令和4年8月30日
【トップインタビュー】谷口圭三・岡山県津山市長
拠点都市再興へ、教育体制を充実
岡山、倉敷両市に続き、県内3番目の人口規模を誇る津山市。
県北最大の拠点都市ではあるが、2020年10月に初めて人口が10万人を割り込み、人口減少が大きな課題となっている。
今年2月の市長選で新人候補との接戦を制し、再選した谷口圭三市長(たにぐち・けいぞう=58)は
「住んでいる人がまちへの帰属意識を持つことが必要だ」と強調。
「教育」を切り札の一つとし、義務教育の充実などに力を入れる考えだ。
谷口氏が初当選した18年、同市の全国学力テストの結果は県内15市中、最下位で、
教育の再生が大きな課題となっていた。
就任以降、公立中学校の情報通信技術(ICT)環境整備などに注力し、4年間で小学3~5年の全国学力テストの結果は全国平均と同じ基準にまで向上。
「就学前から小学校低学年にかけてしっかり連携を取り、マンパワーや資機材を導入してきた成果だ」と自負している。
今年4月からは、政府のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、
公立全中学校に人工知能(AI)ドリル教材「navima」を導入。
県のモデル事業として、長期欠席や不登校の生徒を対象とした、別室指導やリモート授業なども展開し「2期目は特にいじめ・不登校対策にも注力していきたい」と力を込める。
生徒一人ひとりの課題にフォーカスし、よりきめ細かな支援につなげていく考えだ。
また、行政機関として「中等高等教育機関との連携強化もしっかりやっていきたい」。
デジタル技術の導入促進に向け、慶応大学SFC研究所や東京学芸大学と連携し、ICT技術活用に向けた共同研究を進めている。
古くからの歴史遺産を生かしたシティプロモーションもさらに強化し、「まちの認知度向上」を目指す。
市内には、津山城跡や、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている城東、城西の2地区、
「線形機関車庫」をはじめとする鉄道遺産なども歴史文化遺産として継承されてきた。
「一つひとつは『横綱級』ではないかもしれない」と謙遜する一方、「新たなものを作るのは難しいが、
しっかりブラッシュアップしていきたい」と強調する。
市内を走る因美線と姫新線は、4月にJR西日本が公表した「輸送密度1000人未満」の路線に含まれ、
市としても「状況を重く受け止めている」。
7月から始まった大型観光企画「岡山デスティネーションキャンペーン」では、
鉄道利用の促進に拍車がかかることに期待しており、キャンペーンを通じ鉄道利用の機運醸成を図る。
〔横顔〕現在2期目。座右の銘は「思うことなければかなうことなし」。
〔市の自慢〕「干し肉」やホルモンの一種「ヨメナカセ」など牛肉の聖地として有名。
昨年度から、市などが出資する地域商社で牛肉料理に合う酒とスパイスの開発に着手し、今年相次いで商品化された。