市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その3)

2024-02-05 00:34:54 | スラグ不法投棄問題

館林北部団参工業団地の大同薬品工業関東工場

■知事からの通知には、上記の弁明書に対して反論する場合には、令和6年1月15日までに反論書が提出できるとあったので、当会会員は次の反論書を提出しました。

*****1/15知事あて反論書*****
(別紙:処分についての審査請求用)
                          令和6年1月15日
群馬県知事 山本一太 様

                  請求人 住所 館林市台宿町1-31
                      氏名 小林 光一

               反論書の提出について

 行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第30条第1項の規定に基づく反論書を、下記により提出します。

                    記

1 審査請求
  審査請求年月日: 令和5年10月27日付け
  事件名:「館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の土壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、土壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える土壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や士壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの十地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に土壌汚染されていることが想定される。トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の土対法に基づく県への届出書なども含む。)」の公文書部分開示決定に対する審査請求

2 開示請求公文書の特定について
  処分庁は、「『館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の士壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、土壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える土壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの土地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に士壌汚染されていることが想定される。トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の士対法に基づく県への届出書なども含む)。』という請求書の記載から、請求者は土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。以下「法」という。)の調査命令の発出に関する審査に関する文書の開示を求めているものと考えた。」としています。
  請求人は、行政内部で作成している公文書にどのようなものがあるのか、住民・納税者として行政の外に位置する者であるため、詳細については把握していないものの、本件請求の趣旨は、次のとおりです。
  館林市土地開発公社(当時。平成26年3月31日解散)が、同市下早川田町において造成した北部第三工業団地(16.4ha)のうち、㈱プラスチックホンダ(用地面積1.595ha。うち立地面積0.48ha)、ダノンジャパン㈱、大和ハウス工業㈱の3社(以下「ダノンなど3社」という)に平成24~25年にかけて(土対法第4条第1項に基づく形質変更届がそれぞれ平成25年1月18日、同年8月28日、同年11月19日とあることから推測。なお、大和ハウス工業はダノンが7.2haを館林土地開発公社から購入し、そのうち2.63haを譲渡されたと思われる)売却し、その後、残りの区画を平成26年2月に㈱トーモクに売却した。最初の3社が土対法第4条第1項に基づく形質変更届出を群馬県に提出した時、処分庁は「土対法施行規則第26条の該当は無いものと認められる」とし、東部環境事務所を通じて3社に対し「汚染のおそれなし」と通知した。だが、トーモクが平成30年に大同薬品工業㈱に2.7haの購入土地を譲渡したあと、大同薬品工業が土対法第4条第1項に基づく形質変更届出を群馬県に提出すると、処分庁は「汚染のおそれがある」として調査命令を通知しました。同じ時期に館林市土地開発公社が北部第三工業団地として造成した土地が、隣接しているのになぜ、最初の3社に対して「汚染のおそれがない」として調査命令を出さず、後の1社に対して「汚染のおそれがある」として調査命令を出したのか、審査請求人は「その理由が分かる情報」を開示請求しましたが、処分庁は部分開示として、必要な情報部分を不開示としたため、審査請求に及んだものです。したがって、ダノンなど3社に対して、なぜ調査命令の発出がなされなかったのか、その理由が分かる文書がすべてもれなく特定されていなければなりません。
  処分庁はまた、「法では、一定の規模以上の土地の形質の変更を行う場合、法第4条第1項の規定により事前に届出を行い、届出に係る土地が士壌汚染のおそれがあると認めるときは、法第4条第3項の規定により、知事は、当該士地の所有者等(土地の所有者、晉理者又は占有者をいう。以下同じ。)に対して土壌汚染状況調査(法第2条第2項)を命ずることができるとされている。」としています。
  この届出を広く周知させるために、環境省は次のパンフレットを作成しています。



  したがって、処分庁は、ダノンなど3社に調査命令を出さず、トーモク(大同薬品工業の土地所有者)に調査命令を出さなかったという判断を、以下の土地の基準に照らして、行っていたことになります。
      【②汚染のおそれがあると認められる土地の基準】
        ・特定有害物質による汚染が明らかな土地
        ・特定有害物質が埋設、飛散、流出、地下浸透した土地
        ・特定有害物質を製造、使用、処理した事業用地
        ・特定有害物質を貯蔵、補完した事業用地
        ・上記と同様の汚染のおそれのある土地
        例)道路拡張工事区域に昔、クリーニング店があった。
  すなわち、館林市の北部第三工業団地の土地が、これらの土地の基準に合致しているかどうかを処分庁はしっかりと検証しているかどうか、その過程が分かる情報が、開示請求公文書として特定されることになります。
  この観点から、部分開示された情報が黒塗りになっていることもあり、果たしてもれなく特定されているかどうか、冒頭に述べたとおり、請求人は、行政内部で作成している公文書にどのようなものがあるのか、住民・納税者として行政の外に位置する者であるため、詳細については把握できる立場になく、さらに、部分開示と称して、黒塗りされている状況では、開示請求対象となる公文書を請求人がはっきりと特定することは困難です。

3 群馬県情報公開条例における開示・不開示の解釈について
(1)処分庁は「群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第14条では、開示請求に係る公文書に不開示情報が記録されている場合は、当該公文書を開示してはならない旨を定めている。」と解釈するが、重要なのは不開示情報の定義である。処分庁は常にきれいごとだけを主張するが、実際には、公務員の守秘義務の名のもとに、原則開示による開かれた行政の実現とは真逆の暴挙を平然と犯しているのです。
(2)処分庁は「同条第3号は、法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報を定めている。」と解釈するが、この場合の「おそれがある情報」については、単に「おそれがある」というだけではダメであり、どのような権利や競争上の地位その他、正当な利益を害するのか、個別具体的にわかりやすく説明しなければなりません。ところが、処分庁は、県民への説明責任を全く果たそうとせず、単に「おそれがある」と弁明しているにすぎません。
(3)処分庁はまた、「同条第6号は、県が行う事務又は事業に関する情報の不開示情報の要件を定めている」として、「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」を引用して、縷々説明しますが、これらのなかで示す「当該事務又は事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかの判断」、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれとは、該当性の客観的な判断の必要があり、おそれの程度も法的保護に値するもの」、「検査とは、法令等の執行確保のためで、事前に公にすると行政客体の適正かつ公正な評価や判断が困難になったり、法令違反行為を助長したりするおそれがある」という説明は、意味が分かりません。単に「おそれがある」というだけではダメであり、どのような権利や競争上の地位その他、正当な利益を害するのか、個別具体的にわかりやすく説明しなければなりませんが、処分庁は、県民への説明責任を全く果たそうとせず、単に「おそれがある」と弁明しているにすぎません。

4 公文書を開示しない理由に対する意見
(1)不開示情報(電話相談)は条例第14条第6号(事務事業情報)イに該当しない
   処分庁は、対象公文書「館林市産業政策課(同公社)の担当者及び当課(処分庁)の担当者間での応対記録を供覧した文書」について、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとして、次の(ア)と(イ)を挙げました。それぞれについて反論します。
   (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
      処分庁は「相手方」が館林市産業政策課(同公社)だと認識しています。つまり、相手方も行政であり、「信頼」が最も重視されるべき組織です。相手方の情報は、すなわち、館林市民の財産でもあるのです。
      処分庁は、「相手方にとっては、当該情報を断りもなく開示されることは当然、想定していないと考えられます。また、当該公文書には法人情報に類する情報も含まれている」と主張しますが、この情報は平成23年6月29日のものです。今から13年近く前の既実施の情報が、なぜ今開示されると不都合なのでしょうか? また、この情報は、北部第三工業団地の土壌汚染という極めて重要なものであり、その後、館林市が約5.2億円の和解金をトーモクに支払う羽目になった端緒とも言える情報です。さらに処分庁は「法人情報に類する情報も含まれている」と説明していますが、「法人情報に類する情報」とは何でしょうか? 意味が分かりません。推察するに、おそらく北部第三工業団地として売り出す前の造成の段階で、フッ素化合物による土壌汚染が発覚し、その対策結果に関するやりとりだと推測されますが、館林市は、トーモクとの訴訟においても、一貫して北部第三工業団地は、既に土壌汚染対策済みなので、特定有害物質が含まれていない、つまり土壌汚染はない、ということを主張しています。なので、これ等の情報を開示しても、相手方の信用を失墜させるおそれはありません。
      処分庁は、この電話応対記録について「相手方から自主的に報告された情報及び当時の当課における土壌汚染のおそれの判断を含んでいる」としており、まさに、館林市が、トーモクとの裁判結果について、和解になったことにより、「汚染土壌はない、という当市の主張が裁判で認められた」と述べていることから、処分庁の弁明は失当です。
      なお、処分庁は、館林市や該当法人(北部第三工業団地に進出した企業?)に対して、請求人の開示請求について第三者照会による開示の可否をしましたか?しなかった場合は、その理由をお聞かせくださいますか?
      さらに処分庁は「相手からの自主的な報告や情報提供」だとしていますが、土壌汚染のおそれの判断は、土対法施行規則に基づくものですから、相手方から情報収集することは、むしろ義務だと言えます。
      にもかかわらず処分庁は「今後、当課において、法が規定する土壌汚染状況調査の契機(法第3条から第5条まで参照)では捕らえ切れない士壌・地下水汚染の把握を難しくさせるとともに、これらに対する適切な対策及び指導等も困難にさせ、ひいては法の施行にまで影響を及ぼすおそれが高いことから、『適正な遂行に支障を及ぼすおそれ』(同号本文)に該当する。」などと弁明し、適正な遂行すらためらうほどの意向がうかがえます。
      この背景として、処分庁は、この電話相談のやりとりを請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれがあるからではないでしょうか?
   (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不適切な対応を助長するおそれ
      処分庁は「これは、あくまでも同団地の土地に対しての土壌汚染のおそれの判断内容であって、広く同団地の土地以外の土地に対して一律に適用できる判断ではない。」と弁明するが、同団地の造成は一括して行われたとききます。つまり、ダノンなど3社が館林市から購入した土地と、トーモクが購入した土地ですから「一律に適用できる判断ではない」とする処分庁の弁明は矛盾します。
      また、処分庁は「当該判断内容が広く一般に通じるものと無用の誤解を与えるおそれが出て来る。」と弁明するが、逆に、当該判断内容が広く一般に通じるものでないということになりますと、これこそ行政の二重基準という不適切な対応をさらに助長するおそれが生じます。
      さらに処分庁は「その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態となる可能性が出て来る。」と弁明するが、行政客体(行政行為を受ける側の自然人ないし法人)が自己判断による不適切な対応をしないように、処分庁は、判断基準を広く明らかにすることが肝要です。
      こうしてみると、処分庁が「このように、行政客体による調査を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき土壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。」と弁明すること自体、既に処分庁が、自らの行政能力について、不安や懸念を抱いていることを示すものです。だから、同じ工業団地敷地内なのに、ダノンなど3社には調査命令を出さず、トーモクには調査命令を出すなど、ちぐはぐな判断を出す温床が厳然として存在しているのです。
      加えて処分庁は「このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき土壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に土壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)が達成できなくなることを意味する。」などと、もはや処分庁は、自ら公務員の業務所掌(行政において各部署が担当する業務範囲を定めたもの)を、自信をもって理解していないようです。業務分担を理解していないと、突発的な業務が発生したときに、適切な対応ができません。今回の処分庁の二重基準的判断がまさに如実に当てはまります。
      この背景として、やはり処分庁は、この電話相談のやりとりを請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれを抱いていることがうかがえます。
(2)不開示情報(審査情報)は条例第14条第3号(法人等事業情報)イ及び同条第6号(事務事業情報)イに該当しない
   処分庁は、対象公文書「同団地に進出する事業者から、法第4条第1項の規定による一定の規模以上の土地の形質の変更届出書が提出されたことを受け、当課が法に基づく審査を行ったことを示す文書」について、「届出書の内容及び届出者の事業内容に関する情報」と「届出に対して、当課が法に基づく審査を行った経緯・結果に関する情報」が含まれており、不開示の理由として、次のエとオを挙げました。このうちエは、今回の処分庁の弁明書で追加の不開示理由とされたものです。それぞれについて反論します。
  エ 条例第14条第3号(情人等事業情報)イ該当性について
    処分庁は「当該届出者は、法人たる株式会社であり、法第4条大2項の届出書に添付される情報は当該法人の事業に関する情報が含まれている」ので、「多くの場合、届出者は企画する事業戦略の一環として法第4条第1項による届出を行う」ことから、「添付情報の中に、土地の形質の変更を行う具体的場所に係る面積並びに平面図、立体図及び断面図、さらには事業の全体が把握できる計画図等、事業の内容が明らかにされ又は具体的に推測される情報が多く含まれている」ので「これらは第三者が通常一般には入手できない情報であり、これ等の情報を開示することは、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害する恐れが考えられる」として、不開示理由の弁明をしています。
    しかし、ダノンなど3社が東部環境事務所経由処分庁に土対法第4条第1項に基づく届出をしたのは、10年以上前の平成25年です。ダノンと大和ハウス工業については、ダノンが2014年5月13日にプレスリリースした情報(10ページ、11ページ参照)において、「ダノンジャパン株式会社(本社:東京都目黒区)は、日本でのヨーグルト需要の拡大に対応するため、 2013年より 2022年までに 、ダノンジャパンの国内唯一の生産拠点である館林工場(群馬県館林市)において施設の増設・新設 によって、生産能力を2倍に拡大する計画を進めています。その計画の一環として、館林工場に隣接する土地への物流 センターの誘致が決定し、建設の運びとなりました。」と公表しています。また、プラスチックホンダも、同社のHP上で、以下に示すとおり、館林工場のレイアウトや設備について詳細に公表しています。






    このように、現在では、企業はCSR(企業の社会的責任)やIR(投資家情報)の観点から積極的に自社の情報を公表しています。したがて、処分庁が「情報漏出で届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」と弁明するのは、すでにアナクロニズム(時代錯誤)による考え方そのものと言わざるを得ません。
    処分庁は続けて、「さらに、当課及び管轄環境事務所が行う所管法令及び所管法令以外の審査結果に関する情報には、届出者が届出を行おうとする土地で使用されている特定有害物質の種類や施設情報を推知できてしまうものもあり、仮に開示した場合、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えられる。」とし、「また、届出対象地周辺において、現に、土壌汚染による健康被害が確認されたという情報を県が把握していない以上、情報を開示しないことで人の生命、健康等の利益が法人等の権利利益を上回るとは考えられず、『人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが認められる情報を除く。』(条例第14条第3号ただし書)にも該当しない。」などと弁明するが、こうなると、トーモクが購入した土地に隣接するダノンの土地や、地続きのプラスチックホンダの土地についても、フッ素化合物による汚染のリスクについて、処分庁が認識していることになります。しかし、処分庁が土壌汚染のリスク(おそれ)を認識しているのであれば、それを看過してはならないはずです。なぜなら、現在PFAS(PFOS/PFOA等)に代表されるフッ素系化合物の問題は、有機、無機にかかわらず世界的な課題として注目されているからです。それなのに処分庁は、土壌汚染の及ぼす生活環境、自然環境、営農環境そして経営環境への影響を軽視あるいは無視し、情報の隠蔽というかたちで「臭いものには蓋」という弁明を行う始末です。こうした行政の姿勢が、日本を先進国の中でも三流にしてしまったと言っても過言ではありません。
    ここでもやはり処分庁は、この審査情報を請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれを抱いていることがうかがえます。
  オ 条例第14条第6号(事務事業情報)イ該当性について
    処分庁は、対象公文書である審査に係る事務の情報は「検査」に該当し、かつ「当該事務又は事業の性質上」に該当すると弁明し、その根拠として土対法第56条(資料の提出の要求等)第2項「都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、必要な資料の送付その他の協力を求め、又は土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関し意見を述べることができる。」の定めに基づくとして、「上記審査のみに使用するとして、使用目的を限定して関係行政機関から提供された情報を含み、審査の効率化を図るため当課で加工した情報である。上記土壌汚染のおそれに関する情報には、公共安全情報(条例第14条第4号)としての性格を有するものも含まれる。ただし、これらの情報は、上記のとおり当課で加工したものであり、公共安全情報に直接該当するものではないと思料し、『県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報』(条例第14条第6号本文)に該当する。」などと苦しいこじつけをした挙句、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとして、次の(ア)と(イ)を挙げました。それぞれについて反論します。
   (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
      処分庁は「相手方」について、「情報を提供した関係行政機関」としていますが、対象公文書は「届出者の事業内容に関する情報」と「届出に対して、当課(処分庁)が法に基づく審査を行った経緯・結果に関する情報」のはずですので、相手方とは「行政客体」のことではないでしょうか? 処分庁の認識が不適切と考えます。
      仮に、「相手先」が情報を提供した関係行政機関だとして、それが例えば、館林市や、県の出先の行政機関(東部環境事務所など)であるとしても、当該情報を住民に開示することで、なぜ、「今後、関係行政機関から必要な協力を得られない可能性が強く懸念される」のでしょうか? そして処分庁が「この場合、今後、当課では土対法に基づく適正な審査を行えなくなることを意味する」となぜ考えなければならないのでしょうか? 
      ここでもやはり処分庁は、この審査情報を請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれを抱いていることがうかがえます。
   (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不適切な対応を助長するおそれ
      処分庁は「当該公文書は、当課による土壌汚染のおそれの判断内容を含んだものであるが、この判断はあくまでその当時施行されていた法令に基づくものである。判断は、法令等の新たな施行に基づき、その都度されるものである。この内容を開示することにより、法に基づく届出をしようとする者や自主的な土壌汚染対策をする者等の行政客体に、現状においても、当該判断内容が広く一般に通じるものとの誤解を与えるおそれがある。」と弁明するが、判断が法令等の新たな施行の都度、大幅に変わるとは考えにくいと思われます。しかも、その当時の審査情報を開示しても、誰もそれが現在でも通用するとは考えないでしょう。なぜなら、都度、行政客体は、その時点での法令等に基づき、行政主体に対して接するためです。処分庁がこれほどまでに、「自己判断による不適切な対応を助長するおそれ」を強調する背景には、処分庁自らが、何らかのかたちで不適切な対応をしたことを危惧していることがあるのではないでしょうか? だとすれば、率直に不開示情報を開示し、再発防止に努めることで、行政主体としての信頼が担保できるのではないでしょうか?
      処分庁はさらに、「このことは、これを判断の拠り所の一つとして法解釈の錯誤を生じさせ、その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態が生じる可能性が出てくる。」と懸念を示し、「このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき士壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に士壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成できなくなることを意味する。」とまで異様に細部にわたって弁明するが、ダノンなど3社からの10年以上前の形質変更届出に対する審査と、平成30年のトーモクからの形質変更届出に対する審査が異なる結果となったのかを検証することが、なぜ処分庁の適正な事務事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるのか、全く理解できません。むしろ、不開示情報を開示するほうが、行政主体としての信頼が担保できるのではないでしょうか?
      やはり処分庁は、この審査情報を請求人に開示すると、非常に都合の悪い事情がバレてしまうおそれを抱いているのでしょうか? だとすれば、本末転倒です。

5 審査請求人の主張に対する反論への再反論
(1)審査請求の理由1関係
   処分庁は「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。」などと弁明するが、ここまで理不尽なこじつけまでして、不開示を正当化しようとする姿勢こそ、「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げている」証左です。群馬県の公務員のモラルはここまで落ちぶれたのでしょうか?
(2)審査請求の理由2関係
   処分庁は「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。」などと弁明するが、ここまで理不尽なこじつけまでして、不開示を正当化しようとする姿勢こそ、「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げている」証左です。群馬県の公務員のモラルはここまで落ちぶれたのでしょうか?
(3)審査請求の理由3
   処分庁は「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。」などと弁明するが、ここまで理不尽なこじつけまでして、不開示を正当化しようとする姿勢こそ、「条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げている」証左です。群馬県の公務員のモラルはここまで落ちぶれたのでしょうか?
(4)審査請求の理由4
   反論書で述べた通り、処分庁の不開示の判断は不当であり、弁明の内容は失当です。
(5)審査請求の理由5関係
   反論書で述べた通り、処分庁の不開示の判断は不当であり、弁明の内容は失当です。
(6)審査請求の理由6関係
   請求人は、ダノンなど3社に対して土壌汚染のおそれがなく、トーモクに対して土壌汚染のおそれがあるとして調査命令を発しました。ダノンなど3社のうち、ダノンは世界的な食品メーカーです。その日本法人であるダノンジャパンは日本で唯一館林市内に工場を保有して稼働させております。仮にここの土壌が隣地のトーモクの土地と同様に、フッ素化合物による土壌汚染が事実だとすると、その影響は計り知れません。処分庁もご存知でしょうが、大同薬品工業㈱に転売されたトーモクの土地(2.7ha)の土壌汚染対策として、館林市は裁判所の和解条項に基づき、約7.2億円を一般会計から支払いました。請求人は館林市の納税者・市民として、トーモクの場合と同様に、栽培所の和解条項にもとづき、土壌検査費用や排客土による原状復旧の費用を一般会計から負担させられるリスクは絶対に回避しなければならないと確信しております。なぜなら、ダノンの土地はトーモクの約3倍の7.2haもあるからです。
   したがって、不開示情報は条例第14条第3号イの但し書き「人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く」に該当することは明らかです。
(7)審査請求の理由7関係
   反論書で述べた通り、処分庁の不開示の判断は不当であり、弁明の内容は失当です。
(8)審査請求の理由8関係
   処分庁は「請求人が『今回の処分は直ちに取り消されなければなりません。』と主張している点について、上記のとおり、処分の取消しは不適当であると考える。」と呆れた弁明をするが、請求人が求めているのは、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第4条第1項の規定に基づき、 一定の規模以上の土地の形質の変更(工事)を行う場合、着工の30日前までに都道府県知事等に届出が必要であることから、ダノンなど3社について、どのように審査が行われ、その結果、土壌汚染のおそれがなかった、その審査過程と結論についての検証に必要な情報です。
   請求人の調べによると、平成23年6月29日に館林市産業政策課から処分庁に電話相談があった時点では、館林市は既に北部第三工業団地の土地がフッ素汚染されていることを承知していたからです。なぜなら、館林市(公社)は、プロファ設計㈱に対して、北部第三工業団地の土壌調査業務委託をしており、プロファ設計から平成22年8月、10月、11月、平成23年1月、2月にかけて、5度にわたり報告書(その1からその5まで)を受領しており、その中で、「フッ素が2区画で指定基準値を超過していた」(その1)、「調査した163区画のうち、9区画でフッ素の溶出量基準値を超過していた」(その4)などの記載がありました。
   ですので、平成23年6月29日の処分庁と館林市産業政策課(公社)の職員とのやりとりでは、当然、北部第三工業団地の造成区域内の土地について、土壌汚染に関する認識について相談は合ったものと推測できます。
   請求人は、フッ素を含む土壌が北部第三工業団地の造成区域内で発見されたことは、間違いなく市外から持ち込まれた有害物質によるものと考えています。そもそもフッ素は、鉄鋼の精練工程で不純物の吸収材として「蛍石」が好んで使用されることから、群馬県内では大同特殊鋼㈱渋川工場、県外では埼玉県の朝日工業㈱埼玉工場、千葉県のJFEスチール㈱東日本製鉄所、日本製鉄㈱君津製鉄所で副産物のスラグとして発生することが推測されます。このうち、運搬距離を考えると、請求人は、やはり県内の企業が輩出したスラグが原因だと強く推認しています。
   そもそも、なぜ、館林市の北部第三工業団地の土壌がフッ素化合物で汚染されていたのか、その原因を特定しないまま、館林市はなぜ北部第三工業団地を造成し販売してしまったのか、また、土壌汚染対策法に基づき調査命令を出す権限を持っている群馬県も、なぜ傍観者を決め込んでしまっているのか、こうした事情や背景が明らかになっていません。不開示情報にそのヒントがあるとすれば、なぜ不開示にしなければならないのでしょうか?
   別紙の令和3年10月14日付で館林市長が請求人に対して発出した「館林市行政文書公開許諾通知書」は、平成30年5月28日付と平成30年10月14日付の「トーモク売却土地(北部第三工業団地)に関する打合せ結果(報告)」ですが、それぞれ、同年5月23日と10月11日に、館林市経済部産業政策課とトーモク及びその子会社のスウェーデンハウスが館林市役所とトーモク本社(都千代田区丸の内)で打ち合わせた概要が記されています。
   このうち、平成30年度10月11日の打合せ報告の2頁目の下から10行目で、トーモク側は次の発言をしています。
    「トーモク野土地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様なことが想定されるのではないか。(北部第三工業団地内で)既に工場建設が済んでいるところについて、県が調査命令を出していないのは県にも誤りがあったのではないか。裁判となれば県の証言も必要ではないか。」
   このことから、館林市(被告)とトーモク(原告)との裁判でも、原告・被告の双方から、処分庁である群馬県に訴訟参加や証拠申立などの相談があってしかるべきと考えます。しかし、訴訟記録をみても、処分庁が訴訟に関与した痕跡は見当たりません。
   館林市の北部第三工業団地に関するHPには、「ダノンジャパン株式会社 企業情報(PDF:78.7KB) 所在:下早川田町110-1(地番) 注:未操業地」とあります。他方、ダノンの2014年のプレスリリースによると「また、計画第2期にあたる2017年~ 2022年には、 現工場および 物流 センターに隣接する新たな工場を建設し、生産ラインを6本設置、既存工場とあわせて、2013年比2倍の生産能力を実現します。」とあります。
   しかし、いまだに未操業どころか、新たな工場の建設もされていないようです。この理由が、フッ素による土壌汚染だとしたら、係争となり、瑕疵付きの工業団地を売りつけたとして、再び係争になりかねません。
   処分庁は、このような土壌汚染対策として、例えば、大同特殊鋼渋川工場から排出されたフッ素を含む鉄鋼スラグで汚染された場所の地表を、簡易舗装で覆えば、雨水から遮断されるので重金属の溶出が防げるとしており、群馬県もこのような対策を容認しています。
   館林市とトーモクとの係争でも、群馬県が積極的に事前の段階から関与し、助言や証言を行っていれば、館林市は一般会計から約7.2億円(ママ。正しくは約5.2億円)もの支出をせずに済みました。
   今回の処分が取り消され、なぜ、土壌調査命令が発出されなかったのか、ダノンなど3社が立地する土地が、再びトーモクのような係争状態にならないよう、館林市の納税者市民である請求人としては、その経緯をしっかりと検証して、再発防止に努める責務があります。なぜなら、納税者市民・県民として、請求人は、二度と、有害物質を排出した原因者に代わって、館林市が尻拭いをすることのないようにしたいからです。

                             以上

別紙:令和3年10月14日付館林市行政文書公開諾否決定通知書および開示文書一式
**********

■以上のとおり、群馬県は、館林市土地開発公社が一括して造成した館林北部第三工業団地を分譲した土地について、トーモク(のちに大同薬品工業)が所有する土地はフッ素汚染のおそれがあるとして土壌調査命令を出し、ダノン(大和ハウス工業分を含む)やプラスチック・ホンダが所有する土地は土壌汚染のおそれがないとして土壌調査命令を出しませんでした。

 しかし、その理由を確かめようと、当会会員が情報開示請求しても、黒塗りの文書しか出してきません。仮に、ダノンが未だに工場建設をしていない、トーモクの隣の敷地が、フッ素汚染が原因だとして、工場建設に着手できないとなると、再び館林市に対して損害賠償請求訴訟を提起することが懸念されます。


ダノンジャパンの未操業の土地。ここの土壌がフッ素で汚染? なお、中央奥に見えるのが大同薬品工業関東工場。

 ダノンジャパンが購入した土地は、大和ハウス工業分と合わせて7.2ヘクタールあります。一方、トーモクが購入して大同薬品工業に転貸した土地は2.7ヘクタールでした。仮に、ダノンジャパンの土地の汚染土壌を除去するとなると、既に建物が建っている日立物流センターの2.63ヘクタールを除く、まだ更地のままとなっている4.57ヘクタール分だけでも、トーモクの土壌汚染除去した土地のほぼ2倍に当たります。となると、トーモクに支払った約5.2億円を単純に面積比で計算すると約10億円の汚染土壌除去費用がかかることになりかねません。

 ダノンジャパンは、隣のトーモクの土地で土壌汚染問題が発生し、訴訟に発展し、裁判所から和解勧告が出されて、全面的に館林市が損害賠償責任を負う形で決着がついたことを知っているはずです。この問題について、館林市長や、土壌汚染対策法に基づき土壌調査命令を出す立場にある群馬県知事はこれまで館林市民にひた隠してきましたが、今に至り、一体どのように認識しているのか、当会は、今回の審査請求を通じて、問い直して行く必要があると考えています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その2)

2024-02-05 00:29:27 | スラグ不法投棄問題

館林北部第二工業団地にある既存のダノンジャパンの工場

■これに対し、令和5年12月13日付県支広第40-35号で、群馬県知事から当会会員あてに、処分庁から次の内容の弁明書が送られてきました。

*****11/30知事からの弁明書*****
(別紙:処分についての審査請求用)

                  弁 明 書


 下記1の審査請求について、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定により下記のとおり弁明する。

                   記

1 審査請求
  審奎請求年月日:令和5年10月27日付け
  事件名:「館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の土壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、士壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える士壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの士地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に土壌汚染されていることが想定される。 トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の土対法に基づく県への届出書なども含む。)」の公文書部分開示決定に対する審査請求

2 開示請求公文書の特定について
   「館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の士壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、土壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える土壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの土地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に士壌汚染されていることが想定される。トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の士対法に基づく県への届出書なども含む)。」という請求書の記載から、請求者は土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。以下「法」という。)の調査命令の発出に関する審査に関する文書の開示を求めているものと考えた。
   法では、一定の規模以上の土地の形質の変更を行う場合、法第4条第1項の規定により事前に届出を行い、届出に係る土地が士壌汚染のおそれがあると認めるときは、法第4条第3項の規定により、知事は、当該士地の所有者等(土地の所有者、晉理者又は占有者をいう。以下同じ。)に対して土壌汚染状況調査(法第2条第2項)を命ずることができるとされている。
   同団地の土地において株式会社トーモクが所有する土地で工場を建設しようとした大同薬品工業株式会社が、平成30年3月1日付けで法第4条第1項の規定による一定の規模以上の土地の形質の変更の届出を提出し、この届出に対し県が法に基づく審査を行った結果、当該届出に係る土地について土壌汚染のおそれがあるとして平成30年4月5日付けで法第4条第3項の規定により土地の所有者等である株式会社トーモクに対し土壌汚染状況調査を命じている。
   この届出のほかに、同団地の土地において、株式会社トーモク及び大同薬品工業株式会社に係る届出は提出されていないことから、「トーモクが館林市から取得した士地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出」とは、この平成30年3月1日付けで大同薬品工業株式会社が提出した法第4条第1項の届出であると考えた。
   また、「トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報」とは、同団地の土地において工場建設等の目的で法第4条第1項の届出が提出されたもののうち、株式会社トーモクが所有する士地における法第4条第1項の届出が提出された平成30年3月1日以前に届出が提出され、事務処理が完結しているものについて、その届出の審査を含む事務処理に関する文書及び同団地の土壌汚染のおそれに関連する情報を記録した文書が該当するものとして文書を特定した。
   すなわち、平成30年3月1日時点で既に事務処理が完結している「平成25年2月12日付け環保第30046-97号」、「平成25年9月19日付け環保第30046-62号」及び「平成25年12月10日付け環保第30046-124号」を特定した。また、土壌汚染のおそれに関連する情報を記録した文書として、同団地造成当時の館林市産業政策課(館林市土地開発公社(当時))及び群馬県(環境保全課(以下「当課」という。))間の応対記録を特定した。

3 群馬県情報公開条例における開示・不開示の解釈について
  (1)群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第14条では、開示請求に係る公文書に不開示情報が記録されている場合は、当該公文書を開示してはならない旨を定めている。
  (2)同条第3号は、法人等に関する情報の不開示情報としての要件を定めている。
    ア 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の某準」では、「法人その他の団体」(同号本文)には、株式会社等の会社が含まれるとされている。
    イ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「法人その他の団体・・・に関する情報」(同号本文)とは、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報など、法人等と何らかの関連性を有する情報を指すとされている。
    ウ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、同号ただし書の解釈として、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないとされている。この場合には、現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれるとされている。
      なお、法人等の事業活動と人の生命、健康等に対する危害などとの明確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害などの発生が予想される場合もあり得るとされている。
    エ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、同号イに該当する可能性のある情報の会社における具体例として、販売計画など販売上の戦略が明らかにされ又は具体的に推測される情報で通常一般に入手できないものを挙げている。
  (3)同条第6号は、県が行う事務又は事業に関する情報の不開示情報としての要件
を定めている。
    ア 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準Jでは、「当該事務又は事業の性質上」(同号本文)とは、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断するに当たっては、当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法などに照らして行うという趣旨であるとされている。
    イ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)とは、実施機関に広範な裁駄権限を与える趣旨ではなく、各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり、また、事務又は事業がその根拠となる規定又はその趣旨に照らして公益的な開示の必要性などの種々の利益を考慮した上での「適正な遂行」と言えるものであることが求められるとされている。 「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要求されるとされている。
    ウ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「検査」(同号イ)とは、法令等の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格・等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べることをいうとされ、事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価、判断を加えた上で、一定の決定を伴うことがある事務であるとされている。また、このような事務に関する情報の中には、事前に公にすれば、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となったり、行政客体における法令違反行為又は法令違反に至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したりするなどのおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とするとされている。

4 公文書を開示しない理由
   以下の(1)及び(2)のとおり、上記3で示した不開示情報に該当するものについて、開示しない理由を述べる。
   なお、不開示清報に該当するものに、当課及び管轄環境事務所が行う所管法令及び所管法令以外の審査結果に関する情報があり、これらは、当初、条例第14条第6号イに該当するとして不開示としたが、検討の結果、同条第3号イにも該当することから、この点について、以下の(2)エのとおり不開示の理由を追加する。
  (1)本件審査請求に係る公文書(平成23年度作成 士壌汚染対策法(4条相談等関係))に記載されている館林市産業政策課(館林市士地開発公社(当時))との応対及び法に基づく審査に関する情報を、条例第14条第6号イに該当するとして不開示とした。
    ア 対象公文書の説明
      対象公文岩は、館林市産業政策課(同公社)の担当者及び当課の担当者間での応対記録を供覧した文書である。
    イ 背景となる制度やそれに関する事務の流れ、関係法令の説明
      当課では、事業者等から法に関する相談があった場合は必要に応じてその応対記録を作成し、適切な期間保存している。
    ウ 不開示とした情報の説明
      当該公文書には、同団地の土地における法に基づく審査に関する情報が含まれている。
    エ 条例第14条第6号イ該当性について
       まず、当該公文書における当課の判断は、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」 (同号本文)に該当する。
       次に、当該公文書は、土壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成するため、土地の所有者等に土壌汚染状況調査を実施させるための要件該当性(法第4条第3項、法施行規則第26条各号)を判断するにあたり参考となる資料の一部である。その判断に当たっては、土壌汚染のおそれに関する情報を調べる必要があることから、当該審査に係る事務は「検査」(同号イ)に該当し、「当該事務又は事業の性質上」(同号本文)に該当する。
       そして、次の(ア)及び(イ)のとおり、当該公文書は、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」 (同号木文)に該当する。
      (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
          当該公文書は、当時の館林市土地開発公社が造成した館林市北部第三工業団地に係る上壌汚染対策に関する館林市産業政策課(同公社)の担当者(以下「相手方」という。)との応対記録であり、相手方から自主的に報告された情報及びその情報に基づく当時の当課における土壌汚染のおそれの判断を含んでいる。相手方にとっては、当該情報を断りもなく開示されることは当然、想定していないと考えられる。また、当該公文書には法人情報に類する情報も含まれている。
          これらを開示することは、当課に対する相手方からの信用を失墜させ、以後、相手方からの自主的な報告や情報提供、聴取への応諾等が行われなくなることが危惧される。
          このことは、今後、当課において、法が規定する土壌汚染状況調査の契機(法第3条から第5条まで参照)では捕らえ切れない士壌・地下水汚染の把握を難しくさせるとともに、これらに対する適切な対策及び指導等も困難にさせ、ひいては法の施行にまで影響を及ぼすおそれが高いことから、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
      (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不適切な対応を助長するおそれ
          当該公文害には、上記(ア)のとおり、同団地の土地を対象にして自主的に報告された情報及びその情報に基づく当課における同土地に対する土壌汚染のおそれの判断が含まれているが、これは、あくまでも同団地の土地に対しての土壌汚染のおそれの判断内容であって、広く同団地の土地以外の土地に対して一律に適用できる判断ではない。しかし、開示することによって、法に茎づく届出をしようとする者や自主的な土壌汚染対策をする者等の行政客体をして、当該判断内容が広く一般に通じるものと無用の誤解を与えるおそれが出てくる。また、これを判断の拠り所の一つとして法解釈の錯誤を生じさせ、その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態となる可能性が出てくる。
          このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき土壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に土壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)が達成できなくなることを意味する。
          こうしたことから、当該公文書を開示することは、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握を困難にするおそれがあることから、上記(ア)と同様に、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
       以上の理由から、不開示とした。
  (2)本件審査請求に係る公文書(平成24年度及び平成25年度作成 土壌汚染対策法第4条に基づく一定の規模以上の土地の形質の変更届出書について(H24-82、H25-47及びH25-111))に記載されている届出者に関する情報及び当課における法に基づく審査に関する情報を、それぞれ、条例第14条第3号イ及び同条第6号イに該当するとして不開示とした。
    ア 対象公文書の説明
       対象公文書は、同団地に進出する事業者から、法第4条第1項の規定による一定の規模以上の土地の形質の変更届出書が提出されたことを受け、当課が法に基づく審査を行ったものである。
    イ 背景となる制度やそれに関する事務の流れ、関係法令の説明
       法第4条第1項では、一定の規模以上の土地の形質の変更をしようとする者は、土地の形質の変更に着手する30日前までに知事に届け出なければならないとされている。そして、知事は、当該土地が特定有害物質(法第2条第1項)によって汚染されているおそれがある、すなわち、士壌汚染のおそれがあると認めるときは、当該土地の所有者等に対し、土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、調査し報告することを命ずることができる(法第4条第3項)。
       法を所管する当課では、届出書の内容及び届出対象地における、当課で収集した土壌汚染のおそれに関する情報に基づき、法施行規則第26条各号の要件該当性の判断に係る審査を行う。また、届出者に対して、当該届出を受理した旨を通知している。
    ウ 不開示とした情報の説明
       当該公文書は、法第4条第1項の規定に基づく届出の情報として、届出者の事業内容に関する情報が含まれ、また、届出に対して、当課が法に基づく審査を行った経緯・結果に関する情報が含まれる。
    エ 条例第14条第3号イ該当性について
       当該届出者は、法人たる株式会社であり、法第4条第1項の届出書に添付される情報は当該法人の事業に関する情報が含まれている。多くの場合、届出者は企図する事業戦略の一環として法第4条第1項による届出を行うものであるが、添付情報の中には、土地の形質の変更を行う具体的場所に係る面積並びに平面図、立面図及び断面図、さらには事業の全体が把握できる計画図等、事業の内容が明らかにされ又は具体的に推測される情報が多く含まれている。これらは第三者が通常一般には入手できない情報である。これらの情報を開示することは、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが考えられる。
       さらに、当課及び管轄環境事務所が行う所管法令及び所管法令以外の審査結果に関する情報には、届出者が届出を行おうとする土地で使用されている特定有害物質の種類や施設情報を推知できてしまうものもあり、仮に開示した場合、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えられる。
       また、届出対象地周辺において、現に、土壌汚染による健康被害が確認されたという情報を県が把握していない以上、情報を開示しないことで人の生命、健康等の利益が法人等の権利利益を上回るとは考えられず、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが認められる情報を除く。」(条例第1 4条第3号ただし書)にも該当しない。
       以上の理由から、不開示とした。
    オ 条例第14条第6号イ該当性について
       まず、当該公文書における当課の判断は、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」(同号本文)に該当する。
       次に、当該公文書における法に基づく審査は、士壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成するため、土地の所有者等に土壌汚染状況調査を実施させるための要件該当性(法第4条第3項、法施行規則第26条各号)を判断するものである。その判断に当たっては土壌汚染のおそれに関する情報を調べる必要があることから、当該審査に係る事務は「検査」(同号イ)に該当し、「当該事務又は事業の性質上J (同号本文)に該当する。
       ここで、上記土壌汚染のおそれに関する情報とは、法第56条第2項に基づき、上記審査のみに使用するとして、使用目的を限定して関係行政機関から提供された情報を含み、審査の効率化を図るため当課で加工した情報である。上記土壌汚染のおそれに関する情報には、公共安全情報(条例第14条第4号)としての性格を有するものも含まれる。ただし、これらの情報は、上記のとおり当課で加工したものであり、公共安全情報に直接該当するものではないと思料し、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」(条例第14条第6号本文)に該当する。
       そして、次の(ア)及び(イ)のとおり、当該公文書は、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
      (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
          当該公文書は、上記のとおり使用目的を限定して提供された情報を含んだものであることから、情報を提供した関係行政機関においては当該情報を開示することは当然想定していないと考えられ、仮に開示すれば、それは目的外の使用に当たることから、関係行政機関と当課との信頼関係が著しく損なわれ、今後、関係行政機関から必要な協力を得られない可能性が強く懸念される。この場合、今後、当課では上記法に基づく適正な審査を行えなくなることを意味するものであり、これは、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれJ (同号本文)に該当する。
      (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不滴切な対応を助長するおそれ
          当該公文書は、当課による土壌汚染のおそれの判断内容を含んだものであるが、この判断はあくまでその当時施行されていた法令に基づくものである。判断は、法令等の新たな施行に基づき、その都度されるものである。この内容を開示することにより、法に基づく届出をしようとする者や自主的な土壌汚染対策をする者等の行政客体に、現状においても、当該判断内容が広く一般に通じるものとの誤解を与えるおそれがある。
          このことは、これを判断の拠り所の一つとして法解釈の錯誤を生じさせ、その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態が生じる可能性が出てくる。
          このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき士壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に士壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成できなくなることを意味する。
          こうしたことから、当該公文書を開示することは、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握を困難にするおそれがあることから、上記(ア)と同様に、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
       以上の理由から、不開示とした。

5 審査請求人の主張に対する反論
(1)審査請求の理由1関係
    審査請求人(以下「請求人」という。)が「処分庁は対応日時、相手方、対応者以外の部分を不開示とし、その理由を(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4   (1)工のとおり、条例第1  4条第6号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。
(2)審査請求の理由2関係
    請求人が「土対法施行規則第26条で定める基準による審査内容及び結果、(中略)を不開示とし、その理由を(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4(2)オのとおり、条例第14条第6号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。なお、検討の結果、同条第3号イにも該当していたことから、上記4(2)エにおいて不開示の理由を追加した。
(3)審査請求の理由3関係
    請求人が「土地の形質の変更の規模、(中略)を不開示とし、(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4(2)エのとおり、条例第14条第3号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。
(4)審査請求の理由4関係
    請求人が「群馬県情報公開条例第14条第6号イには、(中略)上記1と2に示した黒塗り箇所が、なぜこの条項に該当するのか、全く理解できません。」と主張している点について、1は上記4(1)で、2は上記4(2)で示したとおりである。
(5)審査請求の理由5関係
    請求人が「群馬県情報公開条例の解釈と運用基準によれば、同条例第14条第6号イの解説(4)で、(中略)この観点からの判断の経過と結果について説明がされないまま黒塗りの部分開示処分されたことは、容認できません。」と主張している点について、上記4(1)エ及び4(2)オで示したとおりである。
(6)審査請求の理由6関係
    請求人が「群熙県情報公開条例第14条第3号イには、(中略)但し書きとして「人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く」と付記されています。本件黒塗り情報はまさにこの但し書きに該当しています。」と主張している点について、上記4(2)エで示したとおりである。
(7)審査請求の理由7閲係
    請求人が「群馬県情報公開条例の解釈と運用基準によれば、同条例第14条第3号イの解説(4)で、(中略)「単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる」としており、この観点からの判断と結果についての説明がなされないまま黒塗りの部分開示処分されたことは、容認できません。」と主張している点について、上記4(2)エで示したとおりである。
(8)審査請求の理由8関係
    請求人が「今回の処分は直ちに取り消されなければなりません。」と主張している点について、上記のとおり、処分の取消しは不適当であると考える。

    令和5年11月30日
                     群馬県知事 山本 一太
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項つづく】

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