【大分】入院の子どもを笑顔に クラウン姿で病院訪問10年
2018年8月20日 (月)配信大分合同新聞
入院中の子どもたちを笑顔にしようと、NPO法人クラウンボランティア・ティアドロップ(佐藤慎二郎代表理事、由布市)が続けている病院訪問が10年を超えた。赤い鼻にカラフルな衣装のクラウン姿で繰り広げるジャグリングやバルーンアート、一緒に楽しむゲームにみんな夢中。メンバーは「病院にいることを忘れ、子どもらしさを取り戻せる時間にできたら」と話している。
8月10日、大分市豊饒の県立病院小児病棟にあるプレールーム。「ゲームするよー」。佐藤さん(56)らメンバーの呼び掛けに男児3人が駆け寄ってきた。カラーボールが入ったビニールプールや小さな家など、わくわくする空間に大喜び。手品を見たり、お絵描きをしたりと楽しい時間を過ごした。
月に1度の訪問は2008年3月から。病室を回って風船を配るなど、子どもたちが喜ぶ工夫を凝らしながら取り組んでいる。
きっかけは由布市庄内町で開業医をしている佐藤さんが、県外の他団体の活動を見たこと。「自分たちでやってみよう」と友人に協力を求めた。ジャグリングなどの芸はインターネットなどで見よう見まねで習得した。
現在は、看護師や介護施設職員として働く約10人が所属。医学部生や看護学生が加わることもある。他に県内外の2施設にも2カ月に1度訪れている。県病小児病棟の平下理香看護師長は「入院はストレスになるが、遊びは元気を与えてくれる。笑顔のひとときをもらっている」と感謝。子どもたちは訪問を心待ちにしており、治療に頑張る力になっているという。
「退院時、つらかったことよりも、楽しかった思い出を持ち帰ってほしい」と佐藤さん。
同法人には今月、県病から感謝状が贈られた。「10年は、まだまだ駆け出し。足が立たなくなるまで継続したい」。今後は在宅療養する子どもにも笑顔の輪を広げていきたいと夢を膨らませている。