ヌマンタの書斎

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共謀罪に思う事

2017-05-26 12:02:00 | 社会・政治・一般

第二次世界大戦中、強力な日本陸軍の攻撃を受けた毛沢東は、人民の海に溶け込み、逃げ回る戦術を駆使してその追撃をかわした。

要は軍服を脱ぎ、平民として姿を隠し、日本軍の追撃から逃げ回っていた。それも数千キロにわたり続けたというから驚きだ。負けないために、戦わない選択をした毛沢東の戦略には敬服せざるを得ない。

これは戦争を軍人同士のものと規定してしまった近代の欠点であり、太平洋戦争後は、ゲリラ戦術を小国が採用して、米ソなどの超大国と戦うことにつながる。

そして、現代では戦場を平和な都市部に移してのテロリズムが、戦争の主流となっている。この都市部でのテロ攻撃には、強大な戦車や戦闘爆撃機は通用しない。何も知らず、平和な生活を享受している市民たちに紛れ、爆弾などにより被害を拡大させることこそ、現代テロの最大の武器である。

この現代テロに対抗するには、従来の軍隊では対応が難しい。さりとて警察では武力が足りない。なによりも、一番大切なのは、テロを起こさせないようにする事前対策が重要となる。

一見、普通の市民の姿に擬態しているテロリストを発見するには、テロという犯罪が起きる前に対策を高じることが、なにより大切となる。つまり情報である。テロリストの情報を入手し、それを活用することこそ、最大の対抗策となる。

これを見方を変えて表現すると、「普通の市民を疑え」となる。

その意味では、今、野党が散々指摘しているように、共謀罪は普通の国民を犯罪者扱いするものであり、私生活まで監視する、とんでもない悪法であるとも云える。理屈としては、そう間違っていないと思う。

だが、私としては、やはり今回の共謀罪は容認せざるを得ない。

日本の警察の捜査力はたいしたものだが、反面、被害が発生しないと動けない弱点がある。テロリストがテロを実行して被害が出てからでは遅い。テロを未然に防ぐことを考えれば、共謀罪を認めるしかない。言い方を変えれば、代替案がないがゆえに認めざるを得ないからだ。

怖い法律であることは分かる。なにせ、犯罪が起こる前に捕まえようとすることが目的だからだ。無実の市民を疑い、拘束する法律でもある。それだけに、調査過程における透明化が求められるはずだ。

やたらと左派市民や、反日自虐政治家、評論家どもが騒いでいるが、私はあまり心配していない。何故かといえば、日本の警察、検察は共に官僚組織であり、減点考課主義である。

無実の国民を捕まえて、後でその失態を人事考課でマイナス評価されるのを嫌がること請け合いである。よほど明白なテロリストでもない限り、共謀罪の適用には慎重にならざるを得ないだろう。

また、もう一つの問題もある。いくらテロ対策で共謀罪を設けても、それだけではテロは防げない。相手は破壊工作のプロとしての訓練を受けているし、拳銃どころか小銃、突撃銃はおろか携帯ミサイル程度は使いこなせる。

いざ、テロ直前になっても、日本の警察程度の武力では抑えられない。

だからこそ、事前の対応が重要になる。その肝は情報であろう。怪しい人物を通報する社会、怪しまれる人物が堂々動きづらい社会であることが重要となる。

実のところ、日本の警察、公安は外国人スパイに対しては、あまり有効な取り締まり能力を持っていない。これは諜報機関を積極的に育成してこなかった政府の失敗であり、スパイ天国と揶揄されいる始末である。

だからといって、外国のスパイが自由気ままにスパイ活動をしていたのかというと、実はそうでもない。日本社会は明文化されていない風習、習慣などがあり、また地域差も激しい。外国人は否が応でも目立ってします。欧米、西アジアなどの異人種は目立ちすぎる。

では、アジア系、とりわけシナ、コリアはどうかというと、これが意外なほど目立つ。よほど長く日本に住み、馴染んでいなければ、いくら服装などを似せても、会話や日常的な動作で分かってしまう。

均一的というか、横並び社会といった日本独特の気質が、かえってスパイ活動をやりづらくさせてしまっている。もっとも、そのせいか日本人は概ね、敵対的なスパイ活動に関して無防備、無警戒であり、一度定着した外国人スパイには天国である。

私は以前から、日本の平和を守るためには、諜報活動、対諜報活動が必要だと思っている。今回のテロ防止法の一環としての共謀罪の創設は、その一歩になるのではないかと期待もしている。

もちろん悪用されると、とんでもない悪法にもなるのが共謀罪の恐ろしさだ。マスコミは馬鹿みたいな反対をしてないで、共謀罪が適切に運用されるかを監視するような方向に持ち込むほうが、よっぽどマシだと思いますね。

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