先月「鞄」の歌を探していて気が付いた。
「鞄」が詠み込まれた歌は少ない。
考えてみれば、鞄というのは西洋のものだから、
少なくとも明治以前に鞄の歌がないのは当然である。
国内で鞄屋さんが出来たのが明治20年頃、
庶民の手に入るようになったのは、もっとのちのことだろう。
それまでは、今で言う鞄こそなかったが、
武士たちが鎧を入れた「鎧櫃(よろいびつ)」、
医者の「薬篭(やくろう)」、床屋の道具入れとしての「台箱(だいばこ)」、
そして庶民が旅行の時に使った柳ごおりなどがあったらしい。
そういえば、風呂敷だとか布の袋も携帯の鞄と言えるだろう。
短歌で最初に「鞄」という言葉を使ったのは誰なのだろう。
珍しいものとして詠んだのか、かなり普及してから詠んだのか。
トランク、リュックサック、ショルダーバッグ、ハンドバッグなど、
何が一番よく詠まれているのだろうか。
最近では、男性歌人に鞄の歌が多いように思った。
・異国には異国の香り良き旅を終へてしばらくカバンを干せり
大松達知『アスタリスク』
今月は「時計」の歌を探しているが、これはありそうで、ない。
最近では腕時計をしている人は少ないし、
私も携帯電話で時間を見たりする。
公共の場で時計を見ることが少なくなり、
携帯電話を忘れると時間の確認ができなくて困ることがある。
きっとそういう背景もあって、時計の存在が希薄になっているのだろう。
多分、2、30年前以前の方があるに違いない。
・四時にて止まる癖の時計はひきだしの中にていつも・いつまでも四時
齋藤史『ひたくれなゐ』
「鞄」が詠み込まれた歌は少ない。
考えてみれば、鞄というのは西洋のものだから、
少なくとも明治以前に鞄の歌がないのは当然である。
国内で鞄屋さんが出来たのが明治20年頃、
庶民の手に入るようになったのは、もっとのちのことだろう。
それまでは、今で言う鞄こそなかったが、
武士たちが鎧を入れた「鎧櫃(よろいびつ)」、
医者の「薬篭(やくろう)」、床屋の道具入れとしての「台箱(だいばこ)」、
そして庶民が旅行の時に使った柳ごおりなどがあったらしい。
そういえば、風呂敷だとか布の袋も携帯の鞄と言えるだろう。
短歌で最初に「鞄」という言葉を使ったのは誰なのだろう。
珍しいものとして詠んだのか、かなり普及してから詠んだのか。
トランク、リュックサック、ショルダーバッグ、ハンドバッグなど、
何が一番よく詠まれているのだろうか。
最近では、男性歌人に鞄の歌が多いように思った。
・異国には異国の香り良き旅を終へてしばらくカバンを干せり
大松達知『アスタリスク』
今月は「時計」の歌を探しているが、これはありそうで、ない。
最近では腕時計をしている人は少ないし、
私も携帯電話で時間を見たりする。
公共の場で時計を見ることが少なくなり、
携帯電話を忘れると時間の確認ができなくて困ることがある。
きっとそういう背景もあって、時計の存在が希薄になっているのだろう。
多分、2、30年前以前の方があるに違いない。
・四時にて止まる癖の時計はひきだしの中にていつも・いつまでも四時
齋藤史『ひたくれなゐ』