市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

ごみ談合でタクマ提訴の方針を公言していた岡田市長と市長室で面談していたタクマ執行役員との八百長的疑惑

2011-02-10 23:37:00 | オンブズマン活動

■今年の地元新年会で、安中市の岡田義弘市長が冒頭に誇らしげに語った安中市原市のごみ焼却施設「碓氷川クリーンセンター」を巡る談合問題への対応について、昨年12月30日に、安中市の住民ら11名が住民訴訟で岡田市長にタクマを提訴するよう求めた裁判の第一回口頭弁論が、2011年2月9日に前橋地裁で行われたことが、今朝の新聞で報じられました。

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住民訴訟 棄却求める
第1回口頭弁論 談合疑惑で安中市
 安中市のごみ焼却施設「碓氷川クリーンセンター」建設工事の入札時に談合があったとして、落札業者に損害賠償請求するよう、住民が岡田義弘市長に求めた住民訴訟の第一回口頭弁論が2月9日、前橋地裁(内藤正之裁判長)であった。市側は「賠償請求議案を市議会に提出しており、訴えの利益がない」などとして棄却を求める答弁書を提出した。
 原告側は「市が業者を提訴すれば、訴訟を取り下げざるを得ない」とした。市は訴訟で弁護士を依頼しない方針で、原告側は「勝訴する気があるとは思えない」と指摘した。
 市の賠償請求議案は市議会市民文教常任委員会で継続審査となっている。内藤裁判長は「市は議会の同意が得られるよう尽力してほしい」と述べ、次回の弁論期日を市議会三月定例会閉会後の3月23日とした。
(東京新聞2011年2月10日)
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訴え却下求める 安中ごみ施設談合訴訟 市長側が答弁書 前橋地裁
 安中市のごみ焼却施設、碓氷川クリーンセンター(1998年完成)を建設したタクマ(兵庫県尼崎市)が公正取引委員会による談合行為の排除措置を受けた問題で、安中市内の住民グループが岡田義弘市長に対し、損害賠償とタクマに請求するよう求めた訴訟の第1回口頭弁論が2月9日、前橋地裁(内藤正之裁判長)であった。
 被告側は「タクマには損害について支払いを求めており、損害補填の手だてを怠っているわけではない」とする答弁書を提出、訴えの却下を求めた。
 閉廷後、被告側は「訴えることは決めており、あとは議会次第。司法の問題ではない」と指摘。げ国側は、昨年の市議会で賠償請求の訴えの議決を求めた議案が継続審査となってことに触れ、「議案が可決されれば訴訟は取り下げざるを得ない」と話した。
(上毛新聞2011年2月10日)
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安中のごみ焼却施設談合:住民訴訟 市側、棄却求める「請求済み」--初弁論 /群馬
 安中市原市のごみ焼却施設「碓氷川クリーンセンター」の焼却炉工事を巡り、市民11人が岡田義弘市長を相手取り、受注した大手プラントメーカー「タクマ」(本社・兵庫県尼崎市)に13億2545万円の損害賠償を請求するよう求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が9月9日、前橋地裁(内藤正之裁判長)であった。市側は6億4859万円を請求済みとして棄却を求めた。
 訴状によると、公正取引委員会は2006年、焼却炉建設工事でタクマなど大手5社が談合を繰り返していたと認定。市民側は談合の疑われる同工事の予定価格の20%分を請求するよう求めている。
 市は昨年10月、予定価格の10%分をタクマに請求したが、タクマ側は「談合の事実はない」と拒否。市は同11月、損害賠償請求の提訴議案を市議会に提出したが、継続審議となっている。【喜屋武真之介】
(毎日新聞2011年2月10日)
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■この事件では、当会もオンブズマン活動の一環として、2010年10月12日付で住民監査請求を行っていましたが、全く役に立たない安中市の監査委員らは案の定、同11月30日付で棄却通知を送ってきました。これで晴れて住民訴訟に持ち込むことができることになりましたが、地方自治法が改悪されており、直接タクマを住民訴訟で提訴することができず、安中市長を相手取って提訴してみても、裁判所が自治体の見方をする群馬県では、時間と費用の無駄だと判断し、当会は12月30日の提訴期限までに、訴訟を提起することを断念しました。

 一方、安中市のほかの住民らは、12月30日の期限ぎりぎりに前橋地裁に訴状を提出し、このたび、第1回口頭弁論があったものです。

■岡田義弘安中市長は、住民に対しては、「説明責任」「情報公開」を盛んに口にして市民本位の市政を重視するポーズをとりますが、実はまったく別の思惑で行動します。

 今回のごみ談合問題でタクマへの損害賠償請求の話は、昨年11月下旬に、安中市原市のごみ焼却施設「碓氷川クリーンセンター」建設工事を請け負ったプラントメーカー「タクマ」(兵庫県尼崎市)に対し、「『入札時に談合が行われた疑いがある』として、不当につり上げられた約6億4800万円の損害賠償請求の訴えを起こす方針を決めた」とマスコミ報道されたものです。
 そして、岡田市長は2010年11月30日開会の市議会定例会で、この提訴について議案提出をしましたが、普段か手懐けている市議会与党会派から、「弁護士を付けないのは勝訴する気がない」などという理由であっさりと継続審査とされてしまいました。もし、今年3月に予定されている現市議会議員らの最後の定例議会で、再び継続審査となれば、タクマ提訴は廃案となります。
 安中市の職員らも、ごみ焼却を得意とする環境大手のタクマを相手に裁判することについて及び腰であり、このままだと、「せっかく市議会にタクマ提訴を議案提出したのに、市議会が反対するから、提訴をあきらめざるを得ない」という理屈で、「やむにやまれず涙をのんで提訴を見送った」という理由付けをされかねません。

 実際、本年4月17日告示、24日投開票が迫った安中市議会選挙に立候補を予定している候補者らは早くも戸別訪問でチラシを各戸配布していますが、いまのところ誰もこの件について触れているチラシはありません。タクマごみ談合により異常に高額で建設された安中市のごみ焼却施設について、損害賠償をタクマにすべきだという与党会派の議員は誰もおりません。

 ところが、岡田市長はそのような背景の中で、記者会見や地元新年会では「損害をこのままにしていては、行政として市民に説明できない。第三者機関に判断してもらう」などとして、「説明責任」や「情報公開」の重視の姿勢を強調するような空々しい言葉を並べたてています。

■なぜ、当会がそのような見方をするのかというと、岡田義弘市長が今年の元旦に全市の全戸に折り込みチラシとして配布した岡田義弘後援会報で、「市長の一日」と題して「12月22日(水)08:00多胡様来庁 09:00吉沢様来庁 10:00教育部打合せ 10:30記者発表 14:30片岡康精氏ほか来庁 16:00安中青年会議」というふうに市長の面談者を紹介しているからです。

 このうち、「片岡康精氏」には肩書きが記されていませんが、ネットでこの氏名で検索すると、株式会社タクマ 執行役員 プラント事業本部副本部長だとか「特定非営利活動法人(NPO) 資源リサイクルシステムセンター 理事」「株式会社タクマテクノス 代表取締役社長」などという肩書で同姓同名の人物がたくさん出てきます。

 仮に、2010年12月22日(水)午後2時半に岡田義弘市長が面談したのが、この人物だとすると、「損害をこのままにせず第三者機関の判断にゆだねる」と明言した言葉との整合性に疑問符が付きかねません。現在相撲協会を揺るがしている八百長問題ではありませんが、ガチンコ勝負を挑む相手と、実はしれっと面談して相談していたとなると、たとえ岡田市長がタクマを提訴しても、「八百長」ではないか、という疑念を住民はもつことでしょう。

 一方、タクマとしても、安中市からの2010年10月20日付内容証明による損害賠償請求書に対して、同11月4日付で安中市に送った回答書で、損害賠償を拒否したことから、もしも本気で安中市に提訴された場合、裁判所に顔のきく岡田義弘市長の心証を悪くするとまずい、と考えたのでしょう。あわてて、年末の挨拶を兼ねて、12月22日の午後2時半に、タクマの執行役員で同社プラント副本部長で、同社子会社であるタクマテクノスの代表取締役社長ら幹部が揃って岡田義弘市長に面談を申し入れたものと見られます。

 その席に、市役所の幹部も同席したのかどうかは分かりませんが、いずれにしても、直接間接を問わず、タクマ談合問題に関して、タクマは岡田市長の本気度を確認したかったに違いありません。そして、それに関連して何らかの密約が交わされたのかどうか、ということも住民にとっては大きな関心事です。

 それらは、議事録として残されていないでしょうから、確認のしようがありません。しかし、口利きを得意とする岡田市長ですから、タクマもそれなりの認識をもって、面談に臨んだことでしょう。

■一方、そのころ談合を繰り返していたタクマは、安中市原市にある碓氷川クリーンセンターのごみ焼却施設(能力45t炉/16時間×2セット)と、粗大ごみ粉砕施設(能力20t)と合わせて税込み総額64億8591万円で落札していますが、これがいかに高額なのかを示す好例が最近分かりました。

 ごみ談合の大手5社に入っていた日立造船のホームページのニュースリリースhttp://www.hitachizosen.co.jp/news-release/2011/01/1056.htmlによれば、同社は、2011年1月20日、北海道歌志内市に事務所を置き、滝川市他13市町からなる中・北空知廃棄物処理広域連合(泉谷和美広域連合長)から、ごみ焼却発電施設(85t/日=42.5t/日×2炉、発電量:1,770kW)建設工事を受注したことが掲載されています。このごみ焼却施設概要は次のとおりです。

<概要>
発 注 者 : 中・北空知廃棄物処理広域連合
工 事 名 : 一般廃棄物焼却処理施設建設工事
建 設 地 : 歌志内市字東光地内
施設規模 : ストーカ式焼却炉 (85t/日=42.5t/日×2炉、発電量:1,770kW)
納  期 : 平成25年3月末
受注金額 : 43億8,668万円(税抜き)又は46億601万4千円(税込)

 北海道のこのごみ焼却施設は、安中市のごみ焼却施設に比べると日量5トンほど小さいのですが、発電設備が併設されています。また安中市のごみ焼却施設にはごみの前処理用設備だとして日量20tの破砕機があるようですが、これを発電設備と相殺してみても、まだ、20億円ちかい差額が生じています。

 この差額分がすべて、談合による結果かどうかはすぐには断定できないかもしれませんが、13年前の完成時とくらべても、当時からの時間の経過や社会状況によるコストアップ要因を勘案しても、やはり談合による巨額の利益が生じたことを感じます。

■よって、一刻も早く、談合で不当に吊り上げられた分の公共工事費を取り戻すことは、市民の保有する固有の権利のはずです。

【ひらく会情報部】

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