入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’24年「秋」(50)

2024年10月03日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     この古道、法華道を歩いてみたくはないか
 
 昨日も、雨が降り出す前の少しの時間「法華道」へ行って草刈りをしていた。あそこにいると、いつものことながら延喜式に記されているというもう一つの古道「石堂越え」のことが気になってくる。
 こちらの方は法華道よりかもっと古く、5世紀に入って日本に馬が入ってきて以降、信濃国(長野県)がその最大の生産地となっていったころに、甲斐(山梨県)にも同様の牧があって、都へと馬が送られる際にはこの古道、石堂越えを通ったと伝え聞いている。
 
 以前は、大阿原から富士見へ下る少し先、右手に「石堂越え」の標識があったが、今は取り除かれて通行止めになっている。このあたりの事情は富士見に聞いてみなければ分からないが、どうがもこの古道がテイ沢のどこかを通り、小黒川の川床を進み、半対峠を超えて・・・、遠く奈良や京の都まで通じていたらしい。
 あくまでも口碑の類に過ぎなく、もう少し詳しく知りたいと思いながらも、歴史の迷路は深く果てしなくて遂げずにいる。

 そういえばきょう、伊那のケーブルテレビがテイ沢の取材に来ることになっていたが、天気が良くないということで中止になった。
 もし予定通り来たら、先日触れた「開道記念碑」のことも話そうと思っていた。この碑については、この独り言を聞いてくれたある親切な人が不明な個所も書き添えて全文を送ってくれた。そして、正確な文章が知りたいともあった。
 
 いくつかの個所は判読できた。それでも意味不明な個所も残った。正確を期すため、もしかしたらと、高遠支所の知人のT君に尋ねたら調べてくれ、支所にあった原文を翌日には送ってくれた。実に素早く有難く、今それがPCの中にある。
 碑の方は西暦(1963年)で、原文の方は和暦(昭和38年)といったように、他にも若干相違するところもあった。
 資金的な問題だろう、碑は石ではなくコンクリートである。遅かれ早かれ読むことはできなくなり、この「入笠牧道」建設の経緯は後世に伝わらなくなってしまうに違いない。いや、入笠山の伊那側一帯が、かつて牧場であったことさえも、同じ運命をたどるかも知れない。

 きょうの写真は、一部の人の間で「オタマジャクシの池」と呼んでいる小さな池塘と、その横を通る法華道。

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 本日はこの辺で。

 
 

 


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      ’24年「秋」(49)

2024年10月03日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 一仕事終えて、森から帰ってくる。第1牧区の中に停めておいた車に戻り、刈り払い機や他の道具をそこに積み込む。そして、牛のいない放牧地を眺めていると、まだ緑の色を残す草原だけでなく、夕暮れの空や、背後の森が何とも言いようのない安堵感、平安を与えてくれる。
 霧ヶ峰、美しケ原、幾重にも続く山並みの向こうに北アルプスの見知った峰々が見え、その中でも広大な台形の美しケ原を目にすると何故か落ち着く。
 やがてつるべ落としの秋の日が落ち、夜へと移行しようとする晩景の中にいて、満ち足りた思いが穏やかな快感となって全身を満たす。もし煙草があれば、長い間の禁煙を破って吸ってしまったかも知れない。

 きょうは午後から雨になるようだ。古道法華道の草刈りの跡を片付けたいと思っているし、必要でなくなった電気牧柵の冬支度もそろそろ始めたい。第1牧区の鹿対策用に張り巡らした電気牧柵の回収も、この秋の仕事の予定に入っている。
 この電気牧柵は県が調査を兼ね鹿対策用に設置してくれたものだが何年も経ち、今では効果は期待できないどころか、保守する手間だけが大きな負担となっていた。
 それと、前回に砕石2立米を入れたあの作業道にはさらに倍くらいの量を入れて、少なくも3トン程度のトラックが上まで行けるようになれば、放牧以外の仕事が確実に増える。
 
 ただし、この18年の間ずっと考えてきた牧場の将来の活用方法については、一管理人の分を超えている。残念だが、今以上のことには手を出さないで次の世代に期待するしかない。
 これについては、どれほどお慕い申し上げても振り向いてくれなかった人のように、入笠への思い入れは誰にも負けないつもりでいても、分不相応な人間の岡惚れのような結果となって、終わりとする。

 権兵衛山が雲の中に隠れてしまった。この後しばらくしたら雨になるだろう。曇天の日の、森の中の味わい深い静けさをお裾分けできないのがもどかしい。
 
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