入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「冬」(7)

2022年11月10日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 日が射せば陽気は秋に戻り、翳れば初冬へと、今は季節が行ったり来たりを繰り返す。また一日のうちでも寒暖の差が激しくなり、日が落ちるのを待つまでもなく、午後の3時ごろから気温は下がり出す。
 遠くの山は槍も穂高も、それらのさらに北方になる峰々に倣って冠雪するようになり、今ではその姿を当然のように眺めている。そのうち中アも似たように雪が稜線を覆い、そうこうするうちにはここにも雪が舞うようになるだろう。

 たった一年前のこのころ何をしていたかを思い出すことができない。ところが、手許に偶々ある2020年の作業日誌の助けを借りれば一昨年のことなら思い出せる。
 第2牧区の放牧地、そこには実生がら生えた落葉松が育ち、放っておけば牛を出すことができなくなりそうだった。そこで意を決して、チェーンソーで片っ端からそれっらを切っていくことにした。と、こう呟けば作業は順調だったように聞こえるが、実際は急な斜面での仕事の上、チェーンソーの歯がカヤなどの雑草に触れ、よく外れ苦労した。
 この秋、草を刈りながらその残骸の多さに驚き、片付けに手を焼きながらよくこんなことをしたものだと呆れた。高速回転している刈払機の歯が、草に隠れたその時の切り株に跳ね返されたりして、その度に冷や汗をかいた。

 そういえば、あの年は牛が2頭残留してそれにも手が掛かった。下牧が10月の6日だったというのに、残留した2頭が下ったのは11月2日だった。手懐けるまでに苦労し、一度は急遽作った檻に誘導できたと思ったら、それを破って逃げてしまうということもあった。

 鹿の捕獲が記録に残っていて、9日に12頭、17日にも6頭とある。このくらいの頻度で鹿を捕えることができれば有害動物駆除の名目も立つが、今年は駄目だ。やはり、逃げた鹿のせいだとすれば、罠を開放したまま一冬越すまでは無理だろう。

 昨年の今ごろのことを一つ思い出した。映画の撮影があって、あの撮影では役者に薪割の指導をしたり、撮影に使う鹿を捕獲したりとそれなりに忙しかった。そればかりか、管理棟もその舞台になった。
 撮影関係者はプロデューサーや監督を始め皆気持ちのいい人たちで、その映画がようやく公開され、その広告写真が先週買った週刊誌にも載っていた。
 普段は撮影の詳しいことには触れないと決めているが、今回は例外、題名は「森のレストラン」。

 昨日、露天風呂の冬支度をした。来週からまた一段と寒くなるとか、水道もそろそろ限界だろう。今年の契約はきょうを入れても残り10日、山の暮らしもそろそろ終わりとなる。
 キャンプ場、小屋の営業案内もきょうまでとし、ご利用くださった皆さんには厚く御礼申し上げます。
 本日はこの辺で。


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