市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

記者クラブと県幹部の懇談会に参加した職員らに社会参加費返還を求める住民監査で監査結果真っ二つ!

2017-04-08 00:59:00 | 県内の税金無駄使い実態
■ビジネス社会でよく言われる「ゆでガエル理論」あるいは「ゆでガエルの法則」というものがあります。これは、熱いお湯にカエルを入れると驚いて飛び跳ねますが、常温の水にカエルを入れて徐々に熱していくとその水温に慣れていき、ついに熱湯になってしまっても、もはや跳躍する力と意思を失いゆで上がってしまうことを表しています。つまり、この理論・法則は、ビジネス環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる警句のひとつです。これは群馬県行政にも当てはまると思います。


1年前の2016年4月13日(水)19:00~会費7千円で県幹部らと記者クラブ会員ら総勢55人が集ったJR前橋駅前の「ラ・フォンテーヌ」。前橋駅北側の旧駅跡地はバブル期には駅ビルの建設計画もあったが、バブル崩壊とともに計画も頓挫した。しばらく更地のままだったが、暫定的に駐車場や駅レンタカー店舗として利用されていた。2004年(平成16年)、敷地東側に結婚式場「ラ・フォンテーヌ」が完成。結婚式の披露宴やパーティ、レストラン機能もあり前橋駅北口から徒歩30秒の南欧風邸宅をモチーフにした建物。こういう場所でないと群馬県幹部らお役人様はマスコミ記者らに県政を語れないらしい。


ラ・フォンテーヌの広いパーティ用空間。ここで宴会を開催したことになる。写真:同社HPから。

 かつて「官官接待」や「カラ出張」が日常茶飯だった群馬県ですが、この地で22年間オンブズマン活動に従事してきた当会の経験では、我々の「血税」であっても、役所では「打ち出の小槌」とばかりに、ただ使い切ればよく、その中身は情報不開示にすれば、納税者である県民になど、実態が分かるはずがない、などとする考え方が一向に抜け切れていない様子を感じ取ることができます。

 我々市民オンブズマン群馬は、役所における税金の無駄遣い廃絶の観点から、原則として地方自治法第2条第14項および地方財政法第4条第1項に定められた「最小経費で最大効果」の観点から、税金の正しい使い方を指南することを活動目的の柱の一つにしております。

 この度、群馬県が記者クラブ加盟社と毎年、懇談会と称する大規模な宴会を開催しています。開催目的は、記者クラブ側から県知事あてに「知事ら県幹部と今後の県政に関する意見交換等を行う」ためだそうで、毎年1回、開催日時と会場を記した案内状が送られています。

■しかし、どうも胡散臭いので当会が県に公文書開示請求を行ったところ、実際には、群馬県側がマスコミ対策として主導的に開催している実態が判明したため、当会は住民監査請求を行いました。当初からこれまでの経緯は当会の次のブログを参照ください。

〇2017年2月27日:記者クラブと県幹部の懇談会に参加した職員らに社会参加費返還を求める住民監査請求でオンブズマンが陳述
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2248.html#readmore
〇2017年2月22日:記者クラブと県幹部の懇談会に参加した職員らに社会参加費返還を求める住民監査請求がようやく受理
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2243.html#readmore
〇2017年2月15日:記者クラブと県幹部の懇談会に参加した職員らに社会参加費返還を求める住民監査請求で補正書を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2238.html#readmore
〇2017年2月13日:記者クラブと県幹部の懇談会に参加した職員らに社会参加費返還を求める住民監査請求で早速届いた補正命令
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2236.html#readmore
〇2017年1月30日:記者クラブと群馬県幹部らとの懇談会における県側出席者の疑義についてオンブズマンが住民監査請求書を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2224.html#readmore
〇2016年9月18日:御用記事の多いジャーナリズムを象徴する刀水クラブと県の懇談会・・・不参加は東京新聞だけ
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2122.html#readmore


2年前の2015年3月17日(火)19:00~会費6千円で総勢54名が集ったJR前橋駅北口から徒歩7分の「前橋さくらホテル(旧前橋ホテル)」2階にある大宴会場「青雲の間」。広さ200㎡を誇り、収容人員はパーティで120名、会食で100名までOK。ちなみに会議では2時間あたり税サ込64,152円。懇親会の場合は2時間で税サ込21,384円だが、もちろん宴会の飲食費用は別途。ちなみに大宴会場で最大の「慶雲の間」は倍の400㎡あり、使用料金も2倍。このほか、青雲の間と同じ面積の「紫雲の間」というのがある。こういう場所でないと群馬県幹部らお役人様はマスコミ記者らに県政を語れないらしい。写真:同社HPより。

■そうした中、4月5日付で、群馬県監査委員から当会宛てに監査結果通知が到来しました。



 期限ギリギリで送られてきた監査結果通知は、なんと「合議の不調」だそうで、「請求の一部に理由がある」という見解と、「請求に理由がない」という見解の双方に分かれたため、監査委員としての統一的判断が下せない、というものです。

 さっそく監査結果の内容を見てみましょう。

*****監査結果通知*****PDF ⇒ 20170405lnum.pdf

                     群監第202-121号
                     平成29年4月5日
 小 川  賢  様

                群馬県監査委員 丸 山 幸 男
                同       林     章
                同       岩 井   均

        住民監査請求に係る監査結果について

 平成29年1月30日付けで収受した表記請求に係る監査結果は、別紙のとおりです。

                   群馬県監査委員事務局
                    特定監査係
                    T E L:027-226-2767

*****別紙・群馬県職員措置請求監査結果*****PDF ⇒ 20170405lnum.pdf
<P1>
          群馬県職員措置請求監査結果
第1 請求人
 群馬県安中市野殿980番地
 小川 賢
第2 請求書の提出
 平成29年1月30日
 なお、請求人に対し、同年2月10曰に補正を求め、同月15曰に補正が行われた。
第3 請求の内容
1 謂求書の内容(原文をそのまま掲載。ただし、次長級以下の県職員の個人名のみ加筆)
 1 請求の要旨
 (1)事実証明書1~4によれば、群馬県知事を筆頭とする県幹部職員ら総勢25名は、平成28年4月13曰(水)19:OOから前橋市内の「ラ・フォンテーヌ」https://la-fontaine.ne.jp/plan/others/において、会費7、000円で県庁記者クラブ「刀水クラブ」及び「テレビ記者会」の会員らとの懇談会に参加しました。
 (2)この時の懇談会の式次第によれば、司会によると思われる開会の挨拶に次いで、刀水クラブ幹事読売新聞社記者と群馬県知事大洋の挨拶のあと、テレビ記者会幹事テレビ朝日記者による乾杯で開始され、刀水クラブ幹事時事通信社記者による締めの発声のあと、司会によると思われる閉会の挨拶で幕を閉じたようです。
 (3)参加者は群馬県側から、知事大郷正明、副知事反町敦、副知事村手聡、教育長笠原寛、企業管理者関勤、総務部長深代敬久、企画部長向田忠正、生活文化スポーツ部長佐藤裕子、こども未来部長中村弘子、健康福祉部長塚越日出夫、環境森林部長井田由夫、農政部長宮崎一隆、産業経済部長塚越正弘、県土整備部長上原幸彦、危機管理監萩本勝美、会計管理者戸塚俊輔、病院局長青木勇、議会事務局長根岸良夫、秘書課長星野恵一、財政課畏友松寛、広報課長五十嵐優子ら21名、及び準備・設営として秘書課次長B、広報課次長C、広報課D・Eの4名が加わり、総勢合計25名が社会参加費などの公費を使って参加しました。
 (4)他方、社局(記者クラブ)側からは上毛新聞社8名、朝日新聞2名、毎日新聞社2名、読売新聞東京本社4名、産経新聞社1名、日本経済新聞社1名、共同通信社1名、時事通信社1名、NHK前橋放送局2名、群馬テレビ3名、エフエム群馬1名、日本テレビ1名、TBSテレビ1名、フジテレビ1名、テレビ朝日1名の合計30名が参加しました。ちなみに当時の刀水クラブ幹事社は読売・時事、テレビ記者会幹事社はテレビ朝日でした。また、不参加だったのは東京新聞だけでした。
 (5)この懇談会は、刀水クラブとテレビ記者会が主催という形を取って毎年開催されており、開催の名目は「これからの県政に関する意見交換等」となっています。平成28年4月13日(木)は前橋市表町2-315一7にあるラ・フォンテーヌで会費7、000円で開かれました。ちなみにそれ以前にも毎年、平成27年3月17曰(火)には前橋さくらホテル2階青雲の間で会費5、000円、平成26年7月2日(水)には前橋テルサ8階けやきの間Aで会費5、000円と、いずれも19時ちょうどから開催されています。(事実証明書5~10参照)
 (6)これらの「群馬県幹部と記者クラブとの懇談会」の開催に先立ち、刀水クラブとテレビ記者会から群馬県知事あてに、早い場合は約10ロ前に、遅い場合は約1か月前に、群馬県知事あてに懇談会の開催通知が文書で提出されています。(事実証明書1、5及び8参照)
 (7)この文書の本文の内容はほぼ同じとなっていますが、記者クラブ側は懇談会で県政に関する意見交換等を行う相手として「大澤知事をはじめ県幹部の皆様方」としていることから、部長クラスを念頭に置いて

<P2>
いるものと思われます、となると、課長クラスおよび準備・設営として参加した次長以下の職員らは県幹部と見なすことははなはだ無理があり、懇談会の参加者としてはふさわしくありません。
 (8)このように、公費を使って、県幹部でもない職員らに公費を使わせて参加させていたことは、地方自治法第2条第14項に定める「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」という条項に違反しています。
 (9)よって、群馬県監査委員におかれては、群馬県知事大渾正明をして、記者クラブとの懇談会に参加させた課長以下の職員ら7名に対して、群馬県特有の意味不明な「社会参加費」として支出を認めた総務部長に対して、合計7名分×@7、000円=4万9000円を、群馬県に返還させるよう勧告することを求めます。
 (10)また、県政に関する意見交換等のための機会と称して、このような飲み食いの形により、議事録も作成しないようなイベントは公金の無駄遣いであるから、直ちに県知事にやめるよう勧告することを求めます。
2 事実証明書
 請求人から提出された事実証明書は、次のとおりである(各事実証明書の表題は、措置請求書、補正書等における請求人の記載をそのまま使用した。)。
 (1)事実証明書1 平成28年4月1日付刀水クラブ・テレビ記者会から群馬県知事あての「群馬県幹部と記者クラブとの懇談会の開催についてjと題する案内状
 (2)事実証明書2 平成28年4月13日付「記者クラブと県幹部との懇談会次第」
 (3)事実証明書3 平成28年4月13日付「出席者名簿」
 (4)事実証明書4 平成28年4月13日付刀水クラブから群馬県知事あての「領収書(但記者クラブとの懇談会会費として)」
 (5)事実証明書5 平成27年2月18日付刀水クラブ・テレビ記者会から群馬県知事あての「群馬県幹部と記者クラブとの懇談会の開催について」と題する案内状
 (6)事実証明書6 平成27年3月17日付「記者クラブと県幹部との懇談会次第」
 (7)事実証明書7 平成27年3月17日付「出席者名簿」
 (8)事実証明書8 平成26年6月11日付刀水クラブ・テレビ記者会から群馬県知事あてのF群馬県幹部と記者クラブとの懇談会の開催について」と題する案内状
 (9)事実証明書9 平成26年6月11日付「出席者名簿」
 (10)事実証明書10 平成26年7月2則寸「記者クラブと県幹部との懇談会次第」
 (11)事実証明書11 群馬県庁報道関係一覧表
 (12)事実証明書12 群馬県・総務部の交際費・社会参加費28年4月
 (13)事実証明書13 公文書開示請求書(2016年6月7日)
 (14)事実証明書14 公文書部分開示決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
 (15)事実証明書15 公文書開示決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
 (16)事実証明書16 公文書不存在決定通知書(第16-1号、平成28年6月22日、広報課報道係)
 (17)事実証明書17 公文書開示決定通知書(総秘第30000-4号、平成28年6月22日、秘書課調査係)
3 補正について
 (1)補正依頼
   本件措置請求については、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地自法」という。)第242条第1項に規定する請求の要件を具備しているかどうか判断するに当たり不明な点が存在したことから、請求

<P3>
人に対し、平成29年2月10日付けで補正依頼通知を送付し、同月15ロに補正書が提出された。
 (2)補正書の内容(当監査委員が補正を求めた事項に対する請求人の回答を要約したもの)
  ア「課長以下の職員ら7名」が本件記者クラブ懇談会に出席する際、現に社会参加費7名分計49,000円が支出されたことが分かる資料について
  (回答)関係者の領収書を含めて開示請求をしたが、開示されなかった。監査委員の権限により調査願いたい。
  イ 記者クラブとの懇談会に参加させた「課長以下の職員ら7名」の特定について
  (回答)措置請求書に記載した職員7名を指すものと解釈して構わない。
  ウ 今回の措置請求は、「課長以下7名の職員が記者クラブとの懇談会に出席する際、社会参加費を支出することを認めた総務部長に対し、当該支出に相当する49,000円の金員を群馬県に返還させるよう、群馬県知事に監査委員が勧告することを求めるもの」と解釈してよいか。
  (回答)社会参加費の決裁者は、開示された情報からは確認できないため、最高職位にある総務部長がこの支出の決裁を行ったものと判断したが、監査委員の権限により調査願いたい。
 (3)補正依頼期間の取扱いについて
   監査委員が措置請求書に記載された不明部分を確認するために補正を求めることは、適正な監査の実施に当たり必要不可欠な手順であることから、請求人に対し補正依頼通知を送付した日の翌日(平成29年2月11日)から補正書が提出された日(同月15日)までの期間については、地自法第242条第5項に規定する監査を行う期間(60日)の計算から除外した。
第4 請求の受理
 本件措置請求は、地自法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成29年2月20日に受理を決定した。
第5 監査の実施
1 監査対象事項
 本件措置請求に係る措置請求書、事実証明書及び補正書の記載を総合し、監査対象事項は次のとおりとした。
 記者クラブと県幹部との懇談会における課長以下の職員7名分の社会参加費の支出等について
2 監査対象機関
   総務部総務課(以下「総務課」という。)
   総務部広報課(以下「広報課」という。)
   総務部秘書課(以下「秘書課」という。)
   総務部財政課(以下「財政課」という。)
3 請求人の証拠の提出及び陳述の機会の付与
 平成29年2月27日、地自法第242条第6項の規定により、請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人から代理人選任届が提出され、請求人の代理人が措置請求書と同内容の陳述を行った。
4 監査の実施
 平成29年3月9日、総務課、広報課、秘書課及び財政課に対し、監査委員による対面監査を行った。また、これに先立つ同月2日、3日及び6日に監査委員事務局職員による事務監査を行った。
5 関係人調査の実施
 平成29年3月3日、地自法第199条第8項の規定に基づき、本件措置請求に係る事実関係の確認のため、刀水クラブ(幹事社:読売新聞東京本社前橋支局及び時事通信社前橋支局)に対し、任意の協力に基づく書面調査を依頼し、同月8日に回答を得た。

<P4>
6 監査委員の失職
 監査委員須藤和臣は、平成29年3月26日に館林市長選挙に立候補を届け出たため、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第90条の規定により同日に監査委員を辞したものとみなされた。
第6 監査の結果
 監査対象機関に対する監査の結果及び関係書類の調査等を行った結果は、次のとおりである。
1 関連する法令等(各法令等の記載は、該当部分の抜粋である。)
 (1)群馬県財務規則(平成3年群馬県規則第18号。以下「県財務規則」という。)
   (資金を前渡することができる経費)
   第88条政令第161条第1項第17号の規定により資金を前渡することができる経費は、次の各号に掲げるとおりとする。
    一~十五(略)
    十六 社会参加費に計上された交際費及び負担金(以下単に「社会参加費」という。)
    十七~十八(略)
   (前渡金の支払)
   第92条資金前渡職員は、前渡金を支払う場合は、領収証書を徴さなければならない。ただし、交際費その他これに類する経費の支払で領収証書を徴することが困難なものは、資金前渡職員の発行する支払証明書によってこれに代えることができる、
 (2)社会参加費の執行について[執行基準平成9年7月8日~(制度創設はH8.12)](以下「本件執行基準」という。)
 1 基本的な考え方
  社会参加費とは、県職員が積極的に地域社会に参加することにより、県民の声を聞いてこれを県政に反映するとともに、県政の方針や事業等について県民の理解と協力を求めるための経費である。
 2 経費の種類及び執行額
   区分    標準額    上限額     摘   要       支出科目
   香典  3,000(5,000)  10,000 ・( )内は、新生活のない地域  交際費
   見舞金 5,000       10,000                 交際費
   祝い金 5,000       10,000                 交際費
   会費  出席者一人あたり 10,000 ・会費が明示されているもの   負担金
        3,000~5,000       ・宿泊を伴う場合、実費相当額
   寸志  3,000       10,000             交際費

 3 執行の判断基準
  [執行人数]
  ・原則2名以内とする。ただし、香典・見舞金・祝い金は、所属長名のみ可とする。
   考え方 所属の代表として参加する場合に支出する予算である。
  ・3名以上の出席の場合であっても協議の上執行することは可能とするが、妥当性を明確にすること。
   (「団体等からの要請がある」ことだけでは不十分である。)
  [相手方]

<P5>
  ・出席者、対象者が官のみ(県・他都道府県・国・市町村の一般職員)の場合には、対応しない。(ただし、香典については、別途記載のとおりとする。)
   考え方 上記「基本的な考え方」にある「県民の声を聞くこと」に当てはまらない場合は対応しない。
  ・議員や首長等の特別職に対する執行は(内容にもよるが)可能とする。
   考え方 選挙を経ているので、住民の代弁者として取り扱う。
       ただし、議会に関するもの(県内・県外調査等関連)は除く。
  [香典](略)
  [祝い金](略)
  [その他]
  ・県が主催する会合等に対応しない。
   また、実質的に県が事務局として開催している場合も同様とする。
  ・宿泊を伴う会合等に対して執行する場合には、旅費が二重払いにならないよう減額調整する。
  ・団体等が主催する会合の場合、極力交際費ではなく、負担金で支出できるよう団体と調整する。
 4 執行事前協議
  ・原則事前協議を行うものとする。ただし、執行額が標準額内であり、かつ「3 執行の判断基準」を満たしている場合には、事前協議を省略することができる。
  ・県庁各課は主管課に事前協議する。
  ・各地域機関は、主務課に事前協議する。主務課は必要に応じて主管課に協議する。
 5 例月報告(略)
2 総務課、広報課、秘書課及び財政課の主張及び説明
 (1)社会参加費について(総務課回答)
  ア 社会参加費の概要について
   社会参加費は、県職員が積極的に地域社会に参加することにより、県民の意見を聞いてこれを県政に反映させるとともに、県政の方針や事業等について県民の理解と協力を求めるための経費である。
  イ 社会参加費の経緯について
   社会参加費は、平成8年の公費不適正執行問題を契機に設置された公費支出適正化委員会での審議を踏まえて、平成8年12月27日付けで事業として予算化されたものであり、各部主管課に10節交際費又は19節負担金、補助及び交付金が計上されている。
   平成9年7月18日に開催された財政課主催の主管課次長会議において「当面の社会参加費の執行について」と題して、社会参加費の基本的な考え方、執行者の範囲、経費の種類及び金額等、執行手続、会計処理が示され、その後もこの枠組みに沿って、各部局の判断により執行されている。
   なお、「当面の社会参加費の執行について」では、執行金額や人数については特に定めはなく、社会通念上妥当と認められる最小限の範囲内で執行することとされている。総務部でも執行の都度、必要性や執行金額、人数について判断してきたが、平成18年頃、その判断の積み重ねを本件執行基準として整理し、現在でも活用している。
  ウ 社会参加費の資金前渡について
   社会参加費は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第161条第1項第17号及び県財務規則第88条第16号の規定により資金を前渡することができる経費とされている。
 エ 社会参加費の支出事務の流れについて
   総務部では、総務課があらかじめ資金前渡職員に社会参加費を前渡し、各所属(県庁各所属に限る。)

<P6>
において必要となった場合、事前に総務課に協議を行うこととしている。総務課では、当該協議を受けて、支出が妥当であると判断した場合には、資金前渡職員が払出しを行っている。
  オ 社会参加費の執行人数について
   総務部では、社会参加費の執行人数は、本件執行基準の「3 執行の判断基準」により原則、各所属2名以内とされているが、3名以上執行する場合であっても、各所属が業務上の必要性等を勘案の上、総務課に協議し、総務課が当該必要性等を認めた場合には、執行することは可能としている。
(2)平成28年度県幹部と記者クラブとの懇談会(以下「本件懇談会」という。)への社会参加費支出について(総務課回答)
  ア 社会参加費を使用して本件懇談会に出席した課長級以下の職員について
   秘書課長星野恵一、財政課長友松寛、広報課長五十嵐優子、秘書課次長B、広報課次長C、広報課報道係長D、広報課報道係員Eの7名である。
  イ 上記7名分の社会参加費支出の事前協議について
   広報課、秘書課及び財政課からは、出席依頼等の写しの提出により事前協議を受けている。
  ウ 上記7名分の社会参加費支出の必要性・妥当性について
   本件懇談会に出席している所属の長が当該所属の職員の出席の必要性を判断しており、総務課では当該所属の判断を踏まえた協議を受け、社会参加費の趣旨に合致しているかどうかを判断している。
   本件懇談会への社会参加費の支出は、秘書課、広報課及び財政課の各課職員と記者クラブ所属記者が意見交換を行い、県政の方針や事業等について理解と協力を求めるとともに、広く社会的事象に通じた記者の県政に対する意見を聞くこと、また、県側の知事、 各部長等の出席者と記者クラブ所属記者が円滑な意見交換をするための調整を行うことの必要性を認めたものである。
  エ 本件懇談会に係る課長以下の職員7名分の社会参加費の支出(以下「本件社会参加費支出」という。)について
   次のとおりである。
   ・ 支出所属 総務課
   ・ 支払方法 資金前渡
   ・ 資金前渡年月日 平成28年4月1日
   ・ 資金前渡職員 総務課次長F
   ・ 前渡金払出年月日 平成28年4月13日
   ・ 支出金額 49,000円(7,000円×7名分)
  オ 本件社会参加費支出に係る領収書について
   刀水クラブから資金前渡職員総務課次長F宛ての領収書が交付されている。
  カ 1所属3名以上の出席を認めたことについて
   社会参加費の執行人数は、原則、2名以内とされており、3名以上の出席であっても協議の上執行することは可能であるが、その場合、3名以上出席することの妥当性を明確にすることとしている。
   総務課では、本件懇談会において、広報課職員4名の出席を認めているが、広報課職員が県の報道対応やパブリシティ活動について意見交換を行うこと、また、県側出席者と記者クラブ所属記者が円滑な意見交換を行うための調整を行うことの必要性を認めたものである。
(3)本件懇談会について(広報課回答)
  ア 本件懇談会の概要について
   次のとおりである。

<P7>
   ・ 行事名 記者クラブと県幹部との懇談会
   ・ 開催日時 平成28年4月13日(水)19時
   ・ 会場 ラ・フォンテーヌ(前橋市表町2-315-7)
   ・ 主催者 刀水クラブ及びテレビ記者会
   ・ 出席者 記者クラブ側刀水クラブ及びテレビ記者会所属記者 30名
         県側知事、副知事ら 25名            計 55名
   ・ 会費 1人当たり7,000円
  イ 本件懇談会会場の予約について
   刀水クラブの幹事社は、月番制となっており、2箇月に1回交代する。刀水クラブの幹事社から県の窓口である広報課報道係に懇談会開催の要請があってから、知事や県幹部等との日程調整に2~3箇月かかることもあり、その間に刀水クラブの幹事社が交代する場合もあるので、日頃、県と報道機関との連絡調整を行っている広報課報道係が便宜上、会場を予約したものである。
 ウ 本件懇談会の収支精算について
   県側の会費は、県と報道機関との連絡調整を広報課報道係が担っていることから、広報課報道係が取りまとめている。記者クラブ側の会費は、出席予定の幹事社であっても、急濾、取材等で欠席になることもあることから、便宜上、記者クラブ側の会費も広報課報道係が預かり、会場に持って行って精算を行ったものである。
(4〉「課長以下の職員ら7名」の出席について(広報課、秘書課及び財政課回答)
 ア 本件懇談会に係る職員あての出席依頼について
   本件懇談会の主催者である刀水クラブ等から秘書課長、財政課長及び広報課長宛てに出席依頼があり、秘書課長宛ての通知では秘書課長のほかに秘書課次長の出席が、広報課長宛ての通知では広報課長のほかに広報課次長及び報道係員の出席が求められていた。
   したがって、「課長以下の職員ら7名」は、各出席依頼に基づき、本件懇談会に出席したものである。
 イ 本件懇談会に出席する目的及び効果について
  (ア)広報課
    県政を取材する記者から県の報道対応やパブリシティ活動について意見を聞き、また、広報課職員が記者クラブ所属記者と意思疎通を図ることにより、広報課業務である県と報道機関との連絡調整をより円滑に行うために出席した。県民の声を把握している記者と意見交換を行うことにより、報道機関を通した県のパブリシティ活動の推進、事業の推進等にいかされている。
  (イ)秘書課
    取材活動を通じて県民の声を把握している記者と意見交換をすることにより、知事及び副知事の報道対応を円滑に行うためだけでなく、知事をサポートする立場として、県政の課題を自ら把握することも必要であるために出席した。県民の声を把握している記者と意見交換を行うことにより、知事、副知事と記者との間をつなぐために必要な人間関係の構築だけでなく、知事及び副知事の行事予定を立てる際の優先順位付けにいかされている。
  (ウ)財政課
    広く社会的事象に通じた記者から県政に対する意見を聞き、記者と意思疎通を図ることにより、予算編成を行う上で必要な情報収集を行うために出席した。記者と意見交換を行うことにより、各記者が県施策等についてどのような意見を持っているかを把握することができるので、当初予算等の編成の際にいかされている。

<P8>
  ウ 本件懇談会に出席する際の内部意思決定の起案について
   (ア)広報課 内部意思決定の起案はある。
   (イ)秘書課 内部意思決定の起案はないが、ロ頭により意思決定している。
   (ヴ)財政課 内部意思決定の起案はないか、口頭により意思決定している。
  エ 広報課において3名以上の出席が必要だった理由について
   上記の本件懇談会に出席する目的を達成するためには、報道係員も含め、課長以下の職員4名の出席が必要であると判断したものである。
 (5)本件懇談会の「準備・設営」について(広報課及び秘書課回答)
  ア 「準備・設営」について
   (ア)広報課
     記者クラブ側からの依頼を受けて、本件懇談会当日までに県側出席者の取りまとめや出席者名簿の作成等を行った。また、本件懇談会当日は、県幹部が出席する中で、県側の担当課でもあるため、県側の出席者や知事、副知事等の座席の確認等を行った。
   (イ)秘書課
     広報課職員とともに、当日の県側の出席者や知事、副知事等の座席の確認を行った。
 イ 県職員による「準備・設営」の必要性について
    本件懇談会の「準備・設営」は、本来、主催者である記者クラブが行うべきであるが、記者は取材活動等で多忙であるため、開催時間である午後7時に間に合わないことが多い。そのため、記者クラブ側からの依頼を受けて、当日の県側の出席者や座席の確認等、開催前の準備等を行った。
    ただし、広報課等の職員は、専ら「準備・設営」のみを行うのではなく、他の参加者と同様に、本件懇談会において、記者クラブ所属記者と意見交換を行っている。
3 関係人調査の結果
  刀水クラブに対して関係人調査を行った結果は、次のとおりである。
 (1)本件懇談会の概要について
  ア 目的
    日常的に取材で接する県幹部と刀水クラブ加盟記者間の関係を円滑にするため。
    年度当初の顔合わせも目的。
  イ 主催者
    刀水クラブ
  ウ 開催頻度
    年1回
  工 概略、内容等を確認できる資料
    保管していない。
  オ 群馬県職員措置請求書に記載されている「課長以下の職員ら7名」の出欠について
    課長3人は出席していたように記憶しているが、定かではない。また、その他4人は受付にいたかも知れないが、懇談会場内にいたか定かでない。
 (2)本件懇談会の「準備・設営」について
  ア「準備・設営」を行った職員
    県広報課だったと記憶している。
  イ「準備・設営」の具体的内容

<P9>
    不明である。
  ウ 意見交換等に関する資料、報告書について
    用意していない。
4 事実関係の認定
 (1)社会参加費制度について
   社会参加費制度は、平成8年の公費不適正執行問題を契機に設置された公費支出適正化委員会での審議を踏まえて、同年12月27日付けで予算化された制度であった。
 (2)本件執行基準について
   本件執行基準は、平成8年の社会参加費制度の創設後、10年程度の総務部としての執行蓄積を踏まえ、平成18年頃、総務課が社会参加費を執行するための目安として策定したものであり、主に次のとおり規定されていた。
   ・ 基本的な考え方
     県職員が積極的に地域社会に参加することにより、県民の声を聞いてこれを県政に反映するとともに、県政の方針や事業等について県民の理解と協力を求めるための経費
   ・ 執行人数
     原則として2名以内。3名以上の出席の場合であっても、協議の上執行することは可能とするが、妥当性を明確にすること(「団体等からの要請がある」ことだけでは不十分である。)。
   ・ その他
     県が主催する会合等に対応しない。また、県が実質的に事務局として開催している場合も同様とする。
 (3)「課長以下の職員ら7名」の出席について
   請求人の指摘する「課長以下の職員ら7名」は、それぞれ、次のとおり本件懇談会の主催者(刀水クラブ及びテレビ記者会)が広報課長、秘書課長及び財政課長宛てに送付した出席依頼の求めに応じて、本件懇談会に出席したものだった。
   ・ 広報課長宛て出席依頼
     広報課長のほか、広報課次長、広報課報道係長及び係員の出席を求める旨の記載あり
   ・ 秘書課長宛て出席依頼
     秘書課長のほか、秘書課次長の出席を求める旨の記載あり
   ・ 財政課長宛て出席依頼
     財政課長の出席を求めるもの
 (4)本件懇談会の出席者名簿について
   本件懇談会の出席者名簿は、広報課報道係が作成したものであり、当該出席者名簿には、秘書課次長、広報課次長、広報課報道係長及び係員の4名の欄に「準備・設営」と記載されていた。
 (5)本件懇談会の主催者側で「準備・設営」を担当した出席者について
   本件懇談会は、主催者側で「準備・設営」行為を行った出席者はいなかった。
 (6)本件懇談会で配付された座席表の記載について
   本件懇談会で配付された座席表には、事務局として2名分の席があることが記載されており、広報課報道係長及び係員の2名以外の県側出席者の座席は指定されていることから、当該事務局席の2名とは、広報課報道係長及び係員を指すものであることが推定された。
 (7)本件懇談会の会場予約及び懇談会費の収支精算について
   本件懇談会の会場予約及び懇談会費の収支精算は、広報課報道係が行ったものだった。

<P10>
 (8)広報課職員が4名出席することの妥当性の説明等について
   広報課が総務課に提出した社会参加費支出のための協議資料には、広報課職員が本件執行基準の規定(2名)を超えて4名出席することの妥当性並びに報道係長及び係員の2名が「準備・設営」を行うことの説明は記載されていなかった。
第7 監査委員の判断(合議の不調)
 本件措置請求に関して、監査委員は3度にわたって協議を重ねたが、最終的に意見の一致をみることはできず、合議が整わなかったので、監査の結果については決定をなしえなかった。
 それぞれの立場から表明された監査委員の見解は、次のとおりである。
1 請求の一部に理由があるとする見解
  本件措置請求において、請求人は、本件懇談会に出席した7名の職員が県幹部とはいえないから、当該7名の職員が本件懇談会に出席するに当たり、社会参加費の支出を認めた総務部長に対し、当該社会参加費支出に相当する金員を返還させるよう、群馬県知事に監査委員が勧告すること等を求めている。
  最高裁は、「普通地方公共団体の長又はその他の執行機関が、当該普通地方公共団体の事務を遂行し対外的折衝等を行う過程において、社会通念上儀礼の範囲にとどまる程度の接遇を行うことは、当該普通地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上、右事務に随伴するものとして、許容されるものというべきであるが、それが公的存在である普通地方公共団体により行われるものであることに思いを致すと、対外的折衝等をする際に行われた接遇であっても、それが社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には、右接遇は当該普通地方公共団体の事務に当然伴うものとはいえず、これに要した費用を公金により支出することは許されないものというべきである」と判示している(最小判平成元年9月5日集民157号419頁)。
  本件についてこれをみるに、前記認定事実によれば、社会参加費は、平成8年の公費不適正執行問題を契機に設置された公費支出適正化委員会での審議を踏まえ、同年12月27ロ付けで予算化された制度であり、各部ごとに執行基準が存在し、総務部の執行基準(本件執行基準)には、その基本的な考え方として、「県職員が積極的に地域社会に参加することにより、県民の声を聞いてこれを県政に反映するとともに、県政の方針や事業等について県民の理解と協力を求めるための経費である」とされているほか、「(一所属につき)原則2名以内」で、「3名以上の出席の場合であっても協議の上執行することは可能とするが、妥当性を明確にする」こと、その場合でも、「「団体等からの要請がある」ことだけでは不十分である」こと、「県が主催する会合等に対応しない」こと、「実質的に県が事務局として開催している場合も同様とする」ことなどが規定されており、その使途目的、執行額、対象人数、相手方等の諸々の条件に従って執行される限り、その社会参加費支出はいずれも社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものであるとは認められない。
  しかしながら、本件懇談会については、社会参加費を使用して広報課、秘書課等から7名の課長以下の職員が出席しているところ、広報課職員が作成した出席者名簿によれば、そのうち4名の職員(広報課3名及び秘書課1名)が「準備・設営」を担当すると記載されており、加えて、本件懇談会当日、主催者側には「準備・設営」行為を行った出席者がいないこと、広報課職員が作成した出席者名簿を主催者側の出席者にも配付し、座席表からも広報課報道係長及び係員の2名が事務局であることが推定されること、広報課職員が本件懇談会場の予約、懇談会費の収支精算についても行っていることからすれば、主催者側から「準備・設営」を担当するとされた2課4名の職員に期待された役割は、主として「準備・設営」行為であって、こうした業務は50名以上の出席者を数える本件懇談会では相当の業務になろうはずであるから、そのような下で当該4名の職員が記者と意見交換することによる効果は十分に期待できるとは言いがたいと判断せざるを得ない。
  この点、広報課及び秘書課は、「準備・設営」をすることとされた4名の職員が「準備・設営」行為をしたのは、本件懇談会当日の開始前の時間帯だけであり、開始後はそのような行為はしていないと主張するが、本

<P11>
件懇談会の座席表には広報課職員2名が事務局とされていることから、この主張は採用することはできない。
  そうすると、仮に県職員が記者クラブ所属記者と意見交換をするために本件懇談会に出席することが社会参加費の意義に合致するとしても、広報課からは広報課長を含めて4名が出席しているから、少なくとも、「原則2名まで」とする執行基準を超えて出席し、かつ、「準備・設営」を担当するとして参加した広報課報道係長及び係員の2名については、制限人数を超えて出席することの妥当性と「準備・設営」行為を行うことの合理的な説明がなければ、本件社会参加費支出を適法とは認めがたいものであり、これを肯定する資料は広報課が総務課に提出した協議資料からはうかがえず、監査委員にも提出されていないから、総務課が支出を決定した当該2名分の社会参加費計1万4、000円は、違法といわざるを得ない。
2 請求に理由がないとする見解
  本件措置請求において、請求人は、本件懇談会に出席した7名の職員が県幹部とはいえないから、当該7名の職員が本件懇談会に出席するに当たり、社会参加費の支出を認めた総務部長に対し、当該社会参加費支出に相当する金員を返還させるよう、群馬県知事に監査委員が勧告すること等を求めている。
  最高裁は、「普通地方公共団体の長又はその他の執行機関が、当該普通地方公共団体の事務を遂行し対外的折衝等を行う過程において、社会通念上儀礼の範囲にとどまる程度の接遇を行うことは、当該普通地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上、右事務に随伴するものとして、許容されるものというべきであるが、それが公的存在である普通地方公共団体により行われるものであることに思いを致すと、対外的折衝等をする際に行われた接遇であっても、それが社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には、右接遇は当該普通地方公共団体の事務に当然伴うものとはいえず、これに要した費用を公金により支出することは許されないものというべきである」と判示している(最小判平成元年9月5日集民157号419頁)。
  本件についてこれをみるに、地方公共団体の執行機関である知事及びその補助者である部長等の県幹部と県政を取材する立場にある記者クラブの新聞記者・放送記者は、一定の緊張的な関係にある反面、他方において日頃から十分な意思の疎通を図るべき必要があることも否定できないところであることからすれば、県幹部が記者クラブからの出席依頼に応じて、県政に関する意見の交換や意思の疎通を行い、その際にできるだけ率直な話合いが可能となるよう、社会通念上の儀礼の範囲にとどまる程度の飲食相当費用を社会参加費から支出することも、知事及び県幹部の職務に関連するものとして許容されるというべきである。
  そして、請求人の指摘する7名の職員は、前記認定事実のとおり、本件懇談会の主催者である記者クラブから、それぞれ、県幹部としての立場又は県と記者クラブとの連絡・調整業務をつかさどる者としての立場により出席依頼されたことを受け、日頃から県政を取材している新聞記者・放送記者との間で、県政に関する意見交換や意思疎通を行うことを目的として出席したものであって、専ら私人として他の参加者との個人的な親交を深めたり、酒宴を行うこと自体を目的としたものではないこと、その際に支出した金額も、料理等の1人分の実費に相当する程度の額であって、特に高額なものはいえないことなどからすれば、広報課職員が本件執行基準に規定する人数要件を超える4名出席することにつき妥当性の説明記載がなく、事前又は事後に本件懇談会の一部の「準備・設営」行為を行っていたとしても、これらは手続的な問題にとどまる程度のものであって、本件社会参加費支出が社会参加費の支出として許されない範囲のものとまでは認めることは困難である。
  請求人は、7名の職員が県幹部ではないことを主張するが、広報課長、秘書課長、財政課長の3名は、群馬県庁議規程(平成4年群馬県訓令甲第6号)第3条第2項において群馬県庁議に出席することを求められていることなどから、十分、幹部職員とみなされるほか、他の4名の職員も含めて、本件懇談会の開催に当たり誰に出席依頼するのかは、結局のところ、主催者である記者クラブの裁量に委ねられるべきものである。
  以上のことからすれば、本件社会参加費支出が資金前渡された趣旨を逸脱するものとして違法であるということはできない。
**********


上が会議用の配置。下がパーティ用の配置。3年前の2014年7月2日(水)19:00~会費5千円で総勢55名が集ったJR前橋駅下車。タクシーまたはバスにて約5分、もしくは徒歩約20分で距離約1.2kmの地点にある「前橋テルサ(旧名称:前橋勤労者総合福祉センター)」8階の「けやきの間」。この前橋テルサは、前三百貨店の跡地に1992年(平成4年)に地下1階、地上12階の前橋勤労者総合福祉センターとして県と前橋市と(独法)雇用・能力開発機構が共同で設置したもので、運営は(一財)前橋市まちづくり公社。会館(研修・会議・宿泊施設)、多目的ホール・フィットネススタジオ、温水プール等の複合施設であり、レストラン施設もある。8階にある「けやきの間」は前橋が一望できる大きな窓と高い天井が開放的な贅沢なつくりのメインルームで、会議室としても使用できるが、「スカイバンケットルーム けやき」として婚礼や各種パーティにも利用できる。こういう場所でないと群馬県幹部らお役人様はマスコミ記者らに県政を語れないらしい。

■最終的には、2月24日に再任されたばかりの新代表監査委員であり弁護士の丸山幸男委員が決断してくれればよかったのでしょうか、もしかしたら群馬県に遠慮して、両論併記のまま監査請求人のオンブズマンに今後の対応を委ねたのかもしれません。

 いずれにしても、当会としては、1カ月以内に住民訴訟に踏み切るかどうかを決めることになります。

 実質的な訴訟額は微々たるものですが、22年前から群馬県庁内のずさんな公金の取り扱いを糾弾してきた市民オンブズマン群馬としては、やはり金額の多寡ではなく、目を離しているとすぐに、ゆでガエル状態になってしまう群馬県行政に、喝を入れる必要があると思っています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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