通勤電車のなかでの読書が一番多い。
幸いにして、始発駅を使うので座って通勤できる。だからこそ、本をゆったりと読みながらの通勤といった、幸せを享受できる。座りながらでなければ、表題の本はとても読みきれなかった。
なにせ、重いし、分厚い。持ち歩くのでさえ、けっこう苦痛だ。もし良かったら、本屋の書棚に並ぶ表題の本を手にとってください。その分厚さと重さにめげますぞ。
まったくもって困った作家だ。さりとて、文庫化されて、上中下に分冊されたものをみると、物足りなさが否定できない。なんか、妙な癖を付けられた気がする。
いや、癖どころではない。私は京極夏彦が用意した檻に閉じ込められた気分だ。「鉄鼠の檻」とは良くぞ名づけたものだ。おそらく初読で、このレンガブロックの如く分厚く重い本に手を出す人はいるまい。
この本を読んだ人は、皆以前から京極夏彦の用意した檻に、自ら飛び込んだに違いない。まったくもって、困った作家である。
以前から思っていたが、京極氏は人が自ら作り出す心の陥穽に対して関心が深いようだ。常識では解明しきれぬ、心の問題の解決策として、古来より人間の叡智は妖怪を用意してきた。科学と言う輝かしき知識体系に囚われた現代人は、得てして妖怪のありがたみを忘れている。
妖怪の生みの親は人間なのだ。人間の心の闇こそが、妖怪を必要としてきた。その心の闇を解きほぐす仕組みとしての宗教であり、陰陽師でもある。
嗚呼、困った。多分、私の脳裏にも鉄鼠は檻を作って棲みついているはずだ。ただ、それに気がつかずに生きているだけなのだろう。さりとて檻があることを自覚して生きるのは、案外辛くも無く、ただ安住する安易さが気になる。妙なことを自覚させてくれるものだよ、京極堂は。
幸いにして、始発駅を使うので座って通勤できる。だからこそ、本をゆったりと読みながらの通勤といった、幸せを享受できる。座りながらでなければ、表題の本はとても読みきれなかった。
なにせ、重いし、分厚い。持ち歩くのでさえ、けっこう苦痛だ。もし良かったら、本屋の書棚に並ぶ表題の本を手にとってください。その分厚さと重さにめげますぞ。
まったくもって困った作家だ。さりとて、文庫化されて、上中下に分冊されたものをみると、物足りなさが否定できない。なんか、妙な癖を付けられた気がする。
いや、癖どころではない。私は京極夏彦が用意した檻に閉じ込められた気分だ。「鉄鼠の檻」とは良くぞ名づけたものだ。おそらく初読で、このレンガブロックの如く分厚く重い本に手を出す人はいるまい。
この本を読んだ人は、皆以前から京極夏彦の用意した檻に、自ら飛び込んだに違いない。まったくもって、困った作家である。
以前から思っていたが、京極氏は人が自ら作り出す心の陥穽に対して関心が深いようだ。常識では解明しきれぬ、心の問題の解決策として、古来より人間の叡智は妖怪を用意してきた。科学と言う輝かしき知識体系に囚われた現代人は、得てして妖怪のありがたみを忘れている。
妖怪の生みの親は人間なのだ。人間の心の闇こそが、妖怪を必要としてきた。その心の闇を解きほぐす仕組みとしての宗教であり、陰陽師でもある。
嗚呼、困った。多分、私の脳裏にも鉄鼠は檻を作って棲みついているはずだ。ただ、それに気がつかずに生きているだけなのだろう。さりとて檻があることを自覚して生きるのは、案外辛くも無く、ただ安住する安易さが気になる。妙なことを自覚させてくれるものだよ、京極堂は。