市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

八ッ場ダム建設工事に係る土地収用法に基づく6.26公聴会の模様(その4)

2015-11-02 22:57:00 | 八ッ場ダム問題
■1日目の公聴会が続きます。当然のことですが、ダム賛成の立場から、役所に頼まれた関係者の公述も混じります。

【議長】 次は、加須市副市長、角田守良さんから公述をしていただきます。角田さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。
          (公述人登壇)
【議長】 準備はよろしいでしょうか。
【公述人(角田)】 はい。
【議長】 現在の時刻は6時47分です。ただいまから公述を開始し、10分間で終了するようお願いいたします。また、終了の5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。それでは公述を開始してください。
【公述人(角田)】 皆様、こんばんは。埼玉県加須市の副市長、角田です。失礼して着座にて申し上げたいと思います。
 加須市は、一級河川利根川をはじめとする大小河川や用排水路が数多く市内を横断的に流れる、人口11万5,000人の田園都市です。また、水稲の作付面積、収穫量、ともに埼玉県内で1番の、埼玉一の米どころでございます。本日は、治水と利水の両面から、一級河川利根川水系の八ッ場ダム建設工事について、一日も早い完成をお願いいたしたく意見を申し上げます。
 まず治水の面から申し上げます。加須市では、昭和22年9月のカスリーン台風により、市内、大利根地域の新川通地先において利根川堤防が決壊し、その濁流により本市はもとより首都東京まで甚大な被害が発生いたしました。同時に、輪中の地と言われております市内の北川辺地域、この新古河地先で利根川と合流する渡良瀬川も、利根川からの逆流水により決壊し、多くの人命や流出家屋等の大きな被害が発生いたしました。また近年では、平成13年の台風15号の際に、市内、加須地域の大越地先において、利根川堤防の基礎地盤から大規模な漏水が発生する事態も発生いたしました。そうしたことから、現在も国の堤防拡幅による堤防強化の工事が実施されているところでございますが、この堤防強化工事は、加須市を含む9市3町にまたがる延長約70キロメートルの堤防の拡幅工事でございまして、平成16年度から事業化され、加須市だけで200戸以上の住宅移転等の協力をいただいているものでございます。
 私たちは利根川沿線住民として、過去の悲惨な災害を教訓に、水害を再び繰り返すことのないよう、みずからの地域はみずからで守るという決意のもとに治水対策に鋭意取り組んではおりますが、近年のゲリラ豪雨などの異常気象や台風等による溢水被害の現状を考えますと、いつ大規模な災害に襲われるか、そのとき果たして住民の命と財産を守れるのかと心配でなりません。そのときに備え、加須市では、隣接する羽生市と共同で、約700名の水防団を結成し、毎年、洪水期前に水防訓練を実施しておりますし、国土交通省におきましても加須市と羽生市の利根川沿線に3カ所の河川防災ステーションを整備し、ステーション内に緊急時用の備蓄資材や排水ポンプ車等の災害対策車両を配備して万が一に備えてはおりますが、加須市だけでは、あるいは流域自治体だけでは、利根川全体の治水には不十分であることは言うまでもないことでございます。
 次に利水の面から申し上げます。加須市は、市域面積133平方キロメートル、半分、50%が農地でありまして、その農地の85%が水田という田園都市であります。埼玉一の米どころのゆえんでございます。加須市で栽培される多くの品種の中でも、特に北川辺産、輪中の地、北川辺のコシヒカリは、ブランド米として世間から高く評価されているところです。この市の基幹産業である農業では、農業用水、特に稲作の水源のほぼ全てを利根川に頼っております。もちろん上水道においても全配水量の7割を、利根川から取水する県水に頼っております。
 このように、加須市にとりまして利根川は、治水・利水の両面から、流域の私たちの生活に密着し、大きな恩恵をもたらしてくれる重要な河川でありまして、支流からの流入も含め、その流量を適切に調整することが必要不可欠な河川であります。特に治水面では、今後、想定を超える水害などによる大災害のリスクや危険性も高く、災害が発生した場合には、本市のみならず下流域の関東地方の広い範囲で、多くの人々の命や財産への被害が発生する危険性を抱えております。そうした中で、八ッ場ダムにつきましては、利根川の主要な支流である吾妻川の洪水を防ぐ流量調節や利水等を図るという重要な役割を担うものでありまして、利根川全体への大きな治水効果と利水効果が期待されているものと考えております。
 本市住民のみならず、流域沿川住民、そして下流域の関東地方、首都東京等、全住民にとって一日も早い完成が望まれている事業であります。また、これまでに、コストや安全性、さらには実現可能性などの多角的な検証も実施され、八ッ場ダムの整備が他の対策に比較してすぐれているという結果も出されていると聞いております。加えて、既にかなりの事業進捗も図られております。以上のようなことを踏まえ、一日も早い完成を望むものでございます。
 最後に、本日も整備地域を回ってまいりましたが、八ッ場ダムの整備に当たりまして、地権者など、関係の方々の長年にわたってのご苦労を痛感いたしました。改めて痛感いたしますとともに、下流域の私たちのために、上流域の皆様に事業にご協力いただけますことに対しまして、心よりお礼を申し上げるものでございます。八ッ場ダムの建設のために移転を余儀なくされた方々の生活再建等につきましても、早急に解決を図るようにお願いするものであります。以上、どうぞよろしくお願いいたします。
 平成27年6月26日、埼玉県加須市副市長、角田守良でございました。どうもありが とうございました。
【議長】 ありがとうございました。降壇してください。
          (公述人降壇)
【議長】 次は、深澤洋子さんから公述をしていただきます。深澤さんは壇上に上がり、 公述人席に着いてください。また、公述人からは起業者への質問の希望がありますので、 国土交通省関東地方整備局の方も壇上に上がり、起業者席に着いてください。
          (公述人・起業者登壇)
【議長】 よろしいですか。着席で結構です。
【公述人(深澤)】 はい。東京都から……。いいですか。
【議長】 ちょっと待ってください。いいですね。
 現在の時刻は6時57分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに表示によりお知らせしますので、目安にしてください。なお、終了時間までに終了しない場合には公述の中止を命ずることとなります。プロジェクターを使用しますので、少し照明を落とします。
 公述を始めてください。
【公述人(深澤)】 東京都から参りました深澤洋子と申します。東京都民の立場から意見を申し述べさせていただきます。すみません。座ります。
 八ッ場ダム事業は公益性がなく、かえって地すべりなどの災害、取り返しのつかない自然破壊、歴史・文化の破壊を引き起こす愚かしい行為なので、事業の続行そのもの及び水没予定地に住む方々の土地の強制収用に反対いたします。
 八ッ場ダムの利水上の必要性がないことは明白であり、関係各都県が八ッ場ダムに水源を求める理由はありません。これは、このグラフにお示ししたとおりで、東京都のグラフをお見せしますけれども、実績はこのように給水量は下がっていますが、都の予測はこのように、常に右肩上がりというのが続いております。このもっと前からもうずっと、給水量はこういう右肩下がりの曲線を描いているのですけれども、毎回、東京都の予測は、右肩上がりの予測を続けていまして、その予測を書き込むとまるでハリネズミのようなグラフが出来上がります。このグラフを見れば、こういう実績値、これは東京都ですが、各都県の給水量の実績値と水需要予測値を記したグラフで両者の激しい乖離を見れば、もう東京都の水が要らないということは明らかで、さっき加須の副市長さんは水が必要だとおっしゃいましたけれども、もちろん埼玉県も同じようなグラフで、必要はなくなっています。
 これはどうしてかといいますと、やはり、先ほどからもお話がありましたけれども、人口が減っているということもありますし、それから節水機器がどんどん普及していって、トイレなどの節水が進んで、水の使用量が減っていくという中で、今後、さらに水の使用量が増えるということはあり得ません。国は、自治体に補助金として、こうした利水に対して補助金を出す立場に、税金を払う立場にありますので、無駄遣いを招く、このような実態に反した予測はやり直せと、自治体に言う義務があるはずです。
 これは、梶原健嗣さんの『戦後河川行政とダム開発』という、去年出された本に載っているグラフですけれども、こちらは予測値を数学的に出したものですが、特に1992年以降、水の配水量の予測値を出しますと、このような曲線を描きます。もう明らかに減っていく。そして、予測の確度、精度をあらわす決定係数というのがあるのですが、R2ですね、これは0.97になっていまして、非常に高い値を示しています。ですから、今後、こういう、水需要が減っていくということは、構造的に、もう変化として定着しておりまして、あるところまで下がると下げどまるということも、このグラフでわかるかと思います。正しい水需要予測というのは、こういうものではないでしょうか。ハリネズミではないと思います。
 それで、最近では、異常気象で渇水が起こるということを国交省は言い出しています。既に十分な余裕水源がある中で、それでもとんでもない日照りが起こったとして、それに備えるのにダムではないでしょう。想定を超える災害までハードでカバーすることは財政的に無理であり、起こらないかもしれない災害のために自然を破壊して巨大な構造物をつくることはばかげています。緊急の水の確保はストックや地域間の融通で可能で、さまざまな手段を組み合わせる、そのような柔軟性のあるシステムの構築こそが渇水対策として求められており重要であると思います。
 また、八ッ場ダム事業に参画するに当たって、各都県は身近な水源である地下水の利用を削減しようとしていますけれども、特に東京都は、地盤沈下や汚染のおそれがあるなどとして、地下水を保有水源にカウントしていません。これはちょっと細か過ぎてよくわからないと思いますけれども、東京都の保有水源のカウントです。こちらは、裁判の資料だったと思いますけれども、こちらは私たちが考える正当に評価した保有水源、こちらは東京都のカウントした保有水源ですけれど、ここのところに地下水というのがありまして、地下水だけを全く東京都はカウントしていないということがわかると思います。この地下水は、日量40万立方メートルあるのですけれども、東京都が八ッ場ダムに求めている水利権は日量50万立方メートルですから、もしこの地下水をカウントすると、そのかなりの分量はカバーできることになるのです。ですから、地下水を削減しているということは大きなごまかしになっています。今、実際に地下水は使えているわけですから。
 そして、こうした姿勢は、昨年成立した水循環基本法の理念にも反しています。これまで地下水の利用の抑制によって地盤沈下は沈静化しており、現在の地下水使用量を維持することに問題がないことは、東京都、環境局も認めているところです。2011年の福島原発事故の際には、河川水が広く放射能に汚染されたので、かわりに地下水が活用され、地下水の安全性・有用性がクローズアップされました。大地の浄化作用によって、河川水よりはるかにおいしく安全になる地下水を、適切に管理しつつ活用することこそが水行政に求められています。地下水の切り捨てに走る自治体の理不尽な利水政策は、国として是正させる義務があると思います。このように、八ッ場ダムの利水上の必要性は、過大な水需要予測、保有水源の過小評価によってつくり出されたものにすぎません。ダムが完成した途端、水需要予測が現状維持あるいは右肩下がりに変わることが、多くの自治体で見られます。そのときには、必要のない水を購入するために、高い水道代、ダムの維持管理費の重い負担がのしかかることになります。将来の世代を苦しませないために、八ッ場ダムの建設を中止し、強制収用などで新たな不幸を生み出さないようにする決断こそが、今、求められていると思います。
 ここで質問ですが、八ッ場ダム検証の過程で、関係各都県の現実離れした過大な水需要予測を是正するよう、国として求めなかったのはなぜでしょうか。事業の利水分については、厚労省から補助金がつき、国費が使われるのですから、右肩下がりの水使用実績と逆行するように右肩上がりの予測を出す科学的根拠を問いただす必要があったと考えますが、それをしなかったこと、それに正当性はあると考えていますか。税金の無駄遣いになるとは考えなかったのでしょうか。それで質問ですけれども、端的に、今の自治体が行っている右肩上がりの予測を科学的と考えているかどうか。財政的見地からこの予測を再検討するよう指示しなかったのは正しかったと思っているか。この2点について質問いたします。
【議長】 ただいまの質問についてお答えください。
【起業者(藤原)】 起業者である国土交通省としては、八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討においては、ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目に沿って、各利水参画者に対し、ダム事業参画継続の意思があるか、開発量として何トン必要か、利水不参画者において水需給計画の点検・確認を行うよう要請し、その上で検討主体において必要量の算出が妥当に行われているかを確認しております。この結果、いずれの利水参画者もダム事業に参画継続の意思があることを確認し、さらに各水道事業者の必要量は水道施設設計指針などに沿って算出されていること、水道事業認可等の法的な手続を経ていること、利水事業についての再評価においても事業は継続との評価を受けていることなどを確認するとともに、学識者にもその結果を確認いただいております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(深澤)】 ということは、右肩上がりの予測をしたことを正しいと、あのグラフでそういう予測をしている自治体は正しいというふうに判断したということでよろしいですか。はいか、いいえで答えてください。
【議長】 回答願います。
【公述人(深澤)】 はいか、いいえです。
【起業者(藤原)】 各地域の安定的な水供給を考え……。
【公述人(深澤)】 はいか、いいえで答えてください。
【起業者(藤原)】 将来の必要量を推計し、水道用水等の……。
【公述人(深澤)】 すみません。私の時間を取らないでください。
【議長】 では公述を続けてください。
【公述人(深澤)】 もう一回質問します。今の、右肩上がりの水需要予測は正しいと認めたのかどうか、はいか、いいえで答えてください。
【議長】 はいか、いいえで答えてくださいということですけれども、はいか、いいえで答えられるなら答えていただきますし、はいか、いいえでは答えられないものだったら、その旨を回答してください。
【起業者(藤原)】 関係都県に対して、予測に是正を求めたり根拠を問いただしたりする必要はなかったと考えております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(深澤)】 ということは、言いなりになったということですね。科学的な見地から検討はしなかったということだというふうに私は理解します。誰もがそう理解すると思います。
 では続けます。今度は治水、洪水調節について話します。東京都は、八ッ場ダムの洪水調節によって治水上の利益を得られるとして、巨額の費用を負担しようとしていますが、その根拠は皆無に等しいものです。そもそも昭和25年以降、利根川・江戸川本川からの越水は起こっていません。近年の主な洪水被害はほとんど全て内水被害によるものです。こちらを見てください。これは2011年、かなり水害被害が多かった年ですけれども、内水氾濫がほとんどです。堤防からの溢水というのはほとんどゼロに近いということがこれでもわかります。つまり、利根川からはあふれていなくて、それ以外の水をはき切れない、豪雨が降ったときに、それが町中に直接あふれるというような被害が多いということで、八ッ場ダムは全くこういう洪水には役に立たないということがわかると思います。そもそも昭和25年以降、利根川・江戸川本川からの越水は起こっていない。それは先ほど嶋津さんもお話しされたとおりです。事実に即して検証すれば、八ッ場ダムの治水上の必要性は雲散霧消するはずです。
 それでは質問ですけれども……すみません。さっき質問を1つ忘れました。関係都県の中で唯一、地下水を保有水源にカウントしていなかった東京都に対して、その誤りを指摘しなかったのはなぜでしょうか。水循環基本法に位置づけられた貴重な財産として、公共性の高いものとして位置づけられた地下水を、水行政の中で恒常的に利用しないという前提で遠くのダムに水源を求める。これは大変いびつな自治体の姿だと思いますが、これは水循環基本法にも反しているのではないかと思いますが、この地下水を東京都が保有水源にカウントしなかったことについて、全然チェックしなかったのかどうか、はいか、いいえでお答えください。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(藤原)】 まず、1都4県が必要とする水道水源に関するお尋ねに対しては、各都県が説明すべきものと考えております。東京都から、地下水に関しましては、地下水の利用については、東京都土木技術支援人材育成センターが公表した平成21年地盤沈下報告書によれば、揚水規制の効果による地下水位の上昇がほぼ頭打ちの状況にあることは明らかであり、地域によって地盤沈下の進行が予測されるとしている。また、平成18年度に東京都環境局が公表した「東京都の地盤沈下と地下水の現況検証について」によれば、平成11年度の地下水管理ガイドライン策定調査報告書において試算した地盤沈下は起こさないために、維持することが望ましい地下水位について検証を行った結果として、設定水位を維持しても地盤沈下が全く起こらないとは言い切れないことが明らかとなっており、今後も揚水規制の継続が必要な状況としております。一方、水質についても、トリクロロエチレンやジオキサンなどが検出されており……。
【公述人(深澤)】 水質のことは質問していません。すみません。地下水の水質が悪いのは……。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(深澤)】 決まった場所ですので、その地点だけを対処すればいいことですので、そのことは質問しておりません。
 ということで、東京都がこう言ったから認めたということで、一切それを国としてチェックしていない、水循環基本法との関係のことは一切答えていませんけれども、そのときはとにかく地下水のことで、東京都の言いわけをそのまま認めたということですね。も 異常ですよね。ほかの県は全部、地下水をある程度、反映しているのに、東京都だけがカウントしていないという状況で八ッ場ダムは認められているということは、非常に正当性がないと思います。
 それでは続けて治水について質問いたします。実際に東京都はどのような治水上の利益を得られるのか、一般論ではなく、具体的な数字で示してください。東京都が八ッ場ダムの洪水調節で利益を得るとすれば、江戸川の水位が破堤の危険のある状態で、八ッ場ダムによってそれなりに下がる場合です。それでは、昭和25年以降の最近65年間の利根川洪水で、江戸川の水位が上がり、破堤の危険のある状態になったことがあったのかどうか。あれば、江戸川の水位観測所、西関宿、松戸における、そのときの最高観測水位、堤防天端高、年月日と時刻を明らかにしてください。そして、そのとき仮に八ッ場ダムがあった場合に最高水位がどのように変わるのかを示してください。これは数字が多くて、とても今お答えになるのは大変だと思いますので、後で文書で出してください。最初の質問、昭和25年以降、最近65年間の利根川洪水で、利根川・江戸川の水位が上がって破堤の危険のある状態にあったのかどうか、はいか、いいえで答えてください。
【議長】 ただいま、文書で出せというようなご指摘でしたけれども、基本的にはこの場で回答していただくというのがこの公聴会のあれですので、回答願います。
【公述人(深澤)】 今、全部答えていただけるのですね。
【議長】 はい。回答してください。
【起業者(藤原)】 回答の前に、補足させていただきます。ご質問では、東京都が八ッ場ダムの洪水調節で利益を得るとすれば、江戸川の水位の破堤の危険のある状態で八ッ場ダムによってそれなりに下がることであるとされておりますが、昭和22年9月のカスリーン台風による洪水では、利根川本川右岸で、埼玉県加須市に当たる北埼玉郡東村新川通地先の堤防が決壊し、東京都でもこの氾濫により甚大な被害が生じております。このように、東京都における八ッ場ダムの洪水調節による効果は、江戸川だけではなく利根川本川においても重要ですので、ご理解をいただきたいと思います。
【公述人(深澤)】 カスリーン台風の場合には、やはり戦後すぐの、はげ山になった状況などがありましたので、あと堤防の脆弱な部分があったということで、そこから破堤したというふうに聞いております。その後、堤防も、国交省は努力されて、大分、丈夫になったと思います。そういう中で私が質問しているのは、昭和25年以降の最近65年間で、江戸川の水位が上がって破堤の危険のある状態になったことがあったのかどうかお答えください。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(藤原)】 では昭和25年以降の最近65年間の江戸川の水位観測所における最高観測水位、堤防天端高、年月日と時刻についてお答えいたします。まず西関宿についてですが、最高水位は7.45メートル、堤防天端高が、左岸がYPプラス20.8メートル、右岸がYPプラス18.7メートル、生起年月日・時刻は昭和34年8月14日19時です。なお、観測所の零点高はYPプラス8.5メートルです。この水位は氾濫注意水位を超え、避難判断水位に迫る水位でありました。続きまして野田の観測所です。野田については、最高水位が7.2メートル、堤防天端高は、左岸YPプラス15.267メートル、右岸YPプラス15.911メートル、生起年月日・時刻は昭和57年9月13日10時です。なお、観測所の零点高はYPプラス3.5メートルです。このときの水位は氾濫注意水位を超え、避難判断水位に迫る水位でありました。続きまして松戸です。松戸については、最高水位が6.74メートル、堤防天端高は、左岸YPプラス10.3メートル、右岸YPプラス9.5メートル、生起年月日・時刻は昭和34年8月14日1時です。なお、観測所の零点高はYPゼロメートルです。この水位は、氾濫注意水位を超える水位でありました。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(深澤)】 わかりました。では今後の検討の題材にさせていただきますけれども、破堤の危険があるというようなものではなかったのではないかと思います。
 最後に、八ッ場ダムができた場合、強酸性の吾妻川を中和する事業が大きな環境破壊を起こすことが危惧される点です。中和生成物は現在、品木ダム湖をほぼ満杯にし、幾ら浚渫しても追いつかない状況です。その浚渫物はヒ素を含むので、埋め立て処分も簡単にはできません。中和生成物をセメント工場に利用する実験が、吾妻川上流総合開発事業として平成21年から22年度に行われたようですが成功していません。このままでは結局、八ッ場ダムが品木ダムの機能を果たすことになり、堆砂が計画より早く進行すると予測される上に、そこに厄介なヒ素入りの堆積物が加わります。八ッ場ダムはまさにトイレのないマンションと化します。そもそも八ッ場ダムは、上流の草津などの観光地や嬬恋などの農場からの排水で、栄養素がたくさん入り込み、富栄養化が心配されているので、そこに中和事業の影響も加わることを考えると、これはダム湖観光に期待する地元への裏切り行為となり、許されるものではありません。八ッ場ダムをつくることによるマイナスの点というのは、幾ら挙げても切りがないと思いますけれども、これも1つの大きな懸念材料です。それに関しまして最後の質問ですが、吾妻川上流総合開発事業として、平成21・22年度に草津に実験プラントを設置して行われた実験の結果はどうだったのでしょうか。これが中和事業の概略図ですけれども。それからヒ素まじりの脱水ケーキをセメント原料にする技術はどこまで進展したのか、実用化の可能性があるのか。八ッ場ダム湖からヒ素まじりの中和生成物を浚渫しなければならなくなった場合、その浚渫物はどのように、どこに処分するのか。その浚渫・処分の費用は年間幾らになるのかということについてお尋ねします。これは朝日新聞の記事ですけれども、品木ダムはこれですね。もういっぱいになっていて、そこで浚渫したヒ素まじりの汚泥をここに不適切な方法で埋設していたので、新聞記事でも問題になりました。お願いします。
【議長】 ただいまの質問に対してご回答願います。
【起業者(藤原)】 回答いたします。これまでの調査において、酸性水の中和処理については、プラント方式による中和処理の有効性・実現性が確認できております。また、中和生成物をセメント材料等として利用できることが確認できております。吾妻川上流における遅沢川などの支川は依然として酸性の強い状況であることから、品木ダムによる中和対策を継続して、実施するとともに、新たな中和対策について事業化に向けた調査及び検討を進めることとしております。なお、品木ダム上流における中和処理の過程で生成され、品木ダム貯水池に沈殿した中和生成物は、浚渫を行うなど適切に管理することとしています。このため、これらの中和生成物が品木ダム下流に大量に流出し、八ッ場ダムの貯水池で浚渫・処分しなければならないほど堆積することはないと考えております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(深澤)】 ヒ素まじりの脱水ケーキをセメント原料にする技術はもう成功したということですけれども、いつごろこれは実現、実際に行われるようになるのでしょうか。
【議長】 実際に行われるというのは、それを使われるというようなご趣旨ですか。
【公述人(深澤)】 そう。実現、実用化できるのかということです。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(藤原)】 すみません。資料を持ち合わせておりませんので、この場では回答できません。
【議長】 ただいまの、もともと質問の内容、質問の項目にも挙がっていなかったものですから、ただいまのような答弁でございます。公述を続けてください。
【公述人(深澤)】 そうですか。国交省の方がご存じないということは、多分、まだ全然、青写真もないということなのだろうと思います。そして、品木ダムの上流部にまた貯砂ダムというのをつくることを計画しているということを聞きましたけれども、ほんとうにこれは切りがない事業ですよね。それで、年間10億円ぐらい、この中和事業にかかっておりまして、それが品木ダムだけで完結できるということですけれども、いつまでヒ素まじりの浚渫物をどこに埋めるのか。もう、早晩、埋めるところはなくなるわけで、それが八ッ場ダムに流れ込んでくるということは、私は非常に、そういうおそれは大きいと思っております。
 東京都の住民として、私は2003年に初めて吾妻渓谷に参りまして、いろいろお話を聞いて、このダムというのはあまりに問題が多いからつくってはいけないダムだと思いました。地元の方からすると、遅きに失したのかもしれませんけれども、このダムをつくるぐらいだったら中止した方がいいと。いろいろこれまでの苦労があって、60年以上前のダムですから、ほんとうに苦労が多かったし、しかしその間に社会情勢は大きく変わっているわけですよね。だから、そうした情勢の変化というのを反映した政治的な判断というものが当然なされるべきだったと思っています。そのために私たちはいろいろ、八ッ場ダムの中止と、それと一緒に生活再建支援法をつくってほしいということを民主党政権にも求めましたし、それを民主党政権が実現に至らなかったのはとても残念ですけれども、八ッ場ダムによってさらに地すべりなどの災害が起こるよりは、ほんとうに地元にあった宝物、川原湯温泉とか吾妻渓谷とか、それから遺跡も発掘されました。そういう、ほんとうに、自然や文化の宝物を大事にした生活再建ができたはずだと思っています。そういう意味で、運動にかかわってきた者として、今、こういうふうな強制収用にまで至ったということはほんとうに残念に思っていますけれども、そういう地すべりの危険性などを考えますと、今話しましたいろいろなマイナス面を考えますと、八ッ場ダムをつくるべきではないということを、私たちは諦めずに訴えていきたいと思っております。以上で終わります。 (拍手)
【議長】 ありがとうございました。降壇してください。
          (公述人・起業者降壇)
【議長】 これにて、本日予定しておりました公述は全て終了しました。
          (公述人登壇)
【公述人(深澤)】 すみません。ちょっと、今、質問が全部答えていただけていないので、もう一度こうした公聴会を求めたいと思いますけれども。それから、さっき、紙で答えを出していただけないかと。私はいただきましたけれども、それ以外の方もいらっしゃいますので、ぜひ紙で回答を、足りない分は出していただきたいと思いますが。
【議長】 すみません。回答していない部分というお話がありましたけれども、どの点についての話をされておられますでしょうか。
          (傍聴人より発言あり)
【議長】 すみません。まず議事を進めます。これにて、本日予定しておりました公述は全て終了いたしました。引き続き、明日、6月27日、午前10時15分より公聴会を開催することとしております。本日は、公聴会の円滑な進行にご協力いただきましてありがとうございました。会場の皆様はご退場ください。

【市民オンズマン群馬・この項続く】

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