ヌマンタの書斎

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憲法記念日に寄せて

2017-05-06 14:49:00 | 社会・政治・一般

憲法記念日になると、やたら改正論議が喧しい。

でも、真面目に考えるならば、まず認識して欲しい。戦後、いや多分戦前からだと思うが、日本人って憲法を守る気あるのか?

そもそも、明治憲法は、不平等な通商条約を改正するため、日本は近代国家でございますって、アピールする目的で導入したはずだ。その原型はプロシアの欽定憲法であり、大半を翻訳して、少し日本の実情に合わせただけの代物だ。

このプロシア憲法は、鉄血宰相ビスマルクとウィルヘルム1世との信頼関係あってのもの。案の定、息子のウィルヘルム2世とは合わず、その結果プロシアが第一次世界大戦の引き金を引いたこととも故なきことではない。

よくしたもので、明治維新の元勲たちと明治天皇との信頼関係が、このプロシア憲法と上手く整合され上手くいった。しかし、元勲たちが亡くなり、御坊ちゃまの昭和天皇の代になると、憲法の齟齬を悪用する輩が出てきた。

これを一言で云えば「統帥権問題」である。君臨すれども統治せずの理想に共感した若き日の昭和天皇の名を利用して、軍部は大陸での既得権の保持に走り、皇族と財閥は己の保身のみを考え、国民を貧困に追いやった。政府は足掻いたが、遂に憲法の齟齬を解決できずに、太平洋戦争になだれ込む。

そしてアメリカに負けた日本は、アメリカ製の憲法を受け入れる。その中味をどれだけ吟味したのか、日本社会に合致したものか、一部の政治家、官僚だけで議論し、日本国民にありがたく押し付けた。

以来、70年以上、この憲法を崇め奉ってきたのが日本である。

立派に崇めてきたくせに、まるでその内容を守ろうとしないのが、戦後の日本である。当たり前である。こんな駄文(憲法9条ね)、守っていたら日本を守れない。

元来、憲法9条は屈強な日本兵に苦労したアメリカ軍が、日本の牙を抜いておこうとの意図のもとに織り込まれた代物だ。日本に軍備をさせない、その代りにアメリカ軍が日本を守る。それが憲法9条の真実だ。

呆れたことに、この憲法9条を蔑ろにする指示を出したのは、他ならぬアメリカである。朝鮮戦争が勃発し、日本を守る戦力に不安を感じたがゆえに、日本に自分のことは自分で守れと自衛隊の創設を指示した。明白な憲法違反である。

呆れを通り越して、ふて腐れるくらいに、この憲法違反は既成事実として日本国民に受け入れられた。護憲を訴える(多くの場合、守れ9条である)輩も、不思議なくらい自衛隊の存在が憲法違反であることを主張するのを厭うた。

当たり前である。自国を自分たちの軍隊で守るのは当然すぎる正論であるからだ。つまり憲法9条がおかしい。しかし、困ったことに、日本人は聖徳太子の昔から、憲法を守る意識が欠落している。

憲法なんて、立派な額に入れて目立つところに飾っておけばいい。それが日本人の伝統的態度である。憲法は立派であれば良いのであって、その中身を守る必要はない。

現実に合わなくても問題ない。現実的対応なら得意だし、憲法に違反していようと、やるべきことはやらねばならぬ。

近代に入り、立憲民主政体をとってきた国々のなかで、日本ほど憲法を蔑ろにしてきた国はない。これが歴史的事実である。

コメント (4)
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