ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

自然淘汰

2020-08-15 14:31:00 | 社会・政治・一般

生きるってことは、それだけで大変なのだと思う。

私は動物ドキュメンタリーが好き。ただペットなどの愛玩動物の番組よりも野生動物のドキュメンタリーが好きだ。TVはほとんど視ないが、「アニマル・プラネット」や「ディスカバリー・チャンネル」は機会があれば、視るように努めている。

だから生きるってことの残酷さ、切実さ、愛おしさが痛いほどに良く分かる。野生の世界は美しくもあるが、同じぐらい苛酷である。

現在、世界中を席巻する新型コロナウィルスではあるが、私はわりと達観して視ている。野生の世界はもっと過酷だと知っているからだ。

野性動物にも感染症などの病気はある。医者も病院もいない野生動物の世界では、体力のあるものだけが生き残る過酷な世界だ。当然にマスクもないし、薬用アルコール消毒なんかもない。

当然のように感染した動物は、幼い子供、年老いたものが真っ先に死ぬ。自然の脅威は老若男女関係なく、無慈悲に襲い鰍ゥる。だが不思議なことに、死亡率100%の感染症は存在しない。必ず生き残る個体が出てくる。

以前に視た動物ドキュメンタリーでは、アフリカのシマウマに非常に強力な伝染病が拡がり、多くのシマウマがサバンナに死骸を晒した。当然にハイエナやライオン、ハゲワシなどがその死体を貪り喰い、昆虫が遺骸を食いつくし、僅かに残った骨や毛さえも菌類が吸い尽くした。野性の厳しさは、死体さえ活用してしまう。

だが番組の撮影スタッフは貴重な場面を逃しはしなかった。なんと生き残ったシマウマが、病気で死んだ仲間のシマウマの死体を食べている場面を。草食のシマウマは通常、肉を食べることはしない。それなのに死骸の肉を食べていたことに撮影スタッフは驚いた。

だが、同行していた地元の黒人ガイドは別に驚くこともなく、よくあることだと淡々としていた。撮影スタッフの一人である動物学者は、あれはシマウマが死んだ遺骸から弱った病原体を摂取して、ワクチンのような効果を得ているのではないかと推測していた。

未だ科学的には解明されてはいないのだが、シマウマに限らず、野生動物には人間の知識では測れぬ叡智のようなものがあるらしい。よく知られていることだが、ライオンのような肉食動物でさえ体調が悪いと、ある種の葉っぱを食べだす。後で調べると、薬草としての効能があるらしい。

人間がワクチンを発明したのは18世紀のことだが、それよりも遥か昔から野生動物は独特の感染症対策を知っていたのだろう。

今、日本だけでなく世界中で新型コロナウィルスの封じ込めに失敗し、第二の拡散を浮黷トいる。自主的に自宅待機、経済活動自粛をして感染を防いだ日本のような国でさえ、第二の拡散に怯えている。

地球上の生物は、すべからず病気と無縁ではいられない。それは進んだ(と思っている)医学知識をもった人類も同じこと。極論なのは承知しているが、結局は一番対策を取らなかったスウェーデンのやり方が一番賢いのかもしれないと私は感じている。

当初、スウェーデンのやり方は欧米でもWTOでも批難の対象とされた。実際多くのスウェーデンの人たちが感染し、発病し、死亡している。しかし、現時点で判ずるに、一番終息が早そうな気配である。

私は日本が感染者が少ないのは、自粛と自宅待機のおかげだと思っている。しかし、死亡者が少ないのは、自宅で大人しくしていて、結果的に健やかな生活でいたことが、感染者の病状悪化を防いだのだと考えている。

当たり前の話だが、昔から人類は病気になったら大人しく寝て、適切な食事で栄養を採り、自然に備わっている治癒力で病気を治してきた。

決してワクチンが無意味だとは思わない。ワクチンは幼子や高齢者には有効であるはずだから。でも、結局のところ人間誰もが持っている自然な治癒力こそが、一番頼りになるように思えてなりません。

暴論なのは承知の上です。おそらく、体力のない小さな子供や高齢者には過酷過ぎるやり方でしょうから。でも、そもそも生きること自体、本来は過酷なものなのです。

コメント
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