気勢を削がれた。
走るのをやめて、戻ろうかとも考えた。
バイパスを抜けるボックスの入り口のわずかな窪みに、つま先が引っ掛かった。
大した傷じゃあないけど、ボクは皮膚が剥けてしまう傷にすこぶる弱い。
崩れた態勢を持ちこたえられず倒れ落ちたことにも、精神的ダメージを受けた。
気を取り直し走り始めた時、かまびすしいほどのたくさんの小鳥の鳴き声に気付いた。
ピッピッピーー!・・・川に近い枯れ野の中から聞こえてくる。物凄い騒ぎだ。
土手を走るボクの前を、数羽の野鳥が川の方へ勢いよく横切って行った。
何の鳥だろう。色調の目立つ、スズメより少しばかり大きいかな。(たぶんモズだ)
モズ、ツグミ、ヒバリ、ホオジロ・・・、ちょっと見は、みんなスズメ。
せめて鳴き声でおおよその判別が出来るぐらいの知識があればねえ。
鳥たちの巣作りが始まっている。
巣作りといえば、申し訳なかったけど、換気口のフードを改修させてもらったよ。
キミたちとの同居は賑やかで楽しいんだけど、ただ、部屋の中に匂いが逆流してくるんだ。
奥の奥、更に奥の曲がった先にあった三代に亘る巣を取り出すのには苦労した。
そこが安全かどうかは問題だけど、来春は玄関先のモミの木に巣箱でも用意しましょうか。