日々

穏やかな日々を

【島根】自殺死亡率 平均水準に

2020年09月16日 21時53分12秒 | 自殺・過重労働

【島根】自殺死亡率 平均水準に

 2020年9月16日 (水)配信読売新聞
 

 県、取り組み奏功

 悩み対応する人 養成/長時間労働など改善

 県が長年取り組んできた自殺対策の効果が表れてきている。県内で昨年、自殺で亡くなった人は110人と10年前から半減。全国上位だった人口10万人あたりの自殺者数を示す「自殺死亡率」も、近年は全国平均の水準まで抑え込んだ。ただ、新型コロナウイルス禍による心身の不調や経済的苦境による自殺も危惧され、県は「身近な人の変化に気づき、手を差し伸べて」と呼びかける。(林興希)

 県によると、県内の自殺者は1996年に年間200人に達して以降、2009年まで200人台で推移。233人が命を失った07年の自殺死亡率は32・1人(全国24・4人)に上り、全国でワースト5位だった。一時的に低下した年を除き、全国的にも高水準で推移したが、理由ははっきりしていないという。

 危機感を強めた県は07年度、「県自殺総合対策連絡協議会」を設立。官民の連携を強め、自殺死亡率を5年間で全国平均まで下げるという目標を掲げた総合計画を策定し、本格的な対策に乗り出した。

 啓発活動の強化や、悩みを抱える人のサインに気づき、適切な対応ができる「ゲートキーパー」の養成などに力を入れてきた。遺族の感情に配慮し、県が13年に「自殺」を行政文書上で、「自死」と言い換えることにしたのも、全国初の試みとして注目された。

 こうした取り組みの結果、県内の自殺者は年々減少。全国的な減少傾向で、自殺死亡率の都道府県別順位は依然として高かったが、17年には、16・7人(全国16・4人)でワースト24位にまで低下した。以降、18年は16・1人(同16・1人)で25位、微増となった19年も、16・5人(同15・7人)で19位となっている。

 県が18年に改定した総合計画には、職場での過労などを理由とした自殺を防止するため、職場での長時間労働の是正やメンタルヘルス対策を加えた。島根労働局と連携して労働環境の改善に取り組み、企業向けへの周知も進めている。

 一方、警察庁の統計によると、県内では今年も8月末現在、71人(速報値)が自ら命を絶っている。県障がい福祉課は「コロナ禍の影響で不安を抱えている人も多いはず。相談窓口の啓発を進め、命を落とす人を減らすことができるよう呼びかけたい」とした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自殺者数、過去最少に 速報値で1万9千人台 10年連続減、警察庁集計

2020年01月30日 22時33分12秒 | 自殺・過重労働
自殺者数、過去最少に 速報値で1万9千人台 10年連続減、警察庁集計
2020年1月17日 (金)配信共同通信社

 2019年の自殺者数が統計を開始した1978年以来、最少の1万9959人となったことが17日、警察庁の集計(速報値)で分かった。減少は10年連続で、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)も前年より0・7人減り、15・8人となった。速報値が2万人を切ったのは初めて。ただ3月発表の確定値は例年増加する傾向にあり、最終的な自殺者数は2万人超となる可能性が高い。
 政府は17年の自殺総合対策大綱で自殺死亡率を米国やドイツの水準に並ぶ13・0人以下にすることを目指しており、データをまとめた厚生労働省は「約2万人の方が命を絶たれており、依然として深刻な状況。これまでに若者らを対象とする会員制交流サイト(SNS)を使った相談事業などを進めてきた。今後もしっかり対策に取り組んでいく」とした。
 速報値を男女別でみると、女性はこれまでで最少の6022人(18年比528人減)。男性は依然、女性の約2・3倍の1万3937人(同353人減)に上った。
 都道府県別では32都道府県で減少、14県で増加。鳥取は前年と変わらなかった。最多は東京の2107人で、大阪1191人、埼玉1100人、愛知1062人、神奈川1057人と続いた。最少は鳥取の80人だった。
 自殺死亡率については31道県で全国の15・8人を上回り、15都府県で下回った。兵庫は同水準だった。山梨の22・3人が最も高く、次いで秋田21・9人、岩手21・7人となった。最も低いのは神奈川の11・5人だった。
 年間の自殺者は97年までは2万人台で推移していたが、98年から14年連続で3万人超に。最多は03年の3万4427人で、これまでの最少は81年の2万434人だった。
 厚労省は、これまで速報値に合わせて発表していた年代や原因・動機別のデータは確定値で公表するとしている。
 ※警察庁の自殺統計
 警察は変死者の死因を調べるなどして自殺と判断すれば、職業や自殺方法を自殺統計原票に記録している。警察庁は原票を集計し、月別統計などを速報値で発表、動機や職業で分類した年間データの確定値は毎年3月に公表する。統計には国内で自殺した外国人も含まれることなどから、日本人だけを対象としている厚生労働省の人口動態統計と数字が異なっている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高橋まつりさん母が手記 電通に「また踏みにじられた」

2019年12月30日 22時52分39秒 | 自殺・過重労働
高橋まつりさん母が手記 電通に「また踏みにじられた」
2019年12月25日 (水)配信朝日新聞

 広告大手「電通」の新入社員で4年前のクリスマスに過労自殺した高橋まつりさん(当時24)の母幸美(ゆきみ)さん(56)が、まつりさんの命日の25日にあわせて手記を公表した。電通は違法残業などのために今年9月に再び是正勧告を受けた。幸美さんは「娘の命と尊厳がまたも踏みにじられた想(おも)いです」とつづった。
 まつりさんの過労自殺をうけて、法人としての電通が労働基準法違反容疑で書類送検され、2017年1月に石井直(ただし)社長(当時)が引責辞任。17年10月に罰金50万円の有罪判決が確定した。しかし、今年9月に社員の違法残業や、残業時間の上限を定める労使協定(36〈サブロク〉協定)の違法な延長などを指摘された。
 幸美さんは「電通の不眠不休で業績を上げてきた社風は根深いものがあり、ひとりの社員が死んだくらいでは変わらないだろうという私の予想通りでした」として、同社の労働環境の改善を求めた。
 今年4月には、大企業を対象に残業時間に罰則付きの上限規制が設けられた。しかし、終わらない仕事を「サービス残業」でこなしている働き手も少なくない。幸美さんは「すべての職場で長時間労働やハラスメントを禁止し、過労自殺を出した企業や経営者、管理監督者、ハラスメント加害者に対して厳しい罰則を科するべきです」と訴えた。
 幸美さんは昨年12月から厚生労働省の過労死等防止対策推進協議会の委員として、過労死の防止に向けた活動に取り組んでいる。「国民の労働への意識が変わり、誰もが安心して働ける社会を作り、若者たちが活(い)き活(い)きと働き幸せな人生を送れる国になるように、みなさんとまつりと共に力を尽くしてまいります」と手記を結んだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「長時間労働を正当化」 長崎の医師過労死で声明

2019年10月19日 20時48分22秒 | 自殺・過重労働
「長時間労働を正当化」 長崎の医師過労死で声明
2019年10月18日 (金)配信共同通信社

 長崎市の長崎みなとメディカルセンターの勤務医だった男性=当時(33)=が急死し、遺族が病院側に損害賠償などを求めた訴訟を巡り、勤務医らでつくる労働組合「全国医師ユニオン」が17日、病院側の控訴理由は違法な長時間労働を正当化する内容で看過できないとする声明を発表した。
 声明では、「医師は例外的に長時間労働が認められている」などとする病院側の主張が安全配慮義務を無視し、働く医師を軽んじていると指摘。改善に向けた働き掛けを求めて厚生労働省と長崎市に要請文を送った。病院は長崎市立病院機構が運営している。
 男性医師は2014年12月、自宅で突然死した。長崎地裁は今年5月、男性が過労死だったと認め、病院側に約1億6700万円の支払いを命じたが、病院側は福岡高裁に控訴した。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つらい夜を乗りこえて 「死ぬんじゃねーぞ!!」 (中川翔子著)本の世界へようこそ

2019年09月03日 09時52分25秒 | 自殺・過重労働
つらい夜を乗りこえて 「死ぬんじゃねーぞ!!」 (中川翔子著)本の世界へようこそ
2019年8月30日 (金)配信共同通信社

 「死ぬんじゃねーぞ!!」という本のタイトルを見てドキッとした。どうしてもこのメッセージだけは伝えたかったのだろう。心に届けと願ったのだろう。いままさに、いじめに苦しみ、死にたいと思っているあなたに。
 著者は「しょこたん」の愛称(あいしょう)で知られるタレントの中川翔子(なかがわしょうこ)(1985年~)。小学生のころは漫画(まんが)やゲームが好きなことも、絵を描(か)くのが得意なことも、安心して表現できた。先生や友だちにめぐまれた。だが中学生になり状況(じょうきょう)が一変する。
 「あいつ絵ばっかり描いててオタクじゃね?」という陰口(かげぐち)。「キモい子」というレッテルをはられて孤立(こりつ)する。みんなの視線がこわい。休み時間もランチタイムも地獄(じごく)。一日が果てしなく長い。
 ある日、くつをかくされてパニックになる。先生は「これを履(は)いて帰りなさい」とローファーをわたしてくれた。しばらくしてその先生からローファー代を請求(せいきゅう)される。いじめは見て見ぬふり。
 「もう、ダメだ」。心がくだけ散った。不登校になり、卒業式も欠席。17歳(さい)のころにはいじめの記憶(きおく)のフラッシュバックがあり、死ぬことしか考えられなくなる。そんなつらい夜をどう乗りこえ、生きのびたのか―。
 死にたい時は、ねるなり、好きなことをするなりして「いまの衝動(しょうどう)から一旦(いったん)、気持ちを逸(そ)らして」と訴(うった)える。通信制高校やフリースクールの道もあること。悩(なや)んでいる時間は「未来の夢の種(たね)を見つけるさなぎの時間」になり得ること。多くのメッセージが、漫画を交えてつづられている。
 いじめられている人だけでなく、自分は関係ないと思っている人にも読んでほしい。いまの日本社会は、だれかを追いこんだり傷つけたりしがちだ。きっとあなたの近くにも、苦しんでいる人がいるはずだから。(文)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女性2人がうつ病で労災認定 過剰ノルマやセクハラ受け

2019年08月30日 22時51分58秒 | 自殺・過重労働
女性2人がうつ病で労災認定 過剰ノルマやセクハラ受け
2019年8月22日 (木)配信朝日新聞

 塗装会社ユーコーコミュニティー(神奈川県厚木市)の新入社員だった女性2人が、過剰なノルマによる長時間労働やセクハラなどでうつ病を患ったとして、相次いで労災認定された。代理人の弁護士らが21日、記者会見して明らかにした。
 同社は住宅の外壁などの塗装を手がけ、ウェブサイトでは同社の女性職人の活躍ぶりがマスコミで報道されたことをアピールしている。弁護士によると、2人は2017年4月に入社。1日200軒の住宅への飛び込み営業などのノルマがあって長時間労働が続いたうえに、上司から体を触られるセクハラを受けるなどしたという。
 2人とも同年11月ごろにうつ病になり、出社できなくなって18年春に解雇された。同年6月、それぞれ労働基準監督署に労災を申請。今年に入り、1人は平塚労基署に1月11日付で、もう1人は厚木労基署に7月3日付で労災認定されたという。平塚労基署は、月85時間29分の時間外労働や、同僚のいる前で会長から「お前のことを嫌いになるよ」などと責められるといった嫌がらせを受けたことを認定したという。
 会見には2人も同席し、「女性が活躍する会社と信じて入ったのに、上層部が女性蔑視の価値観だった。セクハラを会長に相談したら、『神様が与えた試練だ』と対処されなかった」「ノルマがとてもこなせる金額や量ではなかった。愚痴は処罰の対象になるといわれ、同期との飲み会は禁止され、上司にも相談できなかった」などと訴えた。
 同社は「元従業員の方が精神疾患に罹患(りかん)されたことにつきましては、大変遺憾に存じます。労災認定につきましては、労基署の調査結果などの内容を確認できておりませんので、コメントを差し控えさせていただきます」としている。(内藤尚志)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新人看護師自殺で提訴 遺族が損害賠償求め、札幌

2019年08月01日 20時30分37秒 | 自殺・過重労働
新人看護師自殺で提訴 遺族が損害賠償求め、札幌
2019年7月30日 (火)配信共同通信社

 国家公務員共済組合連合会が運営するKKR札幌医療センター(札幌市)の新人看護師だった杉本綾(すぎもと・あや)さん=当時(23)=が2012年に自殺したのは過重労働が原因として、母親(56)が29日、同連合会に慰謝料など約9400万円の支払いを求め札幌地裁に提訴した。
 提訴後に札幌市内で記者会見した母親は「裁判を通じて医療の現場の過酷な労働が改善されていけば綾の死が報われると思う」と話した。
 訴状などによると、杉本さんは大学卒業後、12年4月から医療センターに勤務。長時間労働が続いた上、仕事での失敗に対する指導として自宅でも長時間の復習を強いられ、最大で月約180時間の時間外労働があった。精神的に追い詰められてうつ病を発症し、同12月に自宅で自殺した。新人に対処可能な業務の量を超えていたのは明白なのに、病院側が軽減措置を取らなかったと主張している。
 国家公務員共済組合連合会は「訴状を見ていないためコメントは差し控える」としている。
 札幌東労働基準監督署はいったん労災認定を認めない決定をしたが、母親が認定を求め提訴。提訴を受けて再調査し、自宅に持ち帰った仕事などを労働と認めて昨年、労災認定していた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

未成年の自殺増599人 18年、学校起因が最多 政府白書、全世代は減少

2019年07月17日 23時31分53秒 | 自殺・過重労働
未成年の自殺増599人 18年、学校起因が最多 政府白書、全世代は減少
2019年7月17日 (水)配信共同通信社

 政府は16日の閣議で2019年版自殺対策白書を決定した。18年に自殺した19歳以下は前年比32人増の599人だった。全世代の自殺者総数は前年より481人少ない2万840人で9年連続の減少。人口10万人当たりの自殺者数を示す「自殺死亡率」も減少しているが、19歳以下は2・8人と統計を取り始めた1978年以降最悪となった。昨年、自殺した10歳未満はおらず、10代の自殺で特定できた原因・動機のうち最も多かったのは「学校問題」だった。
 白書は「若者の状況を把握するとともに、対策の効果検証を行い、見直していくことが必要だ」と指摘した。根本匠厚生労働相は16日の閣議後の記者会見で「関係省庁と連携しながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、取り組みを進める」と述べた。
 10~19歳の自殺者のうち遺書などから特定できた原因・動機を1人につき三つまで計上した結果、延べ568人中、学校に関する問題が188人(33%)と最多を占め、健康問題の119人(21%)、家庭問題の116人(20%)が続いた。
 学校問題の内訳をみると、学業不振の57人が最も多く、進路の悩み(46人)、学友との不和(27人)の順番だった。
 小学生は男子・女子ともに家庭問題に起因する理由が多かったが、中学生以上になると、男子は学業不振が最多を占めた。女子は、中学生では「親子関係の不和」が多かったが、高校生以上になると、うつ病が最多となった。
 厚労省は、主に若者を対象にした自殺対策として会員制交流サイト(SNS)の相談事業を実施。18年度の相談件数は延べ2万2725件で、相談者は未成年が44%、20代が41%だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医師過労死、病院賠償命令 1億6千万円、長崎 「極めて重い負担」

2019年06月18日 21時18分04秒 | 自殺・過重労働
医師過労死、病院賠償命令 1億6千万円、長崎 「極めて重い負担」
2019年5月28日 (火)配信共同通信社

 長崎市の長崎みなとメディカルセンターに勤務し、2014年に急死した男性医師=当時(33)=の遺族が、病院側に損害賠償や未払いの残業代を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は27日、「負担は極めて重かった」として過労死と認め、約1億6700万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は14年4月からセンターの心臓血管内科で勤務。12月18日、自宅で心肺停止の状態で発見され、同日死亡した。直前1カ月の残業は159時間で、7月26日~10月17日には84日連続で働いていた。
 武田瑞佳(たけだ・みか)裁判長は「相当の緊張を伴う業務を余儀なくされ、著しい疲労の蓄積があった」と指摘。病院が医師の残業時間を把握せず、負担軽減策も取らなかったのは違法だとした。
 病院側は、死亡前日の飲酒が影響したなどとして賠償額を減らすよう求めたが、「業務量は他の医師より多く、死亡原因は病院の安全配慮義務違反にある。公平の観点から認められない」と退けた。
 その上で、医師の平均収入を基にした逸失利益などから賠償額を計算。残業代未払い分の算定に当たっては、違法の程度が大きい場合に科す付加金の支払いも合わせて命じた。
 男性の妻は弁護士を通じ「夫の死を100%病院側の責任と認めてもらい、うれしく思う。過労死を二度と出さないよう、病院には変わってほしい。患者の命を守るため、夫が死ぬまで働いたことを忘れないでください」とコメントした。
 病院を運営する長崎市立病院機構は「判決を厳粛に受け止めている。内容を確認し、対応を検討する」としている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

産婦人科医の労災認める 広島地裁、過労自殺で

2019年06月06日 10時34分09秒 | 自殺・過重労働
産婦人科医の労災認める 広島地裁、過労自殺で
2019年5月30日 (木)配信共同通信社

 中国地方のへき地にある病院の産婦人科で勤務していた50代の男性医師が2009年に自殺したのは、過重労働でうつ病を発症したことが原因だとして、医師の妻が労災認定を求めた訴訟の判決で、広島地裁は29日、労災と認め、遺族補償年金を給付しないとした国の決定を取り消した。
 判決理由で高島義行(たかしま・よしゆき)裁判長は「常勤医が2人だけで、分娩(ぶんべん)や手術などに忙殺され、うつ病発症前の半年間は2週間以上の連続勤務が5回以上あった」と指摘。「部下とのトラブルも抱え、心理的負荷は強かった」と述べた。
 国は「業務の密度は低かった」などと主張していたが、高島裁判長は「業務以外の発症要因は認められない」とした。
 判決によると、男性医師は1999年から産婦人科の部長として勤務。09年1月ごろからうつ病を発症し、同年3月に病院に隣接した自宅ガレージで自殺した。
 妻は国の決定を不服として、12年に労災保険審査官に審査請求したが棄却され、再審査請求中の13年に提訴。判決後、妻は記者会見で「判決が産婦人科医の労働環境改善の一助となることを願っている」と語った。
 この病院を管轄する労働局は「判決の内容を精査し今後の対応を決めたい」とコメントした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「厚労省の暴挙」と労組 医師の残業規制案を批判

2019年01月24日 08時49分13秒 | 自殺・過重労働
「厚労省の暴挙」と労組 医師の残業規制案を批判
2019年1月18日 (金)配信共同通信社

 勤務医らでつくる労働組合「全国医師ユニオン」の植山直人(うえやま・なおと)代表は17日、東京都内で記者会見し、特定の医療機関では年2千時間を上限とする厚生労働省の残業規制案を批判した。「月160時間の残業を強制されることになり、憲法が定める『健康で文化的な最低限度の生活』はできない。厚労省の暴挙で、労働者の権利が脅かされる」と訴えた。
 厚労省案は、2024年度から適用されるもので、上限を原則「年960時間(休日労働を含む)」とする一方、地域医療提供体制維持のため、特定の病院は35年度末まで過労死ラインの2倍に相当する長い上限を容認。医療関係者らの検討会で議論されている。
 植山代表は「日本はこれまで、医師数を抑制し、医師不足を過重労働で補ってきた。一部の医師に負担が集中しないシステムを作るのが検討会の役割だ」と指摘。根本的解決には医師不足と偏在の解消が必要とした。
 1999年に小児科医の夫を過労自殺で亡くした「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子(なかはら・のりこ)さんも同席し、「過労死が絶えない現場では優秀な人材は集まらない。医師不足の悪循環が続くだけだ」と訴えた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

病院機構を略式起訴 職員過労自殺、労基法違反で

2019年01月24日 08時42分00秒 | 自殺・過重労働
病院機構を略式起訴 職員過労自殺、労基法違反で
2019年1月23日 (水)配信宮崎日日新聞

 国立病院機構・都城医療センター(都城市)で2016年、20代の男性事務職員が過労死した問題で、都城区検は22日、違法な長時間労働をさせたとして労働基準法違反の罪で同機構(東京都)を略式起訴した。同機構が同法違反で書類送検されたのは初めて。同機構とともに書類送検されていた当時の男性上司について、宮崎地検は不起訴処分とした。
 同地検によると、同機構は16年4~6月、男性職員に労使協定(三六協定)で定める「3カ月で120時間」を超える約260時間の違法な時間外労働をさせたとしている。
 同機構によると、男性職員は当時、同センター医事部門に勤務し、5年おきに行われる電子カルテのシステム更新を担当。男性職員は16年7月に自殺し、その後に労災認定された。
 都城労働基準監督署は昨年7月、男性職員の時間外労働が3カ月で計約440時間に上ったとして、同法違反の疑いで、同機構と当時の上司を書類送検していた。宮崎地検は男性上司を不起訴処分とした理由について「諸般の事情を考慮した」としている。
 同機構は「今後、裁判所からの命令に真摯(しんし)に対応する」としている。同機構は全国142の病院と本部で構成する独立行政法人。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

残業時間に歯止めなし 「死ぬ危険」遺族訴え 管理職の過労自殺労災申請

2019年01月04日 21時45分50秒 | 自殺・過重労働
残業時間に歯止めなし 「死ぬ危険」遺族訴え 管理職の過労自殺労災申請
2019年1月4日 (金)配信共同通信社

 製薬大手エーザイの部長だった泰敬(やすゆき)さん(姓は遺族の希望で非公表)=当時(50)=の自殺を巡り、遺族は長時間労働が原因だとして労災申請した。昇進から自ら命を絶つまでの8年間、残業時間は繰り返し過労死ラインを超えた。来年4月施行の働き方改革関連法では「月100時間未満」など残業時間の上限規制が初めて導入されるが、管理職には適用されず、長時間労働に歯止めがないままだ。遺族は「こんな働き方をしたら死ぬ危険があるのに、なぜ防げなかったのか。長時間労働の危険性は管理職も同じだ」と訴える。
 ▽トップグループ
 「念願の部長昇進を果たし、やる気満々だった」。泰敬さんの元気だった姿を妻(51)は思い出す。週末は好きなハーレーダビッドソンの大型バイクを走らせる行動派。一般市販薬の分野でドラッグストアチェーンとの取引を拡大するなどの手腕を評価され、40代早々で部長に登用された。同期でトップグループの早さだった。
 ドラッグストアなどを相手にした小売店営業は、製薬各社がしのぎを削る激戦区。元同僚の部長経験者によると、どれだけ消費者を呼び込める提案ができるかが評価の分かれ目という。
 風邪薬や花粉症対策など季節に合わせた商品のきめ細かな企画提案や、企画後の店舗へのフォロー、顧客企業トップとの懇親・情報交換などが欠かせず、気が抜けない日々が続く。
 ▽不眠
 泰敬さんは自ら営業車のハンドルを握り、関西一円の得意先を回った。部下のマネジメントも加わり、午前8時ごろ仕事を始め、日付が変わるころに帰宅することが多かったという。
 遺族によると、泰敬さんは昇進から数カ月たつと、過労で休日に寝込むようになった。取引先から部下へのクレーム、人員削減問題などが心労に輪を掛けたという。食欲不振や不眠の症状も出て、家族に「寝ても寝た気が全くしない」とこぼした。仕事の持ち帰りも増え、週末は一日中、資料作りや部下からの報告に追われたこともあった。
 ▽対象外
 一般の社員は、経営者と労働組合が協定を結ばないと残業ができない。この時、労使で1カ月の残業時間の上限を決める必要がある。
 労使が合意すれば、どれだけ長時間の残業も可能だったが、6月に成立した働き方改革関連法で初めて罰則付きの上限規制が導入された。大企業では来年4月以降、1カ月に100時間以上の残業ができなくなる。
 政府や労使団体は「労働基準法70年の歴史の中で画期的だ」と評価する。しかし泰敬さんのような管理職は、残業規制などの対象から外れる「管理監督者」として扱われるケースが多く、法改正後も上限規制がかからない。管理職は自分で働く時間を管理できる、という考えがあるからだ。
 管理職の働き方を巡っては実質的な権限がないのに管理監督者として扱われる「名ばかり管理職」も以前から問題視されている。泰敬さんの妻は「過労死ラインを何度も超える人が本当に裁量のある管理職と言えるのか」と法制度や会社の安全対策を批判した。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

部長の自殺、遺族労災申請 過労死ライン超え56カ月 エーザイ勤務、うつ病に

2019年01月04日 21時43分21秒 | 自殺・過重労働
部長の自殺、遺族労災申請 過労死ライン超え56カ月 エーザイ勤務、うつ病に
2019年1月4日 (金)配信共同通信社

 製薬大手エーザイの部長だった50代の男性がうつ病になって2016年に自殺し、原因は昇進に伴う業務量増加や慢性的な長時間労働だったとして遺族が天満労働基準監督署(大阪)に労災申請したことが30日分かった。
 部長昇進から自殺までの8年で約8千時間残業し、過労死の労災認定基準となる「過労死ライン」(月平均80時間)超えが約100カ月のうち56カ月に達したと遺族は指摘。長期間の過重労働で自殺に追い込まれたと訴えた。
 長期にわたる管理職の長時間労働の実態が明らかになるのは異例。男性は「管理監督者」として扱われ、残業時間制限がなかった。政府や企業は働き方改革を進めるが、管理職の対策強化を求める声が出そうだ。
 亡くなったのは泰敬(やすゆき)さん=当時(50)=(姓は遺族の希望で非公表)で1990年、エーザイ入社。2008年4月、関西のドラッグストアなど小売店営業を統括する部長に昇進した。
 大阪市内に住む妻(51)や申立書によると、泰敬さんは昇進前から残業時間が急増。同年2月は65時間だったが、3月86時間、4月72時間となり、5月は126時間、6月は104時間に達した。10月に初めて医療機関を受診して夏ごろからうつ病だったと診断され、死亡直前まで通院した。
 昇進後、人員削減の指示があり先輩社員を異動させなければならなかったことや取引先からのクレームの対応に追われたことなどで、心理的負担も増えたという。
 残業は多い月で134時間に達し、長時間労働は亡くなるまで続いた。毎年の1カ月平均の残業時間を見ると、12年から死亡前年の15年まで80時間を突破。16年9月、京都市内の単身赴任先マンションで自殺した。
 遺族は休日出勤の負担の大きさも指摘。報告書作成や取引先との会合、出張などのため、移動日を含めた休日出勤は8年間で367日に及んだと強調した。
 遺族はエーザイが提供した勤務データを基に労働実態を分析。今年7月に労災申請した。
 エーザイは「心からお悔やみ申し上げる。長時間労働と死亡との関係を会社として判断する十分な根拠を持ち合わせていないが、遺族の申請を真摯(しんし)に受け止め誠実に対応したい」とコメントした。
 ※過労死ライン
 厚生労働省の脳・心臓疾患に関する労災認定基準は、発症前1カ月におおむね100時間、または2~6カ月にわたり1カ月平均80時間を超える残業があったことを目安の一つとしている。ただ、認定基準は「(厚労省が残業上限と告示する)月45時間を超え、残業時間が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まる」とも規定しており、80時間を下回る残業時間でも、過労死と認定されるケースもある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三菱電機、裁量労働制の3人労災 過労自殺も

2018年10月01日 00時46分09秒 | 自殺・過重労働
三菱電機、裁量労働制の3人労災 過労自殺も
千葉卓朗、贄川俊、内藤尚志
2018年9月27日05時01分
三菱電機の本社が入る高層ビル。本社勤務の男性社員が昨年8月に労災認定された=東京・丸の内

 三菱電機の男性社員5人が長時間労働が原因で精神障害や脳疾患を発症して2014~17年に相次いで労災認定され、うち2人が過労自殺していたことがわかった。5人はシステム開発の技術者か研究職だった。3人に裁量労働制が適用されており、過労自殺した社員も含まれていた。労災認定が直接のきっかけではないとしながらも、同社は今年3月、約1万人の社員を対象に適用していた裁量労働制を全社的に廃止した。
残業5倍…過労自殺の再発防げず 三菱電機
裁量労働制、三菱電機は全廃 政権は拡大方針
 16年11月、情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)に勤めていた研究職の30代の男性社員が、長時間労働が原因で精神疾患を発症したとして労災認定され、本人がその事実を公表した。柵山正樹社長(当時、現会長)は17年1月の記者会見で「二度とこのような事態が起こらないように取り組む」と陳謝し、労働時間の正確な把握に力を入れる考えを示していた。朝日新聞の取材で、これ以前にも労災が2件、17年にも2件認定されていたことが新たにわかった。
 関係者によると、5人のうち裁量労働制を適用されていたのは3人。このうちコミュニケーション・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)に勤務していた40代の社員は、長時間労働が原因で精神障害を発症して自殺したとして17年6月に労災認定された。若手のため裁量労働制を適用されていなかった名古屋製作所(名古屋市)勤務の社員(当時28)も精神障害を発症し、14年12月に過労自殺と認められており、4年間に2人が過労自殺していた。
 三田製作所(兵庫県三田市)に勤めていた40代の社員は13年に脳梗塞(こうそく)を発症。東京・丸の内の本社勤務だった40代の社員も、16年にくも膜下出血を発症した。この2人も長時間労働が発症の原因だったとして、それぞれ15年3月と17年8月に労災を認められた。
 裁量労働制は実際に働いた時間にかかわらず、一定時間を働いたとみなして残業代込みの賃金を払う制度。労働時間管理が甘くなり、長時間労働を助長する危険性が指摘されてきた。制度の廃止により、対象だった社員は原則として残業時間に基づいて残業代を受け取る働き方に変わった。同社は多少の人件費の伸びを見込んでいるという。
 三菱電機は朝日新聞の取材に対し、新たにわかった4件の労災認定の事実をすべて認めた。4件とも社内に周知していないという。それぞれ「個別の事情がある」(人事部)として、労務管理に構造的な問題はないとしている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

投票ボタン

blogram投票ボタン