森・前首相の時に提唱されたE-JAPAN戦略。IT技術の向上に伴う電子政府の実現を目指したものであり、そのなかの一つに税務申告、納税の手続きを電子申告・電子納税システムに移行を目指したものがあります。通称E-TAXと名づけられ、平成15年に麹町と練馬西で試行され、平成16年に名古屋国税局管内で始まり、同年6月には全国で導入されています。
聞く所によると4000億円とも言われる予算を投入しての新システムですが、その利用状況は芳しくありません。国税庁は、E-TAXの利用目標を全体の手続きの5%、130万件としてきましたが、残念ながらその達成は程遠いものであるようです。
我々税理士のもとにも、盛んにE-TAXの利用を勧めています。もちろん税理士会も積極的に、その推進に協力しているようですが、実はそれは表向きの話。
別に反対しているのではありません。行政の向かうべき方向としては正しいと、私自身考えています。されど、私どもの事務所では依然導入に慎重な姿勢を崩していません。電子認証などは、慎重にやらねばならないのは当然にしても、そのソフト自体が、使い勝手が悪すぎる。
既にカナダやオーストラリアでは、数年前から電子申告は実用化しています。町から遠く離れた荒野に人が散らばって住んでいる国では、この電子申告のシステムはかなり有用なものだと思われます。しかし、全国の市町村にあまねく存在し、電車や車で簡単に税務署へ行ける我が国では、なにも無理に電子申告を使わねばならない理由は少ない。
せめて導入当初は電子申告控除を設けるとかしないと、今までのやり方を変える気持ちにはなれない。おまけに添付書類を郵送するのなら、わざわざ電子申告などして二度手間をする必然性がない。
もう少し利用者の利便性を考えたシステムを考えて欲しいものです。ETCもそうですが、どうして上から押し付けるような下策しか取れないのでしょうね。もっと民間の智恵を使いなされ、と言いたくなります。