↑前日同様の梅雨空の下、前日とは打って変わってひっそりとした風情の裁判所と歩道。↑
■国立高専校長の選考実態、群馬高専J科アカハラ情報不開示取消訴訟の弁護士費用、長野高専連続自殺の発生年月日などなど、高専組織が執拗に黒塗りにこだわる「都合の悪い」情報は枚挙にいとまがありません。こうした悪質な情報黒塗りの数々のいくつかをピックアップして不開示処分の取消しを求めた第一次訴訟(令和元年(行ウ)第515号)では、既報のとおり被告高専機構側もなりふり構わぬ抵抗を見せています。
その第3回口頭弁論が4月14日に予定されていたのですが、寸前で発表された新型コロナ緊急事態宣言により急遽中止され、再開も見通しがつかない状況に置かれてしまっていました。その後、6月2日にようやく東京地裁から連絡があり、再日程が7月7日の13時半からに設定されていました。第一次訴訟のこれまでの流れは以下の記事で説明しておりますのでご覧ください。
○2020年6月3日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】コロナ中断の第一次訴訟に再開通知…第3回口頭弁論再日程は7月7日↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3170.html
2月18日の前回口頭弁論では裁判長が直々に被告高専機構側の主張の杜撰さを指摘し、苦言が相次ぎました。そうした手厳しい指摘の数々を受けて、尻を叩かれた形の高専機構が、正確には高専機構が大金をはたいてすがる銀座の木村・藍澤・角谷弁護士トリオが4月6日に出してきたのは、「本気」のうかがえる10ページにも及ぶ被告準備書面(2)でした。その翌日、上述のとおり緊急事態宣言で裁判所が機能停止したため、被告準備書面(2)は陳述されないまま3か月以上塩漬けになっていました。七夕の第3回口頭弁論で、ようやくこの塩漬けが解かれることになります。
■7月7日、蒸し暑い曇り空の下、当会出廷者が東京地裁に向かいました。既報のとおり、この前日にも佐野太受託収賄初公判と前橋バイオマス訴訟の上告で訪れていたため、二連チャンです。
……移動途中、この前日の佐野太受託収賄初公判についての苦い記憶が呼び起こされていました。当会が別途追及を続ける長野高専の悲惨な現状を作り出した石原祐志・天下り前校長、そして、文科省のトップ幹部にのし上がった佐野太。共に早稲田大院理工研究科を出て1985年に科学技術庁内局に採用された唯一無二の同門同期でしたが、ほどなく石原祐志は出世コースで佐野太に差を付けられ、早々に本省からドロップアウトして外郭団体を渡り鳥することになりました。ところが、トップ級官僚まで登り詰めた佐野太の絶大な庇護のもとに長野高専校長という座を射止め、カモにされた同校で横暴の限りを尽くしました。
ところが急転直下、18年7月に佐野太がバカ息子を裏口入学させた事件が発覚して失脚、石原は後ろ盾を失ってしまいました。王様気分で育てていた長野高専の金魚のフン幹部からかろうじて名誉教授の称号をもぎ取ったものの、校長の椅子どころか高専機構からも追われ、理化学研究所で閑職の悲哀を味わっています。そんな石原祐志・前長野高専校長の晩年を汚した盟友の顔を一目見ようと、勇んで群馬県から初公判の傍聴に臨もうとしていました。
佐野太被告については、昨年秋以降、起訴されて一年以上が経過しても、いっこうにマスコミ報道がされないため、東京地裁刑事第16部に佐野太の刑事公判がいつ開かれるのか、随時問い合わせてきました。そうした中で、今年に入り、刑事公判が間もなく開かれると聞き、初公判はぜひ傍聴したいと念じていました。ところが肝心の当日朝、前橋バイオマス訴訟上告用書類の最終調整に手間取り、しかも、コロナのせいで割合空いていた朝の国道18号の交通量がもとに戻っていることに考えが及ばず、結局予定していた新幹線より2つ遅れの新幹線に乗るハメになり、10分の差で傍聴整理券取得を逃してしまいました。
閑話休題。前日のそんな悔しい気持ちを思い起こさせるかのような梅雨空のもと、その日もN95マスクを付けて高崎から11時46分発の新幹線に乗り、東京駅から丸の内線に乗り換えて、霞ヶ関に着いたのは12時48分でした。そして小雨の降るなか裁判所に辿り着きました。報道陣と傍聴希望者でごった返していた昨日の賑わいも夢のように、ひっそりとしていました。
■さっそく玄関に備えられているアルコール液で手を消毒し、荷物検査と金属探知機を通り抜けて、昨日と同じ右手のエレベーターで7階の703号法廷に向かいました。
↑東京地裁第703号法廷の7月7日(火)開廷表。↑
昨日の反省の反動で、開廷予定時間の30分前に着いてしまったので、誰もいない奥の控室でパソコンを取り出し、本件の裁判資料を入れたファイルを立ち上げて、ざっと目を通していました。ちなみに裁判所の中はWiFiが使えません。
しばらくすると、ワイシャツをきたクールビス姿の男が二人、控室の前にやってきましたが、こちらを見ると中に入らずに引き返していきました。既に見慣れた藍澤弁護士ではありませんでしたが、703号法廷とその向かい側の704号法廷には午後1時半の本件の弁論以外に事件は入っていないので、おそらくこの事件を傍聴に来た高専機構関係者とみられます。
開廷10分前に控室を出て、703号法廷の傍聴席入口のドアについている小窓を開けて中を覗くと既に照明が点けられていました。ドアノブを手をかけて開けようとしたら、スンナリ開いたため、中に入ると、既に男性書記官が開廷準備をしていたので、挨拶をして、出頭簿に名前を書くと、「どうぞ中にお入りください」と言われました。
中に入って原告席に座り、隣の椅子の上にカバンを置き、控室で本件裁判資料を立ち上げておいたパソコンを机の上に置き、開廷時間を待ちました。すると、さきほど控室に入ろうとした男性2名が傍聴席に入ってきました。相変わらずくたびれた風情の藍澤弁護士もやってきて、出頭名簿の自分の欄に〇をつけると、被告席に着きました。この時、開廷5分前でした。さらにもう一人、男性の傍聴者が加わり、今回は初めて傍聴席に3名の姿が見られました。この一人も、筆者に近寄ったり声掛けをする風情ではありませんでした。筆者が試しにその人を見据えても特に表情や態度に変化は見られませんでした。したがって少なくともオンブズマン支援者だとは思えませんでした。3人ともワイシャツにスラックス姿でマスクを着用し、等間隔に座っていました。
703号法廷は7階にありますが、裁判官が来るまでしばし静寂の時間が経過する際、部屋がなにやらミシミシと小さな音をときどき立てるのが気になります。これは、他の法廷でも耳にすることがあり、天井裏の空調ダクトの揺れだと思われます。コロナ対策で、裁判所も換気対策として風量を挙げているのかもしれません。しかし、今日のミシミシ音はかなり気になるレベルでした。ひょっとしたら、地下鉄の振動で、建物のこのあたりが共振を起こしているのかもしれません。
などと思いを巡らしていると、1時半の定刻より1分ほど早く、裁判官席の右奥のドアの開く音がして、3名の裁判官が入ってきました。それにあわせて、いつものとおり、全員起立して軽くお辞儀をしたあと、久しぶりに本件弁論がスタートしました。
■第三回口頭弁論でのやり取りは以下のとおりです。
~~~~~~~~~~
書記官:令和元年(行ウ)第515号。
裁判長:はい、期日間に、被告から準備書面(2)が出されています。だいぶ前の話ではございますけれども。準備書面(2)は陳述されますか。
被告藍澤弁護士:はい。
裁判長:それから乙4号証が出されていますね。
被告:はい。
裁判長:えー、原告のほうでは今回の被告準備書面に対する反論はございますか。
原告:いや、特にありません。
裁判長:特にない?
原告:ええ。まあ、必要に及ばずと思っているんですけど。
裁判長:そうですか。裁判所のほうとしても、もうこれはかなり判断、こういう事案でもございますし、していいというふうには考えておるところですが、1点だけですね。
原告:はい。
裁判長:弁護士費用に関する情報なんですが、これがですね、あのう、どうも両様の考え方があるようで……ございます。で、この点については、もう被告のほうでは今回、準備書面の中でだいぶ書き込んでもらっておりますけども、双方とも、この件についてですね。補充される主張、あるいは、実際こういう裁判例があるとか、裁判のなかでの主張がございましたら、そのあたりは裁判所としてもう一回弁論を待って、お待ちしたいというふうに考えております。
原告:分かりました。
裁判長:なければもう、それはそれでかまいません。
原告:はい。ではそれをメインにして……一応ない、と申し上げたんですけど、気付きの点を書かせていただきます。
裁判長:他にもありましたら、お願いします。
原告:はい。
裁判長:かなり高い確度で次回は終了する考えでおります。
原告:はい、承知しました。
裁判長:被告のほうもそういう進行でよろしいでしょうか。
被告:はい。
裁判長:はい、ありがとうございます。それぞれどのくらいの時間がかかりますでしょうか。
原告:1ヶ月程度みていただければ。
被告:はい、同じく。
裁判長:1ヶ月程度、はい。では1か月程度でお出しいただくことを前提として、次回期日ですが、8月20日木曜日はいかがですか。午前、午後。たとえば午前でしたら11時とかいかがですか。
被告:すいません。午後の2時以降に……ああ、すいません。2時半以降なら。
原告:私はいつでも、こちらはいつでもOKです。
裁判長:では、2時半で。
原告:はい、わかりました。14時半。
裁判長:8月20日木曜日。
被告:あのう、3時はどうでしょうか。
裁判長:すいません、3時から別件があるので。
被告:はい。
裁判長:では3時半に。
被告:でもよろしければ。
原告:こちらはいつでも何時でもかまいません。では、15時半ね。
裁判長:それでは、15時30分で。それから先程お願いしました主張、立証のですね、締切りですけども、8月13日ということでお願いできますでしょうか。
原告:はい、承知いたしました。
裁判長:(被告に向かって)よろしいでしょうか。
被告:はい。
裁判長:それではこれで今日は終わりたいと思います。(と言い残して、陪席の2人の裁判官を従えて退廷)
(以上、この間約4分間)
~~~~~~~~~~
■というわけで、久しぶりの弁論を終えました。この中で森裁判長は、次の第四回口頭弁論での結審を示唆しました。もし原告・被告双方に追加の主張があれば、8月13日までに提出したうえで、8月20日(木)15時30分から第一次訴訟最終ラウンドのゴングが鳴らされることになります。
ところで傍聴席にいた高専機構職員とみられる3人は、口頭弁論終了後、うち2名が藍澤弁護士と連れ立って何やら今後の作戦を話しながらエレベーターに乗って去っていきました。残るひとりは別途少し遅れて、通路に立つ筆者の脇を無言でさっさとすり抜け、帰って行きました。
というわけで、高専機構としてもさすがに裁判の進行が気になっている様子がうかがえました。とはいえ、高専機構の職員が3人も傍聴に動員されたことは、かつて第6回口頭弁論までやり合ったうえに控訴審にまで達した群馬高専J科アカハラ情報不開示取消訴訟を通じてすら、一度もありません。そこから考えると、高専機構側も何かしらの事情を抱えているようです。
当会が群馬県など地方自治体を相手取って行政裁判を起こした際は、だいたい職員が公務時間中に何人もぞろぞろ大名行列をなしてやってきます。不必要なほどの人数が徒党を組んでやってきて、全員が「公務」ということで公金から給料を貰いながら、「裁判観戦」を終えて帰っていきます。
高専機構職員も、群馬県職員のように、裁判を利用すれば合法的に仕事をさぼれることに気付いたのでしょうか。それとも、渾身の法廷戦術を披露したあげくの前回口頭弁論の体たらくから、弁護士に丸投げだと手を抜かれるという危惧が生じて、「監視」を付けることにしたのでしょうか。真相は当人のみぞ知ります。
■ところで、当会が「高専過剰不開示体質是正訴訟」として起こしている裁判は、この「第一次訴訟」に加えて、「第二次訴訟」(民事第51部担当の令和元年(行ウ)第549号)もあることは周知のとおりですが、こちらは4月21日に予定されていた口頭弁論が緊急事態宣言直後に取り消されたまま、何の音沙汰もなくなってしまっていました。
4月14日に予定されていた第一次訴訟第三回口頭弁論の再開通知が6月2日になされたのに、その1週間後の予定だった第二次訴訟第二回口頭弁論の再開通知が7月7日になっても届かないというのは、いくらコロナ禍での未曾有の混乱中とはいえ、変な話です。
よって、口頭弁論終了後に民事第51部に立ち寄って、書記官に問い合わせたところ、「現在先行する事件から順次再開しているので、お申し越しの令和元年(行ウ)第549号事件については、追って連絡をすることになっている」と説明がありました。そしてパソコンでチェックしながら「本件につきましては、おそらく8月終わりか9月頃のセッティングになろうかと思われます。近々正式に通知することになります」と見込みを伝えられました。
■すると、翌8日の昼前に東京地裁民事第51部から電話がありました。担当の山本書記官いわく「昨日ご連絡をいただきありがとうございます。不在にしてて申し訳ありません。昨日お問い合わせの次回期日ですが、まことに勝手に決めさせていただき恐縮ですが、8月20日16時でお願いしたいと思います」とのこと。
そこで、(あれっ、8月20日と言えば確か)と思い、当会担当者が「ちょっとお待ちください。念のため、スケジュール表を確認しますので」と言いつつ、パソコンの日程表を確認したところ、やはり前日に決まったばかりの第一次訴訟第四回口頭弁論(8月20日(木)15時30分)のぴったり直後になることがわかりました。
なので、「ちょうどその直前に、民事第2部担当で同じく高専機構を相手取った事件の第4回弁論期日があるので、願ってもない時間帯です」と返すと、山本書記官は「前橋から来られるのですよね」と言いました。担当者からは、「1度の往復で2件の事件に対応できるので、大変ありがたいです。ご配慮ありがとうございます」とお礼を言い、期日請書を提出しました。
○第二次訴訟第二回口頭弁論期日請書 ZIP ⇒ i2_820j.zip
■当会としても出廷負担が減るため、このダブル日程は確かに紛れもなくありがたいものです。なので当会担当者も、電話をもらった当初はありがたい偶然として素直に喜んでいました。
しかしよくよく考えれば、東京地裁の抱える膨大な事件数からして、偶然ということは考えにくいとすぐに気付きました。すると、裁判所の担当者がわざわざ気を利かせてくれたのでなければ、被告高専機構とその訴訟代理人である田中・木村弁護士事務所の希望が反映された形である可能性があります。
真相は不明ですが、これで高専機構も「大名行列」を作りやすくなって小躍りしていることでしょう。
■よって、きたる2020年8月20日(木)のダブル口頭弁論の日程は、以下のようになります。
●第一次訴訟第四回口頭弁論:15時30分~
(東京地裁7階703号法廷)
●第二次訴訟第二回口頭弁論:16時00分~
(同地裁4階419号法廷)
現実の民事裁判や行政裁判は、ゲームやドラマとは違って、特に丁々発止のやり取りや見せ場といったものはなく、口頭弁論は数分で終わってしまいます。
したがって、白熱したシーンもなく味気ないものですが、それを承知の上で興味がございましたら、当日のこの時間帯にフリーであればぜひ傍聴にお越しください。2つの口頭弁論のうちの片方でも構いません。
現実の裁判の雰囲気を味わえるほか、「高専」という組織の負の側面を具現化した藍澤弁護士と高専機構の職員らの姿を直接目にすることは、「高専とは何か」という問いを深く考え直す契機にもなるものと思料します。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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