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牧場(まきば)に夕暮れが来た。さっきまではの夕空には期待が持てたというのに、空はまた薄雲を拡げ、夜の帳を下ろそうとしている。鳥もいつの間にか歌うのを止めた。諦めて、また夜の山道を帰るしかない。
そう書いて、結局昨夜は下には帰らず、上に泊まった。帰りかけたら、なんと、東の夜空に星が見え始め、その中の一つが「オレたちをを置いて帰るのか」と問いかけてきた。よく知られたさそり座のアンタレスという星らしい。
それと、海老名出丸さん夫妻の3連泊最後の夜でもあり、今回は「まき場の湯」をしっかりと味わってもらってからでなければ帰せないと、そういう事情も重なっていた。
望遠鏡は赤緯を固定するネジが折れてしまっていたから、前回アイピースを付けるとその重みで鏡筒が動いてしまった。それでは遠い天体を観測することなぞ到底無理だと諦め、当面は肉眼派に戻って、夜空の星々を眺めることができれば良しと決めていた。
ところがふと、鏡筒の固定位置を変えればバランスが保てるかも知れないという思いにそそのかされた。肉眼派に戻る前の未練であり、足掻きであった。それで重い赤道儀を引っ張り出し、鏡筒を取り付けてみた。そうこうするうちに、東の空には無名の星が次々と輝き始めた。
それで、一挙に話を飛躍させると、赤道儀はちゃんと動いたのか、星は見えたのか、ということになる。その間の苦労と格闘のことを省略すれば、「ハイ、赤道儀はちゃんと動きました」、「星も見えました」という結果になった。いろいろと収穫はあったが、満足したかと聞かれれば、残念だがそうでもない・・・。
しかしこれはまだまだ序章に過ぎない。いや、宇宙という無窮の海のその渚に、ようやく足の親指が触れたかどうかというくらいのこと。少しづつ時間をかけて肉眼派から脱皮していくしかない。なにしろ、洞穴の住人が、突然精密機器に触れて困惑しているようなものなのだから。
今日から少し忙しくなる。朝のうちはよく晴れているが、午後から狂うらしい。
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