ヌマンタの書斎

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法的安定性と戦争

2015-08-18 14:17:00 | 社会・政治・一般

近年、稀にみるおバカな論戦だ。

確かに失言だとは思う。責任ある地位にある政治家が口に出すべきことではない。

だが、日本国内の法的安定性と戦争は、まったく別次元の話。戦争って奴は、一人じゃできない。戦う相手国あってこそ出来るのが戦争。その国に安定した法的秩序があろうと、なかろうと戦争は起こる。

その意味で、磯崎氏の発言は正しい。ただし、政府の要職にある政治家が、間違っても法制度を否定するようなことを口に出すべきではない。その程度の常識が分からないのだから、その意味では問題発言である。ただし、公式の場での発言ではないので、罷免はもちろん辞任も必要ないと思う。

戦争って奴は、平和的な交渉では解決しないからこそ起こる。それが分からない、あるいは理解する必要性を持たず、ただ単に戦争関連法制を否定することが、平和を守ることだと勘違いしているおバカちゃんが、政治家なんぞやっているからこのような馬鹿な論議が起こる。

戦争は、法的安定性があろうとなかろうと起こる。その戦争を抑制するためにこそ、戦争関連法案は必要となる。戦いを始めるは容易く、戦いを納めることこそ戦争関連法案が必要となる。

明治憲法下の日本には、その戦争抑制機能が欠如していた。そのために大陸における軍部の独走を、当時の政府にはそれが出来なかった。第二次世界大戦における日本の行動を、真摯に反省しているのなら、有事法制の不備こそが日本を戦争へと暴走させたと理解できるはずだ。

ところが敗戦後、日本人は戦争を否定することが平和だと錯覚した。謝罪すれば、それが戦争の反省だと誤魔化した。日本が平和であるためには、戦争を否定し、軍隊を否定し、武器を否定すればいい。いや、日本人が日本を卑下すれば、二度と戦争を起こそうなんて気にはなれないはずだと、勝手に思い込んだ。

繰り返すが、戦争は相手があってこそ発生する。憲法9条があろうと、相手国には関係ない。戦後70年あまりも日本を相手にした戦争が起きなかったのは、在日米軍があったからだ。

自衛隊?あれは米軍護衛隊が本質であり、そのためにこそ作られた。本当に日本の平和を守りたいならば、あのような歪な構成にはならない。自衛隊はアメリカ軍の世界戦略を補完する目的を有している。これが分からない人に、戦争や軍事を語る資格はない。

物事の本質から大きく外れた論議。それが今回の法的安定性を巡る議論である。それ以上でも、それ以下でもない愚論。時間の無駄であり、税金の無駄でもある。まァ、そんな馬鹿げた議論をしていられるほど安定して平和な国でもある証左でもある。

ちっとも嬉しくないですけどね。


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3 コメント

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Unknown (くまを)
2015-08-19 19:43:57
その通りですね
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Unknown (くまを)
2015-08-19 19:45:16
日本が平和であって欲しいと心から願います。
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Unknown (ヌマンタ)
2015-08-20 12:10:34
くまをさん、こんにちは。日本が平和であるからこそ、仕事に遊びに、のんびり勤しめる訳で、その平和を守るために、政治は言葉遊びではなく実効性のある政策を実施してもらいたいです。
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