霞が関の官庁が、その管轄業界に対して絶大な権限を持つ理由の一つは、補助金という名の武器を持っているからだ。
現在のガソリン価格の高騰を受けて、本来ならばこのトリガー条項が発令し、ガソリンの小売価格が25円(揮発油税)分値下がりするはずであった。しかし、東日本大震災での復興予算としてトリガー条項は停止措置を受けていた。
ならばトリガー条項の停止措置を止めれば良いのだが、政府というか霞が関の官庁が「代替財源がない」と反対し、代わりに補助金を石油元売り各社に受けさせた。
私に言わせれば、補助金を石油元売会社に出すよりも、トリガー条項を復活させて揮発油税分の値下げを実現したほうが、はるかに無駄が少ないと思う。霞が関のお役人様は、揮発油税を止めると、その事務処理に余計な経費がかかると言うが、馬鹿を言うのもいい加減にしろ。
この数年、現場しらずのお役人様の机上のプランで、国民がどれほどの負担を強いられたと思っているのだ。毎年なぜか値上がりし、しかも説明もない社会保険料の天引き額もそうだが、インボイス制度の導入による事務負担、電子帳簿保存法の強要(これは事実上失敗している)、マイナンバーカードの免許証(これも失敗)や健康保険証など、キリがないほどだ。
揮発油税の停止による事務負担など、少数の石油元売会社の負担だけで、国民全体への事務負担などないに等しい。それなのに補助金方式を求めるのは、役人様が特権を振りかざしたいからに他ならない。この特権あってこそ退職した官僚OBの再就職先斡旋が上手くいく。ただ、それだけだ。
トリガー条項の再検討を言明した岸田首相だが、この人呆れるほど霞が関に弱腰だ。国民の声なんか耳に届いていない。勉強のよくお出来になる岸田氏には、官僚の書いた作文のほうが頭に入りやすいのだろう。そして国民の声は耳を塞げばいいだけ。
この頑なな態度が自民党への支持率低下の大きな原因である。さすがに岸田氏以外の政治家たちは、支持率低下に気が付いて、岸田首相が望む年内解散を阻止した。ここでようやく自身のお尻に火が付き始めていることに気が付いたが故の「トリガー条項凍結解除の再検討」らしい。
やらないよりも、やった方がマシ。でも、いささか遅すぎる対応だと思いますね。