薬なしでは生きていけない身体となって、既に30年以上となる。
ひどい時は、一日60錠の薬を服用していた。ここまでいくと、軽食並みの量である。ステロイド剤をはじめ、副作用の強烈な薬も飲んでいたため、身体はボロボロだ。
現在は、一日15錠程度になっているが、その半分以上が、かつて飲んでいた薬の副作用を減じるためのものだ。強い薬には、強烈な副作用が伴うことがあるのは、吾が身に染みて分かっている。
要するに、薬と毒は紙一重なのだと理解している。
その為、医薬品が市場に出回る前には、政府の担当部署が、その医薬品についての厳密な審査をするのが、先進国の通例となっている。これは、かつての薬害と呼ばれた幾多の事件、悲惨な医薬品副作用の被害者があったからこその措置である。
ただ、日本の場合は、その新たに開発された医薬品に対する審査が、国際的にみて時間がかかり過ぎる。そのため、せっかく日本で開発された医薬品ではあるが、海外、特にアメリカに持ち込んでの審査、承認を得て先行販売される始末である。
しかも、そのアメリカで承認された新・医薬品も、日本では厚生労働省の厳密な審査を当初から受けねば、日本で承認許可を得ることは出来ない。そのため、海外では既に実績のある医薬品でさえ、日本では市場に出回らないことは珍しくない。
率直に言って、日本の役所の頭の固さ、融通のなさの顕れであり、国民には有害であると思う。実際問題視はされているのだが、役所の既得権の壁は、ベルリンの壁よりも厚く、未だに改善の兆しさえない。
しかし、現実は既に役所の狭小な視野を越えてしまっている。現代の日本では、多くの人が海外に出かける。仕事に、レジャーにと当たり前のように海外へ出かける時代である。
海外で、病気に有効な治療薬の処方を受けた人は、日本でそれが入手できないと知ると、あの手この手で日本に持ち込んでしまう。それどころか、インターネットを使って、その有効な治療薬を見つけ出して、日本に個人輸入してしまうことも珍しくない。
素人には分かりにくい医療薬で、海外でしか入手できないものをリストアップして紹介しているのが、表題の書である。既に発刊から10年以上経っているので、既に日本で審査を受けて承認されたものもある。
しかし、未だ日本では審査さえ受けられぬ医薬品もある。だが、これだけ人と物、サービスの国際化が進んでいる以上、既に相当数の未承認薬が日本に入ってきている。
もはや、厚生労働省の分厚い壁は、抜け道が作られているといって良い。それなのに、未だにその規制の壁は分厚いままである。これは、既得権の事。が相当に美味しいことを意味しているのだろうが、いい加減改善されて欲しいものである。
私が一番不満なのは、誰よりも、その医薬品を欲しがっている病苦にさい悩まされる患者が置き去りにされていることだ。いい加減にして欲しいと思う。