■4月15日の東京新聞が地方版で報じた前橋市政策部長による2018年10月のニューヨーク出張が実は公費64万2800円を掛けた豪遊旅行同然だったという報道記事について、当会では4月17日の定例会で話題となり、参加した会員の皆様から「県都前橋の恥だ。このまま放置できないので、当会として何らかの行動を起こし、広く前橋市民、群馬県民に事実関係を公表すべきだ」との意見が相次ぎました。その結果、直ちに住民監査請求を行うことが決まり、さっそく4月19日付で前橋市長に本件に係る住民監査請求書を提出しました。
まずは4月15日の報道記事を見てみましょう。
**********東京新聞2021年4月15日 08:02
ZIP ⇒ 20210415liossoj.zip
<財政検証>元前橋市部長 1泊4万円のホテル3泊 公費で計64万2800円 18年、米国視察で
↑前橋市が情報公開した文書。中央の文書の最下段「所感」は8行にとどまる。左上は64万円の請求書↑
前橋市の元部長が二〇一八年の在任時に公費で前橋商工会議所役員らの米国視察に同行し、一泊四万円の高級ホテルに三泊した上、各所で酒類を含む高級料理も飲食し、交通費などを含め総額六十四万二千八百円の旅費が支出された実態が分かった。本紙が市に情報公開請求した文書で判明。元部長の出張報告は約二百四十字にとどまり、一九年度包括外部監査報告書が「内容が不十分。支出目的に合致しないなら支出の要否を検討すべき」と指摘している。(菅原洋)
元部長は取材に「(報告が不十分との指摘に)反省している」と述べた。文書の写しと元部長によると、視察は商工会議所が市に同行者を出すように依頼し、元部長が選ばれた。
日程は一八年十月二十四〜二十八日で、ニューヨークに四日間滞在。繁華街のマンハッタン中心部にある大型ホテルに泊まり、一人でツインルームを使った。
日程表では、初日はチャイナタウンでランチを食べ、高層の「エンパイアステートビル」の展望台へ。夕食はステーキだった。
二日目は現地駐在の複数の経済人から講義を受け、ランチは日本食。夜は経済人らとの懇親会が開かれ、すしなどが出たという。
三日目は再開発などの様子を視察し、ランチはイタリア料理。夜はハドソン川をフェリーで渡り、マンハッタンの夜景を楽しみながら洋食を食べた。
帰国後に元部長が提出した出張報告の復命書には、ニューヨークに歴史的な建造物が多い点に触れ「(前橋市で)区画整理が未実施の古い町並みも見方を変えれば歴史的な雰囲気を味わえる」などと記した。
ただ、出張報告は八行にとどまり、包括外部監査報告書は「今後の施策を検討するに資するよう詳細な記載や提案が求められる。六十四万三千円の費用をかけた結果としては不十分」と指摘している。
元部長は「(帰国後)忙しくて時間がなく、いいかげんさが出てしまった。監査の指摘はもっともで、長文の報告を添付するべきだった。今後はこの経験を生かしたい」と説明した。
一方、市職員等の旅費に関する条例では、部長職が国内出張した場合の宿泊料の上限は一泊一万二千五百円で、海外の場合は国家公務員などの旅費を基準にする。ただ、元部長によると、条例は市の公務で出張する場合に適用し、今回のように外部から誘われた出張は上限の規定はない。
元部長は「一泊四万円は条例などに違反はしていないが、規定に比べれば高い」と語った。
**********
■政務部長の出張復命書には所感として次の記載があります。
**********
ニューヨークという世界経済の中心として新しい高層ビルが立ち並ぶイメージがあったが、20世紀初頭に建てられた歴史的な建造物も多く、そうした建物をリノベーションした商業施設が大いに賑わっていた。
本市においては歴史的な建物は数少なくなってしまったが、三中地区のような区画整理が未実施の古い町並みも、見方を変えれば歴史的な雰囲気を味わえる地区としてスポットを浴びる可能性もあるのではないかと感じた。
余談ではあるが、激しい渋滞と交通ルールを守らないドライバーが多いニューヨークの交通事情を見ると、自動運転車の普及は程遠いのではないかと感じた。
**********
僅か8行のこの所感が、64万8000円の公費を使った視察出張の成果品として、前橋市役所では通用するのですから、呆れ果ててしまいます。新聞記事にもあるとおり、報告が「不十分」であることは明らかで、この程度の報告であれば、ネットでニューヨークについて5分間程度調べれば、すぐにでも書けるでしょう。前橋市の政策部長が自ら現地視察調査に赴いたのであって、子どもの使いではないのですから、しかるべき鋭い視点で職位に相応しい報告が為されてしかるべきです。それができなかったのであれば、自らの負担とすべきなのは当然のことです。
↑NYへの豪遊旅行が取りざたされている2018年度当時の政策部長↑
■というわけで、公費を使ってニューヨーク3泊5日の豪遊旅行をした当時の政策部長には、きちんと費用を返還していただかねばなりません。さっそく、4月19日に次の内容で住民監査請求書を前橋市長あてに提出し、受理されました。
*****4/19住民監査請求書*****ZIP ⇒ os1.zip
前橋市職員措置請求書
前橋市長に関する措置請求の要旨
1 請求の要旨
(1) 誰が(請求の対象となる執行機関又は職員)
2018年当時の前橋市政策部長(以下「元部長」という)
(2) いつ、どのような財務会計上の行為をしたか
ア 元部長は、2012年4月15日付け東京新聞朝刊の群馬・栃木版(事実証明書1)によれば、2018年10月24日~28日の5日間にわたり、前橋商工会議所が企画した「前橋商工会議所議員視察研修会」に前橋市役所から同行し、公費合計64万2800円を費消したと報じられた。
イ 19年度包括外部監査報告書によれば、この事業の担当部課は「政策推進課」で、負担金等の名称は「政策部長の管外出張に係る他団体負担金」とあり、事業 内容は「前橋市のまちづくりに関する視察」で、研修の目的・期待される効果は「市民、企業・団体、行政と連携した今後のまちづくりの実現に向けて、米国在住の群馬・前橋にゆかりのある方々との意見交換や再開発に関する先進市視察を行うもの」とされていた。
(3) それはどのような理由で違法又は不当であるのか
ア この事業の概要は、前橋商工会議所が企画した前橋商工会議所議員視察研修会に前橋市の政策部長が同行することで、市民、企業・団体、行政と連携した今後のまちづくりの実現に向けて、米国在住の群馬や前橋にゆかりのある方々との意見交換を行うとともに、再開発に関する先進市視察を行う事業であるはずなのに、参加した政策部長の復命書によると、240文字程度に視察結果がまとめられている程度であること。
イ 特に視察目的の「現地有識者との意見交換」については、関係資料が添付されているが、結果については触れられていないこと。
ウ この負担金は、今後の前橋市のまちづくりの一助とすべく支出したものであることから、前橋市民納税者である請求者としては、その復命書には前橋市の今後の施策を検討するに資するよう詳細な記載や提案が求められるものと考えるが、しかしながら5日間で64万2800円の費用をかけて視察に行った結果の復命書としては、1字あたり2700円に相当し、あまりにも公費の無駄遣いが著しいこと。
エ 報道記事によれば、「(開示された)文書の写しと元部長によると、視察は商工会議所が市に同公社を出すように依頼し、元部長が選ばれた」としており、元部長が統括する政策推進課をして、政策部長である自分本人を選出するように誘導させたことがうかがえ、公正、公平、透明な人選手続きとは見なせないこと。
オ 元部長はニューヨークに4日間滞在中、繁華街のマンハッタン中心部にある大型ホテルに泊まり、一人でツインルームを使い、1泊4万円を支出するなどしたが、これについて、元部長は「1泊4万円は条例などに違反はしていないが、規定に比べれば高い」と報道記事において、記者の取材に答えており、規定額を超過していることを認めていること。
カ 前橋市職員等の旅費に関する条例では、部長職が国内出張した場合の宿泊料の上限は1泊1万2500円で、海外旅行の旅費の場合は、条例第19条で「職員が外国旅行をした場合の旅費については、国家公務員等の旅費に関する法律の規定を基準として市長がそのつど定める」として、国家公務員などの旅費を基準にするとあるが、元部長は報道記事の中で「条例は市の公務で出張する場合に適用し、今回のように外部から誘われた出張は上限の規定はない」と説明している。しかし、今回の旅行は、外部から誘われたこととは関係なく、市の公務であることは明らかであること。仮に元部長の主張のとおり、公務出張の適用外であれば、有給休暇を取得して参加すればよいこと。
キ 国家公務員等の旅費に関する法律では、ニューヨークのような指定都市における宿泊料1泊4万200円は内閣総理大臣および最高裁判所長官に対して支給される金額であり、指定職の職務にある者でさえ1泊2泊5700円であり、二級以下の職務にある者では1泊1万6100円であること。よって、1泊4万円のホテル代の全額支給は不当であること。
ク なお「外国旅行の旅費は、最終的には市長がそのつど定める」としているが、市長が1泊4万円もの高額ホテル代を認めるはずがないこと。
(4) その結果、前橋市にどのような損害が生じたのか
ア 公務多忙な部長が5日間にわたり高額な旅費を支給され、高級ホテルに宿泊して、「前橋市のまちづくりに関する視察」を行ったのであるから、それに見合うだけの、少なくとも50ページを超える報告書の提出がしかるべきところ、僅か240文字の、しかも内容の乏しい復命書しか提出しておらず、ただの物見遊山で貴重な前橋市の公務をおろそかにしたことにより、本件に係る費用64万2800円の公費が無駄に支出されたことによる損害。
イ 本来であれば、このような公務ではない物見遊山の旅行は、有給休暇を使うべきところ、部長職でありながら自らを出張者として選任し、公務だとして有給休暇を取得せずに5日間も無意味な旅行を行ったことによるアブセンスフィー(派遣職員の不在補償料)、すなわち、5日間も公務をないがしろにして無意味な旅行に費やした不在期間の給与を前橋市民納税者から徴収した血税を原資にした公金から支出したことによる損害。なお、金額は「元部長の月額給与×0.25(5日間/20日間)」で算出できる。
(5) 監査委員にどのような措置を講じることを求めるのか
市長が、元部長に前項(4)のア、イに示す金額を前橋市に返還させるよう、監査委員は市長に勧告してください。
2 請求者
・ 住所 群馬県前橋市文京町一丁目15番10号
・ 氏名 鈴木 庸 (自署・押印)
(・ 連絡先(電話番号等)) 090-9134-2942
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
令和3年4月19日
前橋市監査委員(あて)
別紙:事実証明書
1 2021年4月15日付新聞報道記事
ZIP ⇒ 20210415liossoj.zip
2 前橋市職員等の旅費に関する条例
ZIP ⇒ ose.zip
3 国家公務員等の旅費に関する法律
ZIP ⇒ kokkakoumuintou_no_ryohini_kansuru_houritu.zip
4 国家公務員等の旅費支給規程
ZIP ⇒ kokkakoumuintou_no_ryohi_sikyuu_kitei.zip
以上
**********
■今後の本件の進展状況について、都度ご報告してまいる所存です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
【4月20日追記】
前橋市政策部長が物見遊山で参加した前橋商工会議所主催の視察報告書を入手しました。参加した民間の経済人の方々はそれぞれの視点と立場で参加されたのでしょうが、前橋市政策部長に限っては、この報告書に投稿した一文を見ても、明らかに観光旅行であったことが容易に想像できます。
ここで「視察」と「見学」の違いを考えてみました。
視察とは「現地、現場に行き、その実際の様子を見極めること。」を意味します。「見極める」には「物事を深く知る・判定する」などの意味があります。すなわち、「視察」は、見る側の人間が見極めて判定しなければなりません。
そうしますと、前橋市政策部長が多額の公費を使って参加しましたが、政策部長にとっての関心事は、自由の女神と移民の人たちだったわけで、本来の訪米目的のはずの「前橋市のまちづくりに関する視察」に資する成果はまったく挙げられなかったことは明らかで、これはまさに「見学」としか言いようがありません。なので、今回、返還請求をすべきであると判断しました。
なお、驚くべきことに、商工会関係筋によれば、元前橋市政策部長だった稲田氏は現在、前橋商工会議所の役員におさまっているとのことです。
*****前橋商工会議所の視察報告書*****ZIP ⇒ 2019.0111ohcs_ny.zip
ニューヨークの経済情勢と再開発の現状
前橋商工会議所議員視察報告
参加企業一覧(敬称略・順不同)
・中屋商事㈱
・カネコ種苗㈱
・池下工業㈱
・小林工業㈱
・平方木材㈱
・シャープドキュメント富士㈱
・群馬ビル㈱
・㈱ジンズ
・河本工業㈱
・ぐんぎんリース㈱
・しののめ信用金庫㈱
・朝日印刷工業㈱
・前橋市
・事務局
リーマンショックから10年、アメリカ経済は一時の厳しい状況を脱し、実質経済成長率が堅調に伸び、失業率は一時の厳しい状況を脱し、実質経済成長率が堅調に伸び、失業率は1969年以来、最低の水準で推移するなど、力強い回復を見せています。
前橋商工会議所では、世界経済の中心であるニューヨークの最近の動きを実施に視察するとともに、同地の第一線で活躍されている方々と意見交換し、今後の地方における経済政策のあり方を考えるべく平成30年10月24日から30日にかけて22名の参加をいただき議員視察をおこないました。
◆個人的には2年ぶりのニューヨークだったのですが、のっけからマンハッタンの風物詩でもあったタクシーのイエローキャプがウーバーの台頭で姿を消えつつあるのを見、また、(おそらくアマゾンの進出によると思われますが)近々百貨店が閉店するといった情報を聞くに及んで、最先端の経済状況が目まぐるしく変化していることを実感させられました。日本総領事館を始め、8名の方からニューヨーク経済の近況、トランプ政権に対する評価などを終日かけて講演いただきましたが、世界が変わっていく、という思いを新たにした、ニューヨークの今、を実感できる意義ある視察でした。
団長 組織運営委員会委員長 小島 秀薫
<2日目>NY経済事情講義
・ノムラ・リサーチ・インスティチュート・アメリカ社長 山口隆夫氏
・日本貿易振興機構ニューヨーク事務所長 畠山一成氏
・日本政府観光局ニューヨーク事務所長 伊勢尚史氏
・プライスウォーターハウスクーパース 中島孝明氏
・日本銀行米州統括役 神山一成氏
公式訪問
・在ニューヨーク日本国総領事館
・東京海上日動アメリカ
・群馬銀行ニューヨーク支店
↑群馬銀行ニューヨーク支店にて↑
群馬銀行のニューヨーク支店の出店経緯や現地において果たしている役割についてお話を伺った。
↑経済事情講義風景(日本クラブにて)↑
現地で活躍されている方々からアメリカ国内外の経済情勢についてそれぞれの立場からお話をいただいた。
◆様々なメディアを通し、ニューヨークの情報には触れていましたが、実際に行ってみるとやはり感じるものが違います。世界中から多種多様な人々が集まっており、街行く人々は目を輝かせ、歩くスピードが速い。とにかく活気があり、24時間動き続けている街だと感じました。
視察のなかで特に印象に残ったのは「911メモリアルミュージアム」です。二度とあってはならないこの出来事を鋼製に伝えるという強い意志を感じるとともに、それでも前に進むというアメリカ国民の力強さを感じました。今も進化し続けているニューヨークマンハッタンのパワーを感じ、帰国の途についた視察研修でした。
ぐんぎんリース㈱代表取締役社長 南 繁芳
<3日目>主な行程
マンハッタン・チェルシー地区等再開発事情視察
・グランドセントラル駅
・ハドソンヤード再開発プロジェクト
・ハイライン~チェルシー周辺
・ブルックリン地区等再開発事情視察
・911メモリアルミュージアム視察
↑グランド セントラル ターミナル↑
地下に29面のホームと、46の発着番線を持つターミナル駅。マンハッタンを代表する歴史的建造物である。床面は大理石が使われ、天井には星座が描かれている。
↑ハドソンヤード再開発地区↑
↑チェルシーマーケット↑
↑911メモリアルミュージアム↑
残された鉄骨
<4日目>自由行動
<5日目>主な行程
・セントラルパーク散策
・メトロポリタン美術館
・食品スーパー「トレーダージョーズ」視察
↑メトロポリタン美術館↑
↑食品スーパー「トレーダージョーズ」↑
◆私の好きな映画の一つに「ゴッド ・ファーザー」があリます。
PARTⅡの冒頭、9歳のピトーが故郷シチリアを追われ、一人移民船に乗り込み、アメリカに到着して初めて目にしたのが「自由の女神」でした。
多くの移民の人たちが自由の女神を見て、希望を持ったのだと思います。
実際に目にしたニューヨークでは、様々な人種の人たちが、様々な生活をしている様子に触れることができました。
アメリカの繁栄は移民によってもたらされたものですが、当然、影の部分もあります。アメリカが移民政策をどうするのか。アメリカのみならず、世界経済にも影響を与えることなので、今後とも見守っていきたいと思います。
前橋市政策部長 稲田 貴宣
トランプ大統領の政治手腕には様々な意見もあり、保護主義的経済政策が悪影響を及ぼすとの見方もされていますが、ニューヨークの街や人々の様子から、現況のアメリカ経済は、極めて好調であると感じました。
また、様々な分野の第一線でご活躍されている方々から実体験のお話を伺うことができ、貴重な体験の5日間の視察でした。多くの関係者の皆様に心から感謝申し上げ報告といたします。
**********
まずは4月15日の報道記事を見てみましょう。
**********東京新聞2021年4月15日 08:02
ZIP ⇒ 20210415liossoj.zip
<財政検証>元前橋市部長 1泊4万円のホテル3泊 公費で計64万2800円 18年、米国視察で
↑前橋市が情報公開した文書。中央の文書の最下段「所感」は8行にとどまる。左上は64万円の請求書↑
前橋市の元部長が二〇一八年の在任時に公費で前橋商工会議所役員らの米国視察に同行し、一泊四万円の高級ホテルに三泊した上、各所で酒類を含む高級料理も飲食し、交通費などを含め総額六十四万二千八百円の旅費が支出された実態が分かった。本紙が市に情報公開請求した文書で判明。元部長の出張報告は約二百四十字にとどまり、一九年度包括外部監査報告書が「内容が不十分。支出目的に合致しないなら支出の要否を検討すべき」と指摘している。(菅原洋)
元部長は取材に「(報告が不十分との指摘に)反省している」と述べた。文書の写しと元部長によると、視察は商工会議所が市に同行者を出すように依頼し、元部長が選ばれた。
日程は一八年十月二十四〜二十八日で、ニューヨークに四日間滞在。繁華街のマンハッタン中心部にある大型ホテルに泊まり、一人でツインルームを使った。
日程表では、初日はチャイナタウンでランチを食べ、高層の「エンパイアステートビル」の展望台へ。夕食はステーキだった。
二日目は現地駐在の複数の経済人から講義を受け、ランチは日本食。夜は経済人らとの懇親会が開かれ、すしなどが出たという。
三日目は再開発などの様子を視察し、ランチはイタリア料理。夜はハドソン川をフェリーで渡り、マンハッタンの夜景を楽しみながら洋食を食べた。
帰国後に元部長が提出した出張報告の復命書には、ニューヨークに歴史的な建造物が多い点に触れ「(前橋市で)区画整理が未実施の古い町並みも見方を変えれば歴史的な雰囲気を味わえる」などと記した。
ただ、出張報告は八行にとどまり、包括外部監査報告書は「今後の施策を検討するに資するよう詳細な記載や提案が求められる。六十四万三千円の費用をかけた結果としては不十分」と指摘している。
元部長は「(帰国後)忙しくて時間がなく、いいかげんさが出てしまった。監査の指摘はもっともで、長文の報告を添付するべきだった。今後はこの経験を生かしたい」と説明した。
一方、市職員等の旅費に関する条例では、部長職が国内出張した場合の宿泊料の上限は一泊一万二千五百円で、海外の場合は国家公務員などの旅費を基準にする。ただ、元部長によると、条例は市の公務で出張する場合に適用し、今回のように外部から誘われた出張は上限の規定はない。
元部長は「一泊四万円は条例などに違反はしていないが、規定に比べれば高い」と語った。
**********
■政務部長の出張復命書には所感として次の記載があります。
**********
ニューヨークという世界経済の中心として新しい高層ビルが立ち並ぶイメージがあったが、20世紀初頭に建てられた歴史的な建造物も多く、そうした建物をリノベーションした商業施設が大いに賑わっていた。
本市においては歴史的な建物は数少なくなってしまったが、三中地区のような区画整理が未実施の古い町並みも、見方を変えれば歴史的な雰囲気を味わえる地区としてスポットを浴びる可能性もあるのではないかと感じた。
余談ではあるが、激しい渋滞と交通ルールを守らないドライバーが多いニューヨークの交通事情を見ると、自動運転車の普及は程遠いのではないかと感じた。
**********
僅か8行のこの所感が、64万8000円の公費を使った視察出張の成果品として、前橋市役所では通用するのですから、呆れ果ててしまいます。新聞記事にもあるとおり、報告が「不十分」であることは明らかで、この程度の報告であれば、ネットでニューヨークについて5分間程度調べれば、すぐにでも書けるでしょう。前橋市の政策部長が自ら現地視察調査に赴いたのであって、子どもの使いではないのですから、しかるべき鋭い視点で職位に相応しい報告が為されてしかるべきです。それができなかったのであれば、自らの負担とすべきなのは当然のことです。
↑NYへの豪遊旅行が取りざたされている2018年度当時の政策部長↑
■というわけで、公費を使ってニューヨーク3泊5日の豪遊旅行をした当時の政策部長には、きちんと費用を返還していただかねばなりません。さっそく、4月19日に次の内容で住民監査請求書を前橋市長あてに提出し、受理されました。
*****4/19住民監査請求書*****ZIP ⇒ os1.zip
前橋市職員措置請求書
前橋市長に関する措置請求の要旨
1 請求の要旨
(1) 誰が(請求の対象となる執行機関又は職員)
2018年当時の前橋市政策部長(以下「元部長」という)
(2) いつ、どのような財務会計上の行為をしたか
ア 元部長は、2012年4月15日付け東京新聞朝刊の群馬・栃木版(事実証明書1)によれば、2018年10月24日~28日の5日間にわたり、前橋商工会議所が企画した「前橋商工会議所議員視察研修会」に前橋市役所から同行し、公費合計64万2800円を費消したと報じられた。
イ 19年度包括外部監査報告書によれば、この事業の担当部課は「政策推進課」で、負担金等の名称は「政策部長の管外出張に係る他団体負担金」とあり、事業 内容は「前橋市のまちづくりに関する視察」で、研修の目的・期待される効果は「市民、企業・団体、行政と連携した今後のまちづくりの実現に向けて、米国在住の群馬・前橋にゆかりのある方々との意見交換や再開発に関する先進市視察を行うもの」とされていた。
(3) それはどのような理由で違法又は不当であるのか
ア この事業の概要は、前橋商工会議所が企画した前橋商工会議所議員視察研修会に前橋市の政策部長が同行することで、市民、企業・団体、行政と連携した今後のまちづくりの実現に向けて、米国在住の群馬や前橋にゆかりのある方々との意見交換を行うとともに、再開発に関する先進市視察を行う事業であるはずなのに、参加した政策部長の復命書によると、240文字程度に視察結果がまとめられている程度であること。
イ 特に視察目的の「現地有識者との意見交換」については、関係資料が添付されているが、結果については触れられていないこと。
ウ この負担金は、今後の前橋市のまちづくりの一助とすべく支出したものであることから、前橋市民納税者である請求者としては、その復命書には前橋市の今後の施策を検討するに資するよう詳細な記載や提案が求められるものと考えるが、しかしながら5日間で64万2800円の費用をかけて視察に行った結果の復命書としては、1字あたり2700円に相当し、あまりにも公費の無駄遣いが著しいこと。
エ 報道記事によれば、「(開示された)文書の写しと元部長によると、視察は商工会議所が市に同公社を出すように依頼し、元部長が選ばれた」としており、元部長が統括する政策推進課をして、政策部長である自分本人を選出するように誘導させたことがうかがえ、公正、公平、透明な人選手続きとは見なせないこと。
オ 元部長はニューヨークに4日間滞在中、繁華街のマンハッタン中心部にある大型ホテルに泊まり、一人でツインルームを使い、1泊4万円を支出するなどしたが、これについて、元部長は「1泊4万円は条例などに違反はしていないが、規定に比べれば高い」と報道記事において、記者の取材に答えており、規定額を超過していることを認めていること。
カ 前橋市職員等の旅費に関する条例では、部長職が国内出張した場合の宿泊料の上限は1泊1万2500円で、海外旅行の旅費の場合は、条例第19条で「職員が外国旅行をした場合の旅費については、国家公務員等の旅費に関する法律の規定を基準として市長がそのつど定める」として、国家公務員などの旅費を基準にするとあるが、元部長は報道記事の中で「条例は市の公務で出張する場合に適用し、今回のように外部から誘われた出張は上限の規定はない」と説明している。しかし、今回の旅行は、外部から誘われたこととは関係なく、市の公務であることは明らかであること。仮に元部長の主張のとおり、公務出張の適用外であれば、有給休暇を取得して参加すればよいこと。
キ 国家公務員等の旅費に関する法律では、ニューヨークのような指定都市における宿泊料1泊4万200円は内閣総理大臣および最高裁判所長官に対して支給される金額であり、指定職の職務にある者でさえ1泊2泊5700円であり、二級以下の職務にある者では1泊1万6100円であること。よって、1泊4万円のホテル代の全額支給は不当であること。
ク なお「外国旅行の旅費は、最終的には市長がそのつど定める」としているが、市長が1泊4万円もの高額ホテル代を認めるはずがないこと。
(4) その結果、前橋市にどのような損害が生じたのか
ア 公務多忙な部長が5日間にわたり高額な旅費を支給され、高級ホテルに宿泊して、「前橋市のまちづくりに関する視察」を行ったのであるから、それに見合うだけの、少なくとも50ページを超える報告書の提出がしかるべきところ、僅か240文字の、しかも内容の乏しい復命書しか提出しておらず、ただの物見遊山で貴重な前橋市の公務をおろそかにしたことにより、本件に係る費用64万2800円の公費が無駄に支出されたことによる損害。
イ 本来であれば、このような公務ではない物見遊山の旅行は、有給休暇を使うべきところ、部長職でありながら自らを出張者として選任し、公務だとして有給休暇を取得せずに5日間も無意味な旅行を行ったことによるアブセンスフィー(派遣職員の不在補償料)、すなわち、5日間も公務をないがしろにして無意味な旅行に費やした不在期間の給与を前橋市民納税者から徴収した血税を原資にした公金から支出したことによる損害。なお、金額は「元部長の月額給与×0.25(5日間/20日間)」で算出できる。
(5) 監査委員にどのような措置を講じることを求めるのか
市長が、元部長に前項(4)のア、イに示す金額を前橋市に返還させるよう、監査委員は市長に勧告してください。
2 請求者
・ 住所 群馬県前橋市文京町一丁目15番10号
・ 氏名 鈴木 庸 (自署・押印)
(・ 連絡先(電話番号等)) 090-9134-2942
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
令和3年4月19日
前橋市監査委員(あて)
別紙:事実証明書
1 2021年4月15日付新聞報道記事
ZIP ⇒ 20210415liossoj.zip
2 前橋市職員等の旅費に関する条例
ZIP ⇒ ose.zip
3 国家公務員等の旅費に関する法律
ZIP ⇒ kokkakoumuintou_no_ryohini_kansuru_houritu.zip
4 国家公務員等の旅費支給規程
ZIP ⇒ kokkakoumuintou_no_ryohi_sikyuu_kitei.zip
以上
**********
■今後の本件の進展状況について、都度ご報告してまいる所存です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
【4月20日追記】
前橋市政策部長が物見遊山で参加した前橋商工会議所主催の視察報告書を入手しました。参加した民間の経済人の方々はそれぞれの視点と立場で参加されたのでしょうが、前橋市政策部長に限っては、この報告書に投稿した一文を見ても、明らかに観光旅行であったことが容易に想像できます。
ここで「視察」と「見学」の違いを考えてみました。
視察とは「現地、現場に行き、その実際の様子を見極めること。」を意味します。「見極める」には「物事を深く知る・判定する」などの意味があります。すなわち、「視察」は、見る側の人間が見極めて判定しなければなりません。
そうしますと、前橋市政策部長が多額の公費を使って参加しましたが、政策部長にとっての関心事は、自由の女神と移民の人たちだったわけで、本来の訪米目的のはずの「前橋市のまちづくりに関する視察」に資する成果はまったく挙げられなかったことは明らかで、これはまさに「見学」としか言いようがありません。なので、今回、返還請求をすべきであると判断しました。
なお、驚くべきことに、商工会関係筋によれば、元前橋市政策部長だった稲田氏は現在、前橋商工会議所の役員におさまっているとのことです。
*****前橋商工会議所の視察報告書*****ZIP ⇒ 2019.0111ohcs_ny.zip
ニューヨークの経済情勢と再開発の現状
前橋商工会議所議員視察報告
参加企業一覧(敬称略・順不同)
・中屋商事㈱
・カネコ種苗㈱
・池下工業㈱
・小林工業㈱
・平方木材㈱
・シャープドキュメント富士㈱
・群馬ビル㈱
・㈱ジンズ
・河本工業㈱
・ぐんぎんリース㈱
・しののめ信用金庫㈱
・朝日印刷工業㈱
・前橋市
・事務局
リーマンショックから10年、アメリカ経済は一時の厳しい状況を脱し、実質経済成長率が堅調に伸び、失業率は一時の厳しい状況を脱し、実質経済成長率が堅調に伸び、失業率は1969年以来、最低の水準で推移するなど、力強い回復を見せています。
前橋商工会議所では、世界経済の中心であるニューヨークの最近の動きを実施に視察するとともに、同地の第一線で活躍されている方々と意見交換し、今後の地方における経済政策のあり方を考えるべく平成30年10月24日から30日にかけて22名の参加をいただき議員視察をおこないました。
◆個人的には2年ぶりのニューヨークだったのですが、のっけからマンハッタンの風物詩でもあったタクシーのイエローキャプがウーバーの台頭で姿を消えつつあるのを見、また、(おそらくアマゾンの進出によると思われますが)近々百貨店が閉店するといった情報を聞くに及んで、最先端の経済状況が目まぐるしく変化していることを実感させられました。日本総領事館を始め、8名の方からニューヨーク経済の近況、トランプ政権に対する評価などを終日かけて講演いただきましたが、世界が変わっていく、という思いを新たにした、ニューヨークの今、を実感できる意義ある視察でした。
団長 組織運営委員会委員長 小島 秀薫
<2日目>NY経済事情講義
・ノムラ・リサーチ・インスティチュート・アメリカ社長 山口隆夫氏
・日本貿易振興機構ニューヨーク事務所長 畠山一成氏
・日本政府観光局ニューヨーク事務所長 伊勢尚史氏
・プライスウォーターハウスクーパース 中島孝明氏
・日本銀行米州統括役 神山一成氏
公式訪問
・在ニューヨーク日本国総領事館
・東京海上日動アメリカ
・群馬銀行ニューヨーク支店
↑群馬銀行ニューヨーク支店にて↑
群馬銀行のニューヨーク支店の出店経緯や現地において果たしている役割についてお話を伺った。
↑経済事情講義風景(日本クラブにて)↑
現地で活躍されている方々からアメリカ国内外の経済情勢についてそれぞれの立場からお話をいただいた。
◆様々なメディアを通し、ニューヨークの情報には触れていましたが、実際に行ってみるとやはり感じるものが違います。世界中から多種多様な人々が集まっており、街行く人々は目を輝かせ、歩くスピードが速い。とにかく活気があり、24時間動き続けている街だと感じました。
視察のなかで特に印象に残ったのは「911メモリアルミュージアム」です。二度とあってはならないこの出来事を鋼製に伝えるという強い意志を感じるとともに、それでも前に進むというアメリカ国民の力強さを感じました。今も進化し続けているニューヨークマンハッタンのパワーを感じ、帰国の途についた視察研修でした。
ぐんぎんリース㈱代表取締役社長 南 繁芳
<3日目>主な行程
マンハッタン・チェルシー地区等再開発事情視察
・グランドセントラル駅
・ハドソンヤード再開発プロジェクト
・ハイライン~チェルシー周辺
・ブルックリン地区等再開発事情視察
・911メモリアルミュージアム視察
↑グランド セントラル ターミナル↑
地下に29面のホームと、46の発着番線を持つターミナル駅。マンハッタンを代表する歴史的建造物である。床面は大理石が使われ、天井には星座が描かれている。
↑ハドソンヤード再開発地区↑
↑チェルシーマーケット↑
↑911メモリアルミュージアム↑
残された鉄骨
<4日目>自由行動
<5日目>主な行程
・セントラルパーク散策
・メトロポリタン美術館
・食品スーパー「トレーダージョーズ」視察
↑メトロポリタン美術館↑
↑食品スーパー「トレーダージョーズ」↑
◆私の好きな映画の一つに「ゴッド ・ファーザー」があリます。
PARTⅡの冒頭、9歳のピトーが故郷シチリアを追われ、一人移民船に乗り込み、アメリカに到着して初めて目にしたのが「自由の女神」でした。
多くの移民の人たちが自由の女神を見て、希望を持ったのだと思います。
実際に目にしたニューヨークでは、様々な人種の人たちが、様々な生活をしている様子に触れることができました。
アメリカの繁栄は移民によってもたらされたものですが、当然、影の部分もあります。アメリカが移民政策をどうするのか。アメリカのみならず、世界経済にも影響を与えることなので、今後とも見守っていきたいと思います。
前橋市政策部長 稲田 貴宣
トランプ大統領の政治手腕には様々な意見もあり、保護主義的経済政策が悪影響を及ぼすとの見方もされていますが、ニューヨークの街や人々の様子から、現況のアメリカ経済は、極めて好調であると感じました。
また、様々な分野の第一線でご活躍されている方々から実体験のお話を伺うことができ、貴重な体験の5日間の視察でした。多くの関係者の皆様に心から感謝申し上げ報告といたします。
**********
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます