ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

亜人ちゃんは語りたい ペトス

2018-05-15 11:37:00 | 

先日のことだが、東京近郊の某地方都市へ仕事で赴いた。

目的は不動産評価である。一応、googleマップで画像も確認してあるが、自分で見て、計測したいところがあったので、直接行ってみることにした。

事前に住宅地図や地積図、公図は入手したおいたのだが、これが古いというか、実際とはズレがあるようだ。不審に思う方もあろうかと思うが、実はけっこうある。日本では土地は絶対的な財産であるがゆえに、土地の境界に絡むトラブルは多い。おそらく、そのせいだろう。

現場に行ってみると、予想通りというか、境界争いが今も現在進行形なようだ。私はそこには触れないように、あくまで税務署が納得すれば良いとの立場で、ちゃっちゃと仕事を終わらせる。余計なトラブルに、ひっかかるのは御免である。

ところでお腹が空いたので、少し前から気になっていた食堂に入ってみる。ちなみに、ヴェトナム料理の店であった。私見だが、東南アジアの個性豊かな料理のなかでも、ヴェトナムは別格だと思っている。

古くから中華料理の影響が強いが、やはりフランスの植民地であったせいか、料理の洗練度では東南アジア随一だと思うことがある。近年はタイ料理の躍進に押されている気もするが、それでも美味しいことには変わりない。

実は私が気になっていたのは、美味しそうなパンの匂いであった。近くの時間貸しの駐車場に車を停めた時にその匂いに気が付いて、ずっと気になっていた。やはり予想通り、ヴェトナム料理店から匂うところからして、フランスパンに似たバゲットであった。

丁度昼時であったので、それに合わせてパンを焼いていたのだと思う。ちなみに店員さんは全てヴェトナムの方ではあるが、全員が日本語ペラペラであった。私はそこで美味しいフォーとバゲットに肉と野菜を挟み込んだサンドイッチを頂いた。

食後にヴェトナム珈琲を飲みながら、少し話を聞くと、かつてのボートピープルであった。

若い人は知らないかもしれないが、ヴェトナム戦争の結果北ヴェトナムの勝利により統一された後、迫害を受けて小さな船で南シナ海に乗り出した南ヴェトナム人が数万人にのぼった。

日本は原則移民禁止の国だが、国際的な要望というか批難に押されて、数千人のボートピープルを受け入れている。そのヴェトナム人たちが集まっているとされるのが、今回私が仕事に赴いた地方都市の一角である。

別に国が指定したわけではなく、自然発生的にこの町に集まったらしい。以前読んだ記事によると、空室が増えた団地に少しずつ引っ越してきて、気が付いたら増えていたらしい。

増えた理由の一つは、この町が人口減少が著しく、それゆえにヴェトナム人たちを自治会や学校が積極的に歓迎したことがある。これは、群馬県の大泉町、静岡県の磐田市などもそうなのだが、外国人が増加してきたとき、彼らを孤立させず、地域のコミュニティに積極的に受け入れたことが、結果的に町を活性化させ、過疎化の食い止めにつながっている。

実際、私がたまたま入ったそのヴェトナム料理店では、店員こそ全員ヴェトナム人なのだが、お客さんは全員が日本人であり、常連客が大半であった。当然のように日本語で注文を受け、雑談も日本語であった。

大変に和やかな店で、地域の人気店であるようだ。でも、私は知っている。ここまで来るまでに、相当な軋轢があったであろうことを。当然である。高齢化が進む一方で、子供が減り、寂れていく一方の地方の町に、外国人が急激に増えれば、当たり前のようにトラブルが増える。

私が毎月訪問している群馬県もそうだが、話せば分るというのは日本人限定であり、生活習慣も違う上に、言葉も通じない外国人相手では、いくら話し合っても、双方が納得のいく解答は得られないことは少なくない。

私の知る限りでも外国人の増加に、未だ納得が出来ない地域社会は少なくない。それでも、日本人の人口は減る一方であり、高齢化して働き手とは成りえない老人の増加と、恵まれた一人っ子として熱心に働かない若者の増加は、地域社会を荒廃させる。

だからこそ、ある程度(日本語の会話ができることが最低条件)日本社会に馴染んでいる外国人との共存は、今後の日本の避けられぬ共通課題なのだと思う。

そんな日本社会だからこそ、出てきたのが表題の漫画ではないかと思っている。

この作品における亜人とは、吸血鬼や雪女、デュラハンやサキュバスといった妖怪たちを指す。亜人(デミ・ヒューマン)たちは、社会的少数派であるばかりでなく、社会的弱者でもあるため、国家の保護下にある。

そんな亜人の子供たちも通う学校を舞台としている漫画である。興味本位でその学校に赴任してきた若手教師と、亜人の生徒たちとの交流が話の中心なのだが、コメディ漫画と割り切っているせいか、深刻に悩むようなものとはなっていない。それでもあれこれと、考えさせられるのは、多数派の日本人として、少数の在留外国人たちと接する機会が増えてきたからだと思う。

もし目にする機会がありましたら、気軽にご一読のほどをどうぞ。


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