遂に崩壊したシリアのアサド政権。
先週、月曜日に飛び込んできたビックニュースである。既にモスクワへ亡命済みのようだが、これで中東情勢はますます混迷を深めることは間違いない。長年にわたる独裁政権が残した爪痕は、そうそう簡単に癒せるものではない。
独裁者から解放されて明るい未来を期待する向きには悪いが、残念ながら事態はますます悪化するはずだ。アサド政権と反政府ゲリラとの戦いは、同じ民族同士の醜悪な憎しみ合いを産み、これを和解させて新たな国を作るのは極めて困難だ。
正直言えば、シリアの再建は強力な政府の指導の下で強要されない限り、決して上手くいくことはないだろう。更にいえば、国外に退避していた600万余のシリア難民の受け入れも加わるのだから、国民を食わせるだけでも大仕事である。
そんな混乱の最中に、イスラエルがやってくれた。未明にダマスクスの軍事施設を攻撃して破壊に成功したとの報道が、アサド政権亡命のニュースの最後にしれっと付け加えられていた。
シリアの軍自体が統制がとれずに混乱している最中のどさくさ紛れの攻撃である。実にずる賢い。これだからイスラエルは嫌われるのだろうと分かるが、アラブの海に浮かぶ小島に過ぎないイスラエルからすれば、敵の混乱時にこそチャンスがあると考えるのが論理的必然である。
戦争は古来より戦いに勝ったものよりも生き残ったものが最終的な勝利者となる。イスラエルはその意味で賢明な行動を取ったと評しても良い。平和を守る為の先制攻撃が極めて有効であることを証した戦いでもある。
日本の絶対平和主義者たちは、この卑怯で狡猾なイスラエルの戦い方をどう評するのでしょうかね。今のところ無視しているようですがね。