■消防救急デジタル無線の入札談合問題は、公正取引委員会が2017年2月2日に独占禁止法違反で排除措置命令及び課徴金納付命令を出したことが発端です。以来、全国市民オンブズマン連絡会議は、全国各地の各オンブズマン組織に対し、消防本部が業者に損害賠償請求させるよう呼びかけてきました。当会「市民オンブズマン群馬」も、いち早く入札調書等を関係消防組合から情報公開請求により入手し、動向を注視してきました。
最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合消防本部に対して住民監査請求書を提出しました。
↑高崎市等広域消防局。↑
↑桐生市消防本部。↑
↑館林地区消防組合。↑
昨年9月に岐阜市で開催された「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」にて、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけを行いました。
・パワーポイント資料
https://www.ombudsman.jp/dangou/digital190928.pdf
・一覧表(2019/9/10現在)
https://www.ombudsman.jp/dangou/digital190910.pdf
具体的には以下です。
・消防デジタル無線談合で、4社(日本電気・沖電気・日本無線・日立国際電気)は確定している。
・手法は、直販(談合業者が自治体と直接契約)と間販(代理店等が自治体と契約)がある
・岐阜県・愛知県訴訟で、4社の供述調書を入手できた。
・岐阜県・愛知県訴訟では、住民訴訟の結果、間販3自治体が談合業者を提訴した
・直販59のうち、入金済44 請求済3 請求検討中5 まだ3
・間販48のうち、提訴済6 請求済1 請求検討中1 まだ40
・まだ・請求検討中 の自治体に対して、遅くとも2020年7月までに住民監査請求を。
まず契約書、入札結果調書を情報公開請求を行う。
住民監査請求書のひな形は全国オンブズ事務局まで。
※富士通ゼネラルに関しては、情報を入手・研究中です。
■こうした事情を背景に、当会では、2017年4月から5月にかけて、群馬県内で行われた次の3市長あてに4件の談合案件に関する情報開示請求を行いました。その結果、それぞれ情報開示を受けました。
*****桐生市長あて*****
平成25年5月17日に富士通ゼネラルが落札した「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」に関する次の情報。
①入札結果調書
②契約書
③仕様書
④デジタル無線整備団体別負担金(あれば)
⑤当該仕様にした理由がわかるもの
※開示資料:ZIP ⇒ 20170522sjp.zip
20170522sjq.zip
*****館林市長あて*****
平成25年6月4日に富士通ゼネラルが落札した「館林地区消防組合消防本部消防救急デジタル無線設備整備工事」に関する次の情報。
①入札結果調書
②契約書
③仕様書
④デジタル無線整備団体別負担金(あれば)
⑤当該仕様にした理由がわかるもの
※開示資料:ZIP ⇒ 20170626sjp.zip
20170626sjq.zip
20170626sjr.zip
*****高崎市長あて*****
平成24年9月21日に沖電気が落札した「高崎市等広域消防局消防救急デジタル移動無線機」および平成25年6月13日に沖電気が落札した「高崎市等広域消防局消防救急デジタル無線基地局等整備工事」に関する、次の情報
①入札結果調書
②契約書
③仕様書
④デジタル無線整備団体別負担金(あれば)
⑤当該仕様にした理由がわかるもの
※開示資料:ZIP ⇒ 20170515sjp.zip
20170515sjq.zip
20170515sjr.zip
**********
■その後、各消防組合が業者に対して違約金の請求を行っているかどうか、動静をチェックするため、2018年11月20日付で、公開質問状を提出しました。そして、各消防組合から回答を得ました。
*****桐生市あて*****
2018年11月20日
〒376-0027 群馬県桐生市元宿町13-38
桐生市消防本部 管理者 御中
〒371-0801前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567 FAX:027-224-6624
公開質問状
前略 平素より消防行政を通じて住民の安全・安心な生活保全にご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、平成29年5月22日付で御庁から「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」に係る情報開示を受けました。この工事を落札した東日本電信電話㈱群馬支店に関して、公務多忙のところ誠に恐縮ですが、次の質問にご回答くださるようお願い申しあげます。
なお、勝手ながら、回答は平成30年11月30日(金)限り、当会のFAX(027-224-6624)に送信、もしくは文書にて郵送でお送りいただけると幸いです。
記
質問1 桐生市建設工事請負契約約款によると、第42条の2 「受注者(共同企業体にあっては、その構成員)が、次に掲げる場合のいずれかに該当したときは、受注者は、発注者の請求に基づき、請負代金額(この契約締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額。)の10分の2に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない」と明示されています。貴殿は、この条項を行使しましたか?
質問2 すでに行使された場合は、いつ請求し、いつ支払いを受けましたか?
質問3 まだ行使していない場合は、いつ請求する予定ですか?
質問4 あるいは行使する予定がないのであれば、その理由を教えてください。
以上
*****館林市あて*****
2018年11月20日
〒374-0039 群馬県館林市美園町7-3
館林地区消防組合 管理者 御中
〒371-0801前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567 FAX:027-224-6624
公開質問状
前略 平素より消防行政を通じて住民の安全・安心な生活保全にご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、平成29年5月に御庁から「消防救急デジタル無電設備整備工事」に係る情報開示を受けました。この工事を落札した東日本電信電話㈱に関して、公務多忙のところ誠に恐縮ですが、次の質問にご回答くださるようお願い申しあげます。
なお、勝手ながら、回答は平成30年11月30日(金)限り、当会のFAX(027-224-6624)に送信、もしくは文書にて郵送でお送りいただけると幸いです。
記
質問1 館林市建設工事請負契約約款によると、第47条の2 「受注者(受注者が共同企業体であるときは、その構成員のいずれかの者。以下この項において同じ。)が、次の各号のいずれかに該当したときは、受注者は、発注者の請求に基づき、請負代金額(この契約締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額。)の10分の1に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない」と明示されています。貴殿は、この条項を行使しましたか?
質問2 すでに行使された場合は、いつ請求し、いつ支払いを受けましたか?
質問3 まだ行使していない場合は、いつ請求する予定ですか?
質問4 あるいは行使する予定がないのであれば、その理由を教えてください。
以上
*****高崎市あて*****
2018年11月20日
〒370-0861高崎市八千代町一丁目13番10号
高崎市・安中市消防組合
管理者 富岡賢治 様
〒371-0801前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567 FAX:027-224-6624
公開質問状
前略 平素より消防行政を通じて住民の安全・安心な生活保全にご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、2012年9月21日に関越電子情報が落札した「高崎市等広域消防局消防救急デジタル移動無線機」及び2013年6月13日に沖電気が落札した「高崎市等広域消防局消防救急デジタル無線基地局当整備工事」に関して、次の質問があります。
つきましては、公務多忙のところ誠に恐縮ですが、次の質問にご回答くださるようお願い申しあげます。なお、勝手ながら、回答は平成30年11月30日(金)限り、当会のFAX(027-224-6624)に送信、もしくは文書にて郵送でお送りいただけると幸いです。
記
質問1 上記2件の物品売買仮契約書によると、第10条に談合等不正行為があった場合の違約金等として、売渡人は「契約金額の100分の10に相当する額を違約金として買受人の指定する期間内に支払わなければならない」と定めています。貴殿は、この条項を行使しましたか?
質問2 すでに行使された場合は、いつ請求し、いつ支払いを受けましたか?
質問3 まだ行使していない場合は、いつ請求する予定ですか?
質問4 あるいは行使する予定がないのであれば、その理由を教えてください。
以上
**********
すると、各消防組合からそれぞれ次の回答がありました。
※桐生市消防本部からの回答 ZIP ⇒ 20181130shfax.zip
※館林市地区消防組合からの回答 ZIP ⇒ 20181129nhgfax.zip
※高崎市・安中市消防組合からの回答 ZIP ⇒ 20181208lh.zip
■これによると、沖電気工業が受注者だった高崎市・安中市消防組合の「消防救急デジタル無線基地局等整備工事(建設工事請負契約)」については、建設工事請負契約約款に基づき当該契約の請負代金の10分の1に相当する違約金112,350,000円が、沖電気工業に対して平成29年7月26日に請求され、納入期限日の平成29年8月25日に納付されたことがわかりました。
しかし、高崎市・安中市消防組合の「消防救急無線移動無線機(物品売買契約)」については、「代理店との契約のため、不利益について立証することが困難である」として、「引き続き、総務省消防庁、他の消防本部などの動向を注視し、精査検討する」という回答でした。
同様に、桐生市消防本部からも、受注者がメーカーではなく代理店だとして「本契約の受注者が、桐生市建設工事請負契約約款第42条の2に掲げる受注者に該当しないため、本条項は、行使できないと考えています」とする回答がありました。
そして、館林地区消防組合からも、同様に「当組合の『消防救急デジタル無線設備整備工事』の受注者である東日本電信電話株式会社は、当組合との契約に於いて工事請負契約約款第47条の2に該当しないからです」として違約金請求の「行使はしていません」との回答でした。
■ところが、昨年12月12日付で、全国市民オンブズマン連絡会議事務局から「先日来、各地に呼びかけている「間販」(談合5者が直接契約ではなく、代理店を経由して談合していたこと)についての住民監査請求ですが、全国事務局で、富士通ゼネラルならびに4社について、代理店等が契約している自治体について、出来る範囲ですべて契約書等の情報公開請求が終わりました」として、「間販の不法行為責任については、確定4社・未確定1社とも2020年2月1日に時効になるという説があります。遅くとも2020年1月中に住民監査請求を呼びかけます」という指示が出されました。
それによりますと、代理店を介した「間接販売(間販)」で、まだ住民監査請求をおこなっていないところは、次のとおりだというのです。
*****【4者間販で住民監査請求を行っていないところ】*****ZIP ⇒ h191210ms.zip
北海道 釧路市・根室市・根室北部・紋別地区・釧路北部・釧路東部
山形県 東根市
福島県 いわき市・双葉地方広域市町村圏組合
群馬県 高崎市・安中市ほか5一部消防指令事務協議会
埼玉県 比企広域・越谷市・蕨市・蓮田市
千葉県 市川市・松戸市・流山市・八千代市・我孫子市・鎌ケ谷市・
匝瑳市横芝光町・夷隅郡市広域市町村圏
新潟県 阿賀町
滋賀県 湖北地域
兵庫県 芦屋市・赤穂市・北はりま
山口県 萩市
徳島県 徳島中央広域連合
香川県 丸亀市
愛媛県 東温市
高知県 南国市
高知県 香美市
福岡県 糸島市
佐賀県 伊万里・有田
宮崎県 都城市・日南市・日向市・串間市
鹿児島県 熊毛地区
*****【富士通ゼネラル間販で住民監査請求を行っていないところ】*****ZIP ⇒ h191210xml.zip
北海道 札幌市・歌志内市・日高中部・南空知・砂川地区広域・
根室北部消防・日高西部・釧路東部
山形県 天童市
群馬県 桐生市・館林地区
埼玉県 入間東部地区・秩父・深谷市
千葉県 木更津市・成田市・富津市・浦安市・栄町
安房郡市広域市町村圏・佐倉市八街市酒々井町・印西地区
新潟県 長岡市・小千谷市
福井県 大野市
山梨県 峡北広域行政・峡南・東山梨・南アルプス市
長野県 松本広域
愛知県 春日井市
滋賀県 大津市
京都府 相楽中部
大阪府 大阪市・堺市・高槻市・枚方寝屋川
兵庫県 小野市
奈良県 奈良市
鳥取県 鳥取県東部
島根県 島根県・出雲市・雲南広域連合雲南・大田市・江津邑智
広島県 安芸高田市・東広島市
徳島県 阿南市
香川県 仲多度南部
愛媛県 西予市
高知県 嶺北広域行政
長崎県 五島市
大分県 臼杵市・宇佐市
宮崎県 西都市
沖縄県 浦添市
--
**********
■このため、当会では期限ぎりぎりの1月29日付で、次の3件について、それぞれの消防組合・消防本部に対して、それぞれの自治体に在住する会員により住民監査請求書を提出しました。
*****桐生市消防本部あて*****ZIP ⇒
20200129hfwkzij.zip
住 民 監 査 請 求 書
令和2年1月29日
桐生市消防本部監査委員 殿
第1 監査請求の趣旨
監査委員は、消防本部管理者に対し、平成25年6月28日締結の「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負契約に関し、東日本電信電話株式会社及び株式会社富士通ゼネラルから各自金2億0684万4000円を消防本部に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求める。
第2 監査請求の理由
1 監査請求にかかる契約
桐生市消防本部は、「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業を条件付き一般競争入札の方法により発注した。
これに対し、株式会社富士通ゼネラル、東日本電信電話株式会社の計2社が入札し、その結果、東日本電信電話㈱が、1回目の入札で、9億8500万円で落札した。
そして、消防本部と東日本電信電話㈱は、平成25年5月21日、下記内容の「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負仮契約を結んだ。
イ 請負代金 10億3422万0000円(消費税込み)
ロ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(確定した当該納付命令が独占禁止法第59条第2項の規定により取り消された場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、請負代金額(この契約の締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の2に相当する額を支払わなければならない(約款第42条の2第1項(1)号)。
2 公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令 /・・・(略)・・・
3 消防本部の有する債権
(1)東日本電信電話に対する債権
(ア)請負契約に基づく違約金請求権
東日本電信電話は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、東日本電信電話はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本件契約約款第42条の2第1項(1)号に該当する。
よって、消防本部は、東日本電信電話に対し、請負代金額の10分の2である2億0684万4000円の違約金請求権を有する。
(イ)不法行為による損害賠償責任
Ⅰ 上記の通り、東日本電信電話は、富士通ゼネラルと共に入札談合を行っていたので、独占禁止法3条違反として、不法行為責任を負う。
Ⅱ 当該不法行為によって消防本部が被った損害額 / 本件契約約款42条の2第1項(1)所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法420条1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって消防本部が被った損害額は、請負代金額の10分の2である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
Ⅲ したがって、消防本部は、東日本電信電話に対して、請負代金額の10分の2である2億0684万4000円の損害賠償請求権を有する。
(2)富士通ゼネラルに対する債権
富士通ゼネラルは、排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
したがって、東日本電信電話と同様、消防本部に対して不法行為責任を負う(東日本電信電話とは、共同不法行為となる)。
富士通ゼネラルは、東日本電信電話との共同不法行為により消防本部に損害を与えたのだから、富士通ゼネラルが消防本部に与えた損害額は、東日本電信電話と同様に2億0684万4000円である。
よって、消防本部は、富士通ゼネラルに対して、2億0683万4000円の損害賠償請求権を有する。
第3 結論
以上の通り、消防本部は、東日本電信電話及び富士通ゼネラルに対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査請求の趣旨記載のとおり請求を行う。
第4 請求者
住 所 群馬県桐生市天神町3丁目14-36
氏 名 長澤健二 (自署 印)
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
添付:別紙
添付書類:事実証明書
本件に関する事実証明として、次の書類の写しを提出する。
1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
ZIP ⇒ p.zip
2 平成25年5月17日付け入札・契約結果情報詳細(入札調書・入札経過)
3 平成25年5月21日付け建設工事請負仮契約書
4 建設工事請負契約約款
5 平成29年(納)第1号課徴金納付命令書
ZIP ⇒ qt.zip
*****館林市地区消防組合あて*****ZIP ⇒ 20200129hfwkzij.zip
住 民 監 査 請 求 書
令和2年1月29日
館林地区消防組合監査委員 殿
第1 監査請求の趣旨
監査委員は、消防組合管理者に対し、平成25年6月28日締結の「消防救急デジタル無線設備整備工事」事業の建設工事請負契約に関し、東日本電信電話株式会社及び株式会社富士通ゼネラルから各自金3202万5000円を消防組合に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求める。
第2 監査請求の理由
1 監査請求にかかる契約
館林地区消防組合は、「消防救急デジタル無線設備整備工事」事業を一般競争入札の方法により発注した。
これに対し、株式会社富士通ゼネラル、東日本電信電話株式会社、扶桑電通株式会社の計3社が入札し、その結果、東日本電信電話㈱が、1回目の入札で、3億2025万円で落札した。
そして、組合と東日本電信電話㈱は、平成25年6月28日、下記内容の「消防救急デジタル無線設備整備工事」事業の建設工事請負契約を結んだ。
イ 請負代金 3億2025万0000円(消費税込み)
ロ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(独占禁止法第7条の2第10項の規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、請負代金額(この契約の締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の1に相当する額を支払わなければならない(契約約款第47条の2第1項(1)号)。
2 公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令 /・・・(略)・・・
3 組合の有する債権
(1)東日本電信電話に対する債権
(ア)請負契約に基づく違約金請求権
東日本電信電話は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、東日本電信電話はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本件契約約款第47条の2第1項(1)号に該当する。
よって、組合は、東日本電信電話に対し、請負代金額の10分の1である3202万5000円の違約金請求権を有する。
(イ)不法行為による損害賠償責任
Ⅰ 上記の通り、東日本電信電話は、富士通ゼネラルと共に入札談合を行っていたので、独占禁止法3条違反として、不法行為責任を負う。
Ⅱ 当該不法行為によって組合が被った損害額 / 本件契約約款第47条の2第1項(1)号所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法420条1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって組合が被った損害額は、請負代金額の10分の1である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
Ⅲ したがって、組合は、東日本電信電話に対して、請負代金額の10分の1である3202万5000円の損害賠償請求権を有する。
(2)富士通ゼネラルに対する債権
富士通ゼネラルは、排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
したがって、東日本電信電話と同様、組合に対して不法行為責任を負う(東日本電信電話とは、共同不法行為となる)。
富士通ゼネラルは、東日本電信電話との共同不法行為により組合に損害を与えたのだから、富士通ゼネラルが組合に与えた損害額は、東日本電信電話と同様に3202万5000円である。
よって、組合は、富士通ゼネラルに対して、3202万5000円の損害賠償請求権を有する。
第3 結論
以上の通り、組合は、東日本電信電話及び富士通ゼネラルに対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査請求の趣旨記載のとおり請求を行う。
第4 請求者
住 所 群馬県館林市台宿町1-31
氏 名 小林光一 (自署 印)
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
添付:別紙
添付書類:事実証明書
本件に関する事実証明として、次の書類の写しを提出する。
1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
ZIP ⇒ p.zip
2 平成25年6月4日付け入札調書
3 平成25年6月28日付け建設工事請負契約書
4 平成29年(納)第1号課徴金納付命令書
ZIP ⇒ qs.zip
*****高崎市・安中市消防組合あて*****ZIP ⇒ 20200129zpifwj.zip
住 民 監 査 請 求 書(1)
令和2年1月29日
高崎市・安中市消防組合監査委員 殿
第1 監査請求の趣旨
監査委員は、消防組合管理者に対し、平成24年10月19日締結の「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業の物品売買契約に関し、関越電子情報株式会社及び沖電気工業株式会社から各自金5234万2500円を消防組合に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求める。
第2 監査請求の理由
1 監査請求にかかる契約
高崎市・安中市消防組合は、「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業を一般競争入札の方法により発注した。
これに対し、関越電子情報株式会社と沖電気工業株式会社の計2社が入札し、その結果、関越電子情報㈱が、1回目の入札で、4億9850万円で落札した。
そして、組合と関越電子情報㈱は、平成24年10月19日、下記内容の「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業の物品売買契約を結んだ。
イ 請負代金 5億2342万5000円(消費税込み)
ロ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1項の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(独占禁止法第7条の2第10項の規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、契約金額(本契約締結後、契約金額の変更があった場合には、変更後の契約金額)の100分の10に相当する額を支払わなければならない(本件契約第10条第1項(1)号)。
2 公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令 /・・・(略)・・・
3 組合の有する債権
(1)関越電子情報に対する債権
(ア)請負契約に基づく違約金請求権
関越電子情報は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、関越電子情報はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本件契約第10条第1項(1)号に該当する。
よって、組合は、関越電子情報に対し、請負代金額の100分の10である5234万2500円の違約金請求権を有する。
(イ)不法行為による損害賠償責任
Ⅰ 上記の通り、関越電子情報は、沖電気工業と共に入札談合を行っていたので、独占禁止法3条違反として、不法行為責任を負う。
Ⅱ 当該不法行為によって組合が被った損害額 / 本件契約第10条第1項(1)号所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法420条1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって組合が被った損害額は、請負代金額の100分の10である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
Ⅲ したがって、組合は、関越電子情報に対して、請負代金額の100分の10である5234万2500円の損害賠償請求権を有する。
(2)沖電気工業に対する債権
沖電気工業は、排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
したがって、関越電子情報と同様、組合に対して不法行為責任を負う(関越電子情報とは、共同不法行為となる)。
沖電気工業は、関越電子情報との共同不法行為により組合に損害を与えたのだから、沖電気工業が組合に与えた損害額は、関越電子情報と同様に5234万2500円である。
よって、組合は、沖電気工業に対して、5235万2500円の損害賠償請求権を有する。
第3 結論
以上の通り、組合は、関越電子情報及び沖電気工業に対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査請求の趣旨記載のとおり請求を行う。
第4 請求者
住 所 群馬県安中市野殿980
氏 名 小川賢 (自署 印)
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
添付:別紙
添付書類:事実証明書
本件に関する事実証明として、次の書類の写しを提出する。
1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
ZIP ⇒ p.zip
2 平成24年9月21日付け入札結果報告
3 平成24年10月19日付け物品売買契約書
4 平成24年7月付け消防救急デジタル移動無線機整備事業仕様書
5 平成29年(納)第3号課徴金納付命令書
ZIP ⇒ qt.zip
**********
■なお、高崎市・安中市消防組合には、平成29年8月に違約金を回収した当時の関連情報の開示請求をしました。
監査請求期間は60日です。監査結果は遅くとも4月初めには届く予定です。何らかの通知があれば、逐次報告してまいります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1
**********日本経済新聞2017年2月2日 22:57
消防無線談合、4社に課徴金63億円命令 公取委
全国の自治体が発注した消防救急デジタル無線の入札で談合を繰り返したとして、公正取引委員会は2日、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、富士通ゼネラルなどメーカー4社に総額63億4490万円の課徴金納付を命じた。違反を自主申告し、課徴金を免れた日立国際電気を含む5社に対し、再発防止を求める排除措置命令も出した。
自治体が特定のメーカーしか対応できない製品の仕様で発注したり、指名業者を決める過程にメーカーが加わったりする事例があったことも判明。公取委は談合を助長する恐れがある行為だとして、全国の自治体に注意喚起した。
課徴金の内訳は富士通ゼネラル48億円、NEC11億5517万円、OKI2億4381万円、日本無線1億4592万円。
公取委によると、各社は自治体の消防本部や救急車、消防車などに設置するデジタル無線の入札で、落札企業を話し合って決めていた。談合は遅くとも2009年12月に始まり、NECが12年5月に離脱。残る4社に談合を指摘する文書が届き、14年4月に終わった。この間に全国で516件の入札(約2700億円分)があり、うち5割強で談合が成立した。
消防や救急の無線は情報の秘匿性や機能を高めるため、全国の自治体が16年5月末までにアナログからデジタルに切り替えていた。
NECなど4社は「再発防止を徹底する」、富士通ゼネラルは「事実認定と法解釈で見解の相違がある。取り消し訴訟の提起を含め、今後の対応を慎重に検討する」とするコメントを出した。
※参考情報2
**********公正取引委員会
URL ⇒ https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/feb/170202_01.html
(平成29年2月2日)消防救急デジタル無線機器の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について
平成29年2月2日
公正取引委員会
公正取引委員会は,消防救急デジタル無線機器(注1)の製造販売業者に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は,消防救急デジタル無線機器の製造販売業者が,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
(注1)「消防救急デジタル無線機器」とは,SCPC方式のデジタル通信方式(1の搬送波当たりのチャネル数が1の方式のデジタル通信方式をいう。)により,260MHz帯の周波数帯を使用する「消防救急無線」(注2)のためのシステムを構成する基地局無線装置,無線回線制御装置,車載型無線装置,卓上型無線装置,携帯型無線装置,可搬型無線装置,遠隔制御装置及び管理監視制御装置をいう。
(注2)「消防救急無線」とは,電波法関係審査基準(平成13年総務省訓令第67号)の別紙2第2の2(4)で定められた審査を受けた無線局を利用した無線通信であって,消防職員が消防業務及び救急業務の活動を行うためのものをいう。
1 違反事業者数,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者数並びに課徴金額(違反事業者名,各事業者の課徴金額等については別表のとおり)
違反事業者数 5社
排除措置命令 5社
対象事業者数 4社
課徴金納付命令 63億4490万円
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
(1) 別表記載の5社(以下「5社」という。)は,遅くとも平成21年12月21日頃までに(株式会社日立国際電気にあっては遅くとも平成22年5月24日頃までに,日本無線株式会社にあっては遅くとも同年9月15日頃までに参加),特定消防救急デジタル無線機器(注3)について,受注価格の低落防止等を図るため
ア 納入予定メーカー(注4)を決定する
イ 納入予定メーカー以外の者は,納入予定メーカーが納入できるように協力する
旨合意した。
(2) 5社は,当該合意の下に,5社の営業部課長級の者らが参加する会合を平成23年12月頃までおおむね毎月開催し,特に平成22年12月頃から平成23年12月頃には,同会合において,全国の消防本部等ごとに納入予定メーカーを記載した「ちず」と称する一覧表を作成し,特定消防救急デジタル無線機器の発注が本格化する平成24年4月頃以降は,おおむね3か月ごとに会合を開催し,前記「ちず」と称する一覧表と類似の一覧表を作成して,納入予定メーカーが納入できているか等を確認するなどして
ア 納入を希望する者(以下「納入希望者」という。)が1社のときは,その者を納入予定メーカーとするほか,納入希望者が複数社のときは,既設の状況,営業活動の状況,発注者の意向等を勘案して,納入希望者間の話合いにより納入予定メーカーを決定する
イ 入札等において落札すべき価格は,納入予定メーカー自らが落札者となる場合には自ら定め,代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定するなどし,納入予定メーカー以外の者は,納入予定メーカーが定めた価格よりも高い価格で入札する又は入札に参加しない
などにより,納入予定メーカーを決定し,納入予定メーカーが納入できるようにしていた。
(3) 5社は,特定消防救急デジタル無線機器について,納入予定メーカーを決定し,納入予定メーカー以外の者は,納入予定メーカーが納入できるように協力する旨を合意することにより,公共の利益に反して,特定消防救急デジタル無線機器の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注3)「特定消防救急デジタル無線機器」とは,消防救急デジタル無線機器(多重無線装置,空中線,電源装置,冷暖房装置,印刷機器等の機器のほか,据付工事,鉄塔の建設工事等の工事を含めて発注される場合には当該機器等を含む。)をいう。
(注4)「納入予定メーカー」とは,発注物件を自ら落札し,又は代理店等に落札させるなどして,もって自ら製造した又は自社の子会社等に委託して製造させた消防救急デジタル無線機器(株式会社富士通ゼネラルが富士通株式会社から委託を受けて製造した消防救急デジタル無線機器を含む。)を納入すべき者をいう。
3 排除措置命令の概要
(1) 5社は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2の合意が消滅していることを確認すること。
イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定消防救急デジタル無線機器について,納入予定メーカーを決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと。
(2) 5社は,それぞれ,前記(1)に基づいて採った措置を,自社を除く4社に通知するとともに,特定消防救急デジタル無線機器を発注する市町村等に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(3) 5社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,市町村等が発注する特定消防救急デジタル無線機器について,納入予定メーカーを決定してはならない。
(4) 5社は,それぞれ,特定消防救急デジタル無線機器の納入に関する独占禁止法の遵守について,特定消防救急デジタル無線機器の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査を行うために必要な措置を講じなければならない。
4 課徴金納付命令の概要
(1) 課徴金納付命令の対象事業者は,平成29年9月4日までに,それぞれ別表の「課徴金額」欄記載の額(総額63億4490万円)を支払わなければならない。
(2) 日本電気株式会社は,独占禁止法第7条の2第7項第1号に該当する者であることから,同項の規定に基づき,5割加算した算定率を適用している。
5 特定消防救急デジタル無線機器の発注者に対する連絡
(1) 本件審査の過程において,特定消防救急デジタル無線機器の入札等の一部において,次のような疑いのある事実が認められた。
ア 特定の製造販売業者の仕様を発注仕様書等に記載している。
イ 特定の製造販売業者が,指名業者,入札参加資格条件,発注方法の選定等に関与しているほか,指名業者又は入札参加申請業者を把握している。
(2) 発注仕様書等に特定の製造販売業者の仕様が記載されている場合,契約の相手方となるべき者について発注者が意向をほのめかしていると受け取られるおそれがあり,また,特定の製造販売業者が,指名業者,入札参加資格条件,発注方法の選定等に関与したり,指名業者又は入札参加申請業者を把握できることは,入札談合等を行うことを容易にするおそれがあるため,特定消防救急デジタル無線機器の発注者に対し,本日,前記のとおり排除措置命令を行った旨を連絡するとともに,今後,特定消防救急デジタル無線機器を発注するに際しては,前記(1)のようなことのないように留意するよう連絡した。
**********
最近では2019年9月28-29日に岐阜市で行われた「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」において、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけが行われました。
これを踏まえて当会は、今年1月29日付で、高崎市・安中市消防組合(高崎市等広域消防局)、桐生市消防本部、館林地区消防組合消防本部に対して住民監査請求書を提出しました。
↑高崎市等広域消防局。↑
↑桐生市消防本部。↑
↑館林地区消防組合。↑
昨年9月に岐阜市で開催された「第26回市民オンブズ全国大会in岐阜・2019」にて、消防デジタル無線談合について、該当自治体に遅くとも2020年7月までに住民監査請求をするよう呼びかけを行いました。
・パワーポイント資料
https://www.ombudsman.jp/dangou/digital190928.pdf
・一覧表(2019/9/10現在)
https://www.ombudsman.jp/dangou/digital190910.pdf
具体的には以下です。
・消防デジタル無線談合で、4社(日本電気・沖電気・日本無線・日立国際電気)は確定している。
・手法は、直販(談合業者が自治体と直接契約)と間販(代理店等が自治体と契約)がある
・岐阜県・愛知県訴訟で、4社の供述調書を入手できた。
・岐阜県・愛知県訴訟では、住民訴訟の結果、間販3自治体が談合業者を提訴した
・直販59のうち、入金済44 請求済3 請求検討中5 まだ3
・間販48のうち、提訴済6 請求済1 請求検討中1 まだ40
・まだ・請求検討中 の自治体に対して、遅くとも2020年7月までに住民監査請求を。
まず契約書、入札結果調書を情報公開請求を行う。
住民監査請求書のひな形は全国オンブズ事務局まで。
※富士通ゼネラルに関しては、情報を入手・研究中です。
■こうした事情を背景に、当会では、2017年4月から5月にかけて、群馬県内で行われた次の3市長あてに4件の談合案件に関する情報開示請求を行いました。その結果、それぞれ情報開示を受けました。
*****桐生市長あて*****
平成25年5月17日に富士通ゼネラルが落札した「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」に関する次の情報。
①入札結果調書
②契約書
③仕様書
④デジタル無線整備団体別負担金(あれば)
⑤当該仕様にした理由がわかるもの
※開示資料:ZIP ⇒ 20170522sjp.zip
20170522sjq.zip
*****館林市長あて*****
平成25年6月4日に富士通ゼネラルが落札した「館林地区消防組合消防本部消防救急デジタル無線設備整備工事」に関する次の情報。
①入札結果調書
②契約書
③仕様書
④デジタル無線整備団体別負担金(あれば)
⑤当該仕様にした理由がわかるもの
※開示資料:ZIP ⇒ 20170626sjp.zip
20170626sjq.zip
20170626sjr.zip
*****高崎市長あて*****
平成24年9月21日に沖電気が落札した「高崎市等広域消防局消防救急デジタル移動無線機」および平成25年6月13日に沖電気が落札した「高崎市等広域消防局消防救急デジタル無線基地局等整備工事」に関する、次の情報
①入札結果調書
②契約書
③仕様書
④デジタル無線整備団体別負担金(あれば)
⑤当該仕様にした理由がわかるもの
※開示資料:ZIP ⇒ 20170515sjp.zip
20170515sjq.zip
20170515sjr.zip
**********
■その後、各消防組合が業者に対して違約金の請求を行っているかどうか、動静をチェックするため、2018年11月20日付で、公開質問状を提出しました。そして、各消防組合から回答を得ました。
*****桐生市あて*****
2018年11月20日
〒376-0027 群馬県桐生市元宿町13-38
桐生市消防本部 管理者 御中
〒371-0801前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567 FAX:027-224-6624
公開質問状
前略 平素より消防行政を通じて住民の安全・安心な生活保全にご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、平成29年5月22日付で御庁から「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」に係る情報開示を受けました。この工事を落札した東日本電信電話㈱群馬支店に関して、公務多忙のところ誠に恐縮ですが、次の質問にご回答くださるようお願い申しあげます。
なお、勝手ながら、回答は平成30年11月30日(金)限り、当会のFAX(027-224-6624)に送信、もしくは文書にて郵送でお送りいただけると幸いです。
記
質問1 桐生市建設工事請負契約約款によると、第42条の2 「受注者(共同企業体にあっては、その構成員)が、次に掲げる場合のいずれかに該当したときは、受注者は、発注者の請求に基づき、請負代金額(この契約締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額。)の10分の2に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない」と明示されています。貴殿は、この条項を行使しましたか?
質問2 すでに行使された場合は、いつ請求し、いつ支払いを受けましたか?
質問3 まだ行使していない場合は、いつ請求する予定ですか?
質問4 あるいは行使する予定がないのであれば、その理由を教えてください。
以上
*****館林市あて*****
2018年11月20日
〒374-0039 群馬県館林市美園町7-3
館林地区消防組合 管理者 御中
〒371-0801前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567 FAX:027-224-6624
公開質問状
前略 平素より消防行政を通じて住民の安全・安心な生活保全にご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、平成29年5月に御庁から「消防救急デジタル無電設備整備工事」に係る情報開示を受けました。この工事を落札した東日本電信電話㈱に関して、公務多忙のところ誠に恐縮ですが、次の質問にご回答くださるようお願い申しあげます。
なお、勝手ながら、回答は平成30年11月30日(金)限り、当会のFAX(027-224-6624)に送信、もしくは文書にて郵送でお送りいただけると幸いです。
記
質問1 館林市建設工事請負契約約款によると、第47条の2 「受注者(受注者が共同企業体であるときは、その構成員のいずれかの者。以下この項において同じ。)が、次の各号のいずれかに該当したときは、受注者は、発注者の請求に基づき、請負代金額(この契約締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額。)の10分の1に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない」と明示されています。貴殿は、この条項を行使しましたか?
質問2 すでに行使された場合は、いつ請求し、いつ支払いを受けましたか?
質問3 まだ行使していない場合は、いつ請求する予定ですか?
質問4 あるいは行使する予定がないのであれば、その理由を教えてください。
以上
*****高崎市あて*****
2018年11月20日
〒370-0861高崎市八千代町一丁目13番10号
高崎市・安中市消防組合
管理者 富岡賢治 様
〒371-0801前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
TEL:027-224-8567 FAX:027-224-6624
公開質問状
前略 平素より消防行政を通じて住民の安全・安心な生活保全にご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
さて、2012年9月21日に関越電子情報が落札した「高崎市等広域消防局消防救急デジタル移動無線機」及び2013年6月13日に沖電気が落札した「高崎市等広域消防局消防救急デジタル無線基地局当整備工事」に関して、次の質問があります。
つきましては、公務多忙のところ誠に恐縮ですが、次の質問にご回答くださるようお願い申しあげます。なお、勝手ながら、回答は平成30年11月30日(金)限り、当会のFAX(027-224-6624)に送信、もしくは文書にて郵送でお送りいただけると幸いです。
記
質問1 上記2件の物品売買仮契約書によると、第10条に談合等不正行為があった場合の違約金等として、売渡人は「契約金額の100分の10に相当する額を違約金として買受人の指定する期間内に支払わなければならない」と定めています。貴殿は、この条項を行使しましたか?
質問2 すでに行使された場合は、いつ請求し、いつ支払いを受けましたか?
質問3 まだ行使していない場合は、いつ請求する予定ですか?
質問4 あるいは行使する予定がないのであれば、その理由を教えてください。
以上
**********
すると、各消防組合からそれぞれ次の回答がありました。
※桐生市消防本部からの回答 ZIP ⇒ 20181130shfax.zip
※館林市地区消防組合からの回答 ZIP ⇒ 20181129nhgfax.zip
※高崎市・安中市消防組合からの回答 ZIP ⇒ 20181208lh.zip
■これによると、沖電気工業が受注者だった高崎市・安中市消防組合の「消防救急デジタル無線基地局等整備工事(建設工事請負契約)」については、建設工事請負契約約款に基づき当該契約の請負代金の10分の1に相当する違約金112,350,000円が、沖電気工業に対して平成29年7月26日に請求され、納入期限日の平成29年8月25日に納付されたことがわかりました。
しかし、高崎市・安中市消防組合の「消防救急無線移動無線機(物品売買契約)」については、「代理店との契約のため、不利益について立証することが困難である」として、「引き続き、総務省消防庁、他の消防本部などの動向を注視し、精査検討する」という回答でした。
同様に、桐生市消防本部からも、受注者がメーカーではなく代理店だとして「本契約の受注者が、桐生市建設工事請負契約約款第42条の2に掲げる受注者に該当しないため、本条項は、行使できないと考えています」とする回答がありました。
そして、館林地区消防組合からも、同様に「当組合の『消防救急デジタル無線設備整備工事』の受注者である東日本電信電話株式会社は、当組合との契約に於いて工事請負契約約款第47条の2に該当しないからです」として違約金請求の「行使はしていません」との回答でした。
■ところが、昨年12月12日付で、全国市民オンブズマン連絡会議事務局から「先日来、各地に呼びかけている「間販」(談合5者が直接契約ではなく、代理店を経由して談合していたこと)についての住民監査請求ですが、全国事務局で、富士通ゼネラルならびに4社について、代理店等が契約している自治体について、出来る範囲ですべて契約書等の情報公開請求が終わりました」として、「間販の不法行為責任については、確定4社・未確定1社とも2020年2月1日に時効になるという説があります。遅くとも2020年1月中に住民監査請求を呼びかけます」という指示が出されました。
それによりますと、代理店を介した「間接販売(間販)」で、まだ住民監査請求をおこなっていないところは、次のとおりだというのです。
*****【4者間販で住民監査請求を行っていないところ】*****ZIP ⇒ h191210ms.zip
北海道 釧路市・根室市・根室北部・紋別地区・釧路北部・釧路東部
山形県 東根市
福島県 いわき市・双葉地方広域市町村圏組合
群馬県 高崎市・安中市ほか5一部消防指令事務協議会
埼玉県 比企広域・越谷市・蕨市・蓮田市
千葉県 市川市・松戸市・流山市・八千代市・我孫子市・鎌ケ谷市・
匝瑳市横芝光町・夷隅郡市広域市町村圏
新潟県 阿賀町
滋賀県 湖北地域
兵庫県 芦屋市・赤穂市・北はりま
山口県 萩市
徳島県 徳島中央広域連合
香川県 丸亀市
愛媛県 東温市
高知県 南国市
高知県 香美市
福岡県 糸島市
佐賀県 伊万里・有田
宮崎県 都城市・日南市・日向市・串間市
鹿児島県 熊毛地区
*****【富士通ゼネラル間販で住民監査請求を行っていないところ】*****ZIP ⇒ h191210xml.zip
北海道 札幌市・歌志内市・日高中部・南空知・砂川地区広域・
根室北部消防・日高西部・釧路東部
山形県 天童市
群馬県 桐生市・館林地区
埼玉県 入間東部地区・秩父・深谷市
千葉県 木更津市・成田市・富津市・浦安市・栄町
安房郡市広域市町村圏・佐倉市八街市酒々井町・印西地区
新潟県 長岡市・小千谷市
福井県 大野市
山梨県 峡北広域行政・峡南・東山梨・南アルプス市
長野県 松本広域
愛知県 春日井市
滋賀県 大津市
京都府 相楽中部
大阪府 大阪市・堺市・高槻市・枚方寝屋川
兵庫県 小野市
奈良県 奈良市
鳥取県 鳥取県東部
島根県 島根県・出雲市・雲南広域連合雲南・大田市・江津邑智
広島県 安芸高田市・東広島市
徳島県 阿南市
香川県 仲多度南部
愛媛県 西予市
高知県 嶺北広域行政
長崎県 五島市
大分県 臼杵市・宇佐市
宮崎県 西都市
沖縄県 浦添市
--
**********
■このため、当会では期限ぎりぎりの1月29日付で、次の3件について、それぞれの消防組合・消防本部に対して、それぞれの自治体に在住する会員により住民監査請求書を提出しました。
*****桐生市消防本部あて*****ZIP ⇒
20200129hfwkzij.zip
住 民 監 査 請 求 書
令和2年1月29日
桐生市消防本部監査委員 殿
第1 監査請求の趣旨
監査委員は、消防本部管理者に対し、平成25年6月28日締結の「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負契約に関し、東日本電信電話株式会社及び株式会社富士通ゼネラルから各自金2億0684万4000円を消防本部に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求める。
第2 監査請求の理由
1 監査請求にかかる契約
桐生市消防本部は、「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業を条件付き一般競争入札の方法により発注した。
これに対し、株式会社富士通ゼネラル、東日本電信電話株式会社の計2社が入札し、その結果、東日本電信電話㈱が、1回目の入札で、9億8500万円で落札した。
そして、消防本部と東日本電信電話㈱は、平成25年5月21日、下記内容の「桐生市消防救急無線デジタル化整備工事」事業の建設工事請負仮契約を結んだ。
イ 請負代金 10億3422万0000円(消費税込み)
ロ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(確定した当該納付命令が独占禁止法第59条第2項の規定により取り消された場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、請負代金額(この契約の締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の2に相当する額を支払わなければならない(約款第42条の2第1項(1)号)。
2 公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令 /・・・(略)・・・
3 消防本部の有する債権
(1)東日本電信電話に対する債権
(ア)請負契約に基づく違約金請求権
東日本電信電話は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、東日本電信電話はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本件契約約款第42条の2第1項(1)号に該当する。
よって、消防本部は、東日本電信電話に対し、請負代金額の10分の2である2億0684万4000円の違約金請求権を有する。
(イ)不法行為による損害賠償責任
Ⅰ 上記の通り、東日本電信電話は、富士通ゼネラルと共に入札談合を行っていたので、独占禁止法3条違反として、不法行為責任を負う。
Ⅱ 当該不法行為によって消防本部が被った損害額 / 本件契約約款42条の2第1項(1)所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法420条1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって消防本部が被った損害額は、請負代金額の10分の2である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
Ⅲ したがって、消防本部は、東日本電信電話に対して、請負代金額の10分の2である2億0684万4000円の損害賠償請求権を有する。
(2)富士通ゼネラルに対する債権
富士通ゼネラルは、排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
したがって、東日本電信電話と同様、消防本部に対して不法行為責任を負う(東日本電信電話とは、共同不法行為となる)。
富士通ゼネラルは、東日本電信電話との共同不法行為により消防本部に損害を与えたのだから、富士通ゼネラルが消防本部に与えた損害額は、東日本電信電話と同様に2億0684万4000円である。
よって、消防本部は、富士通ゼネラルに対して、2億0683万4000円の損害賠償請求権を有する。
第3 結論
以上の通り、消防本部は、東日本電信電話及び富士通ゼネラルに対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査請求の趣旨記載のとおり請求を行う。
第4 請求者
住 所 群馬県桐生市天神町3丁目14-36
氏 名 長澤健二 (自署 印)
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
添付:別紙
添付書類:事実証明書
本件に関する事実証明として、次の書類の写しを提出する。
1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
ZIP ⇒ p.zip
2 平成25年5月17日付け入札・契約結果情報詳細(入札調書・入札経過)
3 平成25年5月21日付け建設工事請負仮契約書
4 建設工事請負契約約款
5 平成29年(納)第1号課徴金納付命令書
ZIP ⇒ qt.zip
*****館林市地区消防組合あて*****ZIP ⇒ 20200129hfwkzij.zip
住 民 監 査 請 求 書
令和2年1月29日
館林地区消防組合監査委員 殿
第1 監査請求の趣旨
監査委員は、消防組合管理者に対し、平成25年6月28日締結の「消防救急デジタル無線設備整備工事」事業の建設工事請負契約に関し、東日本電信電話株式会社及び株式会社富士通ゼネラルから各自金3202万5000円を消防組合に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求める。
第2 監査請求の理由
1 監査請求にかかる契約
館林地区消防組合は、「消防救急デジタル無線設備整備工事」事業を一般競争入札の方法により発注した。
これに対し、株式会社富士通ゼネラル、東日本電信電話株式会社、扶桑電通株式会社の計3社が入札し、その結果、東日本電信電話㈱が、1回目の入札で、3億2025万円で落札した。
そして、組合と東日本電信電話㈱は、平成25年6月28日、下記内容の「消防救急デジタル無線設備整備工事」事業の建設工事請負契約を結んだ。
イ 請負代金 3億2025万0000円(消費税込み)
ロ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(独占禁止法第7条の2第10項の規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、請負代金額(この契約の締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額)の10分の1に相当する額を支払わなければならない(契約約款第47条の2第1項(1)号)。
2 公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令 /・・・(略)・・・
3 組合の有する債権
(1)東日本電信電話に対する債権
(ア)請負契約に基づく違約金請求権
東日本電信電話は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、東日本電信電話はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本件契約約款第47条の2第1項(1)号に該当する。
よって、組合は、東日本電信電話に対し、請負代金額の10分の1である3202万5000円の違約金請求権を有する。
(イ)不法行為による損害賠償責任
Ⅰ 上記の通り、東日本電信電話は、富士通ゼネラルと共に入札談合を行っていたので、独占禁止法3条違反として、不法行為責任を負う。
Ⅱ 当該不法行為によって組合が被った損害額 / 本件契約約款第47条の2第1項(1)号所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法420条1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって組合が被った損害額は、請負代金額の10分の1である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
Ⅲ したがって、組合は、東日本電信電話に対して、請負代金額の10分の1である3202万5000円の損害賠償請求権を有する。
(2)富士通ゼネラルに対する債権
富士通ゼネラルは、排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
したがって、東日本電信電話と同様、組合に対して不法行為責任を負う(東日本電信電話とは、共同不法行為となる)。
富士通ゼネラルは、東日本電信電話との共同不法行為により組合に損害を与えたのだから、富士通ゼネラルが組合に与えた損害額は、東日本電信電話と同様に3202万5000円である。
よって、組合は、富士通ゼネラルに対して、3202万5000円の損害賠償請求権を有する。
第3 結論
以上の通り、組合は、東日本電信電話及び富士通ゼネラルに対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査請求の趣旨記載のとおり請求を行う。
第4 請求者
住 所 群馬県館林市台宿町1-31
氏 名 小林光一 (自署 印)
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
添付:別紙
添付書類:事実証明書
本件に関する事実証明として、次の書類の写しを提出する。
1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
ZIP ⇒ p.zip
2 平成25年6月4日付け入札調書
3 平成25年6月28日付け建設工事請負契約書
4 平成29年(納)第1号課徴金納付命令書
ZIP ⇒ qs.zip
*****高崎市・安中市消防組合あて*****ZIP ⇒ 20200129zpifwj.zip
住 民 監 査 請 求 書(1)
令和2年1月29日
高崎市・安中市消防組合監査委員 殿
第1 監査請求の趣旨
監査委員は、消防組合管理者に対し、平成24年10月19日締結の「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業の物品売買契約に関し、関越電子情報株式会社及び沖電気工業株式会社から各自金5234万2500円を消防組合に返還させるための必要な措置をとることを勧告するよう求める。
第2 監査請求の理由
1 監査請求にかかる契約
高崎市・安中市消防組合は、「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業を一般競争入札の方法により発注した。
これに対し、関越電子情報株式会社と沖電気工業株式会社の計2社が入札し、その結果、関越電子情報㈱が、1回目の入札で、4億9850万円で落札した。
そして、組合と関越電子情報㈱は、平成24年10月19日、下記内容の「消防救急デジタル移動無線機 消防局総務課」事業の物品売買契約を結んだ。
イ 請負代金 5億2342万5000円(消費税込み)
ロ 受注者が独占禁止法第3条の規定に違反し、又は受注者が構成事業者である事業者団体が独占禁止法第8条第1項の規定に違反したことにより、公正取引委員会が受注者に対し、独占禁止法第7条の2第1項(独占禁止法第8条の3において準用する場合を含む。)の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき(独占禁止法第7条の2第10項の規定に基づき課徴金の納付を命じない場合を含む。)、受注者は、発注者に対して、契約金額(本契約締結後、契約金額の変更があった場合には、変更後の契約金額)の100分の10に相当する額を支払わなければならない(本件契約第10条第1項(1)号)。
2 公正取引委員会による排除措置命令及び課徴金納付命令 /・・・(略)・・・
3 組合の有する債権
(1)関越電子情報に対する債権
(ア)請負契約に基づく違約金請求権
関越電子情報は、上記排除措置命令及び課徴金納付命令の直接の名宛人とはなっていない。しかし、公正取引委員会の認定によれば、「入札等において落札すべき価格は、(中略)代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定する」とされているところ、関越電子情報はこの「代理店等」に該当し、さらに、談合により本件工事の価格の公正が害されたと認定されているから、実質的には、本件契約第10条第1項(1)号に該当する。
よって、組合は、関越電子情報に対し、請負代金額の100分の10である5234万2500円の違約金請求権を有する。
(イ)不法行為による損害賠償責任
Ⅰ 上記の通り、関越電子情報は、沖電気工業と共に入札談合を行っていたので、独占禁止法3条違反として、不法行為責任を負う。
Ⅱ 当該不法行為によって組合が被った損害額 / 本件契約第10条第1項(1)号所定の定めは、損害賠償額の予定の規定(民法420条1項)と解すべきであるから、当該不法行為によって組合が被った損害額は、請負代金額の100分の10である。大阪高裁平成22年8月24日判決(平21(行コ)154号事件)も、本件約款と同趣旨の規定について、損害賠償額の予定の規定と解釈している。
Ⅲ したがって、組合は、関越電子情報に対して、請負代金額の100分の10である5234万2500円の損害賠償請求権を有する。
(2)沖電気工業に対する債権
沖電気工業は、排除措置命令及び課徴金納付命令の名宛人であって、まさしく談合の当事者として独占禁止法違反行為を行っていた者である。
したがって、関越電子情報と同様、組合に対して不法行為責任を負う(関越電子情報とは、共同不法行為となる)。
沖電気工業は、関越電子情報との共同不法行為により組合に損害を与えたのだから、沖電気工業が組合に与えた損害額は、関越電子情報と同様に5234万2500円である。
よって、組合は、沖電気工業に対して、5235万2500円の損害賠償請求権を有する。
第3 結論
以上の通り、組合は、関越電子情報及び沖電気工業に対して上述の債権を有しているにも関わらず、何ら措置をとっていない。よって、監査請求の趣旨記載のとおり請求を行う。
第4 請求者
住 所 群馬県安中市野殿980
氏 名 小川賢 (自署 印)
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
添付:別紙
添付書類:事実証明書
本件に関する事実証明として、次の書類の写しを提出する。
1 平成29年(措)第1号排除措置命令書
ZIP ⇒ p.zip
2 平成24年9月21日付け入札結果報告
3 平成24年10月19日付け物品売買契約書
4 平成24年7月付け消防救急デジタル移動無線機整備事業仕様書
5 平成29年(納)第3号課徴金納付命令書
ZIP ⇒ qt.zip
**********
■なお、高崎市・安中市消防組合には、平成29年8月に違約金を回収した当時の関連情報の開示請求をしました。
監査請求期間は60日です。監査結果は遅くとも4月初めには届く予定です。何らかの通知があれば、逐次報告してまいります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1
**********日本経済新聞2017年2月2日 22:57
消防無線談合、4社に課徴金63億円命令 公取委
全国の自治体が発注した消防救急デジタル無線の入札で談合を繰り返したとして、公正取引委員会は2日、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、富士通ゼネラルなどメーカー4社に総額63億4490万円の課徴金納付を命じた。違反を自主申告し、課徴金を免れた日立国際電気を含む5社に対し、再発防止を求める排除措置命令も出した。
自治体が特定のメーカーしか対応できない製品の仕様で発注したり、指名業者を決める過程にメーカーが加わったりする事例があったことも判明。公取委は談合を助長する恐れがある行為だとして、全国の自治体に注意喚起した。
課徴金の内訳は富士通ゼネラル48億円、NEC11億5517万円、OKI2億4381万円、日本無線1億4592万円。
公取委によると、各社は自治体の消防本部や救急車、消防車などに設置するデジタル無線の入札で、落札企業を話し合って決めていた。談合は遅くとも2009年12月に始まり、NECが12年5月に離脱。残る4社に談合を指摘する文書が届き、14年4月に終わった。この間に全国で516件の入札(約2700億円分)があり、うち5割強で談合が成立した。
消防や救急の無線は情報の秘匿性や機能を高めるため、全国の自治体が16年5月末までにアナログからデジタルに切り替えていた。
NECなど4社は「再発防止を徹底する」、富士通ゼネラルは「事実認定と法解釈で見解の相違がある。取り消し訴訟の提起を含め、今後の対応を慎重に検討する」とするコメントを出した。
※参考情報2
**********公正取引委員会
URL ⇒ https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/feb/170202_01.html
(平成29年2月2日)消防救急デジタル無線機器の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について
平成29年2月2日
公正取引委員会
公正取引委員会は,消防救急デジタル無線機器(注1)の製造販売業者に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は,消防救急デジタル無線機器の製造販売業者が,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
(注1)「消防救急デジタル無線機器」とは,SCPC方式のデジタル通信方式(1の搬送波当たりのチャネル数が1の方式のデジタル通信方式をいう。)により,260MHz帯の周波数帯を使用する「消防救急無線」(注2)のためのシステムを構成する基地局無線装置,無線回線制御装置,車載型無線装置,卓上型無線装置,携帯型無線装置,可搬型無線装置,遠隔制御装置及び管理監視制御装置をいう。
(注2)「消防救急無線」とは,電波法関係審査基準(平成13年総務省訓令第67号)の別紙2第2の2(4)で定められた審査を受けた無線局を利用した無線通信であって,消防職員が消防業務及び救急業務の活動を行うためのものをいう。
1 違反事業者数,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者数並びに課徴金額(違反事業者名,各事業者の課徴金額等については別表のとおり)
違反事業者数 5社
排除措置命令 5社
対象事業者数 4社
課徴金納付命令 63億4490万円
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
(1) 別表記載の5社(以下「5社」という。)は,遅くとも平成21年12月21日頃までに(株式会社日立国際電気にあっては遅くとも平成22年5月24日頃までに,日本無線株式会社にあっては遅くとも同年9月15日頃までに参加),特定消防救急デジタル無線機器(注3)について,受注価格の低落防止等を図るため
ア 納入予定メーカー(注4)を決定する
イ 納入予定メーカー以外の者は,納入予定メーカーが納入できるように協力する
旨合意した。
(2) 5社は,当該合意の下に,5社の営業部課長級の者らが参加する会合を平成23年12月頃までおおむね毎月開催し,特に平成22年12月頃から平成23年12月頃には,同会合において,全国の消防本部等ごとに納入予定メーカーを記載した「ちず」と称する一覧表を作成し,特定消防救急デジタル無線機器の発注が本格化する平成24年4月頃以降は,おおむね3か月ごとに会合を開催し,前記「ちず」と称する一覧表と類似の一覧表を作成して,納入予定メーカーが納入できているか等を確認するなどして
ア 納入を希望する者(以下「納入希望者」という。)が1社のときは,その者を納入予定メーカーとするほか,納入希望者が複数社のときは,既設の状況,営業活動の状況,発注者の意向等を勘案して,納入希望者間の話合いにより納入予定メーカーを決定する
イ 入札等において落札すべき価格は,納入予定メーカー自らが落札者となる場合には自ら定め,代理店等に落札させる場合には当該代理店等と相談して決定するなどし,納入予定メーカー以外の者は,納入予定メーカーが定めた価格よりも高い価格で入札する又は入札に参加しない
などにより,納入予定メーカーを決定し,納入予定メーカーが納入できるようにしていた。
(3) 5社は,特定消防救急デジタル無線機器について,納入予定メーカーを決定し,納入予定メーカー以外の者は,納入予定メーカーが納入できるように協力する旨を合意することにより,公共の利益に反して,特定消防救急デジタル無線機器の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注3)「特定消防救急デジタル無線機器」とは,消防救急デジタル無線機器(多重無線装置,空中線,電源装置,冷暖房装置,印刷機器等の機器のほか,据付工事,鉄塔の建設工事等の工事を含めて発注される場合には当該機器等を含む。)をいう。
(注4)「納入予定メーカー」とは,発注物件を自ら落札し,又は代理店等に落札させるなどして,もって自ら製造した又は自社の子会社等に委託して製造させた消防救急デジタル無線機器(株式会社富士通ゼネラルが富士通株式会社から委託を受けて製造した消防救急デジタル無線機器を含む。)を納入すべき者をいう。
3 排除措置命令の概要
(1) 5社は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2の合意が消滅していることを確認すること。
イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定消防救急デジタル無線機器について,納入予定メーカーを決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと。
(2) 5社は,それぞれ,前記(1)に基づいて採った措置を,自社を除く4社に通知するとともに,特定消防救急デジタル無線機器を発注する市町村等に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(3) 5社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,市町村等が発注する特定消防救急デジタル無線機器について,納入予定メーカーを決定してはならない。
(4) 5社は,それぞれ,特定消防救急デジタル無線機器の納入に関する独占禁止法の遵守について,特定消防救急デジタル無線機器の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査を行うために必要な措置を講じなければならない。
4 課徴金納付命令の概要
(1) 課徴金納付命令の対象事業者は,平成29年9月4日までに,それぞれ別表の「課徴金額」欄記載の額(総額63億4490万円)を支払わなければならない。
(2) 日本電気株式会社は,独占禁止法第7条の2第7項第1号に該当する者であることから,同項の規定に基づき,5割加算した算定率を適用している。
5 特定消防救急デジタル無線機器の発注者に対する連絡
(1) 本件審査の過程において,特定消防救急デジタル無線機器の入札等の一部において,次のような疑いのある事実が認められた。
ア 特定の製造販売業者の仕様を発注仕様書等に記載している。
イ 特定の製造販売業者が,指名業者,入札参加資格条件,発注方法の選定等に関与しているほか,指名業者又は入札参加申請業者を把握している。
(2) 発注仕様書等に特定の製造販売業者の仕様が記載されている場合,契約の相手方となるべき者について発注者が意向をほのめかしていると受け取られるおそれがあり,また,特定の製造販売業者が,指名業者,入札参加資格条件,発注方法の選定等に関与したり,指名業者又は入札参加申請業者を把握できることは,入札談合等を行うことを容易にするおそれがあるため,特定消防救急デジタル無線機器の発注者に対し,本日,前記のとおり排除措置命令を行った旨を連絡するとともに,今後,特定消防救急デジタル無線機器を発注するに際しては,前記(1)のようなことのないように留意するよう連絡した。
**********
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます