ノイバラ山荘

花・猫・短歌・美術な日日

電柱

2010-02-08 20:37:00 | 短歌
午前中、窓の外に動く影があり「?」とカーテンを開くと、
向かいの電柱に人が上っているのでした。


いつもは風景の一部となって気にもとめない電柱が、
意外な近さで迫ってきます。




電線を1本増やして、ほんの10分ほどの作業でした。
その一本の先は近所の家の軒先に繋がれました。

考えてみたら、電柱の歌というのは、
1度も作ったことがありません。
道を歩くときに「邪魔だなあ」くらいにしか
思っていなかった電柱ですが、
歌の主人公にもなれるのでした。


・畑畝の列直(ちょく)として集まればそこにするどく電柱ぞたつ
 
                   岡部桂一郎『緑の墓』

・町をこえ畑をこえてゆくものは電柱に鳴る夜の木枯らし

・電柱の立ちてしずかに揺れている明るき真昼幼な子といて
                            
                            『鳴滝』 

・電柱の影はブロック塀にさし影にふれつつ枯葉散りたり

                            『一点鐘』

・しんどいなあ 雨ふるなかへ出る猫の尻っぽを垂れて仰ぐ電柱          

・電柱がひとつ立っているそれだけの像消えてゆくこころのなかに

                             『竹叢』