
富士見パノラマのゴンドラの運行も明日、13日までのようで、それから冬期営業に備えての点検整備のため休業すると聞いている。マナスル山荘本館も冬季営業の準備を始めるだろうし、同じマナスルを名乗る天文館の方は今年の営業は今週までとか。どうやら入笠山全体が冬へ向かって、その準備を始めたようだ。
来週の土曜日、19日にはいよいよ牧を閉じることになる。しかしそれまでに、今やっている追い上げ坂の牧柵移動は終わりそうもない。
肝心の牧柵を設置する場所について大分試行錯誤が続き、迷いを吹っ切れたのはつい何日か前のことだった。そうした日々にも、もうやらないつもりだった草刈りに専念していたが、多分、その作業もきょうには終わらせる。
そうしたらいよいよ支柱の打ち込みになるが、残された日では足りず、有刺鉄線を張るのを含め大半は翌年に持ち越すことになるだろう。あそこは鹿の通り道になっていて、いくら有刺鉄線を張ってもどうせ冬の間に切られてしまう。最初から、その作業は翌年回しにするつもりでいた。
牧を閉じ、里に帰る気分はどんなかと問われれば、幾日かの山行を終えて都会へ帰る時と同じようだと応える。山でなくても、旅でも構わない。
里の暮らしは単調で、刺激のない徒食、空白の日々と言ってよい。今冬もまた炬燵の虜囚となって、目的もなく単に5か月という時間を過ごすことになるだろう。
今や里は知らない土地と変わらず、他所者のように下を向いて肩を落として歩く(クク、半分冗談)。村中で人と出会っても挨拶、言葉を交わすことは滅多にしかない。特に他所から嫁いできた若い人が、横目でこっちを窺いつつ通り過ぎていけば、まるで自分の領分を他人に乗っ取られたような気分になる。
もちろん、貞心尼などはいない。
本日はこの辺で、明日は沈黙します。