児童になってしまい、妻は働きたくても働けなかった」。こうしたこともあって、17年4月、医療費の無料化など子育て支援が手厚い大玉村に家族で移住し、村職員として働き始めた。
この2年、村職員として稲葉主査が力を注いできた施策の一つがデマンドタクシーの整備だ。
病院や郵便局、村外の最寄り駅などを結ぶ予約制の公共交通で、高齢者らの外出を支援するため、昨年度、本格導入した。
試験期間中には、地域住民が集まるサロンで約20回説明会を開き、直接要望を聞いた。
「小さい組織なので、すぐに(施策を)修正できた。仕事の結果が目に見えるので、やりがいを感じる」と手応えを語る。
私生活にも大きな変化があった。
自宅は役場まで徒歩5分で、長時間の残業はない。
3歳の息子は4月に村立幼稚園に入り、妻も仕事に就いたため、掃除や洗濯、息子の送迎といった家事を担当している。
休日は家族と一緒に庭で野菜作りを楽しむほか、草刈りやごみ拾いといった地区の活動に参加。「仕事と家庭を両立できている」と話す。
現在、取り組んでいるのは、自らの経験を生かした定住促進だ。
都内で移住セミナーを開くとともに、住宅・子育て支援など村の魅力をまとめた冊子を新たに作成した。
「現場に出て、地域の人の声を聞くことが公務員の原点だと気付いた。東京で働く方は、もっと地方に出てもいいのではないか」。そう力を込めた。
静岡県出身。
07年総務省に入省し、自治財政局、消防庁総務課、自治大学校、地方公共団体金融機構で勤務。
福島県に出向していたときから自然豊かな大玉村に引かれ、移住前にもふるさと納税などで応援していた。
福島県大玉村(RESASデータ)
人口は増加傾向となっています。
是非、直接お会いしてお話しを聞きしたいです。
・デマンドタクシー導入の経過と導入後の利用度、村民の反応
・今後の取組みである「定住促進」の考えについて