盛岡の朝、いつものように開運橋からの岩手山と対峙する。
ここから見る岩手山への懐かしさや心安らぐ思いが、見るたびに薄まっていくのに気づいた。
何故だろう・・・あっ!そうかあ、北上川の両岸に建つ高層階のビルのせいだ!!
受験時に初めて見た岩手山はこんなに小さくなかったし、こんなに窮屈そうじゃなかった。
もはやあの時見た岩手山は、ボクの心象風景の中にしか残っていないんだね。
感傷的になった朝の気分を少し元気づけてくれる事実に、偶然、出くわした。
開運橋の銘板に刻まれた「昭和二十八年竣工」が、見ろ!とばかりに視界に飛び込んできた。
同い年じゃねえか! 何で五十二年間も黙っていたんだよ、水くせえなあ。
開運橋を背に菜園通りに向かう・・・朝の珈琲はこの通りのコンビニで購入しよう。
「菜園通り」を初めて耳にしたのは盛岡に来てすぐの頃、商店街を紹介するラジオCMでした。
南部家の菜園があったという何のひねりもない由来ですが、ボクには妙に艶っぽく聞こえた。
場所も知らず歩いたこともない路に色んな空想が混じり、憧れにも似た思いがあったよね。
城の手前まで行かないとコンビニはないと知り、道を折れた先で古風な建物に遭遇した。
個人住宅のようでもあり、休憩スポットを併設しているから公共物のようでもある。
何より、何度も通ったことがあるはずなのに、全く気付かなかったことに少々驚いた。
隣接する郵便局も、市街地なのにロッジ風?と思わないでもないけど、凝った意匠だ。
ここにしよう・・・この先のコンビニで珈琲とパンを購入して踵を返し、ここで一服した。
ヤスに迎えに行く時間をメールし、九時過ぎにヤスの泊るホテルの前に車を横づけた。
ヤスが同乗するときの帰路は、温泉に立ち寄ることが多い。
特にボク一人ではなかなか訪ねることができない乳頭温泉郷は、とても楽しみなんです。
田沢湖の手前を右に折れ山深く入っていくと、わあ~~お!!と絶叫もんの木漏れ日の道。
雪の重みによる幹曲がりブナの姿に冬の自然の厳しさを見るようです。
初めて見るような新緑の美しさ・・・この時季に連れてきてもらうのは初めてかも。
仙岩峠を越える直前、国見温泉に寄ろうとしたけど、やっぱ、乳頭温泉が正解だったね。
木漏れ日の道の端に、薄紫色したとても可憐な花の小さな群生を見つけた。
もちろんボクにその名が分かるはずもなく、ヤスに訊いたけど首を振るだけ。
すぐ近くで小さな渓流にカメラを構えている見るからに山に詳しそうな年配のご夫婦がいた。
ここは思い切って、「すいませーーん! この花の名前わかりますかあ?」
ボクの指さす物が何か分かるはずもない場所にいたのに「菊咲一輪草だと思いま~す」の即答。
答えたのは奥サン・・・謙虚深く教えてくれるお人柄がこの花のようだぜ、かっこええなあ。
今回ヤスが案内してくれたのは、乳頭温泉郷の中でも奥の方にある「黒湯温泉」
周囲をところどころ硫黄の色した山に囲まれている環境は、あの玉川温泉を思わせる。
八幡平ふけの湯でも見た、地表から温泉が噴き出ているところもあるし、まさに秘湯だね。
駐車場から温泉までの道端に、ヤスが気に掛けていた「孫六温泉」への案内を見つけた。
近くを流れる沢や渓流沿いに砂防工事が施され、ヤスの知る景観とはまるで変ったみたい。
本当は孫六温泉に行きたかったのかな・・・是非、この次は「孫六」で。
うわあーーー! お湯っこも周囲の雰囲気も、もう最高だよ。
砂防堰堤等の外観がまだ周囲の景観に馴染んでいないかもしんないけど・・・
これ等も、温泉が対峙する自然環境の厳しさを示すものだとして見れば、これも一興だぜ。
あっ! チビ! ここで何してる、いや、あの秋田犬の「わさお」かあ?
ボクが腰かけて濡れた長椅子の座面から、ワンちゃんの顔が浮かび上がった!!
ヤスーー! 見てみい、これは絶対、バズるぜえ!!
今回の再会は、とても楽しかったなあ・・・
再会という言葉を持ち出すほどみんなとはご無沙汰じゃないけど、今回は特別いがったなあ。
思うような動きが出来なくても、ボク等はグランドの上で会うのが一番だよ。
オサム君、同じグランド上でも、白線の内側はもっと楽しいからさあ、来年は・・・だぞ。
大曲でヤスを降ろし、思い出に耽りながら家まであと一時間というところで・・・、あれ?
ヤス君、君の電話にも驚いたけど、実はボクはボクでまたやっちまっていたんだよ。
カラスの行水のヤスが悪いんだぜ。残されたボクは焦って何かと急いじゃうんだよね。
一度はもういいやって諦めたんだけど、「黒湯」の御主人?がとても親切で助かったよ。
それから、ヤス君、ボクは全く大丈夫だから、気にしなくていいぜ・・・またね。
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