ノイバラ山荘

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速水御舟@山種美術館

2009-11-26 00:11:15 | 美術
「速水御舟―日本画への挑戦―」を観た。
このたび広尾に移転した山種美術館、新美術館開館記念特別展。
山種美術館

恵比寿駅から徒歩10分、
駒沢通りを広尾小学校、中学校方面に真っ直ぐ、分かりやすい。
千鳥が淵の傍らの以前の建物に比べると、立派な「美術館」だ。

19日、平日の午後にもかかわらず、混んでいた。
「新日曜美術館」などTVで宣伝された週は必ず混むのだが、
知らずに行って「日本画にこの人出」と驚いた。
特にエントランス、地下のショップは
余り広くないので人でごった返していた。

速水御舟(1894~1935)
大正、昭和初期に活躍。
あまり日本画は観た事がなくてほとんど何も知らないのだが、
御舟はデッサンを東京国立近代美術館で観てから、
ずっと気になっていた画家なのだ。

  


有名なのは、山種美術館所蔵の重文「炎舞」「名樹散椿」だろうが、
その琳派風と、国立近代美術館所蔵の「京の舞妓」などの
細密描写は同じ人が描いたとは思えない。



植物や昆虫などはリアルだ。
写生帖の植物がボタニカルアートのようで素晴らしい。
山種美術館の絵葉書になっていて、オンラインショップでも
購入できるようだ。おすすめ♪

今回は渡欧後のヨーロッパの風景を描いたものを初めて見た。
 オリンピアス神殿遺址。

今まであちこちでばらばらに観ていた絵が、
「あっ、これも御舟だったの」「これも」という感じで、
まとめて観るとまた違った印象。
40歳で亡くなっているので、20余年の画業、
700点余りの作品であるが、短い一生とは思えない凝集力、多彩な画風。

創造と破壊を繰り返した御舟の姿勢をよく表す言葉。

「絵画修行の道程に於て私が一番恐れることは
型が出来ると云ふことである。
何故なれば型が出来たといふことは
一種の行詰まりを意味するからである。
藝術は常により深く進展していかねばならない。
だからその中道に出来た型はどんどん破壊していかねばならない。」

「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、
再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い。」


ショップで入手した東京美術のアートビギナーズコレクション
『もっと知りたい速水御舟』が分かりやすかった。
このシリーズはゴーギャン、フェルメールのものも持っているが、
いずれも私のようなビギナーには、時代背景、作者の解説とともに
作品の変遷が整理してあって、作品理解のよい助けとなった。