市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

文化祭が飲酒運転のせいで一瞬にして暗転・・・どうか無事に意識が回復するように!

2009-06-08 20:17:00 | 安中市消防団員の飲酒ひき逃げ運転
■文化祭は、高校時代の思い出として、一生忘れられない行事の一つです。その大切な文化祭で、飲酒運転の車にはねられるなどということは、あってはならないことです。

 安中市では昨年10月4日の安中市職員による飲酒運転追突人身事故と、翌10月5日の群馬弁護士会所属の弁護士による飲酒運転衝突人身事故が立て続けに発生し、当会はこれらの事件をブログで取り上げ、その後の経緯について詳しく報告することにより、飲酒運転への警鐘をならし続けてきました。

 にもかかわらず、残念ながら、今度は、お隣の高崎市で6月7日飲酒運転事故が発生し、しかも、被害者は高校生で文化祭の準備中であり、意識不明の重体となっています。なぜ、週末になると、不幸な飲酒運転事故が発生するのでしょう。飲酒運転は反社会的行為だという自覚が、まだまだ徹底していないことが証明された形です。

■今回の飲酒運転事故を報じた6月8日の朝刊を見て、安中市民は仰天しました。被害者の高校生が文化祭の最中に事故にあったこともさりながら、飲酒運転で逮捕されたと報道された人物が、安中市内で営業している滝本印店の店主であることがわかれば、当然、安中市民は、警察に通報した「家族」というのが、店主の配偶者の市会議員だということにすぐ思いあたるからです。報道記事から、事件の内容を確認してみましょう。

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ひき逃げ:文化祭準備の高1重体 逮捕容疑者は「酒飲んだ」--高崎/群馬
 6月7日午前1時頃、高崎市八千代町2の県立高崎高校正門前の市道で、同市東貝沢町1、同校1年、沢田拓朗さん(15)が乗用車にはねられた。沢田さんは頭の骨を折るなどして意識不明の重体。車はそのまま現場から走り去ったため、高崎署はひき逃げ事件として捜査を開始。
 高崎署によると、同6時半ごろ、同署に「人をはねたようだ」と相談した妻を通じて電話してきた安中市安中3、製印業、滝本雄次容疑者(62)を、事故から約7時間半後、自動車運転過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で緊急逮捕。同署によると、滝本容疑者は「飲酒運転の発覚を恐れて逃げた」と容疑を認めている。
 同校は6月6、7日が文化祭「翠巒(すいらん)祭」で、実行委員の沢田さんは当時、同級生ら10(数)人と正門のアーチの飾り付けの手直しをし、路上からその出来栄えを確認していたところをはねられたらしい。その後、倒れていた沢田さんに一度は近づいたが、滝本容疑者はもう一度車に乗り込み、逃走していったという。現場に居合わせた高校生は「(仲間を)ひき逃げをした人に謝ってほしいですね」と話した。
 文化祭準備中の生徒がはねられ重体となった県立高崎高(藤倉新一校長)では6月7日に生徒に事故発生を通知するとともに行事の一部を自粛するなどの対応を取った。
 同校によると、実行委員約百人が文化祭の準備のため、校内の宿泊施設に泊まり、作業していた。作業時間が遅くならないように指導していたが、アーチの完成が間に合わず、生徒から「完成させてほしい」と強い要望があり、深夜の作業を認めたという。
 増田芳之教頭は「生徒が一年かけ、楽しみにしていた文化祭でこのような事故があり、本当に残念だ。午前1時という時間は確かに非常識で、校内の管理上、作業の形態を再検討する必要があると思う」と神妙な口調で語った。文化祭は7日も予定通り開かれたが、同校は各イベントでの安全徹底を再確認させるとともに、事故を受けて後夜祭キャンプファイアやゲームを自粛。また、泊まり込む実行委員会の生徒の顧問教師を、2人から3人に増員した。
 なお、警察は、同乗していた知人女性からも事情を聴くなど、事故のくわしい状況を調べている。
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■飲酒運転は、重大犯罪です。残念ながら、群馬弁護士会所属で、現在懲戒請求を受けている元日弁連副会長のセンセイをはじめ、飲酒運転を起こしても、魔が差しただとか、運が悪かっただとか、故意ではないなどと言い訳する輩がいますが、飲酒運転防止はまず自覚することが大切です。当然の処置として、組織人の場合であれば、即時懲戒解雇、そして重大犯罪として裁かれるのが当然です。

 飲酒運転はいってみれば確信犯ですから、計画的犯罪と同等のものとして扱われるべきだと思われます。ちょうど今月、6月から、飲酒運転厳罰化が強化されました。今回の事件でも、法令違反したことにより、報道でも容疑者の氏名が公表されています。

 今回の事件では容疑者は自営業です。組織人と異なり、懲戒解雇ということにはなりませんが、重大犯罪として裁かれることになります。ここで気になるのは、容疑者が真夜中に事故を起こしてから逃走し、一旦安中市内の自宅に戻って、市議会議員の配偶者に相談をしていることです。市議4期目の配偶者は安中市議会で2番目に大きな会派に所属し、平成19年4月22日の市議会選挙では1254票を獲得し、28名の当選者中6位、所属会派4名中トップの得票数でした。

 通常であれば、いくばくか逡巡したあとで、自ら警察に出頭するか、あるいは、酔いがさめて、事の重大性に気づけば、深夜でも自宅に帰り家族に事情を説明して相談した上で、自ら警察に自首するはずです。ところが、今回の容疑者は、自宅にいたまま、市議の配偶者に警察に電話をさせています。警察も配偶者が議員であることは知っていますから、自分で警察に出頭せず、配偶者の名前で警察に連絡した背景には、なにか理由があったかもしれません。実際のところは、容疑者とその配偶者にしか分かりませんが。

■また、この事故について、さまざまな意見が飛び交っていますが、気になるのは、所属高校の管理責任について、異常に攻め立てていることです。夜中の1時に作業をさせていた、とか、放任していた、などと学校側の責任だけを取り上げています。生徒の自主性を重視し、期限までに満足の行く仕事を成し遂げるためには徹夜も辞さないとする責任感と、それを大切なものとして見守る度量を持つ学校に対して、なぜこうした異質な意見が、しかも多数出てくるのか、本当に不思議です。

 あたかも、飲酒運転ではねられたのは、高校生とその所属高校側に非があるかのようなこうした論調は、ますます、教育現場を萎縮させてしまうことになります。

 とにもかくにも、被害にあい重体に陥っているとされる高校生には、なんとしてでも回復してもらいたいのは誰しも同じ思いだと思います。飲酒運転の車にはねられるという不幸な試練を跳ね飛ばし、一生懸命、青春の情熱を傾けて打ち込んだ文化祭の成果を見届けるためにも、ぜひ来年も文化祭の実行委員として活躍してほしいと、ひたすら沢田さんの回復を祈るしだいです。

【ひらく会事務局】
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せっかく出した安中都市計画の意見書があえなくボツ。再提出を求める行政のイー加減

2009-06-08 17:56:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■安中市の広報あんなか5月号ページ7に案内のあった「都市計画区域マスタープランの変更案の縦覧」で、当会は、「安中都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(都市計画区域マスタープラン)の変更について、期限日の5月29日(金)午後4時過ぎに、意見書を提出しましたが、なんと、群馬県のホームページからダウンロードした安中都市計画区域のマスタープランが、変更前のものであり、当会の意見書は無効であることがわかりました。

 というのは、6月1日(月)に、群馬県庁の都市計画課から当会に対して、突然「先日提出頂いた意見書は、古いマスタープランのものをベースに書かれている。ただし、安中土木事務所に来ていただいた時、新しいマスタープランを渡せなかったのは、当方のミスであるので、お詫びがてら、これから、新しいマスタープランを持参して、お宅に伺おうと思う」という電話がありました。

 これを聞いて、思わず絶句してしまいました。なにしろ、県のホームページを見て、せっかくダウンロードしたのが、古い資料だったわけです。たしかに平成16年5月と表紙に書かれていたので「変だなあ」と思いつつも、この資料を基に変更が加えられたものがホームページに掲載されると信じていたからです。

 平日に自宅に来られても困るため、Eメールで電子ファイルを送ってもらうことにしました。なぜなら、群馬県のホームページに掲載されていた新しいマスタープランは、5月29日に閲覧期限が切れたため、ホームページから削除されており、もはやダウンロードできなくなっているためです。

 群馬県庁の県土整備部都市計画課から送られてきたメールの冒頭には、「この度は意見書を送付いただきありがとうございました。先ほど、当課よりお電話させていただきましたとおり、別添のとおりマスタープラン(案)を送付させていただきます。なお、改めて意見書を提出される場合、6月10日(水)までに県庁都市計画課まで郵送にて提出いただくか、安中土木事務所あるいは安中市役所都市整備課までご提出をお願いいたします。お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」と書かれていました。

■そこで、再度、意見書を作成し、本日、安中土木事務所に提出しました。内容は次のとおりです。

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平成21年6月8日
〒371-8570
前橋市大手町1-1-1
県庁都市計画課 御中
     住所 379-0114安中市野殿980番地
     氏名 小川 賢
「安中都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(群馬県決定・案)(安中都市計画区域マスタープラン)平成21年5月群馬県」に関する意見書

1.都市計画の目標

1-2.本区域の現状及び課題

(1)都市の位置・特性及び位置づけ
 「区域内には、野殿天皇塚古墳や後閑城址、国の重要文化財にも指定されている碓氷峠鉄道施設など、各時代の歴史的遺産や観光レクリエーション資源に富んでいる。」と特性を例示しているが、ネガティブな側面もきちんと認識しておかねばなりません。例えば、「野殿天皇塚古墳」の周辺は、近隣の東邦亜鉛安中精錬所の長年の稼動による降下煤塵等を起因として、周辺の農地を含む広範囲の土地の重金属汚染地域です。また、「各時代の歴史的遺産」については、ちょうど14年前に安中市役所の元職員が起こした地方自治体ではおそらく空前絶後の51億円余の巨額詐欺横領事件では、あと92年後の世代への「負の歴史的遺産」になりかねない巨額の和解金が安中市にのしかかっており、事件とは無縁の市民にとって、市役所組織そのものへの不信感や、巨額和解金による安中市への財政面の影響についても、特性の中に盛り込む必要があります。

(2)都市の動向
 「本区域では、これまで・・・自立的で魅力ある都市づくりに取り組んできた」と記載があるが、異議があります。「これまで、利権主体で市民不在の都市計画を続けてきた」と書き換えるべきです。それ以外の、動向の分析についてはとくに異論はありませんが、これらの動向の背景にあるのは、少子化、高齢化による山間地の過疎化と、都市部、それも高崎市へ地理的にもアクセス的にも容易な場所への集中傾向があると思われます。商業系構築物については、区域全体で増加傾向とありますが、在来の個人営業店舗の衰退についても、記載すべきです。

(3)隣接・近接都市計画区域との関係
 市街地の連続性についての分析にはとくに異論はありませんが、「なお、本区域と近接し、非線引き都市計画区域である富岡都市計画区域・下仁田都市計画区域とは地形的制約により、市街地は連続せず、都市間の結びつきも弱い」という見解には異論があります。道路網の整備や、IT情報ネットワークの普及が進んでおり、少なくとも市民間の結びつきは、10年前に比べて格段に密度が濃くなっており、情報や人、モノの交流も盛んになっています。この点についての認識にも、触れておく必要があります。

(4)本区域における都市づくりの課題
 「また、区域区分を定めていないことから、都市的土地利用への需要に対し、一定の規制・誘導がなされにくい状況である」という分析はその通りです。しかし、「このため、地形的制約により限られた都市的土地利用が可能な区域を最大限に活用し、計画的な土地利用により良好な市街地を形成していくとともに、一体の都市として安中地域と松井田地域との連携機能強化を図っていくことが重要である。特に、既存の住宅地等が集積している安中駅、安中市役所、松井田庁舎の各周辺に都市機能を集約させるほか、土地利用の整序化に向けた取り組みが必要である」という結論への誘導には疑問があります。もともと都市計画上の区分の無い市だったので、今更むりやり都市機能の形成や連携強化を無理に図ったり、再び市街区域の高集積化を図ったりする必要はありません。また、既存の住宅地等が集積している安中駅、市役所施設周辺にさらに集約する必要もありません。空き地は空き地として、緑化や避難ゾーンとして整備すれば、むしろ安全安心のまちづくりに役立ち、そのような、ゆったり感に富む都市景観のほうが、これからの癒しの時代には好都合です。高密度化による都市機能集中や効率向上は、高崎市にまかせればよいことです。
 したがって、「原市第一県営住宅団地及び原市団地市営住宅の各周辺」についても、建物の老朽化対策は必要ですが、それ以外の理屈付けは不要です。
 「安中榛名駅周辺については、西毛地域の玄関口として、計画的な土地利用により良好な市街地を形成していく必要がある」としていますが、これも民間の創意と資本に委ねておけばよいことであり、元職員がこの北陸新幹線による開発を口実に、多額の金を横領していた事を考えると、ここに他の地区の市民の税金をさらに投入することは、理解がえられるはずもありません。

1-3.本区域における都市づくりの基本理念

(1)都市づくりの目標
 「本区域の現状及び課題を踏まえ、市役所や駅周辺などのまちの中心市街地の住宅地等を核とする『集約型都市構造』へ誘導し、区域の活性化及び発展を目指す」とありますが、ほうっておいても、少子化、高齢化と、交通網の整備が進んだことで、その方向に移行しつつあり、ここで、基本理念として誘導する必要はありません。「少子化、高齢化、交通網の進展で、都市構造は一極集中化して、それ以外のところはコンパクト化してゆくことから、無理に区域の活性化及び発展を目指すのではなく、高崎市など周辺のより大きな都市との連携を重視した都市づくりを目指す」とすべきです。したがって、都市づくりの設定について、次のとおりとします。
■交流と活力のある都市づくり
 「自市内及び周辺都市との連携を円滑にする」のは賛成だが、「都市機能の拡充を図る」のではなく、交流を盛んにするための仕組み、たとえば、ITによる情報ネットワークを利用した市民同士の有機的なネットワークの構築を目指し、箱物やハードに偏重した事業でなく、ソフト面に着目して、活力ある都市づくりを目差すようにします。「絹産業遺跡群に関連する重要な歴史・文化資源を活かす」ことは同感で、そのために、国内他地区のみならず海外との交流が不可欠となります。HPやブログを利用して、積極的に発信することが必要。「活気とにぎわいのある市街地形成」という陳腐化した表現は使わないようにしましょう。
■安全で利便性の高い都市づくり
 「既成市街地においては、計画的な土地利用及び都市機能の維持・更新を図り、良好な住環境の形成に向け、利便性・安全性・快適性の向上を図る」とあるが、安中市の場合、土地利用は利権に左右されており、すでに何でもありの状態となっているため、「計画的な」という表現はやめ、「合理的な」という表現に変更します。少子化、高齢化により、都市機能は「維持」だけでよく、「更新」は特にうたわなくても、良好な住環境は既に市内の大半(東邦亜鉛安中精錬所の土壌汚染とサンパイ場乱開発で揺れる岩野谷地区をのぞく)で実現しており、これを如何に保全するかどうかがカギになっています。
■自然と共生した都市づくり
 これも既に実現しており、利権目当てのサンパイ業者らの乱開発や東邦亜鉛安中精錬所の降下煤塵等による土壌再汚染さえ阻止、あるいは対策措置さえ取れれば、全市にわたり、豊かな自然と共生したうるおいのある住環境が実現します。

(2)地域毎の市街地像

①市街地ゾーン
 「市街地ゾーンは、都市的土地利用を図る区域とし、本区域においては、現用途地域指定地域と位置づけ、都市機能の維持、拠点の再生・活性化を図るべく、コンパクトな市街地の形成を目指す」とありますが、「拠点の再生・活性化」はとくに図る必要はありません。「既存の工業地の拡張や新たな工業他の整備については、産業振興政策と連携して、県全体で取り組みを進める」とありますが、安中市の場合、タゴ51億円の和解金尻拭いのため、土地開発公社に工業団地の造成事業を委託して、事務費をつぎ込もうと躍起になっています。このご時世なので工業団地の拡充は、リスクが多く疑問があります。それでも群馬県リスクで、県企業局がやるのであればともなく、安中市に県の事業として工業団地の造成をやらせることは止めてください。
 「市街地ゾーンの形成においては、景観緑三法の施行もかんがみ、良好な都市景観及び歴史・文化遺産を活かし保全していくことを基本理念としていく」とありますが、地方分権で、農地法も、建築基準法も、どんどん県から安中市に許認可業務が委託されたため、骨抜きになる恐れがあります。したがって、県の権限の及ばないことを、方針として打ち出しても無意味だと思います。

②拠点の形成
□地域拠点
・市役所周辺地区は、すでに充分整備が進んでおり、これ以上の公金投入は不要です。
□生活拠点
・松井田庁舎周辺はともかく、安中榛名駅周辺を「生活拠点」と位置づけ、都市機能を集約する必要はありません。概ね、旧安中地区である原市、磯部、板鼻地区などの地区も、道路、鉄道による移動インフラが一定のレベルに達しており、これらを無理に拠点化する必要はありません。
□産業拠点
・特に立地には指摘事項はありませんが、安心安全な住環境・営農環境等の観点から、東邦亜鉛安中精錬所の周辺の土壌汚染対策に触れずに拠点化を図ることは許されません。

③都市軸の形成
 都市軸については、日常の生活及び経済活動からみた生活圏域という広域的観点から、鉄道や道路を役割ごとに区分し、機能を分担させ、集約型都市構造の形成及び集約拠点の構築を支援する。
□広域根幹軸
 国土形成の骨格として「上信越自動車道」はともかく、停車列車数が少なく、安中市民にとってメリットのない「長野新幹線」は対象から外すべきです。
□広域連携軸
 集約型都市構造の形成に向け、本県における交通ネットワークの軸として「一般国道18号」「JR信越線」は誰もが認めるところですが、建設予定とされる「西毛広域幹線道路」は、その効果に疑問があり、しかも、10年前に安中市土地開発公社の元職員が、この道路計画をネタに金融機関からカネを騙し取っていたことから、市民の間には抵抗感が根強くあります。
□地域連携軸
 「同一生活圏の各拠点間を連絡する主要地方道下仁田安中倉渕線を地域連携軸として位置づけ、地域の発展を支える」とありますが、山間地の過疎化により、将来的にはあまり効果が期待できないと考えられるため、現状維持で十分だと思います。

【安中都市計画区域 将来市街地像図】
 前述のように、岩野谷地区においては、負の拠点として、東邦亜鉛安中精錬所による重金属土壌汚染地帯をきちんとマーキング願います。また、岩野谷地区のうち富岡市、高崎市吉井町に近い区域には、サンパイ場建設計画が目白押しですので、ここも負の拠点として環境危険地帯としてしっかりとマーキングしてください。

2.区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針

 「本区域に区域区分を定めない」ということを今後も続けるようです。基本的に賛成ですが、サンパイ場業者に悪用されないようにしてください。時すでに遅しかもしれませんが。

3.主要な都市計画の決定の方針

3-1.土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)主要用途の配置の方針

①住宅地
・何度も言うように、「安中榛名駅周辺などの新たな住宅地については、景観づくりや緑化を推進するなど、良好で地球環境にもやさしい居住環境の形成とともに、防災・防犯にも配慮した住宅地の形成を図る」ことは、民間業者に委ねればよいことであり、既存の住宅地の住環境(岩野谷地区の場合は土壌環境も含む)と、防災・防犯体制がきちんと維持できることが重要です。

②商業地
・安中地区の市役所周辺、安中榛名駅周辺への商業・業務地の配置は、自然の成り行きに任せればよいと思います。原市、磯部、板鼻地区でも、今後の少子化により、これ以上、日常購買需要に対応する利便性は必要ないと思います。
・繰り返しますが、安中都市計画のうえで、安中榛名駅周辺については、重要度が少ないので、群馬県レベルではともかく、ここでは、「充実に努める」などという記載はやめて欲しいものです。

③業務地
・既に業務機能が集積している地区について「更なる誘導と集積」とか「強化」などをうたう必要はありません。

④工業地
・これからの経済状況を展望するに、新たな工業地の需要は見込めないので、現状維持で充分です。ただし、環境の保全に配慮することは重要であり、その観点からも、現在放置されたままになっている、東邦亜鉛安中精錬所周辺土地の土壌汚染の実態はきちんと言及しておくべきです。

(2)土地利用の方針

①用途転換、用途純化又は用途の複合化に関する方針
・これは農地転用を主眼として想定していると思われますが、すでに安中市では農地転用は、実質的に何をしても自由となっています。しかも、この①の項の言わんとすることが不明瞭でもあるため、全文削除すべきだと思います。

②居住環境の改善又は維持に関する方針
・総花的な表現で、あれもこれも、何を重点に方針を立てようとしているか判然としないが、これをたてに、無用な事業にまで公金を投入する口実にされてはなりません。既成市街地の開発事業、または誘導施策は民間主導ならともかく、行政が音頭を積極的に取ることは不必要と考えます。

③都市内の緑地又は都市の風致の維持に関する方針
・中山間農地などのサンパイ場開発などの環境を台無しにする乱開発だけは絶対やめてください。群馬県は、安中市の岩野谷地区に違法を無視してゴミ処分場を誘致した責任があるので、ぜひこのことは都市計画にも記載して欲しいと思います。

④優良な農地との健全な調和に関する方針
・他の地区はともかく、東邦亜鉛安中精錬所の周辺の土壌汚染が放置されたままの農地のことは、きちんと是正措置をとった上で、優良農地として保全を図ることを明記してください。さもないと、東邦亜鉛から政治献金などを受けている現職の首長が、土壌汚染地にあろうことか墓地計画を進めているからです。このバチあたり事業が進まないように、きちんと都市計画で指摘しておいて欲しいと思います。

⑤災害防止の観点から必要な市街化の抑制に関する方針
・「急傾斜地、土石流危険渓流、地すべり危険箇所等、災害の発生するおそれがある地区については、原則、居室を有する建築物を制限するとともに、過去の災害歴等を踏まえ、溢水・湛水等の災害の危険が高い地区については、市街化を抑制する」と、至極当然のことが書かれていますが、これは安中市が実際には、そうした観点から規制をしたことがないことから、ここに敢えて記載することは妥当であり意義のあることだと思います。

⑥自然環境形成の観点から必要な保全に関する方針
・森林や丘陵、河川敷の雑木林や草生地などの緑地保全をうたっていますが、安中市は住民の意見を聞かずに勝手に業者による開発にゴーサインを出すところなので、その懸念についても記載しておいてください。

⑦計画的な都市的土地利用の実現に関する方針
・集落地域については、特にコメントはありません。また市街地内でも、ルールにのっとった運用は前提ですが、意図的に建築物の立地や集積を誘導することはないと思います。すでに、秩序ある土地利用の形成は、有名無実になっているからです。
・「既成市街地以外の区域における開発等については、新たな市街化を促進するおそれがないと認められる行為に限定すべきである」とありますが、むしろ場合によっては新たな市街化を促進すべきこともあることに留意したいとおもいます。

3-2.都市施設の整備に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)交通施設の都市計画の決定の方針

①基本方針
a.交通体系の整備方針
・「集約型都市構造及び集約拠点の形成を支援するため」と無理に理由付けをする必要はありません。「少子高齢社会への対応、環境負荷の軽減に寄与するよう、人にやさしい総合的な交通体系の構築を進める」だけで十分です。
・「一般国道・主要地方道・一般県道等の幹線道路の整備」について、「公共交通の利便性」「全ての人が円滑で快適に移動」「安心・安全な交通環境の整備」をうたっていますが、これらは、道路法の目的として明記済みであり、特にここで強調する必要はありません。
・「幹線道路の整備にあたっては、都市の結びつきに配慮し、都市間を連結する幹線道路の整備を進めるとともに、都市構造や市街地密度、地形条件を考慮し、都市の骨格を形成する道路を位置づけ、都市内交通の円滑な処理を図る」という表現も、「都市間」とか「都市構造」とか「都市の骨格」「都市内交通」などと抽象的な言葉の羅列なので、これも除去すべきです。
・「環境負荷の軽減、交通の円滑化(渋滞対策)」とありますが、確かに一部区間で渋滞がひどいところがありますが、これを無理して大金を投じて解消する必要はないと思います。地元利用者は裏道や抜け道をよく知っており、あまり影響がないためです。したがって、広域的な観点からともかく、安中都市計画の観点からは、あまり気にする必要はないと思います。また、「健康増進等の見地から、自転車道利用の促進と自転車関連事故の削減を図るため、通行空間の区分や路肩の活用等を進める」とあり、自転車道路と歩道設置の推進を目指しているようです。これについて一般論として異論はありませんが、安中市の場合、平坦地が少ないため、これは当てはまらないと思います。
・「公共交通については、高齢者などの交通弱者の移動支援や環境負荷の軽減などを念頭に置き、関係機関との協力のもとで必要な施設整備を進める」とありますが、バリアフリーのことなのかそうか、「必要な施設整備」ではよく分かりません。
b.整備水準の目標
・「交通体系については、可能な限り長期的視点にたった整備を図っていくものとする」とありますが、上記の理由で、経済、少子化、環境面で、すでに必要充分な状態にあると思料がしますので、これ以上の大きな整備は不要で、今後はメンテナンス面を充実すべきです。
・「広域的な交通需要に対する骨格道路を整備」などとありますが、今後は次第にエコロジーやエコノミーにより、交通需要は伸びず、おそらく漸減してゆくでしょう。したがって、交通体系整備に多額の公金を投入する発想は見直す時期にあると思います。

②主要な施設の配置の方針
a.道路
・一般国道18号の重要性の認識は同じだが、「高崎側では交通渋滞の緩和と、道路交通の安全確保を図るため、交差点部における改良・整備を推進する」としていることについては、国道18号線の整備の際に、岩井から中宿地区にかけて、地元が平面交差ではなく、立体交差を要望していたので、いまさら交通安全確保のため、交差点部を改良・整備するというのは違和感があります。この部分は削除してください。
・「3・3・10号南北中央幹線による南北方向の新たな交通軸の形成と、市街地の一体化を促進する地区間補助幹線道路等の一体的整備について検討する」などと、、かつての小川市長時代から同じ事をいっていますが、いつになったら、骨太の道路網整備になるのか、市民はだれももう信用していません。このような古びたスローガンを毎年掲げ続けるのはもうやめましょう。
・「道路の構造は、高齢者が歩きやすいよう、あるいは車いす等の通行が容易になるよう、歩道の段差解消等のバリアフリーを図ることにより、高齢者、身体障害者等すべての人にとって使いやすい構造とする」とありますが、山間地では物理的に無理です。バリアフリーは公共施設とその周辺だけで充分だと思います。

③主要な施設の整備目標(道路)
 「おおむね10年以内に着手または整備を予定する事業として、「03・3・1号国道18号線の整備」と「03・4・15号磯部原市線の整備」とありますが、国道18号線だけで充分です。

(2)下水道の都市計画の決定の方針

①基本方針
a.下水道の整備の方針
・下水道の整備は、現在の計画達成でもう充分だと思い増す。これ以上進める必要はありません。
b.整備水準の目標
・上述のとおり、現在の計画達成で充分です。少子高齢化傾向から、それ以上の整備計画の推進は無用です。

②主要な施設の配置の方針
・上述のとおり。

③主要な施設の整備目標
・利根川上流流域下水道(県央処理区)関連公共下水道の整備予定」とありますが、人口の減る安中市関係では、メンテナンス程度で充分だと思います。

(3)河川の都市計画の決定の方針

①基本方針
a.河川の整備の方針
・「現況の流下能力、災害の発生状況等を考慮して、治水面、環境面から必要な箇所について整備を行う」とあるとおり、水害時の復旧対策のような対症療法以外には、無理に河川改修をする必要はありません。「流下能力」についても、操作をせず、きちんと実情に基づき試算することが大切です。
・「近年の都市化による都市内の保水・遊水機能の減少のため、河川が有する治水機能に支障をきたし、浸水被害が発生するおそれがあるところでは、土地利用の適正化に努める」とありますが、因果関係については、十分納得の行く説明責任が当然ながら求められます。従って、意思決定までの過程はきちんと情報開示をすることも記載してください。
b.整備水準の目標
・上述のとおり、不要不急の箇所まで無理して整備を図る必要はありません。

②主要な施設の配置の方針
・「必要な箇所について治水対策を行う」とありますが、これも納税者に納得のゆく説明責任が伴うことに留意すべきです。

(4)その他の都市施設の都市計画の決定の方針

①基本方針
・「機能的な都市活動の確保・向上を図るため、既存施設の維持・更新等を行うものとし、新たに必要となる都市施設の整備については、循環型社会形成への対応を念頭に、長期的展望及び広域的な連携も検討し、整備を進めるものとする」とありますが、人口の減少と少子化と高齢化で、これ以上新規の配置整備は不要です。既存施設のメンテナンスの充実で充分です。

②主要な施設の配置の方針
・火葬場については、特にコメントはありません。
・「資源の有限性とごみの効率処理という観点から、ごみの減量化を積極的に進めるとともに、再資源化、再利用に努め、既存の碓氷川クリーンセンターの適正な維持管理を図る」ことについて、特段のコメントはありませんが、現在安中市の焼却灰を持ち込んでいるサイボウ環境の処分場は、違法手続きで建設された事を、市民に知ってもらう必要があります。少なくとも、安中市の焼却灰の持込については、サイボウ環境に依存せず、自前で溶融設備を導入して、市道メンテナンス工事用の材料用にリサイクルすべきです。

3-3.市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)主要な市街地開発事業の決定の方針
・「都市基盤が未整備のため、上地の有効利用が図られていない市街地や、木造住宅等が密集し、防災上改善が必要な地区、広域道路網が結節し産業発展の可能性が高い地区等については、土地区画整理事業や市街地再開発事業等の導入により、都市基盤整備の改善を図るとともに、都市機能の更新、土地の有効活用について検討する」とありますが、開発のルール遵守の監視だけで充分です。市が安中市土地開発公社の横領事件による巨額簿外債務を薄めるために無理して開発事業に手を染めることのないように、明記しておくべきです。
・「なお、土地区画整理事業等を導入する際には、目指す市街地像及び長期的視点による事業成立性を明らかにするとともに、地域住民等の理解と協力を得ながら、事業の実施を目指す」とありますが、空きの増えた市街地に無理して土地区画整理事業を導入して、市民の財産権を脅かし、安中市土地開発公社の扱い事業創出による簿外債務返済資金捻出をもくろむような事業は不要です。

3-4.自然的環境の整備又は保全に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)基本方針
・「良好な自然的環境が残された地域は、永続的に担保されるよう整備、開発及び保全に留意し、総合的な緑地体系の確立を図るとともに、景観形成の向上に資する緑地として位置づける」とありますが、一番重大問題なのは、東邦亜鉛安中精錬所による広大な土壌汚染土地問題です。これに言及せずに都市計画を語れません。しかも、現市長は東邦亜鉛安中精錬所の汚染土壌回復事業のための負担金軽減を慮って、東邦亜鉛安中精錬所に隣接して広大な墓地公園構想を進める有様です。この愚行について、きちんと不要である事を都市計画で明記してください。
・「身近なコミュニケーションやレクリエーションの場となる街区公園や近隣公園等の整備を図り、多様化するレクリエーション需要に対応するとともに、避難地ともなる地区公園や避難路となる緑道等の整備を行い、防災機能の強化を図るものとする」「また、これら公園緑地の利用及び存在効果が高まるよう、緑地相互間を有機的に結び、公園緑地のネットワークを図ることで、緑豊かな環境が地域住民の身近なものとなるような配置を検討する」のは、その後ですが、自然に恵まれた安中市には、人工的な緑地や公園はこれ以上必要があるのでしょうか。

(2)主要な緑地の配置の方針

①環境保全系統
・おおむね妥当ですが、その方針の根幹として、不要不急の緑地配置に無理矢理カネを投じる必要はないことに留意すべきです

②レクリエーション系統
・成り行きで達成できるはずなので、特にコメントはありません。「西毛総合運動公園の配置」に拘っているようですが、自然の里山の活用もはかってください。

③防災系統
・保安林が、役所の利権の都合で勝手に伐採されているのが安中市の実態です。したがって、有言不実行をあらためることが先決です。
・「配置が計画される近隣公園・地区公園や都市基幹公園は、避難地・防災拠点として位置づけるとともに、上信越自動車道及び松井田妙義インターチェンジ、一般国道18号は広域的な避難路・輸送ルートとして位置づける」とありますが、安中市は面積もひろく、過疎化気味なので、面積的にも空きスペースは十分にあるため、広域的な観点から、無理に国道や高速道を防災に結びつけるのは無用と考えますので、この項は削除ください。

④景観構成系統
・「街並みの背景となる丘陵等を眺望できるよう、広場・公園・道路等の通景緑について配慮した都市づくりを行う」とありますが、何もしなくても達成できると思います。
・「歴史的意義のある場所である社寺林等は、郷土景観を構成する緑地として保全を位置づける」につても、同様です。
・「本区域の周囲を取り囲む森林や、水辺景観となる一級河川碓氷川、一級河川九十九川など、本区域のイメージを象徴する自然景観を保全する」とありますが、市内の中小河川にもそれぞれの地区のイメージを象徴しているものがたくさんあります。大半が三面コンクリート化してしまった、これらの中小河川の保全にも目を向けたいと思います。

⑤歴史的環境の保全
・「横川駅から坂本宿、碓氷峠一帯では、鉄道の歴史を伝える施設や、中山道の宿場の面影を残している坂本宿など、歴史的な地域資源を保全する」「松井田城跡周辺は地形変更しない緑地帯としての保全と活用を目指す」とありますが、幸い松井田地区は、旧安中地区と異なり、きちんとして歴史環境の保全がなされてきたので、こうした遺産に恵まれていると思います。環境軽視・利権主義の市長就任で旧安中地区のようにならないためにも、松井田地区の貴重な歴史環境遺産は保全しなければなりません。

⑥地域に特有な地形の保存
・とくに異論はありませんが、「一級河川碓氷川、一級河川九十九川の水辺は、広域都市圈を横断する骨格的な水辺環境軸であり、広域的見地から保全を図る」というように、特定の河川だけを対称に挙げる表現には、なにやら、こられの河川をいじくりたい意向が感じられます。

(3)実現のための具体の都市計画制度の方針
・無理して不要不急な公園を新規に作る必要はありません。かえって樹木剪定や草刈作業など余計なメンテナンスコストもかかるからです。
以上
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■当会は、平成15年ごろ、安中市の都市計画マスタープランの公聴会での意見陳述から、安中市に関わるあらゆるマスタープランについて、「タゴ事件の103年ローンによる市財政への悪影響問題」と「東邦亜鉛安中精錬所周辺の汚染土壌問題」の二つは不可避であることを一貫して主張してきています。ところが、マスタープランの原案や変更案には、この2件ともまったく触れられていません。

 当会は、安中市に漂う閉塞感の元凶であるこの2件の問題について、今回の再意見書はもとより、今後も引き続き、粘り強く、行政に対して解消を求めてゆく所存です。

【ひらく会情報部】

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【安中都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(群馬県決定・案)】
(安中都市計画区域マスタープラン)
平成21年5月 群馬県

   目 次
1.都市計画の目標
 1-1.都市計画区域の範囲と目標年次 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1
 1-2.本区域の現状及び課題 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
 1-3.本区域における都市づくりの基本理念 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4
2.区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
3.主要な都市計画の決定の方針
 3-1.土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針 ‥‥‥‥‥‥‥・・‥‥ 8
 3-2.都市施設の整備に関する主要な都市計画の決定の方針 ‥‥‥‥・・‥‥11
 3-3.市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針 ‥‥‥‥‥‥・・15
 3-4.自然的環境の整備又は保全に関する主要な都市計画の決定の方針 ・・‥15

1.都市計画の目標

1-1.都市計画区域の範囲と目標年次

(1)都市計画区域の範囲
名 称/市町村名/範 囲/規 模/
安中都市計画区域/安中市/安中市の一部/13.479ha

(2)目標年次
 都市づくりの基本理念、将来の都市構造については、平成37年を想定し、土地利用、都市施設等の決定の方針については、平成27年を目標年次として作成する。


■安中都市計画区域の位置図

1-2.本区域の現状及び課題

(1)都市の位置・特性及び位置づけ
 安中都市計画区域(以下、「本区域」という)は、群馬県の南西部に位置する安中市の一部であり、安中市は、高崎市、富岡市、古井町、下仁田町と接しているが、本区域は、高崎市、富岡市、吉井町と接している。
 本区域は、平成18年3月に市町村合併及び平成21年8月に都市計画区域の再編により、旧安中都市計画区域(以下、「安中地域」という)と旧松井田都市計画区域(以下、「松井田地域」という)が統合され、1つの都市計画区域となった。
 本区域は、碓氷峠や榛名山などの急峻な地形をもつ安中市のなかにあって、東西に流れる一級河川碓氷川、一級河川九十九川に沿って平坦な地形となっている。
 本区域には、長野新幹線、JR信越本線及び一般国道18号があり、隣接する高崎市と結ばれている。
 安中地域は中山道に沿って東西に細長く市街地が形成され、宿場町や安中城の城下町の面影を残している。同様に、松井田地域の坂本宿や碓氷峠周辺も宿場町の面影を残している。区域内には、野殿天皇塚古墳や後閑城址、国の重要文化財にも指定されている碓氷峠鉄道施設など、各時代の歴史的遺産や観光レクリエーション資源に富んでいる。

(2)都市の動向
 本区域では、これまで「高崎市との都市機能の分担」「歴史的遺産や豊かな自然を活用した観光交流の充実」等を重点項目として、自立的で魅力ある都市づくりに取り組んできた。
 今回(平成17年)と前回(平成12年)の国勢調査結果を比較すると、人口は区域全体で減少傾向にあり、用途地域内外ともに減少となっているが、特に用途地域内の減少率が顕著である。人口密度(グロス〔=区域内居住人口÷区域面積〕)に着目すると、一般国道18号、主要地方道下仁田安中倉渕線、主要地方道渋川松井田線、一般県道松井田中宿線に沿った形で集積がみられるが、それ以外の区域では総じて低くなっており、市街地形態に変化はみられない。
 それらを地区別でみると、安中地域では安中駅、安中市役所、原市第一県営住宅団地及び原市団地市営住宅の各周辺で増加している。また、松井田地域では松井田庁舎周辺で減少している。それ以外の区域では変化がみられない。
 今回(平成17年基準)と前回(平成12年基準)の都市計画基礎調査を比較すると、商業系建築物の動向については、区域全体で増加傾向であり、用途地域内外ともに増加となっている。

(3)隣接・近接都市計画区域との関係
 本区域は、線引き都市計画区域である高崎都市計画区域、非線引き都市計画区域である榛名都市計画区域・吉井都市計画区域と隣接するが、市街地の連続性が確認されるのは高崎都市計画区域のみである。
 ただし、日常の生活及び経済活動からみると、高崎都市計画区域との結びつきが強く、一体の都市活動が行われている。
 なお、本区域と近接し、非線引き都市計画区域である富岡都市計画区域・下仁田都市計画区域とは地形的制約により、市街地は連続せず、都市間の結びつきも弱い。

(4)本区域における都市づくりの課題
 本区域における人口動態は減少傾向にあり、商業系建築物が用途地域内外ともに増加となっている。また、区域区分を定めていないことから、都市的土地利用への需要に対し、一定の規制・誘導がなされにくい状況である。
 このため、地形的制約により限られた都市的土地利用が可能な区域を最大限に活用し、計画的な土地利用により良好な市街地を形成していくとともに、一体の都市として安中地域と松井田地域との連携機能強化を図っていくことが重要である。特に、既存の住宅地等が集積している安中駅、安中市役所、松井田庁舎の各周辺に都市機能を集約させるほか、土地利用の整序化に向けた取り組みが必要である。
 また、原市第一県営住宅団地及び原市団地市営住宅の各周辺については、居住者の高齢化の進行や建物の老朽化等に対応するため、更新時期に併せて利便性の高い居住環境を形成していくことが必要である。
 安中榛名駅周辺については、西毛地域の玄関口として、計画的な土地利用により良好な市街地を形成していく必要がある。

1-3.本区域における都市づくりの基本理念

(1)都市づくりの目標
 本区域の現状及び課題を踏まえ、市役所や駅周辺などのまちの中心市街地の住宅地等を核とする「集約型都市構造」へ誘導し、区域の活性化及び発展を目指すとともに、本区域の都市づくりの基本的な方向を次のとおり設定する。

■交流と活力のある都市づくり
 自市内及び周辺都市との連携を円滑にしつつ、都市機能の拡充を図るとともに、絹産業遺跡群に関連する重要な歴史・文化資源を活かし、活気とにぎわいのある市街地形成を図る。
■安全で利便性の高い都市づくり
 既成市街地においては、計画的な土地利用及び都市機能の維持・更新を図り、良好な住環境の形成に向け、利便性・安全性・快適性の向上を図る。
■自然と共生した都市づくり
 周辺の自然環境を保全し、豊かな自然と共生しながら、うるおいのある住環境の形成を図る。

(2)地域毎の市街地像

①市街地ゾーン
 市街地ゾーンは、都市的土地利用を図る区域とし、本区域においては、現用途地域指定地域と位置づけ、都市機能の維持、拠点の再生・活性化を図るべく、コンパクトな市街地の形成を目指す。
 特に、既存の工業地の拡張や新たな工業他の整備については、産業振興政策と連携して、県全体で取り組みを進める。
 なお、市街地ゾーンの形成においては、景観緑三法の施行もかんがみ、良好な都市景観及び歴史・文化遺産を活かし保全していくことを基本理念としていく。

②拠点の形成
□地域拠点
・安中市役所周辺を「地域拠点」と位置づけ、適正な土地利用のもと、商業・業務・行政サービス等の機能集積を回りつつ、良好な居住環境を保全・育成し、地域コミュニテイの拠点としての市街地形成、及び隣接する高崎市の都市拠点等との役割分担及び連携を明確にする。
□生活拠点
・安中榛名駅及び松井田庁舎の各周辺を「生活拠点」と位置づけ、都市機能を集約するとともに、生活利便性を高める生活関連施設等の立地とにぎわいのある市街地の形成を図り、本区域内の地域拠点との役割分担及び連携を明確にする。
□産業拠点
・安中駅の南側地区、磯部駅の南側地区、安中工業団地、松井田工業団地、一般国道18号バイパス沿道地区の各周辺を「産業拠点」として位置づけ、今後とも工業地としての操業環境の維持・保全と育成を目指す。

③都市軸の形成
 都市軸については、日常の生活及び経済活動からみた生活圏域という広域的観点から、鉄道や道路を役割ごとに区分し、機能を分担させ、集約型都市構造の形成及び集約拠点の構築を支援する。
□広域根幹軸
 国土形成の骨格となる上信越自動車道、長野新幹線を広域根幹軸として位置づける。
□広域連携軸
 集約型都市構造の形成に向け、本県における交通ネットワークの軸である一般国道18号、西毛広域幹線道路(建設予定)、JR信越本線を広域連携軸として位置づけ、周辺市町村との連絡強化を図る。
□地域連携軸
 同一生活圏の各拠点間を連絡する主要地方道下仁田安中倉渕線を地域連携軸として位置づけ、地域の発展を支える。

【安中都市計画区域 将来市街地像図】

注)図面はおおむねの位置を示すものである

2.区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針

 ※本区域に区域区分を定めない。

「区域区分」を定めないとした根拠は次のとおりである。
■本区域は、区域区分を定めていないが、用途地域は指定されている。
■都市計画区域人口は減少傾向にあり、将来的にも減少すると予測されている。
■また、国土交通省令に規定される既成市街地要件を満たす区域は、現在存在しない。
以上のことから、引き続き「区域区分」は定めないこととする。

3.主要な都市計画の決定の方針

3-1.土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)主要用途の配置の方針

①住宅地
・住宅地については、周辺土地利用など良好な環境形成の可能性、公共施設、医療・福祉、商業サービス等の日常利便機能及び鉄道などの公共交通の利便性を考慮して配置する。また、魅力的で住み続けたくなるような住宅地を形成する。
・既成市街地である安中駅、安中市役所、松井田庁舎、原市第一県営住宅団地及び原市団地市営住宅の各周辺については、今後建替え更新時期を迎える住宅が多くなるものと予測されるが、既存施設を有効活用するとともに、ゆとりある居住環境の形成及びこれまで築かれてきたコミュニティの維持を図る。
・安中榛名駅周辺などの新たな住宅地については、景観づくりや緑化を推進するなど、良好で地球環境にもやさしい居住環境の形成とともに、防災・防犯にも配慮した住宅地の形成を図る。

②商業地
・商業地については、商圏規模や公共交通・幹線道路、住宅地との位置関係に配慮しつつ適切に分担し、コンパクトに集積するよう配置する。
・都市のにぎわいを形成する「都市的商業地」は、安中市役所周辺に配置し、子供から高齢者、障害者まで、全ての人が安心・安全に利用できる空間形成を図る。
・生活利便性を確保するための「日常的商業地」は、徒歩や自転車といった身近で環境負荷の少ない交通手段でも利用可能な位置や、安中駅、松井田庁舎周辺を中心に配置し、地域コミュニティ形成の場としての活用も図る。

③業務地
・業務地は、都市中心部におけるオフィス機能のほか、研究開発機能など郊外地における新たな業務機能の立地にも考慮しながら、郊外においても適切に配置・誘導を図る。
・なお、既に業務機能が集積している地区については、更なる誘導と集積により、拠点性を強化する。

④工業地
・工業地は、産業の高度化と生産活動の効率化など、高い操業環境が形成できる地域に、現在及び将来の工業生産規模・業種を考慮し配置する。
・なお、配置にあたっては、周辺住宅等に及ぼす環境影響に十分配慮するとともに、緑地空間等オープンスペースを確保するなど、周辺地域との調和を回る。
・本区域においては、安中駅の南側地区、磯部駅の南側地区、安中工業団地、松井田工業団地、一般国道18号バイパス沿道地区、中野谷地区(横野平)の各周辺に配置する。

(2)土地利用の方針

①用途転換、用途純化又は用途の複合化に関する方針
・市街地整備や都市施設整備の進行、地区の特性や現況上地利用の動向により、将来の土地利用を変更することが、地域の発展や既存の都市施設を活かすうえでも有効と判断できる場合には、新たな土地利用への転換を検討する。特に長期の経過の中で土地利用の機能更新が進む地区については、地域地区制度等の活用による用途転換を検討する。
・生活利便性を高める地区にあっては、コンパクトな市街地の形成及び適正な土地利用を念頭に、その地区の特性や周辺地域との機能分担の中で、必要に応じ、特別用途地区や地区計画等の制度の活用を検討し、用途の純化または複合化を進めていく。

②居住環境の改善又は維持に関する方針
・良好な居住環境の形成に向け、都市景観の保全・創造、歴史・文化遺産の保全・活用を検討する。また、道路、公園等の公共施設の整備を図るとともに、公共交通サービスの向上を検討する。
・既に土地区画整理事業等の面的整備事業により、良好な住環境を形成している地区にあっては、これを維持するとともに、更なる良好な環境の形成及び地球環境への貢献にも配慮し、身近な緑(生垣・屋上緑化など)の創出に努める。
・新たな住宅地及び既存集落においては、コミュニティの形成を考慮し、安心・安全で住み続けたくなるような良好な居住環境の維持を図る。

③都市内の緑地又は都市の風致の維持に関する方針
・都市内に残る古墳、社寺林、保存樹、水辺等の緑は、都市に潤いを与える身近で責重な自然環境であり、都市の風致を維持する上でも貴重な緑地であることから、今後とも継続して保全に努める。

④優良な農地との健全な調和に関する方針
・農業振興地域内の農用地区域など土地改良事業等を施行済または施行中の区域等については、優良な農業生産地帯として積極的に保全するものとする。

⑤災害防止の観点から必要な市街化の抑制に関する方針
・急傾斜地、土石流危険渓流、地すべり危険箇所等、災害の発生するおそれがある地区については、原則、居室を有する建築物を制限するとともに、過去の災害歴等を踏まえ、溢水・湛水等の災害の危険が高い地区については、市街化を抑制する。

⑥自然環境形成の観点から必要な保全に関する方針
・森林や丘陵、河川敷の雑木林や草生地などの緑地については、保水や地球温暖化の抑制といった生活環境保全機能、または自然景観形成・観光資源といった観点からも重要なため、今後とも維持・保全を図る。

⑦計画的な都市的土地利用の実現に関する方針
・広域的な幹線道路沿道などの交通利便性の高い地域や、既に公共施設が相当程度に整備されている地域などで、新たな公共投資を要しない地区、または開発区域の周辺の市街化を促進するおそれがない地区については、既存コミュニティの維持や社会経済情勢への対応の観点から、将来都市像にあわせ、農林漁業との調整を図りつつ、地域の実情に応じたまちづくりを展開する。
・既成市街地以外の区域における開発等については、新たな市街化を促進するおそれがないと認められる行為に限定すべきである。

3-2.都市施設の整備に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)交通施設の都市計画の決定の方針

①基本方針
a.交通体系の整備方針
・集約型都市構造及び集約拠点の形成を支援するため、少子高齢社会への対応、環境負荷の軽減に寄与するよう、人にやさしい総合的な交通体系の構築を進める。
・一般国道・主要地方道・一般県道等の幹線道路の整備については、交通結節点を介した相互連携による公共交通の利便性の向上、子供から高齢者、障害者まで、全ての人が円滑で快適に移動できるユニバーサルデザインの構築を念頭に置いた安心・安全な交通環境の整備を進める。
・幹線道路の整備にあたっては、都市の結びつきに配慮し、都市間を連結する幹線道路の整備を進めるとともに、都市構造や市街地密度、地形条件を考慮し、都市の骨格を形成する道路を位置づけ、都市内交通の円滑な処理を図る。
・環境負荷の軽減、交通の円滑化(渋滞対策)、健康増進等の見地から、自転車道利用の促進と自転車関連事故の削減を図るため、通行空間の区分や路肩の活用等を進める。
・公共交通については、高齢者などの交通弱者の移動支援や環境負荷の軽減などを念頭に置き、関係機関との協力のもとで必要な施設整備を進める。
・また、都市計画道路で、長期末着手となっている路線については、計画の必要性や事業の実現性等を総合的に点検・検証し、計画の変更・廃止を含めた検討を行う。
b.整備水準の目標
・交通体系については、長期的視点に立ち整備を図っていくものとする。
・なお、広域的な交通需要に対する骨格道路については、周辺の土地利用を考慮し、整備する。

②主要な施設の配置の方針
a.道路
・一般国道18号は、長野、軽井沢方面への観光ルートとして重要な役割を担っており、高崎側では交通渋滞の緩和と、道路交通の安全確保を図るため、交差点部における改良・整備を推進する。
・3・3・10号南北中央幹線による南北方向の新たな交通軸の形成と、市街地の一体化を促進する地区間補助幹線道路等の一体的整備について検討する。
・道路の構造は、高齢者が歩きやすいよう、あるいは車いす等の通行が容易になるよう、歩道の段差解消等のバリアフリーを図ることにより、高齢者、障害者等全ての人にとって使いやすい構造とする。

③主要な施設の整備目標(道路)
・本区域で整備、またはおおむね10年以内に着手を予定する事業は、次のとおりである。
■主要な施設の整備目標(道路)
 種別/名称/整備予定/備考
 道路/3・3・1号国道18号の整備/A/国
 道路/3・4・15号磯部原市線の整備/A/市街路
 (※整備予定A:現在施工中、B:10年以内に着工予定)

(2)下水道の都市計画の決定の方針

①基本方針
a.下水道の整備の方針
・安全で快適な住環境の形成を図り、公共用水域の水質を保全し、良好な水環境を創出するため、下水道の整備を進める。
・下水道の計画的な整備を進め、普及率の向上を回る。
・人口が集中し、投資効果の高い地区等を中心に計画的な整備の促進を図る。
・その他の区域では、地域特性に応じた各種汚水処理施設により整備を図る。
・市街地の浸水被害を解消するため、雨水排水施設の整備を図る。
b.整備水準の目標
・下水道普及率を高めることを目標とする。
・その他の地域においても各種事業により、汚水処理を進めるものとする。

②主要な施設の配置の方針
・用途地域内の未整備地区を重点的に整備するとともに、5年に1度程度の浸水を解消するための整備を図る。

③主要な施設の整備目標
・本区域で整備、またはおおむね10年以内に着手を予定する事業は、次のとおりである。
■主要な施設の整備目標(下水道)
 種別/名称/整備予定
 下水道/利根川上流流域下水道(県央処理区)関連公共下水道/A
 (※整備予定A:現在施工中、B:10年以内に着工予定)

(3)河川の都市計画の決定の方針

①基本方針
a.河川の整備の方針
・現況の流下能力、災害の発生状況等を考慮して、治水面、環境面から必要な箇所について整備を行う。
・近年の都市化による都市内の保水・遊水機能の減少のため、河川が有する治水機能に支障をきたし、浸水被害が発生するおそれがあるところでは、土地利用の適正化に努める。
b.整備水準の目標
・河川整備計画が策定されていない河川のうち、今後計画的に整備を実施する場合は、整備計画を策定するとともに、その整備水準を検討していく。

②主要な施設の配置の方針
・必要な箇所について治水対策を行うとともに、良好な水辺環境づくりを推進する。

(4)その他の都市施設の都市計画の決定の方針

①基本方針
・機能的な都市活動の確保・向上を図るため、既存施設の維持・更新等を行うものとし、新たに必要となる都市施設の整備については、循環型社会形成への対応を念頭に、長期的展望及び広域的な連携も検討し、整備を進めるものとする。

②主要な施設の配置の方針
・火葬場は、周辺の環境の保全に配慮しつつ、既存のすみれケ丘聖苑の適正な維持管理を図る。
・資源の有限性とごみの効率処理という観点から、ごみの減量化を積極的に進めるとともに、再資源化、再利用に努め、既存の碓氷川クリーンセンターの適正な維持管理を図る。

3-3.市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針
(1)主要な市街地開発事業の決定の方針
・都市基盤が未整備のため、上地の有効利用が図られていない市街地や、木造住宅等が密集し、防災上改善が必要な地区、広域道路網が結節し産業発展の可能性が高い地区等については、土地区画整理事業や市街地再開発事業等の導入により、都市基盤整備の改善を図るとともに、都市機能の更新、土地の有効活用について検討する。
・なお、土地区画整理事業等を導入する際には、目指す市街地像及び長期的視点による事業成立性を明らかにするとともに、地域住民等の理解と協力を得ながら、事業の実施を目指す。

3-4.自然的環境の整備又は保全に関する主要な都市計画の決定の方針
(1)基本方針
・良好な自然的環境が残された地域は、永続的に担保されるよう整備、開発及び保全に留意し、総合的な緑地体系の確立を図るとともに、景観形成の向上に資する緑地として位置づける。
・身近なコミュニケーションやレクリエーションの場となる街区公園や近隣公園等の整備を図り、多様化するレクリエーション需要に対応するとともに、避難地ともなる地区公園や避難路となる緑道等の整備を行い、防災機能の強化を図るものとする。
・また、これら公園緑地の利用及び存在効果が高まるよう、緑地相互間を有機的に結び、公園緑地のネットワークを図ることで、緑豊かな環境が地域住民の身近なものとなるような配置を検討する。

(2)主要な緑地の配置の方針

①環境保全系統
・市街地周辺を流れる一級河川碓氷川と一級河川九十九川の河川緑地は、治水計画との整合を図りながら水質改善、オープンスペースとして位置づける。
・市街地内における社寺境内地の緑は、小規模なものでも身近で貴重な緑として保全するとともに、市街地内の工業用地では、環境保全を図るため緑地の配置に努める。
・また、市街地をとり囲むオープンスペースとして、市街地に接する農用地も位置づける。
・上信越高原国立公園、妙義荒船佐久高原国定公園及びこれに連なる森林は本区域の周囲を取り囲む骨格的緑地であり、大気の浄化や気象の安定、水源涵養や山地災害防止などに資するものであるため保全を図る。

②レクリエーション系統
・安中地域では、各住区におおむね4ヵ所の街区公園、1ヵ所の近隣公園を適正に配置する。
・住民の多様化するレクリエーションの需要に応えるため、西毛総合運動公園を配置する。
・小根山森林公園・野鳥の森は、横川駅周辺から坂本宿、碓氷峠一帯の観光・交流拠点と連携し、自然と親しむ広域的なレクリエーション・余暇活動の場として位置づける。

③防災系統
・山林等、自然災害発生のおそれがある場所については、これらの保全を行うとともに、保安林等法令により定められているものは、積極的に保全を図る。
・配置が計画される近隣公園・地区公園や都市基幹公園は、避難地・防災拠点として位置づけるとともに、上信越自動車道及び松井田妙義インターチェンジ、一般国道18号は広域的な避難路・輸送ルートとして位置づける。

④景観構成系統
・街並みの背景となる丘陵等を眺望できるよう、広場・公園・道路等の通景線について配慮した都市づくりを行う。
・また、歴史的意義のある場所である社寺林等は、郷土景観を構成する緑地として保全を位置づける。
・本区域の周囲を取り囲む森林や、水辺景観となる一級河川碓氷川、一級河川九十九川など、本区域のイメージを象徴する自然景観を保全する。
・坂本宿や丸山変電所、めがね橋など峠の町を象徴する景観を保全する。

⑤歴史的環境の保全
・横川駅から坂本宿、碓氷峠一帯では、鉄道の歴史を伝える施設や、中山道の宿場の面影を残している坂本宿など、歴史的な地域資源を保全する。
・松井田城跡周辺は地形変更しない緑地帯としての保全と活用を目指す。

⑥地域に特有な地形の保存
・北部の森林ゾーンは、県土の骨格を形成する自然緑地ゾーンであり、広域的な見地から保全を図る。
・また、一級河川碓氷川、一級河川九十九川の水辺は、広域都市圈を横断する骨格的な水辺環境軸であり、広域的見地から保全を図る。
・上信越高原国立公園、妙義荒船佐久高原国定公園及びこれに連なる森林は、隣接する高崎市、富岡市、下仁田町、長野県軽井沢町などと連担して県土の骨格を形成する自然緑地であり、広域的な見地から保全を図る。

(3)実現のための具体の都市計画制度の方針
 種別/方針
 公園・街区公園/主として街区内に居住する者の利用に供することを目的として配置する。
    近隣公園/主として近隣に居住する者の利用に供することを目的として配置する。
    地区公園/主として徒歩圈域内に居住する者の利用に供することを目的として配置する。
    運動公園/原則として、一の市町村の区域を対象として、住民が容易に利用できる位置に配置する。
  緑地/主として自然的環境を有し、環境の保全、公害の緩和、災害の防止、景観の向上及び緑道の用に供することを目的とし、土地利用等の現況・特性等を総合的に勘案し、配置する。
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コメント (2)
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