市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【無法「特区」群馬県!】狩野浩志県議の選挙買収事件を不起訴にした前橋地検の「政治的」配慮

2023-03-04 10:44:39 | 政治とカネ

■3月3日はひな祭り。ひな人形は、流し雛の風習のように「女の子の穢れを人形にうつし、身代わりとなって厄災を引き受けてもらう」という意味があるといわれています。春一番を思わせる強い風が吹きましたが、快晴に恵まれたこの日、午前11時頃、当会事務局に1通の郵便物が届けられました。前橋地方検察庁からの封書です。中身を取り出すと次の通知が出てきました。

*****2/28前橋地検からの不起訴処分通知書*****

様式第97号(刑訴第260条、規程第60条)

               処 分 通 知 書

                            令和5年2月28日

鈴木 庸  殿

                  前橋地方検察庁

                     検察官 検事    土屋 大気

 

 貴殿から令和4年3月18日付けで告発のあった次の被疑事件は、下記のとおり、処分したので通知します。

                  記

 1 被疑者   狩野浩志

 2 罪名    公職選挙法違反

 3 事件番号  令和4年検第429号

 4 処分年月日 令和5年2月28日

 5 処分区分  不起訴

**********

 一昨年2月の前橋市議会選挙を巡る一連のカネを巡る不正疑惑について、有権者の皆様方からの情報提供を基に3件の告発を前橋地検にしてきましたが、昨年12月から次々と不起訴処分通知が地検から届き、そして今回、本丸と目してきた狩野浩志県議の選挙買収事件についても、不起訴処分通知という結果となりました。

 広島県内の選挙区で同様の買収事件を起こした河井夫妻の場合、きちんと司法によるしかるべき判断が下され、夫妻はそれぞれ厳罰に処せられました。ところが群馬県の場合は、超法規的とも言うべき判断を検察が下したのです。今年予定されている統一地方選において県議選の投開票をあと1か月後に控えた群馬県の政界関係者、とりわけ自民党関係者の間には、選挙で買収目的のカネを関係する政治家に対してばらまいても司直からのお咎めがないという今回の重大な判断結果に接し、安堵感が広がることは必至です。

■こうした実態を懸念した当会は、さっそく緊急の記者会見を行うことにしました。県庁5階にある記者クラブ「刀水クラブ」に電話をすると、今月の幹事社が東京新聞であることがわかり、担当の羽物(はぶつ)記者に連絡を取り、午後4時10分に記者会見をセットしてもらいました。

 そして、定刻通り、刀水クラブで記者会見を行いました。あらかじめ準備した以下の記者会見用のメッセージを会見に先立ち加盟各社19社(以前18社でしたが最近日刊工業新聞が新たに加盟)に配布しました。

*****3/3緊急記者会見用メッセージ*****

                                 2023年3月3日

関係各位

                            市民オンブズマン群馬

                            代  表  小川 賢

                            事務局長  鈴木 庸

 

   2月28日付で前橋地検が狩野浩志を公職選挙法違反不起訴処分とした件について

 

 当会は一昨年2021年2月7日に投開票された前橋市議選を巡って取りざたされた公選法違反やそれに関連する政治資金規正法違反について、寄せられた情報や証拠に加え当会の独自調査をもとに3件の告発状を前橋地検に提出しておりました。すると1年余り経過した昨年2022年3月24日の報道で、これら3件の告発状が受理されたことを知り、同3月25日にここで記者会見を開かせていただきました。

 その後、4月に担当検事が八王子地検に異動し、後任の検事が警察と合同捜査を続けていたようですが、昨年12月12日に突然、1件目の公職選挙法違反事件の被疑者小島大輔に関する不起訴処分が下され、12月14日に通知書が郵送されてきました。

 そして、今年に入り、1月27日に、2件目の政治資金規正法違反事件の被疑者内田康雄、吉野貴幸、狩野浩志に関する不起訴処分が下され、1月30日に通知書が当会事務局に郵送されました。このことは1月31日の記者会見でご報告したとおりです。

 その後、地検に不起訴理由を確認したところ、「起訴猶予」であることがわかりました。

 そして、本日、当会事務局に、最後に残った狩野浩志の公職選挙法違反容疑に係る当会の告発に対して、前橋地検から2月28日付で「不起訴処分通知書」が郵送で届けられました。

 このあと地検に不起訴理由について確認してみますが、間違いなく「起訴猶予」の返事がくるものと考えられます。

 本件も、政治資金規正法違反容疑と同様に、多くの証拠を添えて告発したのですが、なぜ不起訴になったのか、誠に不可解です。県議選の投開票日まで、あと1か月余りと迫ったことから、前橋地検としては、既に出馬の意向を表明している狩野浩志に対して、「安心して」立候補できる環境を整える意味でも、このタイミングで当会に不起訴処分通知を発したものと思料します。

 狩野浩志による2021年2月の前橋市議選を舞台にした買収事件で思い起こされるのは、2019年7月に行われた第25回参議院議員通常選挙の広島県選挙区において立候補していた自由民主党の河井案里を当選させるために、その夫であり自由民主党の衆議院議員でもある河井克行が、案里と共謀して大規模な買収行為を行った事件です。この結果、案里は当選し、また克行も同年9月11日、安倍晋三内閣において法務大臣に就任しました。しかし、同年10月30日以降にこの選挙違反疑惑が報じられ、10月31日に克行は法務大臣を辞任しました。参議院選挙から11ヶ月が経過した2020年6月17日、河井夫妻は自由民主党を離党、翌6月18日、公職選挙法違反の容疑で東京地方検察庁特別捜査部によって逮捕され、2021年2月5日、案里には懲役1年4か月・執行猶予5年の有罪判決が確定し、5年間の公民権停止が命じられました。これにより、案里は公職選挙法の規程により議員失職し、3月25日、克行は大島理森衆議院議長宛てに議員辞職願を提出し、4月1日に衆議院本会議で許可され議員辞職しました。10月21日、克行には懲役3年・追徴金130万円の実刑判決が確定したのでした。

 しかし、狩野浩志が起こした同様の選挙買収事件で、前橋地検は広島の河井夫妻の事件と正反対に不起訴処分としました。いかに群馬県が政治倫理面で日本国内内で治外法権化しているかの証左ともいうべき今回の知見による不起訴処分通知ですが、このまま座して結果を受け入れるわけにはまいりません。

 なぜなら、多くの証拠を添えて告発したので、検察官の裁量で不起訴にしたのであれば再発防止の観点からも問題が残ります。検察審査会に申し立ててきちんと検証する必要もあると考えています。約1か月後に迫った県議選の投開票ですが、有権者の皆様にもぜひ今回の事態を参考に対処していただければ幸いです。

                                      以上

 

配布資料:2月28日付不起訴処分通知書

**********

 記者会見でオンブズマンから記者発表をした後、幹事社、上毛新聞、共同通信社から質問がありました。「不起訴通知書が届いたのは3月3日で間違いないか」「検察審査会に審査を申し立てるというが、スケジュール感を教えてほしい」「不起訴処分で感じたという違和感とは具体的にどういうことか」という質問でした。これらに対して当会から「本日3月3日の昼前です」「来週18日にオンブズマンの定例会があるので、それまでに審査申立書の案をつくり、会員に諮ったうえで、早ければ3月20日の週に検察審査会に提出したい」「群馬県の特異な政治風土によるもので、広島県における河井夫妻の選挙買収事件との対比で、真逆の判断を検察がしたことです」とコメントしました。

■本件不起訴処分に関してこれまでに報道された記事やニュースは以下のとおりです。

**********NHK群馬 NEWS WEB 2023年03月03日21:24

“市議選で県議が立候補者に現金配付” 選挙違反の告発は不起訴

 おととし2月の前橋市議会議員選挙に立候補した議員に「陣中見舞い」として現金を配ったのは公職選挙法違反にあたるとして、市民グループは自民党の狩野浩志県議会議員を告発していましたが、前橋地方検察 庁は3日までに不起訴にしました。

 「市民オンブズマン群馬」は前橋市選挙区の選出で自民党の狩野浩志県議会議員が、おととし2月に行われた前橋市議会議員選挙で、現職の市議会議員少なくとも5人に、みずからの名前が書かれた封筒に現金を入れ、「陣中見舞い」として配ったのは公職選挙法違反の寄付行為にあたるとして、おととし3月に前橋地方検察庁に告発状を提出していました。

 その後、前橋地検は、去年3月に告発状を受理し、捜査を行ってきましたが、先月28日付けで狩野議員を不起訴にしました。

 

**********東京新聞2023年3月4日

NEWSフラッシュ★公選法違反疑いで告訴された県議不起訴

 公選法違反(寄付の禁止)疑いで、市民団体「市民オンブズマン群馬」が告発していた狩野浩志県議(六三)=自民、前橋市区=について、前橋地検が不起訴としたことが分かった。

 同団体が三日、県庁で記者会見して明らかにした。二月二十八日付。告発は二〇二一年二月に投開票された前橋市議選に関するもので、同団体が同時に告発した政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)など二件とともに、すべて不起訴となった。

**********

■記者会見でコメントしたように、群馬県では政治活動に関して、不適切な行為が発覚して警察や検察に告発しても、他の都道府県と異なる対応と判断が為されてきましたが、今回ほどあからさまな対応の事実を付けつけられたことで、つくづく保守王国「群馬県」の選挙を巡る無法「特区」ぶりが浮き彫りとなりました。今回の結果を踏まえてさらに無法状態が酷くなることが強く予見できます。

 これに対して、選挙を巡る違法行為が発覚した場合、行政の選管に通報しても「選管は選良のやることに口出しできない」というだけで、警察や検察に告発して、善処を求めるしか方法はありませんが、群馬県では今回のように保守系政治家が絡む告発に対して、極めて異例の対応がとられるため、これすら期待できないのです。

 こうなると選良を選ぶ有権者側が選挙を通じて、こうした政治とカネを巡る状況を刷新するほかはないことになります。当会としても、残された手段である検察審査会への不起訴処分についての審査申し立てを行うことについて、3月18日予定の定例会で会員とともに検討する予定です。

【3/4追記】

 このブログ記事を作成していると、本日配達された新聞朝刊に「自由民主」(令和5年3月4日土曜日、号外)と題するチラシが折り込まれているのに気付きました。見ると、表ページの冒頭に自民王県連総務・部会長と山本一太知事とある写真が掲載されており、前列の左から2番目に狩野浩志の姿が見えます。

 さらに裏面には4月9日投開票の県議選を視野に入れて、現職県議の県内各選挙区ごとの計28名の顔写真が掲載されており、中央の前橋市区3名の真ん中に狩野浩志が見えます。まさに絶妙のタイミングと言えます。

 

 さらに調べると、狩野浩志は地元選挙区の前橋市内に今年1月に、自身の活動を特集した「自由民主」(令和5年1月吉日、号外)を新聞折込で配布していることがわかりました。既にこのとき、検察から「お咎めなし」の方針が定まったことを知っていたのでしょう。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


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