ヌマンタの書斎

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外国人が選んだ日本百景 ステファン・シャウエッカー

2022-08-19 12:10:38 | 

見慣れた風景が観光名所になるとは思わなかった。

私はわりと渋谷の街に縁がある。かなり幼い頃から、母や祖母に連れられて買い物に来たり、映画館へ行ったりと思い出は多い。まだPARKOもなく、109もなかった時代であり、結構雑多な街であったと記憶している。

やがて一人で、あるいはクラスメイトと三茶から歩いて行くようになる。当時はまだ地下鉄はなく、バスがあるだけ。そのバス代が惜しくて、歩いて一時間半程度で着いた。

その頃の目的はプラモデル屋であったため、目的を果たせばさっさと帰宅した。ガキがうろついていると、大き目のガキにカツアゲされる危険性があることを知っていたからだ。

そのうち自転車で行くようになる。正確には渋谷を通り過ぎて、原宿の予備校(高校生クラス)へ通うようになると、面倒になってくるのがあのスクランブル交差点である。なにせ縦横斜めに人が一斉に横断報道を渡るのである。歩いている時は、ほとんど気にしなかったが、自転車だと辛い。

だから、車と同じ速度で、車と一緒に一気に駆け抜けるほうが楽な交差点である。ただ、たまに警官の奴が笛を鳴らして呼び止めるのが面倒だ。まァ私はすぐに裏通りに入って奴らを撒いてやったものだ。

考えてみれば、妙な交差点であったと思う。その異常さに最初に気が付いたのは、外国人の旅行者であったらしい。

私は毎日、井の頭線の渋谷駅と銀座線の渋谷駅を繋ぐ広い通路を使って通勤している。気が付くと、北側の窓に張り付くようにして下を見ている外国人がいることに気が付いた。どうやらスクランブル交差点を行き交う人々を見ているらしい。

なにが面白いのだろうと思ったが、よくよく考えると、このような縦横斜めに人が一斉にわたる交差点は、世界的にも稀らしい。しかも、人々がぶつかることなく交差する。別に訓練された訳でもなく、自然な状態であのような本来無秩序な交差点を、秩序だって渡り切る日本人の姿に驚嘆するらしい。

気が付いたら、世界的な観光名所と化していた。毎日、そこを通り過ぎる私からしてもビックリである。ちなみに私は40年以上、あの光景をみてきたが、まさかあれが観光の対象となるとは思わなかった。

表題の書は、日本に定住するスイス人である著者が、来日した外国人観光客向けに情報提供サイトを立ち上げ、そこで集計した人気の観光地を紹介した書である。私が知っている箇所もあれば、まったく知らなかった箇所もある。

日本人と来日観光客では、かくも視点が違うのかと感心した。ある意味、日本再発見である。興味がありましたら、是非ご一読のほどを。


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