日々

穏やかな日々を

医療守る 三たび奮起 台風19号1年、教訓重ね備え強化

2020年10月19日 23時22分10秒 | 地域

医療守る 三たび奮起 台風19号1年、教訓重ね備え強化

2020年10月13日 (火)配信岩手日報
 

 久慈市田屋町の「しろと内科循環器科クリニック」は、昨年10月の台風19号豪雨で東日本大震災、2016年の台風10号豪雨に続く3度目の被害に遭った。理事長で医師の白戸隆洋さん(53)は一時は心が折れかけたが、スタッフらと一丸で復旧に当たり、仲間の励ましも受けて奮起。あれから1年がたつ中、新たな災害への備えを進め、患者に寄り添いながら地域医療を支え続けている。

 白戸さんは台風19号が接近していた昨年10月12日、動かせる電子機器を高い場所に移し、車も高台に移動させた後、病院兼自宅で行方を見守っていた。風雨が強まり、近くを流れる久慈川の水位も徐々に上昇。翌13日未明まで何度も1階の病院の様子を確認したが、午前5時ごろには院内は30センチほど床上浸水していた。

 朝からスタッフや業者と院内の排水作業や清掃、消毒に当たった。元々休みだった日曜、祝日の2日間で作業を終え、一日も休業せずに診療を再開した。

 だが、大型で動かすことができなかったエックス線機器などが冠水により故障。代替機で診察しながらも相次ぐ被災のため、心の中では「今後もここで病院を続けられるのか」との葛藤が生まれていた。

 青森市出身の白戸さんは岩手医大を卒業後、県内各地の病院で勤務し、33歳の時、県立久慈病院に赴任。循環器科長として力を尽くす中で土地柄も気に入り、地域の中核である同病院の負担を減らしたいと考え、06年に独立してクリニックを開院した。

 県立久慈病院にも非常勤で籍を置き、手術などを担当していたさなかの11年に震災が発生。幸い被害はクリニックの一部にひびが入る程度だったが、16年の台風10号では院内が10センチほど床上浸水。この時は水の引きが早く、大半の医療機器は助かったがボイラー設備などが壊れた。

 開院当初の防災マップではクリニックの場所はぎりぎり浸水想定範囲外だったが、現実には4年で2度も浸水。くじけそうになっていた中、先輩医師や患者、趣味のマラソン仲間などからの温かい励ましや義援金を受け、再び心に火がともった。「このまま辞めてなんかいられない。地域のためにまた頑張ろう」

 昨年の被災を教訓に、新たに購入したエックス線機器は高さ約30センチの台の上に設置。さらに止水板も用意するなど備えを充実させている。白戸さんは「災害はまた来るかもしれない。可能な対策を取りながら地域の医療を守っていきたい」と決意する。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 学術会議候補、複数の除外を... | トップ | 新型コロナ:新型コロナ 希... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

地域」カテゴリの最新記事