ヌマンタの書斎

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必要経費と給与所得控除額

2024-03-08 09:16:55 | 経済・金融・税制

毎年のことだが、3月15日までは確定申告で忙しい。

私は子供の頃から忙しくなるとサボりたくなり、試験が近づくと掃除をしたくなる難儀な性格をしている。まぁ、一言で云えば逃避である。

今回も余計な戯言をたれ流そうと思う。

法律では用語の定義が重要である。それは税法も同じこと。似て非なるものの代表が必要経費と控除である。

収入から必要経費を引いて所得を計算する。この所得が課税の基本となる。この場合の必要経費とは、収入を得るために必要な支出であるからして、収入と関係ないものは必要経費とされない。この必要経費とされない部分を家事費と称する。

もっとも商売においては、収入を得るために直接必要な支出と、間接的に必要な支出がある。前者は問題なく必要経費だが、後者の範囲はあいまいだ。例を挙げれば店舗に併設された事務所兼自宅の電気代などだ。売り上げに直接関係はないが、間接的には必要な支出である。この場合、面積按分などして、ある程度合理的な整合性を持たせて必要経費に算入させる。

また商売には波があるため、年によっては赤字すなわち収入よりも必要経費の支出のほうが多い場合もある。なお青色申告をしていればこの赤字は三年間繰り越せる。白色の場合は災害等特殊な場合を除けばその年で打ち切りとなる。時折青色申告は無駄で白色申告のほうが有利なんて意見もあるが、私は白色申告はお勧めしない。

ところで、この収入から必要経費を引く計算方法は、給与所得には使えない。給与の場合、収入から給与所得控除額を引いて所得を計算する。この控除額は税務署が定めた金額で、簡単に言えば「このくらいの給与収入ならば、この程度の必要経費で大丈夫だよな」といった上から目線で決められた数字である。必要経費相当額だとも解されるが、正直これを役所が決めるのは如何なものかとの違和感は禁じ得ない。多分、欧米諸国ならば国会で決められるように思うが、これは日本伝統の「お代官様に任せれば間違いない」との思い込みではないかと思う。

この控除額は、昭和の敗戦後に決められたものを数十年毎に手直ししているが、何故だか日本ではその中身が真剣に審議されることはない。これを大人しく受け入れる日本人って、やはり国民主権を理解していないのだと私は考えている。

ただ悪い面ばかりではない。この控除額は別名領収証の必要がない必要経費といった側面がある。要は吝嗇な生活をしようと贅沢な暮らしをしようと、収入が同じならば、一定額の控除額が定まっている。その代わり、絶対に赤字にはならない。奇妙な飴と鞭である。

私は日本における民主主義が、官僚統治に服従している原因の一つが「源泉徴収制度」であり、もう一つが「給与所得控除額」だと考えています。お役所に生活に必要な経費を決められているってどうなのでしょうね。

まぁ税務行政の一環であるはずの税金の計算を年末調整といった形で、雇用者に委ねる面も含めて、そろそろ真剣に考えたほうが良いのではないかと思いますよ。


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