科学作家・竹内薫の科学に関する該博な知識には、教えられることが多い。今日、某週刊誌に毎週掲載されている氏のコラムでは、「自然もモラルも荒れたキャンプ場」というタイトルで、東丹沢での愉快ではない体験を書いている。
蛭の大量発生と若者たちの野放図な振る舞いを取り上げ、最初に前者を説明する理由として、科学作家は生態系の変化を挙げる。
その氏の説明によれば、蛭の大量発生と鹿には驚くべき関係があるのだ。まず鹿の増大の原因には、オオカミがいなくなったことを挙げ、次に、温暖化のために越冬できる鹿の頭数が増えたことを指摘する。その一方、森の荒廃が進み餌が不足してくると、頭数の増えた鹿は人間の生活圏にも進出せざるを得なくなってきた。ナントその鹿の蹄に寄生していたのが蛭なのだ。それがくっついたまま運ばれてきて、大量発生に繋がったというのだ。へー。
「しっかりしろよ、誇り高い和牛だぞ」「ガンバリマス」
鹿もキャンプ場も牧場管理人には大いに関係がある。氏の不快な体験には同情を禁じ得ないが、いつの世にもこういうモラルを欠いた若者はいる。当キャンプ場は、そういう輩は即消えてもらうことにしている。
鹿の増えた原因に関しては、氏の説明の他に、林野行政も関係していると思う。戦後林業の振興が計られ原生林が一時期広範囲にわたり切り払われた。その後入笠山周辺は成長の早い落葉松が植林されたのだが、それでも木がある程度育つまでは、かつては陽の射さなかった森の跡地に草が茂り、鹿の繁殖や生育を助けたということがある。
よくマスコミは鹿の増えたのはハンターの高齢化や、竹内氏と同じようにオオカミの絶滅を理由にするが、実はわれわれ人間も少なからずその責を負う立場にある、ということを知るべきだ。
いまや外材の方が安価なため、先人があれほど努力して植林した広大な人工林や山野は、皮肉なことに鹿や蛭を大量増殖させただけでなく、その将来についても楽観視することはできない。
山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては7月9,13日のブログをご覧ください。N君、こんなもんで、ご協力に感謝!Oさん、再訪されることを楽しみに。FUJIさん、また。名古屋さん、五領丸さん多謝。