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ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

月刊プレイボーイ誌の休刊

2008-12-15 12:19:04 | 社会・政治・一般
またしても雑誌の休刊だ。

ヒュー・ヘフナーの道楽から生まれたプレイボーイ誌の日本版である月刊プレイボーイ誌が休刊となった。ありきたりのスケベな雑誌と異なり、この雑誌は特集記事が実に良かった。

思い出しても、ジャズ特集、グルメ特集などは質の高い記事で埋まっていた。開高健の「オーパ!」もこの雑誌の企画であり、綺麗なグラビアと共にその釣紀行を読みふけったものだった。アマゾンの魚たちの、なんとカラフルなことよ!

プレイボーイ誌を読んだことがない方は、多分金髪のオネエチャンのヌード写真を想起して「まあ、いやらしい」とでも思われるのであろうが、実のところ造形美として綺麗でも色気と情緒のないヌード写真は、いやらしさからは程遠い。綺麗に過ぎると、かえって情欲を催さないものだと知ったものだ。

さりとて、ヌード・グラビアの頁(実際、10P足らず)がないとプレイボーイじゃないと憤慨すると思う。それでも、この雑誌の最大の魅力は、その特集記事の質の高さにあった。

私が毎年楽しみにしていたのは、ミステリーの特集記事であった。ここで取り上げられた名作は、実際に読んでみても当たり!が多く、新聞の書評欄よりよっぽど当てになった。

雑誌の休刊は致し方ないが、このミステリー特集だけは、どっかの雑誌で引き受けて欲しいものだ。
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「沖縄を撃つ!」 花村萬月

2008-12-12 17:31:55 | 
王様の耳はロバの耳。

分っていても言えない事って、けっこうあると思う。やもすると、ロバの耳に気がついていないこともある。無意識での差別や逆差別って、自覚がないだけに怖いと思う。

表題の本を読み、たしかに気がついた。沖縄って、過剰に美化され、また沖縄の人もその美化に便乗してないか?

「癒しの島」?他に産業がないからサービス業が発達したのではないか。物価が安い、そりゃ平均賃金が日本一安い以上当然の結果だろう。唯一地上戦で被災した島なのは事実だが、だからと言って過剰に美化するのは、かえっておかしくないか。

著者である花村氏は、何度となく沖縄を訪れ滞在した沖縄フリークでもある。回数を重ねるがゆえに、美化されすぎの現実に気がつき、それを見て見ぬふりをする文化人たちを弾劾する。

大学の卒業旅行の時と、4年前の観光旅行の2回しか沖縄を訪れたことがない私には、とても花村氏ほどの厳しくも優しい眼差しは持ち得ない。

レンタカーで走り回ったにも関らず、雨になると異常に滑りやすい特殊な舗装には気がつかなかった。風俗街のすぐ傍のホテルに泊まったにも関らず、通り過ぎただけなので、その寂れた実態にまるで気がつかなかった。

ただ、日本で唯一アメリカ軍の地上攻撃を受けた沖縄が、左派文化人たちに妙に持ち上げられていることには漠然と感じてはいた。たしかに厭らしい。

美化しすぎることなく、素直で対等な目線であることは、案外難しいのかもしれない。次に沖縄に行った時は、もう少し眼を見開いて、生の沖縄を見てみよう。

それにしても行ってみたや、珍珍洞。知らなかった・・・
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名波浩の引退

2008-12-11 12:40:40 | スポーツ
日本が初めてワールド・カップへと出場を決めたフランス大会の中心選手であった、ジュピロ磐田の名波浩が引退を公表した。

天才肌の選手だったと思う。裏番長のあだ名通り、チームを陰で牽引する選手でもあった。左利きの名手で、そのアウトサイド・キックは魔法のスティック。なぜ、あの蹴り方で、あのボールになるのか不思議で仕方なかった。スローで再生しても分らない。

素人にも分りやすい中田英や俊輔、小野らとは異なり、サッカーに詳しい人の評価が高かった選手でもあった。なにより同じピッチに立ったサッカー選手からの評価が高かった玄人好みの選手だったと思う。

強烈なプライドの持ち主で、トルシェエに反発して代表を干された。しかし、レバノンでのアジア杯で実力を見せつけ、大会MVPはお前だとトルシェエに言わしめた反骨の持ち主。

ジュピロ磐田では、ピッチ上の鬼軍曹ドゥンガが怒鳴りまくっていて、他の選手は萎縮するなか平然とソッポ向いた姿が忘れ難い。ロマーリオやベッペットが頭を抱えるドゥンガの怒鳴りさえ無視するプライドの高さに呆れたものだ。

そのプライドは抜群のテクニックと戦術眼に裏づけされたもので、ジュピロでも日本代表でも、常にチームの中核を担った。ただ、前面に出るよりも、裏から仕切ることを好む性向が、イタリアでは通じなかたがゆえに、海外では成功できなかった。

私が忘れ難いのは、ジョホールバルでのイラン戦後歓喜を爆発させる姿と、フランス大会の直後、ブラジルとの親善試合での呆然とした姿だった。

ワールドカップ初出場を決めて、日頃クールな名波が喜びを全身で表わした姿には驚かされた。しかし、日本チームの弱点、すなわち追い詰められると名波にボールを預ける癖を知っていたブラジルに、徹底的にマークされて5失点の起点とされて、プライドをボロボロにされた姿がなにより忘れ難い。

世界と戦い、世界との差を誰よりも痛感させられた選手、それが名波だと思う。多分、いやきっと彼は指導者として復活すると思う。彼が育てた選手が、やがて世界の第一線に飛び出す日が必ず来ると、私は信じています。
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「ナイト・ボート」 ロバート・マキャモン

2008-12-10 12:33:54 | 
ゾンビが嫌いだ。

なんたって潔くない。死んだのなら死んだで、大人しくしてろ。死んだくせに、甦って生きている人を襲い、人間を食べるだなんて、人様の風上にもおけない。

なかでも嫌なのは、生きている時の怨念を抱いて人間に襲い掛ってくるゾンビだ。死んだのだから、諦めろと言いたくなる。まったくもって、未練がましい連中だ。

ただ、まあ、操られているのなら仕方ない。カリブ海のハイチに伝わるブードゥー教は死者を操ると言われる。ホラー映画では定番の一つだ。

ところが、ホラー小説では案外とブードゥーものは良作が少ない。あるにはあるが、正直駄作が多いと思う。そのなかでも数少ない逸品が表題の作品だ。

カリブ海の海底に横たわる沈没したUボードが甦り、ゾンビを載せてやってくる。陳腐な設定だとは思うが、そこはあのマキャモンだ。ストーリー展開といい、最後のどんでん返しといい、十分読者を楽しませる。

もっともマキャモン自身は、この作品を駄作だと言い切る。たしかにマキャモン独特の疾走感はゆるい。長編が多いマキャモンからすると、短すぎて力量が十分発揮されなかったのだとも思う。

それでも、私としてはゾンビものとしては、十分良作に値すると思う。不気味な太鼓の響きとともに、海底から浮かび上がるボロボロの潜水艦。その潜水艦から現われ、朽ち果てたナチスの制服を着た生ける死体たちが、静かに南国の楽園生活を楽しむ人々を恐怖のドン底に落とし込む。

できるなら、海辺で読んで欲しい一作です。この冬休みに南国リゾートへ行く予定がありましたら、旅行鞄のなかに是非どうぞ。
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吹けよ嵐、吼えろ!ラスカル

2008-12-09 17:14:24 | 社会・政治・一般
アライグマは、たしかに見た目が可愛い。

とりわけ子供のアライグマは、生きているヌイグルミのように可愛らしい。猫のような鳴き声で甘えられれば、ついつい目尻も下がろうってもんだ。

3年ほど前に、井の頭公園を散策していたら、首輪につながれて散歩させられているアライグマを見かけたことがある。人々の注目を集めて誇らしげな飼い主だが、そのうち後悔すると思う。

幼児期には可愛いアライグマだが、成長するにつれ野生の本能が甦る。なんでも食べる雑食性だが、やはり肉食を好む。野性のアライグマは、可愛いどころか、貪欲なハンターでさえある。

生後1~2年なら、檻に入れて飼うことは可能だが、大人になったアライグマは素人の手に負える生き物ではない。無責任なことに、多くの飼い主はここでアライグマを手放す。しかも、勝手に野山に解き放つ。

なんでも食べる雑食性なうえに、闘争能力、繁殖能力も高いアライグマが日本で繁栄するのも、当然といえば当然だ。もっとも多くのアライグマは山奥へは行かずに、人里近くに住みたがる。人間が餌を持っていることを知っているからだ。

現在、日本土着のタヌキと生存領域が重複するがゆえに、双方相譲らぬ戦いになっているらしい。小柄なタヌキよりも一回り以上大きく育つアライグマが優勢なもようだが、原住民たるタヌキもしぶとい。

この戦いの行方は、現時点では先が読めないが、人家が戦場になることもあるようで、里山などに近い緑豊かな住宅街の人たちが迷惑を被っているらしい。

遠く北米大陸から連れてこられ、捨てられたアライグマだって生きる権利はある。ただ、日本古来の生態系を歪める結果となるのも間違いない。適応力の高い生き物だけに、おそらくは日本に定着してしまうと思う。

人間の身勝手さが、いかに自然を歪めてきたかの、生ける証拠でもある。アライグマを憎む気持ちはないが、日本古来のタヌキ頑張れの気持ちは確かにある。

そして、一番頭にくるのは、無責任な飼い主どもだ。この自然破壊者を罰する法律を強化すべきだ。
コメント (4)
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