■日本の司法は、鳩山政権になっても、相変わらず、行政重視の姿勢が続くのでしょうか。それとも、鳩山政権になれば、住民による行政訴訟の勝率が飛躍的にアップする可能性があるのでしょうか。
それを占う住民訴訟として、当会は、岡田義弘・安中市長を相手取り、安中市土地開発公社51億円事件の単独犯とされた元職員多胡邦夫に対する損害賠償請求権が当初の民事裁判の判決から10年を経過して消滅時効になるのを避けるために、多胡邦夫に対して再提訴するよう求めた住民訴訟を提起してきました。
ところが、鳩山政権発足と同じ9月16日付で、あろうことか、東京高裁は、一審の前橋地裁のクレージー裁判官で知られる松丸伸一郎が出した判決を全面支持して、原告住民の訴えを棄却したのでした。
■群馬銀行に対して、市民の大切な公金を和解金名目で支払い続けるのに、安中市が、横領犯のタゴに対する損害賠償請求権に、無頓着では困ります。そこで当会は、群馬銀行の和解金は、タゴの使途不明金から支払うよう、タゴに対する損害賠償請求権の10年経過を目前にした4月1日に、岡田市長に関する住民監査請求書を安中市監査委員に提出したのです。ところが、安中市監査委員は4月22日付で当会の請求を却下し、門前払いとしました。
そこで、当会は5月22日(金)午前10時すぎに、前橋地方裁判所に、タゴの再提訴を安中市に求めるため、安中市の岡田義弘市長を相手取り、訴状を提出しましたが、月9日(火)に前橋地裁の松丸伸一郎裁判長は、6月9日に当会が提起した巨額横領損害金回収等請求事件(前橋地方裁判所平成21年(行ウ)第8号事件)を却下したのです。そのため、当会は6月22日(月)に前橋地裁民事部に控訴状を提出しました。
控訴では、一定期間内に控訴理由書を提出する必要があるため、当会ではなぜ土地開発公社が利益を横領犯の尻拭いに充当できるのか、法的な根拠を質すために、7月3日(金)午前10時半に、霞ヶ関にある総務省の行政相談室を訪れ、貴重なアドバイスを得た後、7月13日に控訴理由書を東京高裁に提出していました。
■その後2ヶ月して、くしくも民主党政権発足と同日付けで、しれっとばかりに住民敗訴の判決文が、1050円の切手を貼った「特別送達」の封書で、東京高裁第9民事部(電話03-3581-2018)から送られてきたのです。僅か本文が3ページの判決文を見てみましょう。
**********
【判決書】
平成21年9月16日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 市川智祥
平成21年(行コ)第226号 損害金回収等(住民訴訟)請求控訴事件(原審・前橋地方裁判所平成21年(行ウ)第8号)
判 決
群馬県安中市野殿980番地
控訴人(原告) 小川 賢
群馬県安中市安中1丁目23番13号
被控訴人(被告) 安中市長岡田義弘
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,連帯保証先の安中市土地開発公社(以下「公社」という。)理事長岡田義弘が,公社元職員多胡邦夫に対して,現在残っている損害賠償請求権を行使し,時効前に再提訴することで,請求権残額22債821万1500円を破実に回収するように指導し,安中市に被害が及ばないようにせよ。
3 被控訴人は,連帯保証先の公社理事長岡田義弘が,平成20年12月26日に群馬銀行との間で交わした合意を破棄し,債務18債5000万円の支払を拒否するように指導し,これ以上,安中市に被害が及ばないようにせよ。
4 被控訴人は,連帯保証先の公社理事長岡田義弘に対して,公社の余裕金を定款どおり運用し,これを群馬銀行への債務金として使わないように指導するとともに,群馬銀行への債務は,公社理事長岡田義弘自ら負担するように指導し,これ以上,安中市に被害が及ばないようにせよ。
5 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
6 仮執行宣言
第2 事実の概要及び当裁判所の判断
1 本件は,安中市の住民である控訴人が,安中市長である被控訴人に対して提起した住民訴訟である。原審は,本件訴えは不適法であってその不備を補正することができないと判断し,民事訴訟法140条に基づき,口頭弁論を開かずに本件訴えを却下したので,控訴人が控訴をした。
2 住民訴訟は,地方自治法(以下「法」という。)が特に認めた場合にのみ提起することができるものであるところ,普通地方公共団体の住民が,同地方公共団体の財務行政の適正な運営を確保するため,その執行機関又は職員による違法な財務会計上の行為又は怠る事実について,執行機関又は職員に対する行為の全部又は一部の差止め,行政処分たる行為の取消し又は無効確認,執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認,職員又は行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを,普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求めるものである(法242条の2第1項)。
ところが,控訴人の請求の内容は,上記第1の2ないし4のとおりであって,被控訴人の安中市土地開発公社に対する指導監督を求めているものと解されるのであって,財務会計上の行為に当たらないものと認められ(最高裁判所平成3年11月28日第一小法廷判決・判例時報1404号65頁参照),また,求める行為も法の定める類型に合致せず,いずれも法242条の2第1項で定める各請求には該当しないものというほかない。
そうすると,控訴人の本件訴訟の手続は不適法なものというほかなく,その不備を補正することもできないものであるから,口頭弁論を経ずにこれを却下した原判決は相当ということになる。
3 よって,本件控訴は理由がないから,民事訴訟法297条,140条により,口頭弁論を開かずに,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第9民事部
裁判長裁判官 大 坪 丘
裁判官 宇田川 基
裁判官 足 立 哲
これは正本である。
平成21年9月16日
東京高等裁判所第9民事部 裁判所書記官 市川智祥
**********
■ご覧のように、口頭弁論という扉さえ開こうとしないままの、完全に門前払いの判決です。従って、控訴手続きの際に納めた郵便切手のうち、今回の特別送達分を除く7,800円分の切手が、「返還書」と一緒に、同封されてきました。
**********
【返還書】
事件番号 平成21年(行コ)第226号
平成21年9月16日
予納者 小川賢 様
東京高等裁判所第9民事部Aイ係
裁判所書記官 市川智祥(印)
返 還 書
予納を受けた郵便切手について,使用残額 7,800 円分 返還します。
内訳 郵券種類 枚数 金額
1,000
500 10 5,000
300
200 3 600
100 13 1,300
80 5 400
50 4 200
30
20 10 200
10 10 100
合計 7,800
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■今回の一審、二審の判決ではっきりしたことは、岡田義弘・安中市長が、岡田義弘・安中市土地開発公社理事長に指導監督をすることを、市民として命じることは、公社は安中市とは別法人であるから、安中市の財務会計上の行為にはあたらないため、住民訴訟における請求対象には該当しないということです。つまり、14年前の公社事件発覚で、安中市と土地開発公社が一貫して主張してきた、「公社は市とは別の法人だから、公社の損害は、安中市には及ばない」という論理をそのまま引きずって居るのです。
こうして、千葉刑務所で平成8年4月8日から14年間(未決勾留200日を含む)服役して、来週9月21日(月曜日)に正式に出所予定(当会の試算による)の、元職員多胡邦夫のために、裁判所の温情判決が、またまた下されたのです。しかも、民主党政権が発足したその日に、駆け込み的に、住民敗訴の判決文が出されたのです。
当会では、群馬銀行に和解金の名目で、公金で多胡邦夫の横領の尻拭いをしている安中市土地開発公社に、今後10年間毎年2千万円の支払い継続を連帯保証した岡田義弘・安中市長に対して、直ちに、別法人である土地開発公社の連帯保証を止めるよう、住民監査請求を提起しており、こちらのほうに引き続き全力を傾注してゆく所存です。
【ひらく会法務部】
それを占う住民訴訟として、当会は、岡田義弘・安中市長を相手取り、安中市土地開発公社51億円事件の単独犯とされた元職員多胡邦夫に対する損害賠償請求権が当初の民事裁判の判決から10年を経過して消滅時効になるのを避けるために、多胡邦夫に対して再提訴するよう求めた住民訴訟を提起してきました。
ところが、鳩山政権発足と同じ9月16日付で、あろうことか、東京高裁は、一審の前橋地裁のクレージー裁判官で知られる松丸伸一郎が出した判決を全面支持して、原告住民の訴えを棄却したのでした。
■群馬銀行に対して、市民の大切な公金を和解金名目で支払い続けるのに、安中市が、横領犯のタゴに対する損害賠償請求権に、無頓着では困ります。そこで当会は、群馬銀行の和解金は、タゴの使途不明金から支払うよう、タゴに対する損害賠償請求権の10年経過を目前にした4月1日に、岡田市長に関する住民監査請求書を安中市監査委員に提出したのです。ところが、安中市監査委員は4月22日付で当会の請求を却下し、門前払いとしました。
そこで、当会は5月22日(金)午前10時すぎに、前橋地方裁判所に、タゴの再提訴を安中市に求めるため、安中市の岡田義弘市長を相手取り、訴状を提出しましたが、月9日(火)に前橋地裁の松丸伸一郎裁判長は、6月9日に当会が提起した巨額横領損害金回収等請求事件(前橋地方裁判所平成21年(行ウ)第8号事件)を却下したのです。そのため、当会は6月22日(月)に前橋地裁民事部に控訴状を提出しました。
控訴では、一定期間内に控訴理由書を提出する必要があるため、当会ではなぜ土地開発公社が利益を横領犯の尻拭いに充当できるのか、法的な根拠を質すために、7月3日(金)午前10時半に、霞ヶ関にある総務省の行政相談室を訪れ、貴重なアドバイスを得た後、7月13日に控訴理由書を東京高裁に提出していました。
■その後2ヶ月して、くしくも民主党政権発足と同日付けで、しれっとばかりに住民敗訴の判決文が、1050円の切手を貼った「特別送達」の封書で、東京高裁第9民事部(電話03-3581-2018)から送られてきたのです。僅か本文が3ページの判決文を見てみましょう。
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【判決書】
平成21年9月16日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 市川智祥
平成21年(行コ)第226号 損害金回収等(住民訴訟)請求控訴事件(原審・前橋地方裁判所平成21年(行ウ)第8号)
判 決
群馬県安中市野殿980番地
控訴人(原告) 小川 賢
群馬県安中市安中1丁目23番13号
被控訴人(被告) 安中市長岡田義弘
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,連帯保証先の安中市土地開発公社(以下「公社」という。)理事長岡田義弘が,公社元職員多胡邦夫に対して,現在残っている損害賠償請求権を行使し,時効前に再提訴することで,請求権残額22債821万1500円を破実に回収するように指導し,安中市に被害が及ばないようにせよ。
3 被控訴人は,連帯保証先の公社理事長岡田義弘が,平成20年12月26日に群馬銀行との間で交わした合意を破棄し,債務18債5000万円の支払を拒否するように指導し,これ以上,安中市に被害が及ばないようにせよ。
4 被控訴人は,連帯保証先の公社理事長岡田義弘に対して,公社の余裕金を定款どおり運用し,これを群馬銀行への債務金として使わないように指導するとともに,群馬銀行への債務は,公社理事長岡田義弘自ら負担するように指導し,これ以上,安中市に被害が及ばないようにせよ。
5 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
6 仮執行宣言
第2 事実の概要及び当裁判所の判断
1 本件は,安中市の住民である控訴人が,安中市長である被控訴人に対して提起した住民訴訟である。原審は,本件訴えは不適法であってその不備を補正することができないと判断し,民事訴訟法140条に基づき,口頭弁論を開かずに本件訴えを却下したので,控訴人が控訴をした。
2 住民訴訟は,地方自治法(以下「法」という。)が特に認めた場合にのみ提起することができるものであるところ,普通地方公共団体の住民が,同地方公共団体の財務行政の適正な運営を確保するため,その執行機関又は職員による違法な財務会計上の行為又は怠る事実について,執行機関又は職員に対する行為の全部又は一部の差止め,行政処分たる行為の取消し又は無効確認,執行機関又は職員に対する怠る事実の違法確認,職員又は行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを,普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求めるものである(法242条の2第1項)。
ところが,控訴人の請求の内容は,上記第1の2ないし4のとおりであって,被控訴人の安中市土地開発公社に対する指導監督を求めているものと解されるのであって,財務会計上の行為に当たらないものと認められ(最高裁判所平成3年11月28日第一小法廷判決・判例時報1404号65頁参照),また,求める行為も法の定める類型に合致せず,いずれも法242条の2第1項で定める各請求には該当しないものというほかない。
そうすると,控訴人の本件訴訟の手続は不適法なものというほかなく,その不備を補正することもできないものであるから,口頭弁論を経ずにこれを却下した原判決は相当ということになる。
3 よって,本件控訴は理由がないから,民事訴訟法297条,140条により,口頭弁論を開かずに,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第9民事部
裁判長裁判官 大 坪 丘
裁判官 宇田川 基
裁判官 足 立 哲
これは正本である。
平成21年9月16日
東京高等裁判所第9民事部 裁判所書記官 市川智祥
**********
■ご覧のように、口頭弁論という扉さえ開こうとしないままの、完全に門前払いの判決です。従って、控訴手続きの際に納めた郵便切手のうち、今回の特別送達分を除く7,800円分の切手が、「返還書」と一緒に、同封されてきました。
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【返還書】
事件番号 平成21年(行コ)第226号
平成21年9月16日
予納者 小川賢 様
東京高等裁判所第9民事部Aイ係
裁判所書記官 市川智祥(印)
返 還 書
予納を受けた郵便切手について,使用残額 7,800 円分 返還します。
内訳 郵券種類 枚数 金額
1,000
500 10 5,000
300
200 3 600
100 13 1,300
80 5 400
50 4 200
30
20 10 200
10 10 100
合計 7,800
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■今回の一審、二審の判決ではっきりしたことは、岡田義弘・安中市長が、岡田義弘・安中市土地開発公社理事長に指導監督をすることを、市民として命じることは、公社は安中市とは別法人であるから、安中市の財務会計上の行為にはあたらないため、住民訴訟における請求対象には該当しないということです。つまり、14年前の公社事件発覚で、安中市と土地開発公社が一貫して主張してきた、「公社は市とは別の法人だから、公社の損害は、安中市には及ばない」という論理をそのまま引きずって居るのです。
こうして、千葉刑務所で平成8年4月8日から14年間(未決勾留200日を含む)服役して、来週9月21日(月曜日)に正式に出所予定(当会の試算による)の、元職員多胡邦夫のために、裁判所の温情判決が、またまた下されたのです。しかも、民主党政権が発足したその日に、駆け込み的に、住民敗訴の判決文が出されたのです。
当会では、群馬銀行に和解金の名目で、公金で多胡邦夫の横領の尻拭いをしている安中市土地開発公社に、今後10年間毎年2千万円の支払い継続を連帯保証した岡田義弘・安中市長に対して、直ちに、別法人である土地開発公社の連帯保証を止めるよう、住民監査請求を提起しており、こちらのほうに引き続き全力を傾注してゆく所存です。
【ひらく会法務部】