
御茶ノ水駅から見える御茶ノ水橋、今のものは昭和6年建造、
78年たっているらしい。
先日夕刻、雨の降る御茶ノ水駅のホームに立って、
左手にこの橋を見ていたらとても綺麗だった。
振り返って右手の聖橋を見てみると、それほど綺麗に見えない。
橋自体は聖橋の方が美しいというのが一般的な評価だ。
御茶ノ水橋の方が実用本位に作られていて、風采のあがらない橋なのだと、
どなたかが書かれていたのだけれど、私には御茶ノ水橋の方が美しく見えた。
何故だろう?
比べてみると、人の数が違うのだった。
JRと丸の内線乗り換えのためだろうか、
青い夕暮の中、色とりどりの傘が行き交う。
全体的に青い色調でモノトーンに近い。
すっきりとした造りの橋なので、その様子が邪魔されないで見える。
橋脚がそれを支えて、暗い神田川。
ああ、この橋の美しさというのは、建造物の形だけではなく、
それを容れる人の姿があって完成するものだったのだ。
用に徹した橋の美しさだ。
写真を撮ってみると、なんだかありふれた風景で、
橋はただの橋なのだが、
あのときは一瞬、魔法がかかったのだろう。
青い絵画を観るような、幸せな一瞬だった。